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俺、裏ボスになろうと思います  作者: 現実逃亡者
第二章:10歳in学校 withサラ救出作戦
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第25話:俺、協力し合います

あらすじ:言質取ったもんだぜヒャッハァァアアアアア

運が良いとは正にこの事。言質さえ取ってしまえばこっちのもの。

何?たかが口約束だと?甘いな。されど、口約束。

こちらとて、十分な対価を支払うつもりなのだ。あまつさえ、俺はプライドを捨て屈辱に身を投じようとしている。

全裸になって、お姉さんに御奉仕する日々が、今始まろうとして―――


「やっぱ、俺嫌だな」

「今更それを言うか、エンドレス君!!君は面倒な子だな!!」

「だってぇ~何されるか分かんないもん。あんな事やそんな事をするつもりでしょう!エロ同人みたいに!」

「ドウジン?何の事かさっぱりだが、約束は約束だ!!こちらとて、十分に協力する!さっさと協力しろ!!」

「うわっほーい!嫌だ!!」


どうも、真夜中に貴女の部屋に忍び込んであれやこれやとエロ同人顔負けな事を前世で目論んでいた、犯罪者一歩手前の男・ティルフィーネです。健全な十歳児。

本棚には分厚く難しそうな本、床には怪しげな本が散乱し足の踏み場がなく、机には魔法陣やら危険そうな液体の入ったフラスコやらで、正直もう部屋から出たい。

そんな部屋―――研究室の持ち主であるヴィエラは、仁王立ちして俺の前に立ちはだかる。帰らせてくれ。

俺の隣には、少し戸惑った表情を浮かべる可愛らしい俺らの天使、サラたんが居る。

目の前には美女(ヴィエラ)、隣には天使(サラたん)。前門の虎、後門の狼(意味違う)。そうか、此処が楽園(パラダイス)か。

現実逃避をしつつ、俺は溜息を吐いた。


「……んで、ちゃんとサラの事考えてくれるんでしょうねぇ」

「安心したまえ。君の大事な彼女は、私が責任持って処置しよう」

「彼女じゃないです」


……照れ隠しか?全く、サラたんったら☆

べ、別に何の反応なく淡々と告げられた真実に、若干ショックを受けてるわけじゃないんだからね!


まぁ見ての通り、サラの【魔力の無い体質】をどうこうしてくれる代わりに、ミルディンの研究を手伝うという特価交換を果たしている最中だ。

初日という事だけあって、軽く学校案内をして、午前中で授業終了。簡単である。

リーフやリリアが午後から遊ぼうと誘ってくれたが、俺はヴィエラとの約束があった為断った。リリアは少し不貞腐れてた。愛い奴め。


此処まではいいのだが、何故か俺の視界には部屋に興味津々でウロチョロしてるガキ……もとい、俺に朝っぱらから珈琲をぶちまけ、更に牛乳を噴出して俺にぶちまけた張本人が居るのだ。


「……帰れよ、ジェイド……」

「だってさぁ、オレ暇でさぁ。オレもミルディン興味あるし、いーじゃん」


よかねえわ。帰れ。


「ミルディンに興味・関心が湧いたか、若人(わこうど)よ!将来が楽しみな少年だな!!」

「でもさ、ミルディンについてよく知らねえんだわ、オレ。おとぎ話とか、そーゆー話なら聞いた事あるけど、実在したんだなーくらいにしか」

「む。今時の子は感心しないな。魔女・フォルティア様の名も知らんのか?」

「ううん。かーちゃんがよく話してた。夜遅くまで起きてると、魔女が現れて食われちまうぞって」


俺のオカン怖すぎるだろ、それ。そんなん、俺もう食われてるわ。


「フォルティア様は悪の権化である王家に罰を与えた、いわば救世主とも言える御方だ。それをあろう事か、そんな悪者に仕立て上げるとは許せんな」

「だって、かーちゃんが言ってたんだもん」

「ふん、そんな出鱈目で子を脅すとは許せん。ましてや、フォルティア様で脅すとは……!」

「まぁまぁ。どーせ、おとぎ話とかそういう(たぐい)でしか、ないじゃないですか」

「……まぁそうだな。大人げなかったか」


全くだよ。少し眉間に皺を寄せてるヴィエラを宥め、本題に入る。


「それで?どうすんの?サラの体質改善」

「そうだな。まずは調べに入るか……」


そう言うと、ヴィエラは埃溜まった本棚の本を何冊か取り出し、適当に机上に隙間を作って其処に本を置いた。


「君は、生まれつきかね?」

「はい……あの、兄様は普通に魔力持ってますので、父様と母様は関係ないと思います……」

「ふむ。魔力測定はしたか?」

「はい。義務化されていた、三歳児魔力測定はしました。ほぼ無いそうです……」

「えっ」

「ん?どうした、エンドレス君」

「い、いえ……」


そんな義務あるんか……俺、した覚えない。ジェイドが不審そうに見ているが、この際目を逸らす(ほか)なかった。


「兄弟は魔力を普通に持っており、父母も大きな病気を患った事もない……君自身、病気は?」

「ないです」

「うーん……なるほど。確かに病気ではないな……」

「病気では(・・)?」


俺はヴィエラが発言した意味深な言葉を再度唱えると、彼女は至極難しそうな顔で頷いた。


「そういう症例は未だない。病気で無い事だけは確かだ」

「そうですか……」

「ん?じゃあ、何なの?やっぱり体質とか遺伝性?」

「遺伝でもないだろう。父母も兄も大病を患った事はなく、ましてや兄は平均より魔力が多い。いくらなんでも、それで遺伝性と言うのは少々難しい理屈だな」

「へー魔力多いの?寮長って。とーちゃんか、かーちゃんってエルフ?」

「ううん。普通の人族」


どちらかがエルフなら、サラにも遺伝して魔力が多くなってても可笑しくはないだろう。兄が全部吸収したとか?絶対ないわぁ。何その上の子が全部良いとこ取りしちゃう感じのパティーン。


「うーむ……ちょっと視てみるか(・・・・・)……」

「?」

「ボルボレッタ君。ちょっとこっちに来なさい」


そう言われて、サラはヴィエラについて行く。俺らもついて行こうかと思ったが、散らかったカオスな部屋を動くのは少々苦難の業だった。

仕方なく、ジェイドと二人で散らかった部屋の本棚付近で待機。正直つまらん。


手招きしてサラを誘ったヴィエラの手元には、何やら薄っぺらい紙があった。

……あれって……


「魔法陣か?」

「まっ魔法陣!?マジで!?すっげー!【陣形魔法】がこんな身近で見られるなんて凄くね!?」

「お、おう……」


そういえば、結構上級の部類に入るんだっけ。魔法陣使う魔法は。

召喚魔法はある程度初級を熟せれば出来るらしい(ただし、召喚するものにも限度がある)が、魔法陣を使って行う召喚魔法以外の魔法は意外とレアだな。


「この紙の上に立ってくれ」

「こう、ですか?」

「そうだ」


そっとサラが紙の上に立つ。意外と魔法陣の描かれた紙は大きく、彼女の小さな足を乗せても尚も大きく見える。

そして、ヴィエラは魔法陣に魔力を注ぎ始める。何やら、ブツブツと口を動かし、長ったらしい詠唱をしているようだ。



「……今、ここに、古の力を、動かさん。【古来魔術】―――≪調査(サーベイ)≫」



瞬間、魔法陣は青紫色に輝きだし、何やら煙のような青っぽい(もや)が生み出される。あっという間に、サラを覆ってしまった。


「ボルボレッタ!?」

「落ち着け、ジェイド。大丈夫だろ、先生も居るし」

「だ、だけどよぉ……」

「サラ自身何も感じて無さそうだし、先生も無表情で焦っていないだろう」


焦って床に散乱したガラクタ……もとい、本などを踏みつけてでもサラの下へ行こうとするジェイドを制止する。

ヴィエラは無表情で、魔法陣の様子を窺っており、冷静な雰囲気だ。サラも何も怖がっていなさそうに見える。


それに―――ヴィエラは【古来魔術】と言った。

【古来魔術】とは【禁術】とは違い、禁じられていないが、使用する者が少ない魔術である。名前の通り、古過ぎて知り渡っていなかったり、使われていなかったりするだけだけど。

また、古い魔術は魔力消費が激しかったり、失敗する頻度も高いので、好き好んで使う人も少ないのだとか。

だけど、古くからの知識とは絶大な力を誇る。

【古来魔術】でなくては、明かされない事実や魔術、倒せない魔獣や魔物も居る事だろう。だからこそ、重宝されるべきなのだが……残念ながら、俺は【古来魔術】って何なのかよく分かっていない。どれか古い魔術なの?みたいな曖昧な感じ。全部使えちゃうチートだから気にしない。


「……もう、大丈夫だな」


ポツリと呟かれた言葉と共に、靄が晴れ、徐々にサラの姿をはっきりと視認出来るようになった。


「せんせー!何してたの!ボルボレッタは大丈夫なのかよっ!」

「大丈夫だ、安心したまえ。少し魔力の流れなどを確認していただけだ」

「確認?」

「確かに魔力はほとんどない……ほぼ皆無と言っても過言ではないだろう」


流れるように吐き出されたヴィエラの言葉は、サラにとっては確かに真実だろうが、何処か傷つくところもあったのだろう。少し顔を俯かせた。

そんな様子に気づく事なく、ヴィエラは何処か怪訝な表情でサラを見つめる。


「……だが、おかしな事が分かった」

「おかしな事?」

「……サラの内部に、魔力が溜まっている」

「えっ?」

「少しだけだがな。表面上や他の部分には魔力はない。だが、内部―――特に心臓部分にはハッキリと見える程に溜まっている。流れるはずの魔力が、其処で動かずに、な」


ジェイドは全く分かっていなさそうだったが、サラは何処か理解出来たのか、目を見開き硬直していた。


「わ、私には、魔力があるんですか?」

「ある、と言えば、嘘になる」

「……どーゆー意味?」

「うーん。魔力はあるっちゃーあるのだが、その魔力は一向に増えないし、動きもしない。魔力が動かなければ、必然的に魔法も使えない。もっと言うなら、魔力があっても量が少なくて魔法が使えない」


容赦ない現実に、思わずサラの鉄仮面な無表情は崩れる。泣くのを我慢しているような、年相応の表情だった。


「……やっぱり、私、使えな、い……」

「サラ……」


「…………ティルフィーネ君、ごめんね、もう、いいよ。やっぱり、私、無理なんだ」


そう言うや否や、サラはゴミ屋敷のような散らかった部屋の床に置かれた本や小道具を容赦なく踏みつけ、出て行ってしまった。


「サラ!!」

「ボルボレッタ!?」

「ま、待ちなさい!ボルボレッタ君!!」


あまりにも突拍子の無い展開に、頭が追い付かなかった。

クソ。分かり切っていた事だろう。あんなに小さな子の僅かな希望が砕け散ったんだ。傷つかないわけがない。

何を無神経に此処でボーっと見ていたんだ。俺は馬鹿か。


焦り過ぎてすっころぶヴィエラをジェイドに任せ、俺はサラの後を追った。









「サラぁあああああああああああ!!!何処だぁあああああああああああああああ!!!!!」



叫びながら廊下を走る。この際、人目なんてどうでもいい。

ちらほら視線を感じるが、構わず俺は廊下を突っ走った。が、途中いきなり体が宙に浮く。


「落ち着きましょうねぇ」

「どぅわぁ!?」

「私ですよぉ、ミラです~」


どうやら、俺は抱き上げられたようだ。こんな所で身長の小ささが仇となるとは。早く来い、俺の成長期。

俺を抱き上げやがった張本人であるミラを一睨みして、早く下ろせと怒鳴ると、あっさりと下ろして貰えた。

畜生、胡散臭い笑顔しやがって。お前と天使(サラたん)は本当に血が繋がってるのかよ。だとしたら、遺伝子可笑しいだろ。


「いやぁ実妹の名を叫びながら廊下を走るミルディンが居れば、誰だって此処に来ますよぉ」

「え?あ、そっか。ローブないんだった。まぁいいや」

「よくないですねぇ。それで?どうして、サラを探してたんです~?あの子、何かやらかしましたぁ?」


ミラが首を傾げながら、俺に聞く。ふむ、此奴が匿っているわけじゃなさそうだ。


「いや、まぁ、ちょっと」

「そうですかぁ。先程、あの子泣いているように見えたんですがねぇ」


ばれてーら!

つか、見てたのかよ。捕まえろよ。


「声をかけようと近くに寄ったら、すんごいスピードで走り去って行きましたぁ。あの子、俊敏性だけは一人前ですねぇ」

「あぁそうかい……何処行った?」

「さぁ……廊下を曲がって行って、私も曲がったんですがもう姿はありませんでしたねぇ」

「そっか……何階?」

「一階でしたよぉ」

「ありがと」


さて、もう一度走るか……と、身構えた時、ふとある疑問をミラにぶつける。


「ミラさんってさ、魔力量多いの?」

「うん?そうですねぇ……比較的多かったですよ、昔は」

「……昔?今は?」

「今は……少々問題がありましてねぇ。要は、多過ぎて体への負荷が大きくなったんですよぉ。だから、よく外へ魔力を流さないと、体が受け入れ切れなくなりましてねぇ」

「……成長期、ですか」

「どうなんでしょう~。急激に増えたんですよぉ。そうですねぇ、八,九年前くらいですかねぇ……あまりに多くなり過ぎて、お医者さんに来て貰う羽目になったんですよぉ。元々魔力が人よりも少し多くて、それだけで幼い頃は体に負荷があったのにねぇ~」


他人事のように喋るミラの話に若干の違和感を覚えた。

……魔力が、急激に上がった?

そんな話聞いた事あるか?成長期なんかでは済まされない。急激に多くなって、体に負荷がかかり、医者が来るにまで発展するほどの成長期。

魔力は急激に上がる事はなく、微々たるように上げて行くのだと聞いたのに、これはあまりにも可笑し過ぎる。

勿論、小さい頃から魔法を使って魔力を無理矢理上げて行く方法もあるが、ミラの様子を見る限り『急激に増えた』事に間違いなさそうだ。つまり、ミラ自身小細工はしていない。

……何だ?この違和感。



魔力が急激に上がった(ミラ)と、魔力がほぼ皆無な(サラ)




―――偶然、なのか?









「……?」


何かが頭を過る。嫌な予感、いや、嫌な予想(・・)がつきそうだった。

だが、すぐに頭を横に振って、その考えを否定した。それは、あまりにも突飛過ぎて、自分でも頭が可笑しいと思えたからだ。

変な様子の俺を心配してか、ミラが不安気にこちらの顔色を窺っていた。


「……大丈夫、です」

「そう、ですかぁ?何だか、少し顔色が優れ無いような……」

「平気、なんです、けど……」

「……?どうしました?本当に……」


少し俺の考えをミラにぶつける。


「……ミラさんの御両親って、魔法や魔法の知識に長けていたりしますか?」

「魔法の知識、ですかぁ……」

「知識ではなくとも、歴史でも何でもいいんです。長けていたりしますか!?」


もしだ。もし、長けていたりするならば―――俺の考えは、もしかしたら当たっているかもしれない。


「……そういえば、母は昔魔法の歴史学を研究していましたねぇ」

「今は!?」

「しゅ、趣味でしているみたいですよぉ?どうしました?本当に」


俺の予想が、考えが、徐々に明確なものになって焦りが生じて来た。




―――母様と父様に呼ばれるの。“お前は出来損ないだ”って……


―――兄様が優秀なだけに……




サラは、両親からの風当たりが強い。ミラは、魔力量が多く、優秀だ。




……もし、だ。もし、ミラの魔力量は……俺の母と同じ方法で(・・・・・・・・・)生み出されたもの(・・・・・・・・)だったら?










そう―――禁術、だとしたら。











読んで頂き有難う御座います。


次回『俺、足りない頭を酷使します』

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