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俺、裏ボスになろうと思います  作者: 現実逃亡者
第二章:10歳in学校
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第20話:俺、入学します

あらすじ:入学式のようですよ。


ブクマして下さる方々、本当に有難う御座います。頑張って執筆して行こうと思います。

桜が舞い散り、若葉萌え、真っ青な快晴―――そして、今日から通う学校。

緊張と楽しみでいっぱいの朝。一体どんな生活になるのだろうか。



と、いうのが入学式の定番だと思うんだがねぇ。まさか、保護者すら参列しないとは。


おっと失礼。皆のアイドル・ティルフィーネだよ☆今日からこの学校とは思えない巨塔に通う事になってしまって、今すぐお家に帰りたい少年さ☆

もう本当に帰りたい……。


宿所にて。リーフに優しく起こされたと思いきや、リリアに叩き起こされ渋々要塞(ふとん)から出ました。

出たのが間違いだったんだ……目の前には、合格発表日に貰った制服を着て嬉々とポージングをするリーフと、仁王立ちして俺を温めてくれた要塞(ふとん)を剥がしたリリアが居た。

そのリリアの破壊力と言ったら。制服は勿論似合っていたのだが―――絶対領域である。黒いニーハイだかサイハイだか知らないが、そんな物を履いており、白い太腿が少し乗っている。プニッと感が出ており、可愛らしさと共に子供とは思えぬ色気を出している。何だコレは。こんなところに伏兵が潜んでいたとは。

一瞬で覚醒した。天敵(すいま)なんて居なかったんや。


「貴方も着なさい!」とリリアに促され、のんびり着替えてたらリリアに脱がされた。もうお婿に行けない。

案の定、制服はちゃんとサイズにジャストフィットする。これって全裸で着たら素肌にフィットするのかな。気になる。主に下半身がどうなるか気になる。

そんな下らない事を考えつつも、実際どういう機能でフィットするのかは気になる。どうなってんだろ。


「これって、どうなってるんだろうね。自分の身体に合わせる機能なんて」

「俺も気になってた」

「それって学園長が作ったらしいわよ。学園長に代々受け継がれていくんですって。ついでに、作成方法は守秘義務だとか」

「へぇ」


っつー事は調べる事も出来ないのか。残念。

俺は最後にローブを着るのだが、如何せん怪しさ満点である。いや、ローブは意外と薄いからあまり着心地は気にならないのだけども。

そして、革製のお気に入りのブーツを履く。リーフやリリアはローファーのような革靴だが。俺はそんなもん持ち合わせてはいないし、買おうとも思わないので割愛。


荷物を持ち、宿所の店員さん達にお礼を言い、宿所を後にした。


学校行きたくない。帰りたい。




まさか、異世界でも帰りたい病が発病するとは思わなんだ。





***




荷物は教員に渡し、寮のフロアに届けられるシステムだそうだ。

入学式が終わった後、各自のクラスへ向かって顔合わせをした後、入寮式?みたいな顔合わせをやってその時各々の部屋割りに荷物を持って行けとか。面倒臭いシステムである。


「あー帰りたい……」

「ティナ、駄目だよ……」


俺の呟きに、リーフが苦笑いしながら言う。うるせー、おめーは学校がどれだけ面倒か分からないから言えるんじゃー。

と、思ったけど、此奴は自主的に行きたがってたし、今日という日を楽しみにしていた節もあるから、あまり言わない様に心がけよう。うん、無理だろうな。


入学式。校門を潜り抜け、俺は戦場(がっこう)へと向かった。





***





列は自由、というか受験番号順だった。大体生徒の人数は3000人くらいらしい。つまり、過半数落ちたという事か。よく受かったなぁ俺。

陳列し、先生達の長たらしい話を聞く間、周囲を見渡すと俺を見る視線が多い事に気づく。まぁローブ着たまま入学式出席って失礼極まりないな。後でベテルギウス先生に頼んで許可貰おう。

ついでに話聞く間は、パイプイスのような椅子に座りっぱなしである。背中と腰が痛い。


意外とすぐに入学式は終わった。簡単に言うと、話を聞いただけで前世とは違い簡単だった。前世もこれくらい早く終わらせてくれりゃーいいのに。学園長人柄良さそうだし話短くて最高だったよ。

前世の校長先生はスタイリッシュな頭で神々しいほどに輝いてたからな。(別名:ハゲ)


さて、お次は教室で自己紹介やら何やらやるそうなので、ここらでリーフ達とはお別れだ。さらばだ、我が友達よ。俺はぼっち学園生活を満喫しよう。


「絶対遊びに行くから!絶対行くから!!」

「今生の別れじゃあるまいし、第一階が違うだろうが……」

「絶対行くからぁぁぁぁぁ!!」


リリアに引き摺られながらリーフは涙ながら俺と分かれる。リリアはサバサバしてたよ。冷静だったけど、「何かあったらすぐに言いなさい」と釘刺された。怖い。

ついでに、S~Bクラスは二階で、C,Dクラスは一階である。一々来なくていいとは言ったが、来そうで怖い。

そして、俺はそんな二人を見送り、Dクラスを集める教師の下へと足を運ぶ。


「あ、ティルフィーネ君」

「!えーと、ベテルギウス先生でしたね」

「一応教師陣には後で説明しておくが、学園長にはもう伝えておいたから。君はローブを許可するそうだ」

「うおおお!あざす……じゃない、有難う御座います!!」

「何か言われたら、私の名と許可貰った事を言うといい」

「はーい!」


途中ベテルギウスに話しかけられ、何ともまぁ良い事を聞いた。有難う、ベテルギウス先生。一生ついて行きます。

つまり、ローブの事を深く突っ込まれたら、「ひかえぇぇぇい!ベテルギウス先生が目に入らぬか!!」ってやればいいのね!素敵!

ウキウキ気分でDクラスを集めている教員の所へ行くと、既に人が集まっている状態だった。最後が俺だったようで、俺が着いた途端、入学式会場を出て廊下を歩く。すみません、遅れて。


何にせよ、此処ならあまり種族に関してとやかく言われなさそうだ。寮生活だし、基本町には出ないスタイルで行こう。

鼻歌交じりにゾロゾロと歩き出す皆と共に、先生の後をついて行く形で歩き出す。面倒臭いとか思ってたけど、ゲールが居ない分安心出来る。学校生活万歳。


……が、案の定視線が痛い。小声で「何で彼奴ローブ被ってんの?」って声が聞こえる。やめろ。生きててごめんなさいとか言いたくなるだろ。


豆腐メンタルでチキンガラスなハートがヤバい。粉々になって跡形もなく崩れ去りそうな予感。おっと、目頭が熱くなってきたぞ?助けて、リリア、リーフ。


だが、誰も助けてはくれない。この世は無情である。





***





教室は前世にある学校の教室と似たようなものだ。黒板ではなく、ホワイトボードみたいな白い板が張り付けられてるけど。

そして、教室には机が並んでいるのだが、何だか変わった形態をしていた。

一番前の横の列は机が三つ並んでいるが、真ん中だけ長い机だった。どうやら、二人用の机らしい。同じく二つ目の列もそうなのだが……最後は窓際と廊下側にだけ机が置いてある。真ん中の長い机が無い。

横三列、縦三列……いや、最後だけ縦横二列か。

兎に角、変わった形態である。


「自由席なので、お好きな席に座ってどうぞ」


髪をキッチリまとめ上げ、眼鏡をかけた妙齢の女性が告げると、皆一斉にワラワラ各々好きな席に座り始める。このクラスって全体人数十人なのか。

冷静な分析をしているものの、俺は窓際の一番最後の席をゲットした。景色いいなぁ此処。

ついでに、女性はどうやら俺らの担任のようだ。少し厳しそうなキツイ顔立ちをしている。でも、金髪碧眼は好きです。


席に着いても、未だこちらを物珍しげにジロジロ見て来る輩が居るな。おら、前向けお前ら。


「なぁ、何で顔隠してんの?」

「……あ?」

「うお、おっかねー。同じクラスなんだから仲良くしようぜ」


急に前の席に座った奴が話しかけて来た。栗色の髪で小さく後ろを結っており、大きく爛々とした若干猫目なのが特徴的な野郎だ。八重歯見せんな。思わず、不機嫌という言葉を表現したような顔になっちまっただろうが。

だが、気さくな奴は嫌いじゃない。お調子者は好きじゃないけど。


「オレ、ジェイド。ジェイド・アンバーってゆーの。お前は?」

「……ティルフィーネ」

「宜しくー!オレの事はジェイとでも何でも好きに呼んでくれや!」


ジェイ?J?やだ、そんな呼び名。


「ジェイドでいいだろ。俺はティナとでも呼んでくれ」

「ティナだな。長い名前だったから助かるわ」

「畜生、素直だな」


俺も思ってたけどさ!長ったらしいなって!!

まぁ此奴は好い奴そうだ。流石に十人クラスでぼっちって言うのも寂しいし、少しでも親しくなれたら幸いだ。

そんな無駄話を繰り広げていると、先生が徐に周囲を見渡すと、ホワイトボードに何か書き始めた。どうやら、名前のようだな。


「わたくしの名は、マリー・パルドと申します。得意属性は水。Dクラス担任となりましたので、以後宜しくお願い申し上げます」


淡々と無表情のままで告げると、静かに息を吸い言葉を続ける。


「皆様の中では、何故自分が受かったのか疑問を抱く方がいらっしゃるでしょう。しかし、こうして受かったという事は、皆様には“可能性が秘められている”―――つまり、将来性があると見込まれたのです。ですから、Dクラスと言えど、落ちこぼれのクラスではないという事だけはちゃんとご理解下さいませ」


成る程。そういえば聞いたな。可能性があると見込まれると、合格出来る事があるって。俺らはそういうクラスってわけか。

……だが、先生。十歳にその話は難し過ぎやしねえか?案の定ジェイドが俺の方向いて、「どういう意味?」って聞いてんじゃねえか。


「さて、お次は皆様が自己紹介して下さい。お名前と得意属性だけでいいですわ。まず……廊下側の方からお願いしますね」


そう言って、前に出たのは……濃い紫色の髪を持ったおかっぱ頭の少女だった。伏せた目と華奢な体つきには少し大きめな制服が映えるというものだ。萌え袖だ、可愛い。赤と紫のベレー帽も可愛い。そして、あの子自体超可愛い。激マブじゃん。


「……サラ。サラ・ボルボレッタ。得意属性は……水。宜しく」


……。

え、終わり?そのまま席に戻るところを見ると、どうやらマジで終わりのようだ。あんなんでいいの?そんなら俺早口で終わらせるけど。

しかし、とても綺麗な声だった。ソプラノボイスだけど、耳にキンキンと響かない落ち着いた声色だった。可愛い。

さて、二人目の男の自己紹介を聞き逃した。サラたんに見惚れてた。脚が凄い綺麗なんだ。タイツなんだ。タイツ派にはたまらんですな。俺はニーソ派だが。絶対領域最高だろ?

そして、三人目の男の自己紹介も聞き逃した。駄目だ、サラたんの魅力がヤバい。魅力が……二万……五百万……だと……!?(推測) 俺のスカウターがぶっ壊れた。更には四人目の自己紹介を聞き逃した。


途中から真面目に聞く事なく、俺は全て受け流した。もういいや。人の名前覚えるの苦手だし。


そうそう。『得意属性』だが、これは本人の魔力に合う属性の事だ。例えば、リーフだったら風属性が得意だと言っていた。

得意属性の魔法は、他の属性の魔法よりも無条件で威力が強まる。俺?俺は全属性が多分得意だと思うよ。

ついでに、属性は“火、水、土、雷、風、光、闇”の七種類だ。実は“無属性”という属性もあるのだが図書館で読んだ本によると、少々特殊というか幅広い割に、あまり扱われていない属性だそうだ。簡単に言うと、俺の使う≪転移≫などは無属性に入る。そんなわけで、俺は使える。

光と闇もまた特殊というか、初心者が扱える属性ではないらしい。何でも、魔力の消費が大きくなってしまい、魔力のコントロールが出来なければ扱えることが出来ないとのことだ。


……ふむ、得意属性何にしよう。火かな?火がいいかな?試験でも≪ファイア・ボール≫出してたし。


そんな事考えている内に、とうとう目の前の三白眼野郎のジェイドが自己紹介し始める。


「俺はジェイド・アンバー!得意属性は雷!将来は魔法剣士で、S級ランクの冒険者になる!どうぞ、宜しく!!」


ニコーッと営業スマイルでも文句ない愛想の良さである。笑う時の八重歯が輝く。あぁ、此奴絶対誰とでも仲良くなれるタイプだ。もっと言うならば、クラスに一人は居るムードメーカーだ。

そして、堂々とこちらに戻って来たと思ったら、「お前の番だぜ、ティナ!」とこれまた愛想良く言ってくれやがった。うるせえ、コミュ障なめんな。サラたんみたいな挨拶で終わらせる。


渋々と俺は教壇の方へと歩む。全く、十歳のクソガキになにやらせてんだ。

俺はジェイドと違い、愛想良いわけでもないし、サラたんみたいに元々見目麗しいわけではない。第一印象が大事と誰かが言っていた気もするが、俺にそんな格言は通用しない。


「……ティルフィーネ・エンドレス。得意属性は……火。宜しくお願いしやーす」


ま、こんなもんだろ。

満足気で席に戻ろうとしたら、マリー先生に呼び止められる。え?何で?駄目だった?


「フードを取ってから、ちゃんと御挨拶しましょう」

「……ベテルギウス先生に許可取ってます」

「……何ですって?」


訝しげに俺を見る。どうやら、完全に疑いかかっているようだ。子供にそんな目を向けると、アンタ信頼性なくすで。


「……理由を聞いても宜しいかしら?」

「その理由がフードを被っている理由なのでお断りします」

「……」


何だい何だい、その目は。未だ勘繰っていやがるな。元々つり目な先生は、それ以上目を細めると睨んでいるようにしか見えない。


「……どうしても、取れませんか」

「何で取らなきゃならんのです?」

「一応自己紹介とはいえ、人前に出るのですから常識的なマナーです」


成る程。一理ある。


……。


だが、うーん……。

俺が首を捻りつつ考え込んでいると、ジェイドがにこやかに手を振りながら、俺に言って来る。


「もしかしてー、入学試験で騒ぎになった“魔女の一族(ミルディン)”だったりすんの?」


……。



爆弾投下してきやがった、あのガキ!!



一瞬の静寂。無論、俺が否定も肯定もしなかったせいか、余計に視線が集まって来る。

俺は何も答えられず、ただ口をつぐんでいるしか出来ない。


此処で肯定すれば入学試験の時みたいに騒ぎになるだろうし、否定すればまたもやネチネチ理由を求められるのではないだろうか。さて、どうするか。

恐らく、リーフやリリアが居れば何とか誤魔化してくれただろうし、ベテルギウス先生やレアヴロードが居れば有耶無耶くらいには出来るだろう。……何だかんだで俺って人に頼りっぱなしだな。ちゃんと自分で考えるべきだろう、此処は。


よし。



「どうだろうねぇ。もっとヤバいもんかもよ」

「えっ何々!?例えば!?」

「……サイボーグ?」

「さいぼーぐ?何それ」

「…………全身、魔石人間、とか」

「適当!!ティナ適当!!」


少しだけだが教室が和やかになった。先程のピリッとした沈黙がなくなっただけよしとしよう。

俺はそのまま先生を放っておいて、席に着いた。ジェイドはニコニコと「魔石人間だとしたら、体重いんでねえの?」とふざけてくれている。助かった。ナイスクラスメーカーだ。


だが、勿論の事ながらそれで誤魔化せたのは生徒だけであり―――



「……ティルフィーネさん、後で廊下でお話があります」



大人(せんせい)には通用しないのであった。ガッデム!!




読んで頂き有難う御座いました。


次回『俺、入寮します』


現在、同時連載で『元英雄は、幼女と共に。』を執筆しております。

こちらもファンタジー系統となってますが、内容はコメディーというよりほのぼのとした雰囲気を目指しております。

暇な方、気になった方、是非読んで頂けると幸いです。

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