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第2話:俺、旅に出ます

あまり進んでいませんが、この世界の魔法について

軽く説明しています。

※年齢を変更致しました。12歳→9歳

※「魔法などの表現が寒い」とのご指摘を受けましたので、表現の仕方を変えました。

 他にも表現の仕方を変更しました。ご指摘有難う御座いました。

 また、「詠唱の場合は、魔力を込めなくていい」という方向に変更致しました。

目標①裏ボスになる

目標②その為に旅に出る

目標③とりあえず生きて行く



……



「こんなもんか」


目標を紙に書きながら、無意識にポツリと呟く。

意外とあっさりしているが、一番の目標としては「生きる事」である。

生きなきゃ元も子もないもんな。死んだらどうする事も出来んからな。

息子がピンチの時に、天から舞い戻って一緒にかめ●め波なんて俺には出来ぬ。


大草原で座り込みながら何か作業するって、単調でつまらぬ作業でも何となくピクニック気分になる。

ふむ。

とりあえず、『異次元空間収納庫』から小さなトランクケースを取り出す。

手持無沙汰、と言うよりも何も持ってないと怪しまれそうだ。

トランクケースには、母から貰ったなけなしのお金(地味に重い)と、本と魔石。


この世界の魔石は、意外と貴重な物が多いらしく持っている人は少ない。

いざとなったらお金を工面する為に売るつもり。

ちなみに、魔石は色々な種類があり、布地に色を付ける為の『染色石』や魔力をストック出来る『魔力石』などがある。

簡単に言えば、不思議な石を総称して『魔石』と呼ぶ。


それはさておき、茶色い革製のトランクケース自体がそれなりに重い。

まだ軽い方のかもしれないが、9歳で脆弱で引き籠り体質で尚且つ魔術師の俺にとっちゃ重い。

ん?武器も微かに使うし、魔術師ではないのか?ややこしいな。


「……そういえば」


俺はふと、トランクケースの側の本に目を移す。

母が俺に最後にポイッと投げ捨てるように託した本だ。自筆らしい。

あまり分厚くはないが、何が書いてあるのだろうか。


「どれどれ」


俺はそっと本の表紙を見つめる。

シンプルで何も書かれてない、いわば無地で新しい本だった。

何かタイトルが薄らと書かれている。




「……『常識ガイドブック』?」





な、なんじゃこりゃ~!!(ジェネレーションギャップ)



いや本当に何じゃこりゃ。

何さ常識ガイドブックて。多少は知っとるつもりだわ。

ハッ!!ま、まさか、此処には俺の秘密がずらりと……例えば、俺に封じられし悪魔とかそんなん。

こう……左手から鬼みたいな手とか……そんな感じのがあるから気を付けろみたいな。


……んなわけねぇか


冷静に考えて、今まで母が人と話してたし買い物もしてたし、買い物の仕方とか国々の状況とか、そういう(たぐい)のものだろう。

礼儀作法とか、そういうのは教わってないしな。

欠伸をしつつペラッと一枚目を(めく)る。



『一、魔法の威力は抑える事。今の力じゃ国一つ簡単に滅ぼす』



一枚目から物騒な事が書いてあった。


いや……オカンじゃあるめえし……それはねぇべ……

抑えるってどのくらいだろう。

昔、母と一緒に闘技場みたいなの見た事あったな。

ええと、力を弱めて……威力を失くして……こうか?どうやるんだ?


魔力とは本来身体に血液のように流れているらしく、それを体内から放出して、初めて魔法を作れるとのこと。

力を物理的に込めるのではなく、流れるように放出する。

いわば、『気功』の『気』みたいなもので、この世の全てのエネルギーだと言われる事も多いそうだ。

魔法を出すには、魔力を力に込める→イメージするという動作で魔法が行われる。


その魔力を操作するのが難しいのだが。

俺の場合、魔力量が多すぎて全く出来んのだが。


空気を撫でるような感覚で、体内から気を放出させるように指先に集中させる。

火属性の……何でもいいや。

何か説明が難しい。

魔力は物理的に力を込めるものじゃないって事だけ伝えられればいいだろうか。

何か……体中の血液を手の平に集結させるように行う。

手の平に血液が吸い込まれるような、吸い込ませるような、そんな感覚。

血液をブシャーって。梨汁ブシャーという感覚で噴出……もとい、放出させる。

詠唱してからやると、体に何となく感覚が残っていてやり易いので、皆さんレッツトライ。


集中して、流れるように……とは言うが、これ無詠唱の場合なんだよな。

詠唱の場合、ぶっちゃけ魔力込める必要性がない。

だって自動的に魔力が引き出されて魔法が出来るっていうんだもの。

ずるいよね。マジありえなくない?

ついでに、詠唱だろうが無詠唱だろうが魔力が枯渇したら気絶するそうです。

ですよね。

あ、詠唱の説明は後程。とりあえず、今は魔法を放つのが先。


俺はデコピンをするような仕草で、魔法を放ってみた。





















教訓:デコピンはアカン




デコピンをするような仕草で、指に魔力を込めて放つ。

一閃。ビームのような細い光が放たれたと思いきや、大草原の奥の微かに見える森が爆発した。

マジかよ。

こんなにチートっつーか、化け物みたいな力欲しいって言った憶えない。


―――力が欲しいか……―――


―――これ以上は要らない……―――


って今なら即答出来る。いらねえ。

畜生……裏ボスどころかチートになる前にこれじゃテロリストだ……

まずは魔力操作から始めるしかないか……くっそう……母よ、俺を最強に産み過ぎだ……

俺はきっと母の栄養を頂き過ぎたんだな。腹の中で。


仕方がないので、まずは魔力操作から始める。


基本魔法は詠唱を必要とする。が、俺は使わない。(詠唱教わってない)

つまりは無詠唱で俺は魔法を使っている。これは慣れなので、今更詠唱は使えないかもしれん。

また、詠唱は略する事が可能らしく、それを略称詠唱と呼ぶらしい。

略称詠唱は主に上級魔術師が使い、無詠唱を使う者は滅多に居ないとか。

上級魔術師ですら、詠唱使うのが大半だそうだ。


詠唱は魔法を自動的に生み出してくれる。

だが、俺の無詠唱はほとんど体に覚えさせるという、何とも体育会系なやり方だ。

手に魔力を込め、形状・速度からどのような魔法を作るのか……みたいな。

口では説明し難いな。俺、元々口下手だし。

無詠唱は、自分で作る。うん。一番しっくりくる説明だと思う。

自分で作るには、集中力・想像力以外に、時間も必要だと。詠唱を言う方が時間かかる気がするが……

その為、無詠唱は「効率が良くない」と言われ、あまり人々に浸透していないのだろう。

結構効率良いけどな。早いし、楽だし、一々詠唱しなくて済むし。

まぁ確かにイメージしたりするのは大変だろうが……集中力必要だし。

俺の場合は体が覚えてるけどね!!(ドヤ顔)


他にも、召喚魔法や結界などに必要とされる『魔法陣』がある。

魔法陣は……使った事があるが、描くの凄い面倒臭い。

ちょっと雑に描いたり、繋がりがなかったりすると、すぐに失敗につながるからな。

その為、あまり魔法陣を使う事はない。魔力も結構使う。

描くのは何でもいいし、大きさも何でもいい。(魔法によるが)

最低限、紙とペンさえあれば、魔法陣は完成する。

その魔法陣に魔力を込めれば完了。描くの面倒臭いけど。


また、召喚魔法に必要とされるのが音素文字(ルーン)だ。

魔法陣でもたまに使うが、この世界では召喚魔法に特に使う。

魔法陣を描き、魔力を込めて魔法陣が光り出したら、指先に魔力を込める。

その指先で音素文字(ルーン)を描けば完成。ね?簡単でしょ?

ただ、召喚魔法は俺は使わない。と、言うか、使えない。

一度扱ってみたはいいが、母曰く「あんたに合わせると、召喚される奴半端ない」って言われた。どいひ。


話が逸れた。とりあえず、この世界の魔法に関しての大まかな情報だ。



再度俺は魔力を込める。ほんのちょっと……ほんのちょっと……

いやほんのちょっと込めるってどうやればいいの。

皆さん、空気の塊を手の平にほんのちょっと込める動作やってみ?出来なくない?

気を手の平に集めるように集中する。個人的な感覚では、ほんのちょっと。


しかし、先程と同じくらいの魔力になってしまう。ええい面倒臭い。

試しに、初級魔法の≪ファイア・ボール≫を作ってみる。

手の平には、拳と同じくらいの大きさの火の玉が生まれる。ふぇぇ……手の上で燃えてるよぅ……

先程と同じように、森(だった所)に向かって発射してみる。













結果:森(だった所)が爆発した\(^o^)/



何だよやっぱり爆発すんじゃねえかよ。

あれか?前世で「リア充爆ぜろ」って呪い続けたせいか?

だったら致し方ない。前世で俺に童貞卒業させなかった神様が悪い。


どうしようか……

このまま町に繰り出して、魔法なんぞ使ったら一瞬でチート(という名の化け物)ってばれる。

もうちょっと工夫すればいいのか?例えば詠唱で調節……俺、詠唱使った事ないわ。

限りなく小さな火の玉を作る所から練習するか。


「ふんぬ……ッ!」


腕を震わせるほどに力を入れて、小さな小さな火の玉を作ろうと試みる。

いや、物理的に込めるんじゃないんだよ、俺!しっかりしろ!

顔が真っ赤になったであろう今なら血行良さそうだ。

大きくなった火の玉を、イメージで何とか小さく調整する。

何か、俺の場合は魔力量が多すぎて、勝手に多く出過ぎてしまうようだ。魔力ブシャー。

それでも、何とか小さく出来た。


だが、小さくともこの明らかな燃焼具合からして……普通のより遥かに威力が強い事が分かる。

俺の魔力は特殊。うん。流石は魔女(オカン)聖女(オトン)の子だ。

今は凄い不便な魔力だがな!

畜生!魔力をある程度抑制する特効薬とかないのかよ!ありませんよね!知ってた!








***




やっとの事さ、平均だと思われる≪ファイア・ボール≫を生み出した。

大きさは先程と変わらず、拳くらいだが威力や速度は全く違う。

実は、この火の玉……中身が空っぽ。正にピーマン状態である。

簡単に説明すると、中身が入っていない発泡スチロールと、中身が詰め込まれてる発泡スチロールである。

中身が入っていない方は壊すのは簡単だが、中身が詰まっていると壊し難い。

中身が入っていないとあまり痛くないが、中身が入っていると、入っていない物に比べて痛い。


分かり難いだろうが、俺が作った火の玉は、空気の玉の表面上にだけ魔力を張って、火の玉もどきにしているのだ。

始めに魔力を手の平に込めるだろ?そんで、余分な魔力を、次は放出ではなく吸収か消滅させるのだ。

消滅させる場合は、少し気を抜けば勝手に消滅する。勿体無い?気にすんな。細けぇ事ぁいいんだよ。

吸収は……手の平に溜めた血液を再度、体内に巻き戻す感覚だ。

面倒なので、消滅させた方が楽。

そうすりゃ、空っぽ火球の出来上がり。

何度も言うが、俺の魔力は特殊だからな。少量でも威力を十分に発揮する。

だから、この火球は空っぽなのだ。

魔力を削ったところで、中身が詰まってたら威力は強いまんまだからな。

魔力を放出させて吸収する……面倒臭いが、慣れればこっちのもんさ。やりぃ。


さて、出来上がった火球だが、火の威力も違うし、速度も違う。

詠唱を使うと、こんな器用な事は出来まい。

早速発射してみよう。




森(だった所)に到達する前に消えた。

速度も俺が見た限りは早くないし、爆発は大分小さく感じたが、そこそこって感じだろう。

少なくとも、俺の視界内で消えたし、目で追いつける速度なのだから、かなり平均的なのではないだろうか。


これで、魔力を抑制する事に成功した……って事でいいよね?

さぁ次だ次。



『二、飛行・転移・異次元空間を、人前で使用する事は極力禁止とする』



あ、これは分かる。

父にも口を酸っぱくして言われたくらいだからな。

上級魔術師でも使えるかどうか分からない魔法らしい。特に飛行と転移。

異次元空間収納は使える魔術師が居るらしい。数は少ないが、上級になれば使える人は多いとの事。

俺は目立たずに生きたいしな。

『平々凡々な人間に見えるが、本気を出せばチートであり、裏を牛耳る者』みたいな存在になる為にも。



『三、ローブは必需品。フードを目深に被る事』



これは……種族のせいか。

ミルディン人はほとんどおとぎ話の存在だからな。そりゃ目立つだろう。

俺の場合オッドアイだし。素晴らしき中二世界。

右目とか、覚醒したら赤目になったりしないかな。



『四、満月には当たらない事。当たった場合、絶対水を被らない事』



……



「ホワイ?」


思わず声に出すほどの疑問だ。

何故?なにゆえ?ナンデ?

何かあるのか?

満月見たら、狼になったり?月に帰りたくなったり?月の使者迎えに来ちゃったり?月に代わってお仕置きしたり?

水は?水は何なの?女の子になっちゃうの?水被ると女の子とか猫とかになるの?

ちゃんと理由も書いてくれると嬉しかったなぁオカーサマ。


とりあえず、心に刻んでおこう。


満月、ダメ、絶対。




『五、クロスエンドの姓は名乗らない事』



えーと……

これは、あれですね。『魔女』と呼ばれた母の名が、思いの外、世界全体に轟いてしまったからですね。

『白銀の魔女、フォルティア・クロスエンド』という観劇もあったくらいだしな。

また、ミルディン人の姓には「エンド」が付くので、それだけでも目立つのに、「クロスエンド」だったら更に目立つ。

むしろ、狙われるかもしれない。危ない。

名乗る時は父の姓を名乗ろう。















***







「……おろ?」


気が付けば、日が落ちて、山吹色とオレンジが混ざった色合いの空だった。

もう夕暮れか。本読み過ぎたか?

量少ないと思ってたら、意外と注意書きが多いんだよな……お母さんったら過保護☆

そろそろ動き始めるか。

泊まる場所も欲しいな……此処ってどの辺だ?町とか近くにあるかな。


「ま、何にせよ、適当に行くか」


なるべく、夜が更ける前に何処か建物内に入りたいな。


俺は重い腰を起こして立ち上がり、周囲を見渡すが、やはり何もない。

徐々に冷たい風が頬に当たる。

日が暮れるのは早く、夜になるのはもっと早い。急がねば。


「よっと」


俺は杖の上を椅子のように座り、宙に浮く。


行先は……そうだな、焼けた森の近く……焼けずに済んだ方に向かうか。





俺は超マッハで、その方向へと飛び立った。






読んで頂き有難う御座いました。


次回『俺、世話になります』

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