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俺、裏ボスになろうと思います  作者: 現実逃亡者
第二章:10歳in学校 withサラ救出作戦
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第27話:俺、調査します

あらすじ:遂に、ゼロ(ティルフィーネ)が動き出す!!


※遅くなりました。申し訳御座いません。

雲に隠れる月―――否、今日は新月のようだ。辺りは正に、“闇”となる。

暗闇に包まれた学園は、酷く不気味で、何処かにあるような怪談話を思い出して、すぐに頭からかき消した。

今はそんな与太話を思い出している場合じゃない。


「……さーて、何処行くかな……」


青い三日月の長い杖を持ち、俺はとりあえず、学校の外へと飛び出した。









一言で表すとすれば、かつて前世にて写真で見た芸術の都・パリの街並みの様に美しかった。

上空からはこんなにも綺麗なのか。放射線状に王城へと集まる家々。店もあるし、噴水らしき建物や公園の様な広い場所もあった。

さながら、この世界の芸術の都だろうか。王都とはよく言ったものだ。こんなにも西洋風で家一つ一つが美しく、街並みが整った都なんて滅多にないだろう。


「うーん……」


上空からそんな美しい街並みを見下ろしつつ、俺はきょろきょろと狭い視界の中で周囲を見渡す。

……あの路地裏とか丁度良いだろうか。


「よっこいしょ」


俺は加速して地に足を付けるべく、降り立った。












それは新月。街には人が少なく、辺り一面が闇と化する。周囲が暗く、視界にも限界がある。そんな中で、もし襲われたりしたら―――どうなるか。


そんな不穏な暗闇の中、一人の男は石畳を盛大に鳴らしながら千鳥足で歩いて行く。ゆらゆらと陽炎が如く揺らめき動く様子は、正常な足取りとは言い難かった。

酒の匂いを体中に纏わせながら、ずんずんと暗き街路を進んで行く。


「ウィック……あ~……まだ飲み足りねえな……」

「シャッチョサーン!!」

「ぬぉおおお!?!?」


―――そんな男、もとい酔っ払いを、俺は容赦なく路地裏へと引っ張り込んだ。


「な、な、な、むぐぅ!」

「お静かにねぇ、シャッチョサン」


騒ぎそうになる男の口を手で塞ぎ、一応周囲を見渡す。

人の気配は感じられず、しん…と静寂が木霊していた。大丈夫そうだな。

顔を真っ赤にさせた男は、怒っているのか酔っ払っているのか分からないが、騒がれるのは非常に不味い。穏便に済ましたいところだ、が。


(……穏便に、か……)


無理そうだ。さっきからずっと、両手足をばたつかせて、何か叫ぼうと唸っている。解放した瞬間暴れるパティーンだ、コレ。

とりあえず、《捕縛》の魔法陣の中に入れて、両手足の自由を失くした。


「……な、何だコレは!!動けなむぐっ!」

「シャッチョサン、煩い」


再度手で口を塞ぐ。静かになったところで、俺は魔法をかけるべく、杖を持った。


「痛くないですよ」

「……!?」

「すぐ終わります」


大きく深呼吸して、口を塞いだままの男の目の前に杖を持って来る。




「―――≪征服(コンクェスト)≫」




男の驚きに満ちた目は、徐々に光を失い、目の焦点が合わなくなっていく。

そして、真っ赤に染まってた顔は白くなっていき、口から手を放した時には、既に何も発しない状態になった。

様子を窺い、そっと≪捕縛≫の魔法陣を消し去っても、男は微動だにしなかった。

仮面の奥で俺はニヤリとほくそ笑む。


征服(コンクェスト)≫とは、その名の通り『何かを征服する』魔法である。魔獣、魔物、或いは人……生き物全般に使える利便性の高い魔法である。しかしながら、古来魔術。使える人は極僅かなレアレアな魔法。ナイスチート。


「……私の(めい)に、従いなさい」

「…………はい……」


目に俺が映ってはいるものの、焦点は合ってはいない。まぁ、本人の意思とか関係なく無理矢理従わせる魔法だから、気味悪くても仕方がないのだけれど。

少し安定感……いや、平衡感覚がないのか、若干体がフラフラしているものの、支障はないだろう。元々古来魔術であり、後一歩で禁術の仲間入りするほどの魔法だったしな。


頭が寂しい小太りのオッサンの、哀れな姿を見ていたって仕方がない。早速取り掛かろう。



「ボルボレッタ家、知っていますか」

「……はい」

「場所は、知っていますか」

「……はい」


その答えを聞くや否や、俺はすぐにぐしゃぐしゃで皺だらけの紙切れとペンをオッサンに手渡す。「受け取れ」と命令をだし、オッサンはフラフラと挙動不審な手つきでそれを受け取った。


「場所を―――地図を、書きなさい」

「……はい」


ボーっと突っ立ったまま、手元の紙切れにぐしゃぐしゃと適当に見える地図を書き記した。案の定、字も適当そうだが、如何せん其処に期待はしていない。地図さえ読めればそれでいい。

ぴたりと手が止まり、男は再度焦点の合わぬ目でこちらに顔を向ける。恐らく、書き終わったのであろう紙切れを手に持ったまま。


「寄越しなさい」

「……はい」


そう言って、手渡された紙切れに、俺は絶句した。



―――えっ、何このミミズが踊り狂ったような個性的な字は。



い、いや、字なんて全く期待していない。それこそ、砂漠に遭難した時のオアシスレベルに期待していない。

問題は、地図であるが、こちらもまた絶句した。



―――えっ、何この寝ぼけて書いた時の字並みに揺ら揺らしたよく分からない線画。



何たることだ。このオッサンの表現力といい、画力といい、とても個性的で芸術の域を超えており、到底俺では理解し切れないセンスをお持ちのようだ。



かくして俺は、ブチ切れてオッサンに描き直させるのであった。(オッサン、ごめん)









「えーっと、えーっと」


やっべぇ迷いそうだ。畜生、都会の路線並みに難しい……!第一俺は駅の路線図と道筋を見つけるのが大の苦手、否、嫌いである。

オッサンに魔法を解き、早速レッツパーリィだぜ!と思い、駆けて行ったのはいいが……此処は一体どこだ。此処は何処、私はティナ、今あなたの後ろに居るの。いや、そんな事言ってる場合じゃねえ。

キョロキョロと見渡しても辺り一面闇と化した街……恐ろしい、これでゾンビが出て来たらとんでもないデッドヒートである。ヘリで脱出するしかねえ……!

そんなアホな事を考えていても仕方がなく、俺は素直に上空へ飛び出し、空から見下ろす事にした。


「……あそこかな?」


汚い地図上と似たような位置に、大きな邸宅があった。王城と見比べたら大した事ないように見えるが、元庶民で現一般市民の俺から見れば、とてもデカい豪邸である。どのくらいあるのだろうか。マンション一つ分くらい余裕でありそう。


俺は近場に降り立ち、周囲を警戒しつつ、邸宅を見上げた。


「……でっけぇ……」


俺の身長を越える頑丈そうな門扉に、視界いっぱいに広がる豪邸。白を基調としており、あまり庭園も着飾っておらず、品とバランスの良い邸宅だった。流石サラたんの実家である。

中世風の家と言えば良いのだろうか、少なくとも日本では見た事ない邸宅であった。あ、奥に見える花壇も綺麗だ。何とも素晴らしき貴族(かねもち)


「……どうやって侵入しようか」


周囲を警戒しつつ、俺は少しうろうろ歩き回る。仮面にローブで、完全に外見不審者だが、まさかこんな夜更けに貴族の邸宅の周囲をチョロチョロする輩も居まい。


≪転移≫を使うという方法もあるが、≪転移≫は明確な座標(・・)が必要となる。

地図上で座標を決めるか、記憶の中で座標を決めるかのどちらかだ。つまり、地図に載っている場所か、過去に行った事のある場所にしか行けない。

俺は勿論、サラの家に行った事も無ければ、内部の構造まで知らない。魔法の中で、千里眼の様なものもあるが、この辺りで魔法を使ってたら、いつ人が来るのかは分からない。

流石に無計画過ぎるだろう……どうしよう。


頭を抱えて悩んでいると、ピーンと考えが降りて来た。


「そーだ!空飛んでから、千里眼使えばいいんじゃん」


我ながら何故こんな単純明快な事が思いつかなかったのかが悔やまれる。(頭が)単細胞生物の俺には難しい問題だったようだ。無念。



さっさと空へと昇り、大きく美しい邸宅を見つめる。

そして、目に血流を集めるが如く、魔力を集中させた。徐々に熱帯びてくる目に、俺は内心興奮気味だった。

だって、千里眼だぜ?THE☆中二じゃないですかーヤダー。超楽しい。何か本当は≪千里眼(クレアボヤンス)≫って言うらしい。こっちの方が格好良い。


さて、熱帯びて来たと言う事は、魔力が十分に集まったと言う事である。

早速目を凝らすように力を入れ、邸宅を見下ろす。


体は空に浮いたままだが、まるで目だけ(・・・)が邸宅に近づいているような、気持ちの悪い錯覚に陥る。目だけ地上へと落ちて行くような、そんな感覚。

屋根にぶつかると思いきや、すうっと風の様に中へと入り込み、俺は邸宅の中を散策する。


……所々に見張りが居る。当たり前か。


……此処は、寝室。でも、誰も居ない……部屋の内装は質素で簡素なものである。少女の部屋のようだが……もしや、サラたんの部屋か!?ならば、おぱんてぃーの一つや二つ……おっと、目的を間違えた。


……此処は……キッチンか?大きくて業務用冷蔵庫みたいな物もある。レストランの厨房のようだ。


それにしても、廊下が長い。中は外観とは打って変わって、少しアンティークで浪漫な雰囲気漂う洋館のようなイメージだ。

怪しい場所は今の所見当たらないし、人気のない所を探して、其処に一旦≪転移≫した方が早そうだ。













「よっこら……っしょ」


此処なら人気少ないかな?と思い、≪転移≫した場所は食糧貯蔵庫だろうか。野菜が沢山ストックされている場所だった。

薄暗く、畳六畳程度しかない部屋であり、野菜も沢山置いてある為狭い。

だが、此処なら人なんてあまり入って来ないだろうし、絶好の侵入場所だと言える。


で、此処からが問題である。


「……どうしよう」


アホポンタンな俺は何も考えず侵入し、(あまつさ)え此処で俺は(くつろ)いでいるのである。横に寝転がり、腕一本で頭を支える体形。簡単に言うと、親父がよくテレビを見るスタイルである。此処の部屋冷えてて気持ち良い。

さて、ずっと親父スタイルで寛いでいるわけにもいくまい。此処からどうしようか。


「ま、とりあえず、≪魔力探知≫でもしとくか」


以前も使用したが、己の魔力を薄く伸ばして床に這わせ、徐々に範囲を広くして、他の魔力を探知する魔法である。薄く伸ばした魔力に触れた物の魔力を感知するので、人だろうが魔物だろうが魔法陣だろうがちょちょいのちょいで感じ取れる優れものだ。

水面に小石を置いた時に生じる波紋の様に、中心部から伸ばしていく。


杖を持ち、俺はその≪魔力探知≫を行った。

俺の場合はチートなので、一気に伸ばして範囲を広める。


案の定、沢山の魔力を感知した。正直多過ぎてキモイ。


「使用人にぃ、見張り番かぁ?」


段々面倒臭くなっていくが、俺は目を瞑り集中し続ける。

しかし、人が多過ぎて何が何やら分からなくなって来るな……魔力の多さや流れからして人だと把握出来るが、こんなに多いと混乱しかねる。





その時だった。





「……!?」





異様な魔力の流れ。それは、ある一定の流れに沿う人の魔力とは大きく異なる。

逆流したり、速度が速まったり遅くなったり、一定の動きではない気持ちの悪い流れの魔力。

何だ?これは、これは……―――



「…………何処だ?此処……地下室、か?」



人気が無く、野菜貯蔵庫に降り立つか、地下室に降り立つか迷った場所。

此処に、何かがある。いや、何なのかは分かってる(・・・・・)



(むしろ、分からなきゃ可笑しいよな)



俺の予想が当っていればの話ではあるが。


















***


















何の躊躇いもなく、一気に≪転移≫した場所―――地下室。


俺は、其処で目を疑った。




青白い炎のような(もや)と、赤紫と灰色が混じり合った斑点模様のような、チカチカしたネオンのような光。それらに包まれた―――魔法陣。

普通の魔法陣じゃない。見た限り、中心部の大きな魔法陣に様々な魔法陣があちらこちらに組み合わされている。

石畳の暗い地下室に描かれた輝く魔法陣は、俺の視界にいっぱいに広がっていた。


巨大であり、魔力の流れからして普通の魔法陣じゃない(・・・・・・・・・・)


(二人……いや、三人……微かだけど、感じる)


恐らく人の魔力が三つ混じり合って出来ているのだろう。だが、そのせいで魔力の流れが異常な動きをしているのだ。

基本魔法陣は最大で二人までの魔力しか受け付けない。其処に、三人目の魔力が少しでも入ると均衡が崩れ、魔法陣の魔力の流れが悪くなり、このような異様な流れとなる。

ま、その魔法陣のバランスまでちゃんと計算すれば、三人だろうが四人だろうが使えるんだけどね☆え?俺?チートだもの☆てへぺろっ☆


そっと、俺は魔法陣に近寄り、触れる。


「あっつ!」


少し触れた指先が火傷するのではないかと勘繰るほどに、魔法陣が熱い。

やはりか。

魔法陣の均衡が崩れており、魔力の流れも異様。それを長年続けていたとすれば……もう、この魔法陣は長くない。恐らく、数年後には崩れる。


俺は口元を手で押さえつつ、考え込む。

思わず、拍子抜けして(・・・・・・)しまった(・・・・)




「……はぁ」


魔法陣を再度一瞥し、俺は溜息を吐いた。きっと、今の俺は酷く気まずいと言った顔をしているだろう。




予想が外れた(・・・)




これは、≪禁術≫なんかではない。








≪古来魔術≫―――≪魔力転送方式魔陣形≫




魔力を転送する装置だ。










読んで頂き有難う御座いました。


次回『俺、行動に移します』

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