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俺、裏ボスになろうと思います  作者: 現実逃亡者
第二章:10歳in学校 withサラ救出作戦
36/40

第32話:俺達、戻ります

あらすじ:サラとミラを救い、一件落着?


※訂正 16/6/5

―――あれから一週間経った。



サラはすぐに学校に戻っては来たが、急激に魔力が増量した為か、体調を崩して熱を出し、結局学校に教室に顔を見せられたのは、その三日後だった。

少しまだ気怠そうだったが、以前よりも何処かすっきりして晴れやかな顔をしていた。

不器用に微笑みながら、俺に一直線に向かって来て、「ありがとう」と囁いた時は、もう生きてて良かったとしか思えない。俺はこの日の為に生きて来たと言っても過言ではない癒しであった。

そんな舞い降りし天使に、「家はどうなったのか」なんて聞けやしない。



と、いうわけで、俺自ら赴いたのだ。王城に。



≪転移≫した瞬間、お出迎えしてくれたのは、団長さんだった。相変わらず、殺意籠った熱烈な視線を向けて来るので、思わずドキドキしてしまった。恐怖的な意味で。

剣を抜かれ、音速とも言える速さで斬らず、突いて来たが、俺の回避力を侮る事なかれ。既にアディで鍛え抜かれているのだ。まさか油断したまま来るわけがない。二度も同じ失敗はしないのだ。

王城のホールともいえる場所に≪転移≫したのは失敗だった。人が集まるのが早い。


しかし、其処で助け船を出してくれたのはエクスである。冷静沈着な彼女ならば、俺に敵意が無い事くらい見抜けたのだろう。すぐに、声をかけた。


「何しに、来た?」

「え?陛下に会いに」


素直に答えたら、まさかエクスまで剣を向けて来るとは思わなかった。オルフェストだったら、俺の気配察知してすぐに来るのに。


「良い。剣をしまえ」

「……!?陛下!?」


団長の驚きに震えた声と共に現れたのは、まさかの国王陛下だった。長く赤いカーペットの敷いた階段からゆっくりと下りてくる国王陛下。そして、何故かあっさり招き入れられる俺。大丈夫か、この国。知らない人を招き入れちゃいけないってお母さんに教わらなかった?


「ゼロ、お主は何者じゃ?答えよ。返答次第では、この場で消し去る必要がある」


しかし、その国王陛下の重く冷たい声によって、状況は一変。またも、警戒態勢に入り、今度は騎士が増えて行く。あらやだ。

……だけど、国王陛下。立派な御髭と、鋭い眼光、そして相変らず震える足元。以前見た時より、震えは小さいけど、それでも騎士団がさっと目を逸らすくらいの光景だからね、陛下。

そんな国王陛下を立てるべく、俺は深々と一礼し、静かに告げる。


「御安心下さい。敵では御座いませんと断言致しましょう」

「ほう。敵では、という事は……味方でもないと申すか。面白い。一国の主の前に、よくそう言えるものよ」

「そう。だからこそ、裏切る事もないと申せます。この国を乗っ取るつもりも、滅ぼすつもりも御座いませぬ。私は、あの“魔帝国”とも繋がりがあります」


俺の最後の一言で、円形に囲んだ騎士団達は顔を顰めて、「は!?」などといった素直に驚いた声を上げてくれるが、国王陛下は眉一つ動かさず、代わりに足をガックンガックン震わせた。以前会った時と同様の震えになってきてしまった。情けないという呆れよりも、むしろ哀れに感じた。

俺は頭を上げて、微笑みながら―――まぁ仮面被ってるんだけど―――話を続ける。


「いえいえ、魔帝国の味方というわけでも御座いません。ただ単純に関心があっただけ。人国にも魔帝国にも。そちらも欲しいでしょう?魔帝国の情報。攻めて来た時、何か起こりそうな時、必ずやお教えしましょう。私の事は、ただの情報屋、或いは暇人。そう思って下さると幸いです」


一応メリットはある。魔帝国の情報。両国の関係を引っ掻き回すような事はしないが、人国にとって欲しいのは、後にも先にも魔帝国の状況や動きの情報は欲しいはず。戦力すら不明なのだから。

無論断って貰っても構わない。その場合、オルフェストの時と同様勝手に来てウロチョロと動き回って、いつの間にか溶け込んでるといった状況を作り出すだけだ。面倒臭いし、長い期間が必要だが。

俺の言葉に、ふむ……と顎鬚を触りながら国王陛下は考え込む。多少足の震えは治まったようだ。


「聞こう。そなたは、魔帝国とはどれほどの繋がりがあるのか」

「答えましょう。私は大魔帝王様とも交流が御座います。何かあった場合の使者や雑用にも使って下さっても結構。その程度の繋がりと認識して頂きたい。先に申し上げますが、私は貴方方の味方でなければ、魔帝国の味方でもない―――お互いどちらかが優勢となるような情報は提示しませぬ。何度も申し上げておきましょう」


そろそろ敬語が疲れて来たが、あくまで大事な過程だ。流石に魔帝国ばっかり行ってたら、大魔帝王を操る裏ボスならぬ、ラスボスのラスボスである。それは御免被りたい。

俺の言葉に、国王陛下は考え込み、沈黙を続かせるが、俺の顔を一瞥し大きく頷く。


「許す。そちの滞在を認める」

「御寛大な御心に感謝致します」

「陛下!!なりません!!」

「ならば、問う。お主は、ゼロとやらに勝てるか」


団長は声を荒げるが、国王陛下の底まで冷えた声に、うっと言葉を詰まらせる。恐らく、感じ取ったのだろう。以前の登場や≪威圧≫、更には俺の魔力を完璧には感知出来ない(・・・・・・・・・・)ことから、少なからず馬鹿でもなければ俺の実力が完全に隠れてることで、逆に底知れぬ実力を感じる事が出来るのだ。

言葉にすると何となく格好良い。要は、魔力をほぼ隠蔽しており、また実力を≪偽造≫している為、≪解析≫は不可能。つまり、本来の実力は全く分からないという事だ。フハハハハと笑いたいが、これじゃあただの悪役なので我慢する。

国王陛下は、少なくとも賢い選択をしたということだけは確かである。


「我が名は、パーヴェン・エルロンダ・シュヴェルツァ。この国の王である」

「では改めまして、私の名は、ゼロ。どうぞお好きにお呼び下さいませ」




―――こうして、何とか国王陛下と顔見知り程度の関係にこぎつけたのである。








さて、そんな事がありつつ、俺は結構多忙であった。


何せ、あの時サボった体力測定の補習があるのだ。バッキャロウと叫びたくなったが耐える。サラも同じく補習を受けるのだ。俺一人じゃないだけマシである。

しかし、何故かジェイドも居た。何故だ。「何かつまんねーじゃん」とか理由になるか。俺とサラの二人っきりの補習を邪魔するでない。

更には、何故かヴィエラも居た。「ミルディンの身体能力を知る良い機会だ!」じゃねえよ。マリー先生も止めてくれよ。


こうして、前世も大嫌いだった走り込みという名の地獄の行為を、基礎体力を調べるべく、行ったわけだが……。


「素晴らしい!素晴らしいぞ、エンドレス君!!その身軽さ!軽快さ!速さ!人族の平均以上だ!!ふーむ、もしかするとミルディンというのは、体力面も優れてるのやもしれぬ……!あぁ!もっと調べたい!体力の根底も知りたいから、もっと走ってくれたまえ!!」


―――とまぁ、ふざけた事を抜かしよるヴィエラに切れつつも、何とか補習は行った。走ってる途中、何故かジェイドも混じって走ってたわけだが、其処は割愛させて頂こう。


「ティルフィーネ君……ううん、ティナ君って呼んでもいい?」

「ぅ、えっ!?」

「……駄目、かな」

「いや!むしろ!喜んで!!」

「うん、これからも宜しくね、ティナ君、ジェイド君」


俺が大喜びで返事したというのに、いつの間にかジェイドが入ってる。これじゃあフラグが立ったのか全く分からない。ジェイド、去れ。


でも、サラがとても嬉しそうに、自然体に微笑んでいる。それで十分である。


「何か良い事あったのかー?ボルボレッタ……いんや、サラ!」


爽やかな笑顔を浮かべながら、ジェイドはサラを呼ぶ。女子の名前をナチュラルに呼び捨て出来るなんて、侮れん男だジェイド。

そんなジェイドは、幸せそうに微笑むサラを不思議に思ったのだろう。堂々と尋ねて来た。珍しく吃驚したようで、目を丸くさせていたが、サラは何処か照れたように口を紡ぐ。


「えっとね……憧れの人が、出来たの」

「へー!魔女じゃねーの?」

「うん。魔女信仰はやめようと思うの。元々何処か心でフォルティア様を疑ってたのかもしれない。だから、私は信仰をやめて、自分の力を信じていこうと思って。今回の事で学んだの」


お、おおう……すげえ頭の回転が早いというか、吸収力が恐ろしいというか、賢いな、サラは。

はにかみながら、顔を赤らめつつ、サラは話す。


「んで?誰々!?」

「コラ、ジェイド。あまりがっつくなっつーに……」

「いいの。私もね、自慢したかったの。私の憧れの人……英雄(ヒーロー)を」


そして告げた。



「その人、ゼロっていうのよ。私、いつかあの人みたいな、誰かのヒーローになる」



その言葉を聞いた瞬間、俺はものの見事に噴き出した。


走り切って疲れており、ヴィエラ丁度持っていた水を貰い、それを含んでいた為、その噴き出し方は豪快で―――



まるで、かつて珈琲をぶちまけられた時の復讐だと言わんばかりに、その水はジェイドに向かって噴射されたのだった―――。







ミラも魔力が急激に減った為、若干体調を崩したようだが、サラのように熱を出したりはしなかったようだ。体調が優れないだけで、特に問題はないとにこやかに話していた。

皆に心配されたりもしたようだが、相変わらず飄々とした態度で、どんな質問も全て受け流し、いつの間にか日常に溶け込んでいた。流石、コミュニケーション能力の塊である。


そういえば、結局ボルボレッタ家は無事なのかを尋ねたかったのだが、ミラにも上手く尋ねられなかった。

だが、ミラ本人が俺……いや、俺とジェイドに態々教えてくれたのだ。


曰く、「サラとこれからも仲良くして頂きたい」と。


無論、子供達である俺らにとっては理解し難い話も入って来るので、一応ヴィエラとベテルギウスを交えて、だが。



要約すると、

母―――リラと父は離縁したと。酷くヒステリックに発狂していたが、ベネディクトの説得や全て洗いざらいぶちまけたお蔭で、落ち着きを取り戻し、今はとても大人しいそうだ。それこそ、先程の暴走は何だったのかと尋ねたいくらい、奇妙な程大人しいと。そして、罪を償うとベネディクトと二人で国王陛下に告げた。

これから、法的機関の下、罰を受けるようだが、とても晴れやかな表情だったと。恐らく、後継ぎ問題などから解放された為だろうと思われる。


「精神的にも追い詰められていた為、案外重い罪にもならないかもしれません」


それもこれも、ゼロという方のお蔭です―――と、ミラは穏やかな顔で話した。


そして、ミラ自身、卒業したら家から離れると告げた。それはもう、俺とジェイドは普通にお茶を貪っていたけど、ヴィエラとベテルギウスはお茶を噴き出した。綺麗な螺旋状を描き、虹が浮かび上がりそうな噴出だった。

話によると、権力を一部国に返還する事になっただけで、爵位はまだあるらしい。しかし、ミラ自身はもう家を継ぐ意思はないそうだ。


「ずっと後継者としての重荷を背負って来ました。自由もなく、ずっと息苦しく過ごしてました。今回の事で、何か吹っ切れた気持ちもあり、後を継がないと公言して来たんです」


例え、勘当になっても構わないと、力強く言い放った。

だが、ミラの成績なら、恐らく、冒険者や国家に所属する研究者や魔術師団に入れるだろうとベテルギウスは言った。

しかも、国王陛下の前で言っちゃったもんだから、これはもう貴族の問題云々で片付けられない。前言撤回なんて、出来るはずもない。いや出来るかもしれないが、そんな勇気と度胸がボルボレッタ家当主あったら、今回の悲劇は起こらないと思う。


無論、こんなことは前代未聞かどうかは知らないが、滅多にないだろうという事は分かる。事実、ベテルギウスは頭抱えてるし、ヴィエラに関してはもう唖然としてる。


だが、ニコニコと満面の笑みを浮かべてるミラを見てたら、俺はどうでも良くなった。幸せそうで何より。例え、勘当されても、それが彼にとって最善の選択だったのだろう。


ま、養子を貰うとか色々方法あるだろうし、此処から先の問題は俺の出る幕ではないだろう。







そして、俺は今一体何をしているのか。ローブを目深に被って、かなり怪しいだろう。小さい不審者。要注意人物だと思われたら心外である。


今、俺は外出している。何?The☆ヒッキーの俺が何故外に出てるのかって?


「ティナ!何してるのよ、早くなさい!」

「置いてくぞー!」

「ジェイド君もリリアちゃんも早いね」

「いや、ティナが遅いんだよぉ……」


うるせえ。引き籠りを外に出しといて、何を言うか。苦笑いしつつリーフが引っ張ってくれた。有難い。


俺ら―――リリア、ジェイド、サラ、リーフ、俺―――は、学校外にある商店街の街路を歩いている。パリの街並みの様に、石畳が羅列しており、歩く度に心地良くコツコツといった音が鳴り響く。

以前、入学試験の際とは異なり、さほど混んではいない。勿論、人は多々歩いているのだが、以前のように人の波に溺れるような事が無くて、楽である。


実は、サラが“助けてくれたお礼”と言って、何かプレゼントしたいというわけで、一緒に出掛ける事になったのだ。


助けてくれたと言っても、ゼロとしてとか云々ではなく、ただ単純に「助ける!」と言って励ましてくれたお礼だと判断した。あの時、声色帰るの忘れてたから、ばれても可笑しくはないんだけど、大丈夫そうだった。

此処で、デートとなったら最高だったが、生憎ジェイドも頭数には入ってるし、其処にサラと同室のリリアも来て、更には「仲間外れ嫌だ!」と言ってリーフも来た。お蔭で、大人数で行く羽目になってしまった。

少し残念だが、まぁ皆楽しそうならそれでいいか。




「この帽子可愛い……」

「ねぇ、ティナ!こっちのリボンと、こっちのリボン、どっちがいいかしら!」


―――女性陣の買い物は長いものである。

そして、リリア。俺にはそっちのリボンとそっちのリボンの見分けがつかないよ。

既にジェイドとリーフは燃え尽きたかのように、ぐったりと疲れ切っている。それもそのはず、この女性陣がこの店……所謂(いわゆる)、服屋なのだが、此処に入って何十分経ったか把握出来ない。

この服屋に入るまでは、雑貨店を見たり、冒険者が愛用するであろう防具・武器屋をちょっと覗いてみたり、軽食を摂りに小さな飲食店に入ったりと、中々楽しい時間を過ごして来たというのに。


俺が迷っていると、痺れを切らしたようで、リリアはリーフとジェイドに聞きに行った。ひょこひょこと軽く跳ねるように走る彼女の姿は、まるで兎のようだ。楽しそうで何より。ただ俺らは既に死んでいる。

疲れ切ったジェイドは禁断の言葉「どっちでもいいんじゃない?」を使ったせいで、リリアの鉄拳を食らっていた。馬鹿め、俺は前世で既に経験済みだ。二度も同じ過ちは繰り返さない。


「……サラは、何か買うのか?」

「……ん。この帽子、買う」


彼女が選んだのは、淡い薄紅色がベースのオーソドックスなベレー帽だった。しかし、ワンポイントに紫のコサージュが付いており、とても華やかなデザインとなっている。

彼女の髪型にも合いそうだし、ドングリの背比べのようなリボンを選んでいるリリアとは大違いだ。


「あ、ごめんね。そろそろ行こうか……まだ、何もあげられてないものね」

「えっ?あ、いや、別に大丈夫だけど……もう行くのか?」

「あまり長居してたら、お店ほとんど閉まっちゃうから」


サラははにかみながらそう言うと、帽子を買いに店員の所まで足を運んで行った。リリアにもその旨を伝えると、「あら、そんな時間経ってた?」とケロッとした顔で言い、リボンを商品棚に片しに行った。買わないんかい。







「色んな店あんだなー!」

「あーあ、雑貨屋のあの花瓶買えば良かったわ。デザイン可愛いし……」

「リリア、似たようなの実家になかった?」

「似てないわよ!全く……」


皆で屋台で買った飴を食べながら、街路を進んで行く。色んな店があって、チョロチョロしてたら一気に時間が過ぎ去って行ったのだ。未だに、プレゼントは貰えてないが、個人的にはこうやって遊べただけでも十分な気もする。

しかし、彼女の気が治まらないようで、サラは引っ切り無しに左右をキョロキョロ見渡し、道中を歩んで行く。


「あっ」


途中、何かを見つけたようで、サラは大きな荷物を持ちながら駆けて行った。俺らも見失うまいと追い駆け、着いた先は、路地裏の入り口近くで、小さな屋台が置いてあった。

古びており、心もとない造りに見えたが、案外と頑丈そうだった。


「此処、色んなのあるよ」


どう考えても怪しい店なのだが、店主も黒くてボロボロなローブ着込んでて、性別も分からない状態だった。しかし、サラが何処か嬉しそうな顔で指差し、屋台を覗いてる。これはもう、覚悟して行こうではないか。

恐る恐るといった様子で、俺ら(サラとジェイドを除く)は屋台を覗いた。すると、意外にも品数は豊富で、ペンダントから小さな短剣まで揃っている。思わず、魅入ってしまう程に。


「このネックレス可愛いわ」

「お目が高い!そのネックレス、竜の骨が使われておりまして……」


……店主が嘘くさいのが問題だな。そっと≪解析鑑定≫してみる。



≪偽物≫



偽物かいィィィィッッ!!!!!!!!




心の中でそう叫びながら、俺は品物を見て行くふりをする。何かもう全て(まが)い物に見えて来るから不思議だ。

ジェイドやリーフは短剣や船の模型など、中々格好良い物を見ているようだ。サラは……あれ?サラは?


「ティナ君」

「どぉう!?」


いつの間にか背後に立っていた。暗殺者(アサシン)か、お前は。驚いていると、サラはお構いなしに、そっと小さな紙袋を差し出して来る。


「……?」

「プレゼント。有難うね」

「え、あ、いや、こちらこそ!ありがと」


まさかの此処でプレゼント。ちょっとこの店の品物は怪しい気もするが、先程の帽子といい、サラのセンスは良い方だと俺は思っている。少しワクワクしつつ、紙袋を開けて、中身を取り出した。

そっと右手で掴み、取り出したのは……


人形。


……?


「……えぇと?」

「それね、己に降りかかる災いを代わりに受けてくれるんだって」

「へ、へぇ……」


やっぱり怪しい品物やないかい!!

しかもこれ、どう見ても藁人形なんですが!!色鮮やかで、全体的に手の平サイズなだけのミニマムな藁人形なんですが!!!!

「自分の髪の毛入れるといいんだって」って、もう完全に藁人形じゃないですか!!


何にも言えなくなってる俺を他所に、リーフは俺が持っている人形に目を光らせ、そして、



「僕にもあの人形ください!!」



―――と、言った。

ってオイ!!お前コレ欲しいのかよ!!


どうやら、お揃いが良い様子。へ、へぇ……ご満悦で何より。女子みたいだな、お揃いがいいって。

すると、リリアやジェイドも欲しがったのだが、「いやぁ希少で売り切れなんですよ☆」と店主が軽く受け流した。一応何処で作られたのか聞いたが、


「道で拾っ……いや、作りました」


此奴、道で拾ったやつを売りつけやがった。



何はともあれ、こうして俺らはようやく帰路に就く事になったのだった。


とても楽しくて、この日、俺は心の底から楽しんだ事を実感したのだ。





道中、「髪の毛入れてみて」と言われ、思いっ切りジェイドに髪の毛抜かれたのは良い思い出。おい、十円玉禿出来たらどうしてくれる。


読んで頂き有難う御座いました。


『10歳in学校 withサラ救出作戦』 完。

次回『11歳in学校 with勇者召喚作戦』

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