第1話:俺、転生して来ました
プロローグまでの経緯。転生しました。
※年齢を変更致しました。12歳→9歳
かつて、そう、前世の俺は普通の大学生だった。
日本という名の平和主義国の平和主義者(という名の堕落者)の日本男児。
普通の大学生さ。ちょっと漫画とラノベとアニメとゲームが好きな、普通の大学生さ。
無職童貞彼女居ない歴=年齢なだけさ。いや大学生は職業に入るか。無職ではない。
普通の一般家庭で平々凡々に過ごしていた。
ある日、普通に学校へ向かっていた。
いつも通りだった。
いつも通りの日常の一部のはずだった。
ある朝、たまには道を変えようかなという単なる気まぐれで、ちょっと違う道を通った。
人通りの多い道路。鼻歌交じりに、音楽プレーヤーを片手に。
好きなアニソンを聴きながら、横断歩道を渡っていた。勿論青信号だ。俺は良い子だから(強調)
だが、横断歩道を渡っている最中、ピカッと眩い光が、目に突き刺さる様に差し込んできた。
何だろう。
そう思って、ふと横目を向けると、
太陽光がミラーに反射させて、光を放っていた。
―――その光を放ったトラックがもう、俺の、目の前に、
***
目を覚ますと、何やら絵から抜き出たような美男美女が揃っていた。
男性は泣きながら狂喜乱舞しており、女性は優しい笑みを浮かべて俺を撫でていた。
何か話そうにも話せなくて。声は「あー」だの「うー」だの唸るような声しか出なくて。
赤ん坊である事が分かったのはもう少し後の事だ。
勿論最初は混乱したさ。
此処は何処?私は誰?ってな。案外余裕に見えるだろ?混乱してるんだぜ……
女性に抱き締められた時、把握した。
柔らかな感触。埋められる程の大きさ……何というたわわな巨乳。すごく……大きいです……
把握したのは、女性の胸だけだった。恐らくFはあるのではないだろーか。
次にやっとのことさ把握したのは、
異世界に、転生した事だった。
現実逃避をギリギリまでしていたが、母親の素晴らしい魔法(という名の父への暴力)で、認めざる得なかった。
最初は言葉も理解出来なかった。何喋ってんだ此奴らと頭を抱えてた。(赤ん坊だから抱える頭もないが)
日本語ではない言語に、戸惑いを隠せなかった。通知表で英語が2だった俺なのだから当然だろう。
だが、不思議と月日経ってくると次第に理解していった。
やっぱり現地とかに行けば英語とかも理解していくもんなんかな。
ま、言語が理解したのは約8~9か月頃。俺は賢く生まれ変わったのか?
トラックに轢かれて頭の打ちどころ可笑しくて、魂が異世界に行った挙句、天才になったのか?
天狗になっちゃうので、落ち着こう。最強なのはMy motherだ。俺ではない。
次に理解したのは、今生での自身の名前と、今生の父母の名前。
俺は、ティルフィーネ・クロスエンド。略称なのか、愛称なのか、父母には「ティナ」と呼ばれた。
お蔭様で半年くらいは「ティナ」が本名かと思ったよ畜生。紛らわしい真似しやがって。
夜の営みに励む前に育児に励め。
むしろ、自身の名より父母の名の方を先に覚えた。
母はフォルティア・クロスエンド。俺の名は母から取ったものらしい。ついでに姓も母のもののようだ。
父はアイナエル・クロスエンド。第一印象は「優男」だ。のほほんとしやがって……日本男児の大和魂が泣くぞ。
母はかつて「魔女」とまで言われて恐れられたらしい。
父が誇らしげに語っていて、母に魔法でぶっ飛ばされてた。もう驚かないぜ奥さん。
そんな母のヤンチャは度が過ぎているようで、無人島を一つ軽々とぶっ壊した事もあるらしい。
だから、「魔女」と呼ばれたのだとか。
その無人島を修復して、元に戻したのが父だそう。
ローブで身を包み、すぐ姿を消したせいか、周囲は女性だと勘違いし「聖女」と呼んだらしい。
修復した父に母が「何してくれてんだオラァ」と殴り込みした所、父に惚れられたとの事。
それで、執拗で熱心なアプローチに母が根負けし、結婚→俺誕生だそう。
何と言うか……ボコボコにされながらもアプローチした事よりも、そんな凶暴ジャイアントの何処に惚れたのか……
何かのフィルターでもかかってたのではないだろうか。
これを言うと、凶暴ジャイアントに怒られるのでやめておく。
簡単に言うと、俺は「魔女」と「聖女」の間に生まれた……生まれながらのチートを約束された存在だ。
魔法は幼少期から母に叩き込まれ、言語・算術の勉強の類や武器の扱い方は父に教わった。
だるかったけど、将来チートが約束されるなら楽勝じゃわい。ふぉっふぉっふぉ。
長くかかるかと思いきや、案外あっさりと終わった。僅か5歳の頃だった。
まぁ算術とかに関しては前世の記憶継いだ俺なら簡単だろう……何なら中二語で話すか?楽勝よ?
母曰く「飲み込みが早いし、私達の間に生まれたせいか魔術量半端ない」だそう。
嬉しい!!これでチートだ!!ひゃっほい!!やったよ、皆!
チートになってやってみたかった事は「いつもは落ちこぼれだけど、実際はチート」みたいなやつ。
目立たずに生きてて、いざとなると凄いチートみたいなやつ。活躍しちゃうやつ。
やってみたい。
けど、俺は目立たずに生きてはいけないらしい。
俺の髪色は前世にあった二次元世界でも珍しい銀髪と金髪のグラデーションだった。
毛先は金髪なんだが、徐々に頭皮に近づくと銀髪……簡単に言うと、上が銀髪で下が金髪のグラデーション。
そして、右目は金色。左目は銀色。お、俺の目が疼く……!と言いたくなるようなオッドアイだった。
母は金色の目で銀髪。父は銀色の目で若干金髪がかった限りなく銀髪に近い銀髪。
二人の間に生まれた証拠ね。DNA鑑定せずに済みそうなくらい分かり易い。
が、この派手な見目が目立つわけじゃないらしい。
俺は「ミルディン人」という、かつては「奴隷種族」と呼ばれ、現在では「魔女の一族」と呼ばれている種族だと。
魔女の一族は完全に母のせいである。
数多の貴族がその美しい見目に惚れ、奴隷にし過ぎて、数が減少。今では絶滅危惧種。
まさか自分自身が絶滅危惧種だとは。天然記念物にも指定してほしい。
だが、奴隷にし過ぎて絶滅て……うわぁ。
それに母が切れて、無人島がドカーンだそう。切れ過ぎにも程がある。
まぁ今ではおとぎ話に近い人種なので、目立つのは仕方がないとの事。しゃーねぇな。
もう稀な程にミルディン人の数は居ないらしい。
俺のレア度はSSSランクみたいな?カッケー(適当)
そんな中、ある日父は旅に出た。
5歳……俺が魔術など、あらゆるものを網羅し、免許皆伝したばかりの頃だった。
急に父は「旅に出る」と言い出し、俺の頭を撫で、母を抱き締め、母にぶっ飛ばされていた。
そして家から吹っ飛ばされて……そのまま……帰って来なかった。
心配だった。
聖女だか何だか知らないが、一応今世では俺の父親だ。
いや、色々教えてくれた。叱ってもくれた。心配もしてくれた。「一応」ではない。立派な父親だ。
母にいつもぶっ飛ばされてて、怪我していない姿を見た事の方が少ないが、父親だ。
だが、思いの外、母は特に気にする事なくケロッとした表情で、「心配ないわ」とだけ言っていた。
***
それから1年後。母も急に「旅に出る」と言い出した。
俺を置いて行くのかオカン……!と不安になったが、どうやら俺も連れて行ってくれるようだ。安心した。
ただ、何故旅するのか教えてくれなかったが。
厚手のローブ。父母がそれぞれ作ってくれた杖を二本持ち、他の荷物は『異次元収納』した。
『異次元収納』はその名の通り、異次元に収納する事だ。ハイレベルな魔法らしく、あまり人前で見せるなとの事。
簡単に言うと、四次元ポケ●トだな。だからと言って、便利な道具が出て来るわけじゃないぞ。収納するだけだ。
ついでにローブは白く、何となく高級感漂う代物で、膝下までの長さ。父からのお下がり。
胸元には宝石のような物が付いたシンプルな留め具がついている。俺のお気に入りである。
杖に関しては……誕生日にくれた。父母が一本ずつ。
母からは、第一印象『綺麗な杖』。白く清らかで、魔石が散りばめられている。
真ん中には大きく淡く七色に輝く水晶のような物が浮いている。どういう構造をしているのだろうか。
翼のような物も付いていて……その、女の子向けだと思う。俺の身長より長いし。超長いし。
父からは、第一印象『格好良い杖』。青く若干黒っぽい色合いで、三日月のような形をしている。
魔石も付いているが、三日月の形に目がいく。かっちょいい。ナウでヤングな感じだな。
そんで俺の身長より長いし。超長いし。
っつーわけで、「僕の身長に合わせてくれませんか」と上目使いで、きゃるんと頼んだところ、あっさり作って貰えた。
武器屋?何それおいしいの?父母武器も作ってくれるのよ?
派手だと目立つし、シンプルなのを頼んだら、本当にシンプルになった。
真ん中に星のようなクリスタルのような物が浮いてる。そんだけの杖。シンプルの中に美しさがある(評論家気分)
そんな杖を持ち、フードを目深に被り、目元と髪を隠す。
母も同様な感じで、ローブでほとんど顔も服装も見えないようにしている。
外に出ると、相変わらず綺麗な景色だった。
辺り一面の大草原と、崩れかけた白い神殿、僅かに残る花々。
この町(国?)には、俺ら以外の生き物は居ない。何故かは知らない。
そのまま、母の転移によって、俺は旅に出た。
***
で、
「何でこうなった」
大草原。辺り一面の大草原。開放感溢れる大草原。全裸になって、俺も解放感を味わいたい。
そんな草原に仰向けに寝そべり、青い空を眺めつつ、今の状況を整理している。
えーと……
5歳の時、父が旅に出る。
6歳で、母と共に旅に出る。(母曰く、父を捜索)
んで、彼是3年……母が物見遊山気分なのを知って、そのまま母失踪。
現在に至る。
「意味分からん」
誰か教えてくれ。俺が何故9歳にして、母に置いてかれねばならぬのだ。
いや、そもそも何処へ行ったのか。
いやいや、その目的は大事な息子を置いて行くほどに重要だったのか。
いやいやいや、何しに此処まで俺連れて来たん?俺必要ありましたか?
……分かる事は、唯一つ。
「此処から一人で生きろ、と」
とどのつまりはそういう事だろう。
酷い母親だ。巨乳だとて容赦はせぬ。
だが、9歳だからか、血が繋がっているからか、俺の息子は反応しなかったんだよな。
巨乳好きなのに。いや貧乳も好きっすよ?
まぁいい。置いてかれたのならば致し方あるまい。
俺は、俺の人生を歩もう。
母に言われた通り、自由奔放に、欲望に忠実に、前世の知識と豊富な『黒歴史』
これだけ揃えば、何にでもなれる気がする。
そんなわけで、
俺は杖を片手に、母から貰った本を胸に抱き、立ち上がる。
風が少し吹いてきたな。今はどのくらいだろう。まだ夕刻は来ないとは思うが。
少しずつ、進んで行こう。
―――裏ボスに、なる為に。
「さ、行きますかな」
こうして、俺の裏ボスへの道は開かれたのだった。
読んで頂き有難う御座います。
次回『俺、旅に出ます』




