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人を助ける理由

「お、外したらどうしようかとちょっと思ったけど、狙い通りにいけたかな」


 目標とした地点が爆ぜ飛んだことを確認し、悠人はそう呟きながら満足そうに頷いた。

 加減の方も上手くいったようであり、そちらも問題なしである。


 しかし少女の方は、いまいち状況が理解出来ていないようだ。

 その首を傾げ――


「私には何が起こったのかよく分からないのですけれど……何をしたのですか?」

「え? 何をしたって、見てた通りだと思うけど? ただの投石だよ?」

「投石にしては、随分と音が派手だった気がしましたけれど」

「まあ、スキル使ったしね。というか、さっきまで使ってたのと同じやつだけど」


 厳密に言えば、こっちの方が本来の使い方に近いのだが、それは別に言う必要はないだろう。

 知ったところで、何かの役に立つものでもないし。


「さて、と……」

「……? 何をするつもりなのですか? というよりも、今の投石もそうでしたけれど、あちらで何かあったのですか?」

「ん? ああ、見えないんだっけ?」

「そうですね……あちらに複数の魔物が居る、という程度のことでしたら分かるのですけれど」

「それだけ分かれば十分な気もするけどね。僕だって素の状態じゃそこまで分かるか微妙だし」


 何せここからあそこまでは、木々が邪魔して見えづらくなっているとはいえ、優に五百は離れている。

 悠人が見えるのだって、あくまでもスキルを使用しているからでしかないのだ。


「それで、あっちで何があったのか、だっけ? まあ、騎士みたいな? 女の人が魔物に囲まれてたからね。さっきのはその援護で、今からやろうとしてるのはその手伝い、って感じかな? 要するにどっちも手助けだけど」


 勿論余計なお世話である可能性もあるが、その場合は向こうがそう言ってくるだろう。

 どうせ今から近くに行こうと言うのだ。

 そこで邪魔と言われたら素直に引き下がればいい。


 ただ問題があるとするならば、少女のことだろうか。

 ここに置いていったところで、特に問題はないだろうが――


「……一つ、お聞きしてもよろしいでしょうか?」


 そんなことを考えていると、少女の方から言葉を送られた。

 それは疑問であり――


「その女の人は、あなたの知り合いなのでしょうか?」

「え? いや、別にそういうわけじゃないけど?」

「そうですか……ならば、もう一つお聞きします。先ほども思ったことなのですけれど……私にしろその人にしろ、何故あなたは、見ず知らずの人を助けようというのですか?」


 その言葉にきっと、他意はなかった。

 子供が疑問に思ったことを口にするように、純粋に少女はそれを疑問に思ったからこそ聞いたのだ。

 どうして人を助けるのか、と。


「何故……何故、かぁ」


 対して、悠人がその言葉を繰り返したのにも、他意はなかった。

 単純に、何故だとか、考えたことがなかったのだ。

 それでも考え、敢えて言葉にするならば――


「うーん……理由なんてないし、必要もないんじゃないかな? 助けたいと思ったから、助ける。きっとそれだけのことだし、それだけでいいんじゃないかな?」

「それだけで、ですか……?」


 とはいえ別に悠人も、人に説教できるほど人が出来ているわけではない。

 あくまでも自分はそう思う、というだけである。

 ただ、人を助けようとする理由など、それこそ人それぞれでいいのではないかと思うのだ。


「ま、あの人を助けようとするのは、そうすればここから簡単に出て、そのまま何処かに行くことが出来るんじゃないか、っていうのもあるけどね。ともあれ、とりあえずそういうわけで僕はあの人を助けてこようかと思うんだけど……君はどうする? ここで待ってても、問題はないと思うけど」

「……いえ、私も行きます。先ほども見せました通り、私も力になることが出来ると思いますから」

「そっか」


 正直に言ってしまえば、ここで待機していてもらうのが一番だったのだが、それは少女の意思を曲げてまで無理強いするようなことでもない。

 少女に一つ頷いて見せると、視線を女性の方へと向ける。

 そしてそちらに向かい、地を蹴った。














 視界が変わったのは一瞬だ。

 厳密に言うならば、一瞬のうちに視界が変わったと、そう言うべきだろうか。

 だがどちらにせよ、起こった事に違いなどはない。

 移動は一瞬で終わり、眼前に居るのは魔物の群れ。


 ――アクティブスキル、サポートスキル:イグニッション。

 ――アクティブスキル、アタックスキル:マグナムブレイク。


 拳を地面に叩き込み、諸共吹き飛ばした。


「――なっ」


 声が聞こえたのは、その直後のことだ。

 意識を周囲に向けたまま、視線を後方へと向ける。


「すいません、危なそうかと思って勝手に手助けに来たんですけど……不要でしたか?」


 驚きを浮かべたままの女性は、その言葉で我に返ったようだ。

 一瞬、こちらを探るような視線を向けるが、それもすぐに引っ込む。

 ただし視線はこちらに向いたままであり――


「……いや、確かにその通りだ。正直に言えば、助かった。先ほどのも、君が?」

「はい」

「ふむ……ならば手助けをするにしても、ずっと同じことを続けてもよかったのではないかね? いや、こちらの方が助かるのも事実だが」

「まあ、それでもよかったんですけど、正直に言えばあまりコントロールに自信がないので。あのままだと当てそうかな、と」


 それは割と本音だ。

 わざわざ今こうして出てきたのは、こっちの方が手助けしやすいというのもあるが、いざ戦闘が始まってしまうとそこまで精密な狙いを付けられる自信がなかったのである。

 勿論それでもどうにか出来る手段はあったものの、わざわざ難しいことをする必要もないだろう。


「くくっ、なるほど……ではそんな正直な君に提案というか相談があるのだが、君はこの中のどれぐらいを相手取れる?」

「そうですね……多分全部いけるんじゃないかと」

「ふっ……なるほど、そう来たか。確かに今のを見る限りでは納得できそうだが、それはこの場から一匹も逃してはならない、という条件が付いても、かね?」

「一匹も逃がしてはならない、ですか……まあそれでも多分、可能ではないかと。そもそも、この場に来たのは僕一人だけじゃないですしね」

「なに?」


 悠人の言葉に、女性が訝しげに眉を寄せ――それが起こったのは、その直後のことだ。


 ――ワールドハック、事象干渉:魔法・炎雷。


 瞬間、魔物の集団の一角が、真横から飛来してきた炎によって燃え上がった。

 迸るそれは魔物だけを的確に焼き尽くし、黒い塊を作り出し、瞬く間に消え失せる。


 それは十秒にも満たない間の出来事であったが、女性を驚かせるには十分だったようだ。

 女性の目が見開かれ――


「魔法、だと……!? まさか、魔導士か!?」

「ふぅ……ようやく追いつきました。移動が速過ぎです」

「いや、ごめんごめん。のんびりしてて戦闘が始まったら面倒そうだったからね」


 その奥から現れたのは、当然と言うべきか少女だ。

 先ほどの魔法は少女が使ったものであり、悠人が少女を置いていくことに心配を見せず、また少女が力になれると言っていた原因である。


 ただ、それはどう考えても厄ネタでしかなかったので、出来れば披露して欲しくはなかったのだが……まあ、言っても仕方の無い事だ。

 それに、そのことに目を瞑りさえすれば、有用なのも確かである。

 何せ森の中で炎を使ったのに、木々には燃え移らず、対象だけを燃え尽くしたのだから。

 文字通りの意味で、酷いチートである。


 もっともそれだけであれば、悠人も厄ネタなどとは思わなかっただろうが。

 そしてそれがなければ、少女も悠人に殺してくれなどとは言わなかっただろうに。


 とはいえそれがなければ、出会いがなかったのも事実であり……それもまた、言っても仕方の無いことである。

 ともあれ。


「魔導士がまだ存在していたとは驚きだが……彼女は、君の連れかね?」

「厳密に言いますと、ちょっと色々とあって今は行動を共にしている、みたいな感じですけど、まあそんな感じです」

「ふむ……君も手を貸してくれると考えていいのかな?」

「そうですね……そのために来ましたから」

「これならば、確かにいけそうか……? 一つ聞きたいのだが、君達はコボルトの習性について知っているかね?」

「コボルトの習性、ですか……? 私は知りませんけれど……」

「僕も知らないですね」


 まあそもそも悠人はコボルト自体を知らないのだから、当たり前の話ではあるが。

 勿論名前は知っているし、周辺を囲っているこれらがそうなのだろうという推測ぐらいは付くが、それだけだ。

 だが習性というからには、何か厄介なことでもあるのだろうかと首を傾げ――


「ならば簡単に説明しておくが、コボルトは集団での生活を行なう魔物だ。しかし全ての集団が外に出ることはなく、必ず半数以上は残る。そして互いに情報を共有し、敵対した相手を許すことはない。単純に言ってしまえば、一匹でも逃せばこの先の村が危険に陥るということだ」

「全滅させたら大丈夫なんですか? それはそれで、目の敵にされそうな気がするんですけど……」

「この樹海には沢山の魔物が存在しているからな。全滅であれば、何にそうさせられたのかが分からないため、問題はない」

「なるほど……どうしますか?」

「ま、最初からやらないって選択肢はないしね。要するに、全滅させればいいだけのことなんですよね?」

「簡単に言ってくれるものだな。頼もしい限りではあるが。まあ、ともかくその通りではあるのだが……一つだけ。出来ればあのトロルキングだけは、わたしに倒させてくれないだろうか?」


 トロルキングとは、この中で一匹だけ異彩を放っている、あのデカブツのことだろう。

 明らかにコボルトと比べれば、強そうである。

 とはいえ、あれを任せること自体は特に問題はないのだが――


 ――アクティブスキル、サポートスキル:サーチ。


 念のためにレベルを調べてみれば、二百三十という数値が出た。

 ここの主に比べれば弱いものの、あの国に放り込めば十分虐殺が可能なレベルだ。


 対して女性の方はというと――


 ――アクティブスキル、サポートスキル:サーチ。


「……それは問題ないんですけど……失礼を承知で聞きますけど、勝てますか?」


 その言葉に女性が浮かべたのは、苦笑であった。

 どうやら、女性も理解はしているらしい。

 女性のレベルは、アレに比べれば二十は低かったのだ。

 それはソロで戦う場合、絶望的な数値である。

 女性もそのことは当然理解しているはずであり――


「まあ、出会ったばかりで信用も何もないとは思うが……そこは信用してくれ、としか言いようはないな」

「……ちなみに、何故アレだけはあなたが倒したいんですか?」

「これでも一応騎士だからな。村を助けようとここまで来たというのに、罠に嵌められ助けられるだけというのは、騎士の名折れと言うかだな……まあ、見栄のためだと、そう思ってくれて構わんよ」

「ふむ……別に僕はいいと思うんだけど、どう思う?」

「私も構わないと思いますけれど……いいんですか?」

「まあね」


 いざとなればどうとでもなる、という言葉は胸中のみで呟く。

 さすがにそれを言葉に出してしまうのは、アレだろう。


「すまんな。助かる」

「いえ」


 その後で一つ二つの情報を貰うも、後することは単純だ。

 悠人達はコボルトを殲滅し、女性はトロルキングを倒す。

 それだけであり――


「……そういえば、名前も告げてませんでしたね。悠人です。よろしくお願いします」

「それもそうだな……少し今更感もあるが、クリスティーナだ。クリスでいい。よろしく頼む」

「ユーリといいます。よろしくお願いします」


 そこで悠人が半ば反射的に少女の方へと視線を向けたのは、実は少女の名前を知ったのは悠人も今が初めてだからである。

 まあ確かにここで不死の魔王とか名乗るのはアレだし、それは称号である以上きちんとした名前があるのは当然のことだ。

 まさか偽名を名乗るわけもないだろうことを考えれば、本名ということであり――


「どうかしましたか?」

「……いや、何でもない」


 だが今は、そんなことを言っている場合ではない。

 視線を前に向き直すと、一つ息を吐き出す。

 そして。

 三人はほぼ同時に、動き出した。








 それは戦闘と言うよりは、おそらく殲滅戦などと言った方が正しかっただろう。

 まあ、彼我の戦力差を考えれば、当然のことではあるのだが。


 ――アクティブスキル、アタックスキル:マグナムブレイク。


 ――ワールドハック、事象干渉:魔法・炎雷。


 悠人が拳を振るえば地面ごと纏めてコボルトが吹き飛び、少女――ユーリが魔法を放てばコボルトが数体纏めて焼き払われる。

 一匹足りとも逃がさないように周囲へと常に意識を払い、少しでもそんな素振りを見せるものが居たらそこに移動し消し飛ばす。

 ついでにその周囲のコボルトも吹き飛ばし、基本はその繰り返しだ。

 十分も経たないうちにコボルトの数は半数以下となっていたが、それもやはり当然のことでしかなかった。


 何せコボルトは個体差こそあるものの、平均レベルは百前後。

 仮に一斉に襲い掛かられたとしても、難なく捌ける程度でしかないのだ。

 それは悠人は勿論のこと、ユーリも同様である。

 魔王の称号は伊達ではないと言うべきか……まあ、五倍もレベル差があれば、当然ではあるだろうが。


 しかし全ての戦闘が楽勝だったかというと、そういうわけではない。

 それは言うまでもなく、クリスとトロルキングとの戦闘であり――だが同時に、それは悠人が想像したのとは、少し異なる光景を見せていた。


「……こう言ってしまっては何ですけれど、思っていた以上に善戦されていますね」

「だね。言うだけあるってことかな?」


 いつでも助けにいけるように常に意識は向けているのだが、今のところその必要がありそうな場面はない。

 ユーリの言葉通り、十分に善戦してると言えるだろう。


 トロルキングの腕は、下手をすればクリスの胴もあろうかという太さであり、そこに握られているのは同じぐらいの太さを持つ棍棒だ。

 対するクリスが構えているのは細身の剣であり、両者の太さを比べればこちらは如何にも頼りない。

 そんなところへ向かってトロルキングの棍棒が叩きつけられ、だがそれはいなされ続けていた。


 力のトロルキングと、技のクリスというところだろうか。

 両者は上手い具合に噛み合っており――


「まあでも、このままだとそう遠くないうちにクリスさんが負けるだろうけど」

「そうなのですか? 確かに決定打がなさそうですけれど……それは両者共に同じではありませんか?」

「クリスさんはそうだけど、トロルキングの方はそうじゃないよ。あれだけの巨体から繰り出されてる一撃だからね。多分まもとに一撃でも食らえば、クリスさんはただでは済まない。そして体力の関係からいって、先に力尽きるのはクリスさんだ」

「……では」

「とはいえ、そんなこと最初から分かってることだろうからね。一応奥の手があるみたいだし、あとはそれをいつ、どうやって使うか次第だけど……」


 ――アクティブスキル、アタックスキル:マグナムブレイク。


 ――ワールドハック、事象干渉:魔法・炎雷。


 言葉を続けながらも、手を休めることはなく、魔物の数を減らしていく。

 このままいけば、おそらくは向こうに動きがある前に、こちらは終わるだろう。

 そんなことを考えながら、拳を振るい――だが。


 それは唐突にやってきた。


「――っ!?」


 それまでと変わらずにトロルキングの攻撃を捌き続けていたクリスが、唐突にその体勢を崩したのだ。

 しかしそれは、疲れによるものではない。

 攻撃を捌き、移動しようとした一歩。

 その先にあった地面が、ほんの僅かに窪んでいたのである。

 そこに足を取られたクリスが、ほんの少しだけ動きを鈍らせ――そしてそれは、致命的であった。

 必殺を確信したトロルキングが、今まで以上の力を込め、その棍棒を振り下ろし――


 ――アクティブスキル、アタックスキル:マグナムブレイク。


 コボルトの集団が吹き飛んだのとほぼ同時、それが跡形もなく吹き飛んだ。


 必殺の一撃のはずが、何故か自らの得物を失うという結果に繋がり、トロルキングがたたらを踏む。

 そしてその一瞬、クリスが自身へと視線を向けたことを、悠人は知覚していた。


 だが悠人には、そんなものを向けられる覚えはない。

 トロルキングの得物が消し飛んだのは何故かであり、悠人は先ほどからずっと、変わらずにコボルトを倒し続けているだけなのだから。


 果たしてそんな悠人の無言の訴えが通じたのか、クリスから伝わって来たのは苦笑の気配であり――


「まったく……わたしは色々と、足りないものばかりだな」


 ――アクティブスキル、マジックスキル:エンチャント・フレイム。

 ――アクティブスキル、サポートスキル:炎天火竜。


 ――アクティブスキル、アタックスキル:一刀両断。


 ――パッシブスキル、エクストラスキル:英雄の血族。


 ――コンボ:紫電一閃。


 瞬間煌いたのは、稲妻の如き剣閃。

 一瞬の間を置き、一つの息が吐き出され、ゆっくりと振り抜かれた腕が下ろされていく。

 そしてその動きに合わせるように、剣閃が通った場所から、トロルキングの上半身がずれ落ちていった。

 その顔には驚愕が張り付いたままであり――


『――――――――!!!』


 その声がその場に響いたのは、その直後であった。

 悲鳴とも怒声ともつかないようなそれと共に、一つの影が視界を横切る。

 それはそのままクリスへと飛び掛るような軌跡を描き……それに悠人は、なるほど情報通りだと頷いた。

 その影は、クリスが倒したばかりの魔物、トロルキングであったのだ。

 もっとも情報によれば、今倒した方は雌で、現れた方は雄らしいが。


 何でもトロルキングというのは、雌雄一対で行動する魔物であるらしい。

 雌が獲物を誘き寄せ、痛めつけたところで、雄が止めを刺しに現れる。

 そんな習性を持っているようだ。


 或いは、雌がピンチに陥っても雄が現れることもあるようだが、何にせよ一体倒せばそれで終わりということではない。

 クリスが先ほどのスキルを使用し即効でトロルキングを倒そうとしなかったのも、それが理由のようだ。


 強力なスキルには相応の代償が必要である。

 それが分不相応な代物であれば、尚更だ。

 まあ反動でしばらくまともに動けなくなる、というのは大分マシな代償ではあるだろうが、それで戦闘が終わらないのであればかなり致命的である。


 だが一人ではなく、また予めそれが来る事が分かっているならば、対処するのは難しいことではない。

 怒りに任せてか、クリスに飛び掛ろうとしているトロルキングへと、それより先に悠人は飛び込んだ。

 そして。


 ――アクティブスキル、アタックスキル:グラン・ノヴァ。


 光が弾けた先には、何もなく……その奥に居たクリスは、何処か呆れたような顔をしていた。

 しかし何にせよ、無事に済んだことは確かであり、コボルトの方も既に終わっている。

 で、あるならば。


「まったく、随分と派手な終わり方だが……まあ、助かったよ。色々な意味で、だがな。どうやら君には、借りというには大きすぎるものを貰ってしまったようだ」


 その言葉に悠人は、何のことか分からないとばかりに肩を竦め……ともあれそれが、呆気ない戦闘の幕切れとなるのであった。

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