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第8話:俺、大魔帝王様に会います

あらすじ:大魔帝王様に会うようです。

潮の香りが漂ってくる、というか、顔面に当たって来る。

肌が痛むほどの冷風が、容赦なく俺にぶつかって来る。や、やめろ!!らめぇぇぇぇぇぇぇ!!

そんな感じでふざけてはいるが、実際寒い。いやガチで。

流石に、海の真上の真上、空は風が強いッスね。


と、いうわけで、はい!こちらティルフィーネ!上空に居ります!いやぁ風は冷たいし強いし、下を覗くと真っ青な海!落ちたら一溜りもないですね!上を向くと空です、空!もっと高く飛んだら空気が薄そうですね!視界に入っているのは、黒く佇んでいる島国です!恐ろしいですね!


とどのつまり、現在進行形で俺は空を飛んでいる。


勿論杖に乗って。

だが、いつもと姿は違うぞ。ふっふっふ、驚くなかれ!


黒いが高級感と怪しさが漂うローブに、狐の面をモチーフにした仮面、更には赤褐色のマフラーと動き易く尚且つ『付与魔術』が施された服とブーツである。

え?付与魔術は道具にしか使えないんじゃないかって?そう、道具にしか刻めないからな。服はペラッペラで鎧にしか刻めないと思われがちだ。

だがしかぁぁぁぁし!!刻まなくたって良い方法があるんじゃね?と俺は考えたのだ!結果、魔石に刻み、分解することにした(・・・・・・・・)


魔石は鉱石だが、実は分解出来るのだ。


黒雲母って知ってる?あれって指で少し触れると、すぐにボロボロ崩れるだろ?アレと似たような感じ。

魔石を遥かに超える魔力で分解し、それを服に馴染ませる。馴染ませる方法としては、服の上に魔石を置き、そのまま分解すると、勝手に服が吸収する。


まぁこれ、色んな人が出来るわけじゃあないが。大分限られるな。条件としては、「魔力が多い者」。

実は、魔石と言っても『魔力石』という、魔力をストック出来る――魔力を固めて生まれた魔石にしか出来そうにない。

『染色石』は服に色までついちゃったりするので、魔力しか含まれてない『魔力石』でないと、成功出来ないと思う。

その『魔力石』を遥かに超える魔力で分解する為、最低条件「魔力が『魔力石』より多い者」なのだ。

ついでに、『魔力石』の効力も発揮し、付与魔術と同時に『魔力が向上する』という嬉しいオプションが付く。一点でポイント2倍的な?何か違う気がする。一石二鳥でいいわ。


とりあえず、付与魔術としては『自動防御』と『身体強化』である。名前だけで感じ取れるチート臭。

説明は要らないと思う。そのまんまの意味だしな。

『自動防御』はその名の通り、どんな音速・光速な攻撃をされても防壁が生まれ、自動的に防御される。勿論、その分の魔力は使われます。

『身体強化』もその名の通り、身体が強化されます。そんだけ。足が速くなって、体力がついて、身軽になる。そんだけ。


後は、杖である。杖には元々付与魔術が付いてる。

『限定』と『自動防御』と『魔法陣展開』と『気配消去』、それに『偽装』である。一応こちらにも『自動防御』付いてます。怖いから。チキンなの、ごめんね、チキンなの。

『限定』ってのは、持ち主を限定するっていう効力がある。付与魔術を刻み、最初に触れた者にしかこの杖は触れられなくなる。格好良くね?俺限定。かっちょいい。

『魔法陣展開』とは、描かなくとも杖の先を床など、描きたい場所に当てれば自動的に魔法陣が出現し、そのまま展開出来る。チートさ半端ない。ただし、ちゃんと思い出さなきゃ駄目。此処でもイメージ必須。

『気配消去』はそのまんまだな。気配を消す。透明化ではないので、視界には映るよ。ただ気配消してるから気付き難いだけだ。

最後の『偽装』は……刻んだ付与魔術を隠すためのものであり、付与魔術がばれない。一応の保険だな。手の内明かす様な真似はしたくないからね。


あ、この杖は父から貰った、黒っぽい暗い青と魔石、三日月モチーフの杖である。謎っぽさが出るかなって思った。べ、別に使わなきゃ悪いかなって思ったわけじゃないんだからね!

しかし、この三日月モチーフの杖を持つと、月に代わって……みたいなの言いたくなるな。自重しよう。月の光に導かれてはいけない。




さて、何故俺は此処の上空で留まっているのか。簡単である。怖いからだ。



目の前の、視界に入る黒い島国。あっち(アダン)の島国よりも規模は小さいが、禍々しさが半端ない。

俺、今腰がすんごいガクガク震えてる。いや、エロい意味じゃなくて。恐怖な意味で。

それに、さっき調べてみたら結界が張ってあり、常人じゃ入れない様になっていた。聞いてないよ、ヴィスタ姐さん。


結界か……結界って中に転移魔法陣が描かれているか、結界の魔力より高かったら入れるんだよなぁ。入れるかな。


挑戦してみます。皆さん、さらば!!

死んだら、せめて骨だけは拾ってくれ!!





***





入れました。意外とあっさり。


それなら最初っから≪転移≫使っても良かったな……しっぱーい。てへ。

とりあえず、中心部の黒い居城に行くとするか。大魔帝王様がいらっしゃるんでしょう?あ、やべ、手土産買うの忘れた。どうしよう、怒られないかな。



閑話休題



「失礼しまーす……」


うお。おっかない。お城の中おっかない。つか普通に≪転移≫して入っちゃったけど大丈夫かしら。大丈夫だ、問題ないって誰か言って。後生だから。


薄明りのシャンデリアや広々としたホールような空間。黒と紫、そして赤といった禍々しさ満点の色合い。高級感溢れる装飾の数々。だが、城内には所々に傷などがあり、かなりの年代物なのが分かる。目の前には二階に通じる階段が二つに分かれていた。見た目通り、西洋風な城内である。

……う~ん、大魔帝王の城だし、何か特殊な装飾とかあるかなって期待したんだけど、RPGでよく見かける城内って感じだ。ク●パ城よりは立派だけど。

つか、薄暗い。それどころか、城内に一人も居ない。何だ?ボイコットか?春闘か?


「……」


寂しい。静か。

だ、誰か来て!!いや気付いてほしくないけど、せめて!「何者だ貴様!」くらいは言って!!




「何者だ貴様ァ!!」




と思ってたら、言って下さる方が居た。

ああ良かった!とぼとぼと夕暮れに向かって帰る所だった!ありがとう!

だけど、口調と声色からして敵意丸出しだね!!やばいね!!

俺は慌てて声のする方向を見ると、


「死ね!!」

「はっ!?」




―――刹那、目の前には矛先があった。




カンッ


「な……ッ!?」



金属音が静かな城内に響いたと思ったら、声の主である男は驚いた表情を浮かべ、弾かれたのか、体を宙に浮かばせていた。

そしてそのまま、着地するも少しよろけている。


あ、危なかった……


『自動防御』がなかったら死んでたわ……今度からちゃんと≪気配察知≫行います……胆に銘じよう。浮かれすぎては死ぬ。オーケイ、学んだ。俺はまた一歩強くなった。

とか何とか俺が考えていると、男は再度、その槍……いや、矛と呼ぶべき巨大な得物で俺に飛びかかった。


だが、またもや『自動防御』で弾き返される。悔しそうな顔を浮かべている男はイケメンだった。爆ぜろ。

クッソ……はねっ毛のある赤い髪と所々の露出から分かる筋肉。黒い軽装な鎧を着こみ、その眼は鋭く、敵意丸出しだった。何度も言うが、顔立ちが整っており、イケメンだ。人類の敵だ。

イケメンといっても、リーフとかとは違う……活発というか、近づき難いイケメンではなく、親しみ易いイケメンだ。何でイケメンについて語ってんだ、俺。


……ん?この(イケメン)、赤目だ。珍しい。

もしかしてだけど、此奴……魔族か?いや居ても可笑しくはないんだけど、魔帝国だし。

ぶっちゃけ魔族の特徴知らないし。ヴィスタ教えてないし。教えろし。

何て考えていると、男が何度も矛で俺に襲い掛かってくるが、何度も弾き返されている。

息を切らしてない辺り、大分体力があるんだな。羨ましい。


「クッソ……!テメェ何モンだ!!」

「いや、待って。落ち着きましょう。俺――いや、()は大魔帝王様を見に来ただけで……」

「死ねぇ!!」


容赦ねえな此奴!!俺が大事な客人だったらどうすんだよ!!死んでんだろ!!

そして、容赦なく何度も矛で襲い掛かってくる!連続攻撃してくる!!ええい、この脳筋男!!ちったぁ落ち着け!!

でも一発一発に力が入っているのか、風切る音が凄まじく、矛の動きもしなやかで目で追いつくのがやっとだ。


……おや?アンビリーバボー!!?お前が騒いでいるせいで、何だ何だと兵士が出てきた!!

ん?あれってミノタウロスじゃね?頭が牛だし。やっべー!本物初めて見た!!怒りなんて吹っ飛んで来たぜ!!いや、やっぱり吹っ飛ばないわ。

つか、さっきからカンカン金属音がうるせえ!!攻撃しても無意味な事に気づけ!……ずっと攻撃してたら割れちゃったりしないよね?しないよね?


「何やってんだよ、“アディ”!さっさと殺せよ!!」

「わ、分かってらぁ!!さ、さっきから得物が通らねえんだよ!!」


集まって来たミノタウロスの中でも一際デカく、迫力のある面持ちをした兵士が男に怒鳴りつけている。アディ?彼奴の名前か?



「クッソ……正々堂々闘いやがれ!!」

「ですから、私は……――」

「うっせえ、チビ(・・)!!さっさと魔法の一つや二つぶっ放してみやがれってんだ!!」

「……あ?」





チ ビ ?





「おら、どうしたチビ!!」

「……チビ……?」

「攻撃も出来ねえのか!!」


周囲の兵士もざわめきだして、徐々に笑いが零れて来る。

……チビチビと周囲の兵士も言い出して来た。


「ハッハッハ!!面白ぇあだ名だな、アディ!!成る程、チビか!!ハッハッハ!!」

「オラオラ、チビィ?ビビって動けねえか!」

「心のチビってか!!アッハッハ!!」






……




チ ビ っ て 言 っ た ね ! ? ! ? ! ?




お、親父にも言われた事ない――ってこのネタはいいや。



チビ……チビって……言ったよな……?







俺は、震えつつある杖を持った右腕を左手で抑える。


「お?何だ何だ?おい、アディ!チビがビビってんぞ!やるなら今の内じゃねえか!」

「だ、だけど、攻撃が入らない……」

「何気弱な事言ってんだよ!見ろよ!チビが震えてんぞ!!」


……フッフッフ……

安心しろ、これは、武者震い――否、ただの憤りだ。前世から平均まで身長が届かなかった哀れな俺のプライドが見るも無残に砕かれているからな。


俺は、静かに杖を前にかざした。

アディと呼ばれる男は、それに素早く反応し、矛先を俺に向けて構える。


「……いいでしょう、魔法、お見せします」

「ハッ!チビが魔法するらしいぞ!上手く当てろよぉ~!」

「……静かにしてくれ。俺も、集中したい」


アディの鋭い目つきは、俺に向けて更に険しくなった。

安心しろ。死なない程度(・・・・・・)の魔法だ。


ちゃんと、イメージしないとな。うん。イメージは大事だもんな。ゲッヘッヘ。

そして、魔力を集める。いつもより、格段に集中して。人に当てるのは初めてだからな。気を付けねばなるまい。


俺は、息を大きく吸って、呟いた。





「……≪大嵐(テンペスト)≫」





「来るか……―――ああああああ!?!?!?!?」











「「「「「「「「!?!?!?!?!?」」」」」」」」






オォォォォ―――……ン...







獣の雄叫びとも言える、大きな爆発音が響く。城が壊れないか、冷や冷やしたよ。全く。

魔法は、先から大きな竜巻を真っ直ぐ、研ぎ澄まされた槍のようにアディに向かって放たれた。

アディが防げるはずがない。

ドゴッという鈍い音で当たったと思いきや、城の柱にぶつかり、そのまま柱を貫いて壁際にめり込む形で、アディは気を失ったようだ。

矛をカラン、と音立てて手放した。完全に意識がぶっ飛んだようだ。

そして、アディ自身もめり込んだ壁から体が前へと傾き、倒れ込んだ。パラパラと貫いた柱と壁の欠片が周囲に散乱している。やり過ぎたか?

うるさかったギャラリーも、唖然とした状態で口を開けたまま、沈黙が流れる。


え?何故防げないと確信出来るかって?

HAHAHA。そりゃ簡単さ。





威力をイメージするの忘れたんだよ(・・・・・・)ね☆てへぺろぉおおおおおおおおおお





「……ふぅ、スッキリ。さて、大魔帝王様に会わせて頂けないでしょうか?」


俺が清々しい笑顔(仮面で顔は見えないが)でギャラリーに顔を向けるも、皆ほぼ無言で誰も答えてくれない。しょぼん。



俺がそうやって余裕ぶっこいでたら、突如ピリッと肌でも感じられるような威圧感が迫る。




「……ッ!!」



慌てて威圧感が感じ取れる方向に顔を向ける。ミノタウロスのギャラリーも顔をそちらに向けていた。しかも、顔面蒼白だ。


其処に、居たのは、





「何やら、騒がしき客人だな」


「……は……」





黒い光沢のある鎧に身を包み、白く乾いた髪と鮮血とも思えるほどの強烈な赤目。頭からは人ではないと分かる黒く鋭い角が生え、額には同じ赤い目があった。

その渋い重低音の声を発した持ち主は、俺を品定めするかのようにギョロリと目玉を向ける。

此奴が、威圧感を放した正体か。


「……何用だ?」

「大魔帝王様を知りませんか?」


だが、俺は知ったこっちゃない。

何も気にせず、禍々しき男に問うた。

ああん?シリアスが台無しだと?悪いが、俺はシリアスブレイカーなのだ。シリアスは壊す為にある。覚えておけ。


しっかし、この人のオーラ凄いな。人を服従というか、支配するカリスマ性があるのが分かる。

まさか、大魔帝王様だったか?確かに見た目はそれっぽいな。大魔帝王様だわ。



「ほう……儂に何か用か?」





大魔帝王様だった。


フラグ回収乙です。






読んで頂き有難う御座います。


次回『俺、決心します』


バトルが入ってましたね。大分アッサリめの。すみません、未だ文才なくて。

チートはチートでも、この子はアッサリしたチートですね。

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