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第四十章  中央図書館 

 三月二十七日 金曜日


 夢を見た。

 周りは暗くどこかの玄関口の前に俺はいた。

 照明のない玄関口の暗がりに背の低い誰かが立っている。

 リュックサックをしているようだが、暗くてよく見えない。


『家に帰ったら、私とのことは……忘れること』


 幼い女子だが、どこか大人びた口調の話が聞こえた。

 次の瞬間、玄関口は火の海になってその家は燃えていた。

 人々がその周りを忙しく行き来している。


「家に入っていなさい」


うしろから父親の声。

 次に俺は実家の自室に立って、机上に置いてある緑色のファイルを眺めている。

 そのファイルをゆっくり眺めていると意識がはっきりして目が覚めた。

 周りはまだ暗く、柱時計は朝の五時を回ったところだ。

 夢の中のファイルは、昨日要に返した緑のファイルに似ていた。

 一昨日の麻衣の恐怖が結びついたような夢じゃないだろうか? 

 嫌な気分になるが、そんな何度もリンクするようなことはないだろう。

 そう自分に言い聞かせながら寝直した。






 携帯電話の着信音。

 二日連続の目覚ましコールとなって起こされた。

 嫌な気分のまま液晶画面を見ると、相手が麻衣で焦って飛び起きる。


『おっはー』

「おっ、おう麻衣か? どうだった昨夜は?」

『うん。なーんにもなかった。声がねむそーね? 寝てた?』


 くすくすと笑う明るい声が、受話口から響いてきた。


「うるさい。ふん、良かったじゃないか」


 安堵しながら柱時計を見ると八時を回っている。


『やっぱり寝たら何も見なくて、すぐ朝が来たよ。ありがとう忍』

「いやいや、いい傾向だ」

『ねえ。それで今日の夜も来てくれる?』おっ、頼ってくれてる?

「んんっ……状況しだいだな」

『そっ、そうだよね』


 不安そうな声の麻衣。


「今日予定なければ、一緒に市の中央図書館に行かないか?」


 原因は未だ知れず、心配は変わりがないので誘ってみた。


『夕方から買い物だけどそれまでならいいよ。でも図書館って?』

「調べ物。霊に関する事柄とか、何かわからないかなって」

『そっか、私も調べてみたい。行こう行こう』


 待ち合わせ場所と時間を決めて、中央図書館に行くことにして通信を切る。

 洗面所で顔を洗いながら、元気な麻衣に戻っていたことが頭を巡り安心した。

 テレビをつけて朝食の焼いたショッパンをかじっていると、流れてきたニュースに思い当たる節を覚えた。

 万代島メッセの高層ビルが映り大手製薬会社の会長、谷崎隆介氏、七十一歳、が執務中に倒れたと報道。

 二ヶ月前に社長が体調不良で入院して復帰していないことで、相次ぐトップの病欠が株価の変動を伝えていた。

 その報道を聞きながら、緑のファイルを触れて視ていた地震で崩れる高層ビルの記憶がよみがえってきた。

 昨日視た出来事じゃないだろうか? 

 万代島メッセの高層ビルだったのは確かだ。

 中学の時に友達と一緒に屋上の展望台へ遊びに登って、眼下の風景を見ていて覚えていた。

 俺がのぞいていた老人は会長だったのでは? 

 あれは昨日の出来事だったことなのか? 

 そうなると緑のファイルからフラメモでのぞいた残留思念とは違うものになるが、どうしてそんなのを視てしまったのだろう? 

 緑のファイルに触れたことで起きたことだが、他に何かあっただろうか? 

 思い出せない。

 前に会長が緑のファイルに触れていたからか? 

 フラメモと別の能力になるとわからない。


 十時に麻衣と落ち合ってから、バスで中央図書館へ向かった。

 近くの地区図書館は総冊数が少ないので、柳都で一番品ぞろいが多い中央図書館にした。

 彼女を誘ったのは、昨日のドタキャンのやり直しをしたかったのと、なるべく彼女の近くにいたいことだ。

 二人分の場所を確保してから、霊関係の本を探し数冊ずつ持ちより座って一冊ずつ真面目に黙読する。

 しばらく黙っていたあと、麻衣が小声で話しかける。


「昨日はごめんね。あんなことまでしてくれて」


 彼女は落ち着かない感じの視線を、俺に何度か送ってくる。


「近くにいただけだが、少しは役立ったかな?」

「全然」

「まだ何か必要か?」


 俺は肩を落として麻衣を眺めると、おどけてアヒル(ぐち)で答える。


「嘘だよ。へへっ、ジョーダン、ジョーダン」

「おやーっ、もしやと思ったら」


 前から聞きなれた声。

 二人で顔を上げると佐野雅治と椎名瞳が立っていた。


「しかし、なんだ、心配してたのに、この和んだ空気は何だ?」

「そうよ。何しちゃってくれてるの」


 雅治と椎名そろって前の椅子に座り、会話に加わってきた。 


「嘘だ?」

「何でいるの?」


 俺と麻衣が驚きで目をむくと、椎名が答えた。


「考えることは同じなのね」

「そうなのか? 俺はドッキリでもされたかと思ったわ」

「あのーっ、二人とも昨日はごめんね」

「昨日のケータイ発言では浮気されたとか、散々忍君の性格を罵っていたのに。今日はもう一緒だものね」


 顔が見る見るうちに真っ赤になっていく麻衣が反論する。


「そんなに言ってないわよ。逃亡したとか少し言っただけじゃない」


 俺は逃亡者かよ、と心の中で突っ込む。


「それで広瀬は昨日の夜は麻衣の家に行ってたの?」


 麻衣に聞いてたようで椎名が聞いてきた。


「ああっ、もちろん麻衣が寝るまで家の外を見張ってましたよ」

「マジっすか?」

「麻衣の自宅警備員ね。見直したわ」

「ねえ、今夜も来てよ」


 麻衣が俺の袖を引いて上目使いで催促した。


「あっ、ああ、うん。そうだな……行くか」


 朝の電話では行かないことを匂わしていたが、本人を前にしては断れない。


「あれれ。今から夜這いの算段ですか? うらやましい」

「広瀬、いやらしい」


 雅治が余計なことを言うと椎名も毒を吐く。


「おまえら、何を妄想してるか!」

「そっ、そうよ。瞳まで」


 麻衣も慌てて否定するが顔が赤い。


「夜一人で外にいるのは大変なんだぞ」

「いやいや、浅間の家の警備なら楽しいだろ?」

「おい」

「はいはい。その積んである本を見ると、一昨日の調べ物かしら?」


 さすがに椎名が話を戻してくれた。


「お前らも来た目的ってそうなのか?」

「そう、それなりの専門書とかあるだろ。昨夜ネットで検索してたが、それらしい記述はヒットしなかったしな」

「今朝の麻衣のメールで昨夜は出なかったって知らされてたけど、昨日の内に雅治君と話して図書館で調べてみようってなってたの。分野的には心霊や脳科学、心理学よね。ユングとか何か記述ありそうだし」

「みんな、心配かけて本当にごめん」


 小声でしおらしく謝る麻衣。


「調べることは自分のためにもなるからね。麻衣が気にするほどのことじゃないよ」

「俺たちも調べようか、アイリーン」

「だから私はアイリーンじゃないから」


 椎名と雅治が立ち上がって会話しながら、本棚の通路に消えていった。


「いい友人だな」

「うん。大事にしないと」

「ところでアイリーンって誰のこと?」

「知らん。恐らくホームズ好きの妄想だろ」






 四人それぞれがノートや携帯電話のメモ帳などに軽い書き込みをしながら調べ、昼は図書内の軽食喫茶ですませて、そのあとも延長で一時間ほど続けた。

 その結果、麻衣のような幽霊の事例や関係性など重要な記述は発見できず。

 前に俺がフラメモを調べたときと似た結果だった。


「どうだった? 俺たちはいまいちだったけど」


 俺と麻衣が取り出した本を元に戻して、椎名雅治組に聞きにいった。


「こっちも大して収穫はなかったな」

「雅治君は途中から文庫本取り出して読書始めてたわね。なんとかの事件簿とか」

「ホームズのライバルたちとかタイトルが目に入ってしまって、のぞいてただけだ」


 慌てて雅治は抗議するが、椎名はノートの書き込みを読んでいて全然聞いてない。


「ん? 気になる記述でもあったのか」


 俺と麻衣が、椎名のノートに顔を向ける。


「少しね。一つの考え方になると思うんだけど」

「大脳生理学の本で、難しいことは省くけど……モノを視覚的に認識するってことは、目で見た風景が脳の視覚野へ行くまでの情報が全体の3%ほどらしいの。そこから意識があるとされる前頭葉に情報移動して認識するって話」

「見た情報が3%? それじゃ残りは何からの情報なの?」

「それが脳に蓄積された情報によって足りてない97%が再構成され、私って言う意識が認識するってことになるらしいわ」


 初めて聞く話だが、麻衣の幽霊の手がかりになりそうだ。


「仮に何か別の情報が目で見た風景に混ざったら、現実のものと認識するってことになる?」


 俺はまやかし(イミテーション)を思い浮かべながら恐る恐る聞いた。


「ええっ、脳がバクったらありえないモノを見てしまうことになるわ」

「それ、俺と椎名の共通認識」


 雅治が脇から言葉を添える。


「私の脳に異常性があるってこと?」

「脳のバクって言えば、特定の場所に存在する電磁波だな」


 俺はT-トレインのパーティで草上が話していたことを思い出す。


「外部から何らかの波動を受けたのは、原因としては信憑性あるわ。それにこれは仮の話だからね」

「……そうね」

「それと、オリヴァー・サックスって有名な神経学者の書物で、精神に異常がない普通の人でも、環境次第では幻覚を見たり聞いたりしてしまうから、全く不名誉なことじゃないって書いてあったよ」


 椎名の発言で、暗かった麻衣の顔がランプがついたように明るくなった。


「麻衣の見たものが幻覚なら、その見た内容は意味のないものが多いって、その本は言っているよ」

「でも、すごく怖かった」


 一言添える麻衣。






 午後になると麻衣も自宅に戻らないといけないので、椎名と雅治たちと図書館で別れた後、麻衣を自宅に送った。


「ねー。私、忍やみんなに迷惑かけてるよね」


 家の前で考え込んでた麻衣が、すまなそうに話してきた。


「麻衣が大変なんだ、迷惑かけていいぞ。椎名も自分のためになるって言ってたし……気がすまないなら、自分のやれることで行動するのもいいかもな」

「うん。そうだね、私も自分で動いてみる。……ミステリークラブの子たちに連絡とって知ってる事例ないか聞くよ」


 元気になった彼女が、家に入るのをから見送った。



 



 ***



 昨日より早く麻衣の自宅前に着いた。

 時刻は夜の九時五分。電信柱の横に立つとやはりストーカーの立ち位置だなと、周りが気になって見渡してしまう。

 携帯電話で麻衣を呼び出すとワンコールで彼女は出た。


「ゥースっ、今下だけど問題はない?」

『来てるの? ありがとう』


 二階の部屋の窓が開き、麻衣が携帯電話を持ってこちらを見て手を振る。

 釣られて俺も手を上げるが、恥ずかしくなりすぐ下げる。


「変わったことは?」

『なんーもないよ』

「ミステリークラブの収穫はどうだった?」

『それも何にもなかった。ただ今村君に聞いたら、任せてって今度会うことになったわ』


 何!? あの後輩の坊主か。


『経験者でよく幽霊を見てるとかで、相談に乗れるって話。聞いてみようと思っているんだけど』


 窓に頬杖をつき暗がりを見つめる麻衣。

 余計なこと言って、厄介な人物を呼び込んだと少し後悔した。


「やめとけ、あいつは胡散臭い」

『あによーっ。忍は昨日ドタキャンして、女と霊の話で会ってたんでしょ? だいたい彩水って誰よ』


 わっ、名前覚えられてる。


「いや、その、白咲の知り合いで……」

『白咲さんの、希教道の人?』

「あっはは、当り」

『だと思ったわ。で、どうだったの? 何も報告聞いてないんですけど』

「聞きに行っただけで、何もなかったぞ。関係情報もなかったけど」


 避けたい話題を振ってしまった。


「とにかく、公園に移動するから切るぞ」

『まってよ。どこで会ってたの? 鼻の下伸ばしてなかったわよね?』

「なっ、あっ、通行人が来たから切るぞ」

『あによーっ、都合悪くなると切るわけ! って誰も歩いてないじゃん』


 うわっ、上から監視されてた。


「眠くなったら連絡くれ」


 会話を切り上げて麻衣の自宅から離れる。

 変なところで感が鋭いヤツだ。

 そのあと、昨日のパターンを繰り返して公園をぶらつく。






 何もないまま十時に麻衣から携帯電話の連絡を受ける。


「やっと眠くなったか?」

『ならない。忍どうしているかと思ってかけただけ』

「早く寝ないとまた出るぞ」

『やだ。やめてよ』

「じゃあ、眠くなるような何かないのか?」

『あるよ』

「何だ?」

『本読んで』

「はっ?」

『窓からサン=テグジュペリの本を投げるから、こっちに来て受け取って。それを携帯電話で朗読』


 俺は携帯電話を持って固まってしまった。

 誰だ麻衣をこんなわがままな子にしたやつは。


「サン=テグジュペリって裸の王子さまって童話か?」

『違ーう。王子さまよ、“星の王子さま” 大切なものは、目に見えないって言葉で超有名な本だよ。忍君も興味あるでしょ?』

『ベッドに入って枕元に携帯置いて聞いてれば眠くなるわ。ねぇ』

『もしもし、聞いてる?』

「……そのだな、星の王子って宇宙人なんだろ? そんなエイリアンが出てくる本を読んでいると夢に見るぞ。たとえば未確認な生命体に牙を立てられ体中を食べられるような」

『なっ、なっ、なんてこと言うの。思い出しちゃうじゃないの。バカーッ!』


 突然大声になるので、携帯電話を耳から離しながら会話を続ける。


「本読む余裕あるなら、もう大丈夫だな。俺帰るわ」

『やだーっ、まだ早いよ。今の話で怖くなったんだからもう少しいてよ』

「大丈夫だ。寝ろ。すぐ寝ろ。今すぐ寝ろ」

『まだ十時だよ。早いよ。眠れないよ』

「もう十時だ。甘えるな。目を瞑れ。羊を数えろ。それで大丈夫。寝れる。おやすみ」

『薄情物』


 携帯電話を切り今夜の警備を終える。

 何も起こらなくて一仕事終えた気分で、公園を出て自転車を駐輪した場所まで移動する。

 歩いている道路前の暗闇を見たら瞬間寒気が起きた。

 誰かに見られている?

 だが、静まり返っている住宅街の細い暗がりの路地を見ても誰もいない。

 気のせいだ。

 最近こんな気分になるのは、俺もびびってるのかもしれない。






 よく日の早朝また夢を見た。

 目の前に小学生ほどの少女が駐車中の軽自動車に向かって歩いている。

 俺はその彼女のあとを追っていた。

 うしろからエンジン音を上げたSUV(クロカン)が少女が乗り込もうとした軽自動車に追突。

 ビリヤードの玉突きのように車は走り出し、タイヤ止めブロックを軽く乗り越え金網を突き破り、立体駐車場から外へ落ちていった。

 下から金属が変形し飛び散る音、そのあとに破れた金網越しの空に黒い煙が舞い上がる。

 その目撃で意識がはっきりして目が覚めた。

 思い出したくなかった記憶、忘れ去っていた少女……栞ちゃん一家の事故。

 でもこれは夢だ。

 何か少し記憶と相違があると思いながら、寝返りを打つと忘れるように寝てしまった。

 その日も麻衣と一緒に昼の図書館通いをしたが、情報や記述はなく二人とも小説の熟読時間に変貌してしまったので二日目で終了した。






 夜の警備勤務はしばらく続けたが、麻衣の前に不審者または幽霊など現れなかった。

 一週間目の警備は雨の降る寒い一日だったので、冬のジャケットなどの準備をした。

 それで時間を取られ急いで玄関ドアを開ける。


「きゃっ」


 突然、女性の短い驚きの声。

 仰天して廊下に出ると隣人の夢香さんが鍵を持って青くなって立っていた。


「あれ、夢香さんどうしたんですか?」

「はははっ、忍君なのね。勢いよくドアが開いたものだから驚いちゃった」

「ええっ! それは失礼しました、って驚き過ぎです」

「そうね。ははは」


 曖昧な笑い方の夢香さん。


「今帰りですか?」


 親父さんは帰ってないようで、中は暗い。

 ドア越しにそわそわしながらうなずく。


「そう……忍君はどこへ?」

「警備員をやりに」

「バイト始めたの?」


 驚く夢香さん。


「えっと臨時で少しだけ」


 嘘はついてないよな。

 もう止めたいけど。


「暗いのに、これから出て行くなんて大変よ」


 玄関ドアを開けながら誰もいない中の廊下をのぞき見る。

 パーティ後の挙動不審が続いてる?


「夢香さん、何かありました?」

「……んと、ちょっとね。大したことないけど」


 何かに怖がっている。

 まるで麻衣のようだ。


「お化けでも見たんですか?」


 聞くと驚いて、俺の顔を凝視する彼女。


「……おっ、お化けなんかいるわけないじゃない……ありえない」


 身震いして言う。

 何かに怯えているように。


「おかしな物を見たんですね? ありえないような何かを」

「えーっ、へへへっ、何でもないから。バイト気をつけてね」


 彼女は言ってドアを閉じて中に入ってしまった。

 夢香さんにも、麻衣と同じようなことが起きてたんじゃないか? 

 気になるんですけど。

 もしそうなら谷崎さんとの関係は、同学年だから可能性はかなりある。

 まあ、麻衣よりひどくはないようだし、前にゾンビを見たと言ってたからそれを引きずっているとか? 

 様子見かな。

 夢香さんのことなら、谷崎先輩が友達だから聞くのも手だな……思案しながらマンションを下りると歩道につけた黒いSUV(クロカン)が止まっていた。

 傘をさした男が乗り込んでいて、すぐ金田先輩と気づくがSUV(クロカン)を発進させてすぐ出て行った。

 もしかして夢香さんを送ってきたのかな。

 関係はもう切れてたと思ってたけど、そうではなかったのか。

 うまく三角関係乗り切ったのかな? 

 今度聞いてみよう。

 駐輪場に行き降りしきる雨の中を壊れかけの自転車に乗り傘をさして、麻衣の心配より面倒臭ささが頭をもたげはじめた。

 警備中の携帯電話連絡で連呼した。


「雨降りは寒い。雨降りは寒いぞ。雨降りは寒いんだな」


 それで麻衣もしぶしぶながら、その日で警護の終了を許可してくれた。

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