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第4話:俺、貴重なようです

何だが無理矢理まとめた感じになってしまいました。

細かい描写で、何とか皆様に分かり易く伝えようとしているんですが、

案の定長くなってしまって……

これからもその点を踏まえ、励んで行こうと思います。


あらすじ:拾われました


※誤字訂正 1/27

チュンチュン。



朝。お決まりの鳥の声。正に朝チュン。

この世界に来て、まさかこのような清々しい朝チュンを迎えられるとは。


出窓から入り込む朝日の眩しさに、俺は重い(まぶた)を開いた。

柔らかく、温かい布団。最高に寝心地が良かった。下手なホテルよりも最高だ。星3つ。

ゆっくりと体を起こした。カーテンから差し込む光が暖かい。


隣で、小さい寝息が聞こえる。

ふと目を向けると、綺麗な青緑の髪が視界に入る。

すやすやと深い眠りについている……此奴は俺を拾って……いや助けてくれた恩人だ。



……ヒロインだったら文句なしだが。



いや確かに同じベッドで寝てるが、決してやましい事はない。誓う。心から誓う。

そんないきなりアッー♂な展開を繰り広げるつもりはない。

そして童貞も前世から守り続けてる。安心しろ、皆と同じく魔法使いだ。



こうなったのには、ちゃんと理由がある。




それは、そう、昨夜の事だった……――――











***








「ただいまっ、父さん母さん!」


勢い良く、扉が開く。

元気の良いイケメン君だこと。思わず、悪天候なのに晴々した心になっちゃう。

ただびしょ濡れだし、寒いし、腕掴まれてたせいで痛いし。俺、心しか温まってないよ。


家は明るく暖かい。LED電球よりも、やっぱりロウソクなどの火の方が温かみ増すな。

これから毎日家焼こうぜ。

それにしても、ログハウスのような造りだ。

木材で基本的に設計されているようだが、暖炉の周りとかリビング辺りはちゃんとレンガ造りのようだ。

丈夫で安定していて、尚且つ見目も居心地も良い。

なんということでしょう。匠の素晴らしき技術力。



……あれ?


ふと、髪を見ると先程の輝きが消えていた。

一体何だったのか。



びしょ濡れになった俺のローブを、イケメン君は絞ってくれたりと何かと世話してくれる。

此奴イケメン過ぎるだろ。くそ……何故俺はヒロインではないんだ……


玄関先でそんな事を繰り広げていると、パタパタと奥の部屋から足音が聞こえて来る。


「あらあら、リーフ。やっと帰って来たの。遅いから、心配した……わ……」


優しげな雰囲気を持つ女性が現れた。穏やかで母性溢れる口調。何というプロポーション。

恐らくイケメン君の母親だろう。その割には若々しい。年齢不詳過ぎる。

ふむ。着やせするタイプのようだな……形の良い胸。Dはあるな。

そんな長い髪を束ねたイケメン君の母親らしき人物は、息子と同じく呆気に取られた顔をしていた。


「……」

「……か、母さん?」

「……あぁ!!ご、ごめんなさい!ええと、あの、貴方は……」

「ど、どうも……」


息子と同じテンパり方。やはり親子か。

童顔なんだな、きっと。顔立ちそっくりなだけでなく、姉弟に見える。


「あ、あの……失礼だったら、謝るわ。もしかして……ミルディン人?」

「え?あ、はい」

「……!!ほ、本物……!?」

「はい」


血統書付きよ、奥様。


「キャ――――――――!!ほほほほ本物なんて!!初めて見たわ!!キャ―――!!」

「か、母さん落ち着い……」

「はははは早く、あの人に知らせなきゃ……!」


誰に何を伝えるのかは知らんが、元気だね。良い事だと思うよ。

叫ぶ人妻、宥める息子、置いてけぼりの俺。


「と、父さんは?」

「ミルディン、ミルディン……」


呪文みたいに唱えてる。奥さん怖いよ。


「と・う・さ・ん・は!?」

「ハッ!!え、あ、そうそう!この豪雨だからね、水生の魔獣が暴れてないか見回りに行ったのよ」

「ああ、そう……」


ふぅと一息吐いて、げんなりと疲れた様子でイケメン君はホッと安堵の溜息をつく。

可愛い奥さんだね。

どうだい、イケメン君。ミルディン人の新しい父親は欲しくないかい。


「と、とりあえず、お風呂にでもお入りなさい。寒かったでしょう」

「えっと」

「いいのよ。よく旅人とかが迷い込んで来るから、こうやって出迎えているの」

「へぇ……そうなんですか」

「森の奥だからね。そうそう、ようこそ『エゼル村』へ」


にっこりと、可愛らしい奥さんは俺を出迎えた。

イケメン君が風呂場まで案内してくれたり、代わりの服を用意してくれたりと、尽くされまくりだ。

思ったが、イケメン君の方が女子力が高い気がする。


奥さん、負けてるぞ。実の息子に。


「それで?お母さんやお父さんは?迷子かしら?」

「え?」

「此処の村、森の奥だし道が複雑だから、たまに迷子になったりする子が居るの。大抵町へ行って保護したり、親捜したりするんだけど」

「……あ、その……父さんは昔から居なくて……母さんも……その、さっき……」

「……!」


あ、何か凄い衝撃的な顔してる。

イケメン君は目を見開いて呆然と硬直し、お母さんの方は悲観そうな表情をしている。

……うん、明らかに勘違いしてるね。

でも俺、嘘は吐いてないよ!


「……ごめんね」

「え?うっぷ!」

「辛かったでしょう……」


お、奥さん、そんな、いけません……!

くっ……この豊満なる胸に顔埋められて息が出来ない……!幸せな呼吸困難だ……!

俺の息子がビックバン。


「……平気、ですから」

「そう……」


イケメン君も相変わらず悲しそうな笑みを浮かべている。

柔らかい感触が顔に……これ以上はアカンて。


もう、風呂、入っていいですか。








「あったけぇ~……」



木製で、大きな桶のような形をしたお風呂にゆったりのんびりと入る。

少しばかり熱いが、雨と気温で冷え切った体を温めるのには最適な温度だった。

日本では考えられない程の、自然を感じさせる風呂場だな。ほとんど木製みたいだし。

HAHAHA☆木製だから柔らかさもあるし、やばいねこれは。クセになる。

ナウでヤングな俺でも分かる風情がある。


「……にしても、あのキンキラキンは何だったんだ?」


満月の光に当たった後、水を被ると輝く。

謎の現象。何だったんだろう。

髪を触ってみるが、さっきのキラキラはなかった。いや、家に入った時には消えていた。

外に居た時には確かに輝いていたが……


「まぁいいや」


面倒な事は考えない。現代っ子の宿命。











風呂に出ると、脱衣所には丁寧に服が置いてあった。

恐らく、あのイケメン君のだろうな。これで足の丈が足りなかったら泣く。

俺の服は何処だろ。乾かしてくれてんのかな。


「よっと……」


……


……





……案の定、俺の足の丈は、足りないようだ。


俺は静かに流しそうになった涙を堪えた。










「あ、あの……」

「あ!出たのね。洋服暖炉の側で乾かしてるから」

「これはどうも。ご親切に」

「どういたしまして!えーと……お名前は?」


この村では、未だ名乗らぬ人を態々お風呂に入れてくれる風習でもあんのか。優し過ぎる。


「あ、俺は……えと、ティルフィーネ……エンドレス。ティルフィーネ・エンドレスです」

「ティルフィーネ君ね。私は、この子の母のカメリア・グリフォン」

「僕は、リーフィ。リーフィ・グリフォン!」


すんごい名前だな。特に姓。


「リーフって呼んで!」

「リーフ、か。俺は、ティナって呼んで下さい。長いだろうし」

「敬語無しでいいよ。同い年くらいでしょ?何歳?」

「9歳だけど」

「あ、同じじゃん。僕も9歳……と言っても、そろそろ10歳になるんだけどね」


少しはみかみながらリーフは告げる。

さっきから此奴あざといな。全国の女子諸君。負けるぞ、此奴に。

あ、ついでに『エンドレス』という姓は、父方の姓だ。


「……ティナ君って、男の子?」

「……女に見えます?」

「あ、いいえ。ごめんなさいね。髪が長かったから、最初女の子かと思っちゃった」


そういえば、俺全く髪切ってないしな。

軽く胸まで伸びてきてる。よくもまぁ此処まで放っておいたもんだ。

正直言うと、切る暇ない程に出歩いてたからな!!あのオカンのおかげで!!

ゲームとかで出て来る長髪イケメンはどうしてあんなに似合ってるんだろうな!!

顔か!!顔なのか!!


「そろそろ切ろうかな……」

「あらあら……綺麗なのに……」


しょんぼりと口を尖らせるカメリア。くそ、この人もあざと可愛いな。


「じゃあ、売れば?」

「んん?」

「髪、売れるんじゃない?売る人居るよ?女性ばかりだけど」


リーフは頭を指差しながら告げる。

なるほど。髪を売るのか。

確かに僅かな収入源にはなるな。俺、母さんから貰ったお金しか持ってないし。

俺が悩むように、口元に手を当てて考えていると、カメリアが口を開いた。


「それなら、オークションがいいかもね」

「オークション?」

「貴族の間で居るのよ。綺麗な髪とか欲しがる人。そういう人の為のオークション」


何か怪しいな。嫌だな。つか、髪欲しがるって何すんのよ。


「ティナ君の髪は結構長いし、女性の髪って騙れるんじゃないかしら」

「……母さん……」

「あらやだ。悪知恵与えちゃったかしら」


ナイスですよ、奥様。

ぐっふっふ。そうやって、変態貴族を騙して金を貰うと……結構良い金になりそうだ。


「それに、ほら、ミルディンでしょ?かなり高値かも~」

「母さんったら……」

「あらら、ごめんなさいね」


にっこりと微笑むカメリア。魅力的。

それに呆れるリーフ。何となく和む親子だなあ。いいなあ。


だがしかし、良い事を聞いた。

髪を売る、か。全く思いついていなかった。

それなりに長いし、絶滅危惧種(ミルディン)だし、高価そうだ。10万いくかな?


そろそろ髪も乾き始めた頃、バンッと勢い良く扉が開き、冷風と雨が若干家に入って来る。



「ただいまぁ……ヘックシュッ」

「あら、貴方。おかえりなさい~」

「さっみぃ……おい、リーフ……風呂。風呂沸かせ」

「もう沸いてるよ」

「おっ!気が利いて……誰だそいつ。旅人か?」


ぶっきら棒な口調で、ガタイの良い緑髪の男性が俺をじと目で見る。水も滴る良い男。

今更過ぎるし、第一声が「旅人か?」って尋ねる辺り、この家色んな人入れてんのか。

つか、中々の男前。だが、イケメン分類(カテゴリー)がリーフと違う。リーフは母親似か。


「そうなのよ、貴方!!こ、この、この子!ミルディン人なのよ!!」

「みるでぃん?……ミルディン!?はぁ!?あんなおとぎ話信じてんのか!?」


男は目を見開き、大きな声を荒げる。うるせえ。

タオルで頭ガシガシと拭いながら、再度俺を品定めのように見る。あまり見ちゃいやん。


「……アッハッハ!!」

「と、父さん?」

「ったく……お前らは……」


いきなり大笑いしたかと思ったら、呆れ顔でリーフとカメリアに顔を向ける。

何だ?ミルディン人見て可笑しくなったか?頭がパッパラパー?くるくるぱー?



「此奴、ミルディンじゃねえよ」

「「……え?」」



リーフとカメリアの声が重なった。勿論、俺は声には出していないが驚いている。

すると、理屈っぽい雰囲気で説明し始めた。

どうでもいいが、誰だ。「父さん」って言ってたし、父親なんだろうが、風邪引くぞ。風呂入れよ。


「まず第一に……ミルディン滅んだだろうが」

「だから、生き残り……って言い方も変ね。滅んでなかったのよ!」

「200年以上は発見されてなかったのに、今更純血のミルディンが生まれるか!」


純潔?(難聴)

ああ、純血ね……200年ね……オカンとオトン何歳よ!?そっちに驚きよ!?


「それに、このグラデーション」

「……?銀髪と金髪で綺麗じゃない」

「あのなぁ、ミルディン人は銀髪なんだよ。確かに綺麗な白銀と黄金(こがね)色だが、そんな話聞いた事ねえぞ」


え?マジで?

グラデーションミルディン居ないの?マジで?俺、よその子なの?

それかアレか?着色料でも含まれたか?


「じゃあ、この目は?」


リーフが髪を弄ってる俺を男の目の前に連れて行く。

ちょ、ちょっとリーフさん。この男、雨どころか泥水臭くて何か嫌です。


「……何じゃこりゃ。呪いか?」

「生まれつきです」

「失明とかは?」

「ないです」

「健康か?」

「健康体です」


健康体の健全少年です。ちょっと大人の官能世界に興味ある普通の9歳児です。


「……何じゃこりゃ」


本日二回目。男の頭上には「?」マークが盛大に踊り狂っているように見える。

そういえば、この世界でのオッドアイってどういう認識なんだろう。病気とかって思われんのかな。

折角格好良いのに。勿体無い。もったいない精神。


「んーまぁ、ミルディンな可能性は低いだろうなァ。昔、ミルディンのフリした奴は沢山居たしな」

「え?何で沢山?『奴隷種族』って呼ばれてんのに」

「自嘲か、お前……ま、説明してやるよ。まず、ミルディン人は『魔女の一族』でもあるが、『聖女の一族』とも一部で呼ばれてるんだ」


あー聖女(オトン)ね。


「それで、ミルディンを神様っつって崇めるような所もあんのさ。そういう供物や境遇を求めてミルディンのフリになるってわけだ」

「ほぉ」

「まぁ国にばれたら終わりだが」

「何でですか?」

「そりゃ……貴族が狙って、ミルディンを奪いに行くのさ。崇める奴らを蹴散らして」

「……偽物ってばれたら?」

「……懲罰房行きだな」


恐ろしや。逆に本物だったら、優遇されるのだろうか。ちょっと惹かれる。


「だから、ミルディンって簡単に人に言わん方がいいぞ」

「え、じゃあ俺種族何なんだ?」

「うーん……何だろうねぇ」


本気を出すと金髪になる戦闘種族だったりするのかな。

リーフと頭抱えるように悩んでいたら、カメリアに「早く寝なさい」と促された。

いや、そいつ誰よ。お父さんなのはわかるけど、誰よ。


「……おい、少年」

「……はい」


え?ちょ、心読まれた?

凄いドスの効いた低音ボイスで呼ばれると怖いんですけど。

スミマセン。おたくの奥さん狙いつけちゃってすんません。まだ手出してませんから。手は。


「名前何だ?」


それ、俺があんたに聞きたかったことです。


「……ティルフィーネ。ティルフィーネ・エンドレス。ティナと呼んで下さい」

「ティナだな。俺はローレル。ローレル・グリフォンだ。明日、雨上がったらもう外出るのか?」

「え?はい。ミルディンじゃないなら、狙われる心配なさそうだし……」

「そうかい。途中まで送って行くぜ。隣町まででいいか?」


え。何この人優しい。この村の人優しい。

ごめんなさい。最初ぶっちゃけ「ガラ悪そう」って思いました。すみません。


「ぜ、是非!道分からないんです!!」

「正直なのはいいことだ。じゃ、明日に備えて早く寝な」


くっ……この人優しい……!涙腺が緩むぜ!!

ローレル。俺、アンタの事「兄貴」って呼んで慕うわ。


「んで?迷子か?」

「あー……えーっと」

「貴方!」

「へ?あ、悪い……」


ち、違うんだ!信じてくれ!騙すつもりはなかったんだ!

ただ本当の事なんだ!本当に消えたんだ!(俺置いて)


「とりあえず、一緒に寝よっか。客室ないんだ。僕の家」

「……えっ?」

「普段はお客様用の布団を用意するんだけど……生憎、汚くなっちゃって捨てちゃったのよ」

「ま、ガキ二人が寝るくらい余裕だろ。リーフのベッドなら」

「……」



ベッドイン。

どうせなら、奥様と共に一夜を過ごしたいのですがね。

















***








「おはようございます」

「あら、おはよう。ティナ君」

「よう、坊主」


朝っぱらから、パンをかじる芸術的な寝癖を持った男前・ローレルを見た。

ローレル……凄まじく眠そうだな。


リビングに向かうと、トントンとリズミカルな包丁の音と共に、優しい笑みを浮かべるカメリアが居た。

正にお母さんの鑑といえる姿だ。朝から和んだ。

眠そうなローレルはそのまま、洗面所らしき場所へと向かった。

俺も顔を洗いたいが、ローレル優先だろう。しょんぼり。

仕方がないので、そのまま朝食を摂る。美味しそうなパンだ。


「美味しそうですね」

「あら嬉しい。うちで作ってる麦を使ってるの」

「凄いですね!いただきます!」


とても嬉しそうにカメリアは「沢山食べて」と言いつつ、包丁で何かを切っている。


……

マジで美味い。何だか、店の味というより家庭の味がする。

朝からこんな美味いもん食えるとは、リーフやローレルが羨ましい限りである。

どうでもいいが、飯食う時、髪めっちゃ邪魔や。でろーんって来る。でろーんって。


「髪切ろうかな……」

「いいと思うぞ。少しでも切っとけば、ミルディンだと勘違いされんしな」

「なるほどー。ハサミと袋あります?」

「今切るのかよ」


顔を洗い終わったらしく、ローレルがリビングへと来た。

呆れ顔されたが、俺は思い立ったら即行動(ただし状況に応じて)である。

すると、起きたばかりのリーフが「麻袋ならあるよぉ」と暢気な声を出して、袋をくれた。

ローレルと同じく、芸術的で生け花のような寝癖をしている。

ハサミはカメリアがくれた。大きいハサミだ。怖い。

麻袋を後ろにセット。ローレルに口を開いてもらっている。


「お、おい……危なっかしい手つきだな……」

「くっ……後ろだけでもおおおおおお!」

「キャ――――!危ない危ない!!」


ザックリ


パラパラと麻袋にナイスシュートした俺の髪は、綺麗に束になっていた。

……後ろに集中し過ぎて、サイドが残ってしまった。

あえて言うなら、ボ●ロのG●MIみたいな感じだ。サイドだけ長い。

後ろは綺麗にショートになったんだがなぁ……洗面所に向かい、鏡を見る。後ろ髪は銀色一色となっていた。

金髪部分が切れたんだな。逆にミルディンと思われそうだが。

ついでに、洗面所で寝癖と格闘していたリーフが「あれぇ!?」って吃驚してた。目が覚めたようで何より。


「この髪どうすんだ?」

「売ります」

「売るのか。ミルディンだと思われそうだが……グラデーション入ってるし平気か」


すると、いつの間にパンを平らげたのか、ローレルの皿は空っぽだった。

そして、麻袋を抱えたと思ったら、急に立ち上がる。


「じゃ、行って来るわ」

「もう行くんですか」

「仕事にゃーまだ早いしな。とっとと行って帰って来らぁ」


曰く、早朝に行くと深夜まで競りやってた客がまだ残っているらしい。

ローレルは眠そうに麻袋を抱え、そのまま外へと出かけて行った。カメリアが「行ってらっしゃい」と見送りつつ。


「……行動早いね」

「父さんはいつもだよ」


リーフと暢気にそんな光景を見ていた。















***






午前中。

ローレルが帰って来るまで、俺は荷物をまとめていた。


「もう行っちゃうんだ……折角友達になったのに」


しょぼくれたようすでリーフは口を尖らせながら呟く。

友達だと認めてくれるのか。リーフ、お前の名は忘れる時まで忘れない。

すると、カメリアがリーフの頭をコツンと優しく叩いた。


「わがまま言わないの。でも、お母さん達は……その、居ないんでしょう?平気?」

「何とかします。今日売った髪のお金で、一時的にはしのげると思います」

「そう……無理しないでね?たださえ、ミルディンと間違えられ易いでしょうに」


いや、俺は人種だけでもチートじゃないだけ良いと思う。

俺は裏ボスになるからな。これからが重要なのだ。

すると、俺の杖が気になるのか、さっきからリーフは杖をじっと見ていた。


「杖持ちなんて珍しいねー」

「珍しいのか?」

「そりゃそうだよ。杖、高いもん」


マジか。初耳だ。

庶民の皆さんには手が出せない代物なんだな。おk把握。


「母さんがくれたんだよ」

「あら、良いお母さんなのね」


いえいえ、奥さん。俺の母は大草原で愛しい愛しい息子を放置する様な鬼母です。鬼嫁です。

最後の言葉は「バイバーイ」だぞ。有り得ないだろ。


呆れつつも、荷物をまとめていたら、バンッという勢いの良い扉が開く音が響く。

三人で玄関へ向かうと、汗水垂らしたローレルが、青白い顔で膝をついていた。心なしか、息も切らしている。



「あ、貴方!?どうしたの!?まさか、魔獣が……!」

「ち、ちが……おい、ティナアアアア!!!!」

「は、っはい!?」

「お前……父親と母親の人種は!?」

「……は?」


いきなり叫ばれたと思ったら、何故父母の人種なのだ。

母の言う事が本当ならば、ミルディン人だが、俺は違うし……実際何だろうな?


すると、リーフが外で「何じゃこりゃあ」という声を発している。

俺が外に出る前に、リーフが態々重そうに麻袋を抱えていた。大体ゴミ袋くらいの大きさだ。

相当重かったらしく、リーフは一息吐くようにして、麻袋を下ろすと、ジャラッという金属音が聞こえる。


「……何だそれ?」

「えーと……!?」


麻袋の中身を見たリーフが硬直した。

恐る恐る俺も中を見ると、中には……



「はっ……白金貨!?」



白金貨(日本円で一万円)が沢山詰まっていた。ど、どういう事だってばよ……



「……ミルディンの研究してる専門家が、オークション会場に居て……」

「はぁ……?」

「……“プラチナム・ミルディン”の髪、だと……」


何じゃそりゃ(本日二回目)

リーフも分からないようで首を傾げていたが、カメリアは唖然としていた。


ローレル曰く、



『“ゴールド・ミルディン”と“シルバー・ミルディン”の間に生まれる、極めて稀な人種』だそうだ。







……



拝啓 父様母様



あんたら、何て事してくれたんだ。




読んで頂き有難う御座いました。


次回『俺、生活する事に決めました』



※この世界の通貨

白金貨…万単位

金貨…千単位

銀貨…百単位

銅貨…十単位

鉄貨…一単位

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