ステータス その2
ギリギリ月曜日に間に合わんかった。
というわけで4話目です。
スキルの確認をし終わった俺は近くにいた猛に話し掛ける。
「なあ、自分のステータスもう確認したか?」
「ハッハァ! あれスッゲーよな。チート過ぎてやべぇよ。」
「ああ、ここまで来るとちょっと引くわ。」
良かった。どうやら、自分だけがチートって訳じゃないみたいだ。
「ほれ、これが俺のステータスだ。」
そういって、猛はステータスカードを見せてくる。当然、人に見られていないかを確認してからだ。
名前:大和猛
年齢:十七歳
職業:拳王
称号:異世界人 A組
Lv:1
生命力:1365(273)
魔力量:525(105)
力:5065(1013)
耐:1575(315)
器:435(87)
知:890(178)
心:1035(207)
運:940(188)
スキル:拳王スキル(属性魔法適正[体]Lv1 身体操作Lv1 武術Lv1 限界突破Lv1 瞬発力Lv1 ダメージ無効Lv1) A組スキル詰め合わせLvmax 筋肉圧縮Lv1 暴力Lv1
何とも偏ったステータス編成である。
何と言っても圧倒的なその『力』。他のステータスは俺より少々低いが、それを全く気にならないほどの『力』だ。
それにしても<拳王>は世紀末的な匂いがするが、大丈夫なのか?
「何ともお前らしいステータスじゃないか。」
「ハッハァ。この力への一点振り!最高だろ。
『器』の低さはちょっとあれなんだがな。
で、お前のはどんなだ?」
そう聞いてくる猛に俺のステータスを見せる。すると、猛はバカにしたようにゲラゲラと笑いだした。
「お、おまっ。ゆ、勇者って……。似合わな過ぎだろ。」
「うるせーよ、大きなお世話だ。それに仕方が無いだろ。」
「いやいや。無いわー。お前が勇者とは。世の中何が起こるかわからねぇもんだな。」
くそっ、馬鹿にしやがって。似合わないのは重々承知だ。
そう不貞腐れてると、会話に釣られてか向こうから九十九がやって来た。
「おーい、お主ら、何話しとるのじゃ? なにか面白い事があったのじゃ?」
「おう。いや今な、ステータスの見せ合いをしていたんだが、こいつの職業がもう似合わないの何のって。」
「何の職業なのじゃ? 妾にも見せるのじゃ。」
きらきらとした目を向けてくる九十九。
隠したとしてもどうせ猛にばらされる事になるだろうと諦めてステータスカードを見せる。
案の定、九十九は俺のステータスを見て笑い出す。猛も思い出したのか一緒に笑い出した。
いくら勇者が似合わないからと言って、そんなに笑う程か?
「おい、お前ら。いくらなんでも笑いすぎだろ。」
「す、すまんのじゃ。私のステータスを見せてやるから機嫌を直すのじゃ。」
適当なことを言って誤魔化そうとする九十九。
取りあえずステータスは見てやろう。
名前:稲荷九十九
年齢:16歳
職業:九尾
称号:異世界人 A組
Lv:1
生命力:1090(218)
魔力量:1635(327)
力:935(187)
耐:1015(203)
器:1425(285)
知:1380(276)
心:1245(249)
運:1310(262)
スキル:九尾スキル(属性魔法適正[火][土][闇]Lv1 人化Lv1 妖術Lv1 召喚[火の玉]Lv1) A組スキル詰め合わせLvmax 火耐性Lv1
猛のステータスよりはインパクトに欠けるが十分なチートだ。見ると魔法関係に大きな適正があるようだ。
召喚[火の玉]のスキルは面白そうだ。
そうこうしていると、アリーチェ姫が生徒達から離れて行くのが見えた。賽華も説教から解放されているようだ。
アリーチェ姫はこちらの方に振り替えると大きな声で呼びかける。
「皆様、ステータスカードの作成お疲れ様です。大勇者様を始め、勇者様も何人もおられて嬉しい限りです。お父様も喜ぶ事でしょう。
これからよろしくお願いしますね。」
「はい、よろしくお願いします。僕達がきっとこの国を救って見せます!」
そう答えるのはいつの間にか俺達の代表の様になっている聖野だ。まあ、職業が大勇者なのは彼だけの様だったから仕方がないか。俺は職業バラすつもりも無いし。
むしろ、問題なのは彼の発言だ。まるで全員が国を救う事を決めたみたいに聞こえる。
「ちょっと待つのじゃ、聖野君や。君は戦うかも知れんが、勝手に我々が戦う事にしてはいかん。
この中には君ほどの力を持っていない子も多いし、戦いたく無い子もいるじゃろう。」
そんな聖野に待ったを掛けたのは天神先生。俺達のクラスの担任で且つ校長でもある老人先生だ。先生の代表として聖野を止めに入ったのだろう。
「しかし先生、この国の人達は困っています。僕達はそれを解決する力を持っているし、助けを請われたのなら助けるべきです。」
「君は正義感に溢れた優しい子じゃ。だから、困っている人がいたら自分の事も省みず助けようとするのじゃろう。
しかしのう、君は戦争を甘く見ておる。いくら強い力を持っていようと死ぬ時は死ぬのじゃ。戦争に臨めばここにいる子達から何人もの死者が出るじゃろう。
本来君にすら戦って欲しくは無いのじゃが……。」
「僕達が戦わなければより多くの人々の命が失われます。それにこの国が無くなればどちらにしろ死ぬ生徒達も出てきます。」
「だからこそじゃ。自分の命くらい自分の判断で守りたいじゃろう。
せめて考える時間位与えてあげてほしいのじゃよ。
うむ。姫様もよろしいですかな?」
まだ納得いっていない様子の聖野だが、渋々頷かざるを得なかった様だ。それを見て先生はアリーチェ姫にも確認した。
「ええ、いいですよ。我々はお願いしている立場ですし。
丁度今から勇者様たちの来訪を祝して宴会を行おうと思っていた所なので、ご飯を食べながらでも考えて頂ければと思います。
因みに、その場にてお父様、ブルーノ王とも会って頂く予定ですのでよろしくお願いします。
それでは、会場へ案内致しますので私に着いて来て下さい。」
そのまま姫は生徒達を先導する。直ぐに生徒達もそれに着いていく。
俺達も行こう。
宴会場に向かう最中、賽華が話し掛けて来た。
「なぁなぁ。ステータスどんなやった? 自分もカード作ったやんな?」
「ああ、お前のお陰でな。あの後怒られていたけど、大丈夫だったか?」
「あんなん大した事無いよ。それよりステータスカード見せてーな。」
上手く話を逸らそうとしたが、起動修正されてしまった。仕方なくカードを見せる。
「ほらよ。…………笑わないのか?」
「ん? ああ、職業の事? 確かに自分、全然勇者似合ってへんもんな。でも、案外そう言う所あるねんで、気付いてへんかも知らんけど。」
少し真面目な顔でそう言う賽華。そう言われるのは、それはそれで何だか少し気恥ずかしい。
「で、お前のステータスは?」
それを誤魔化す様にそう言う。
賽華が取り出したステータスカードには次の様に書かれていた。
名前:摂津賽華
年齢:17歳
職業:賭博師
称号:異世界人 A組
Lv:1
生命力:1115(223)
魔力量:1010(202)
力:1130(226)
耐:990(198)
器:1530(306)
知:1185(237)
心:1480(296)
運:1750(350)
スキル:賭博師スキル(属性魔法適正[時][空]Lv1 賭博Lv1 極運Lv1 話術Lv1 手品Lv1 ポーカーフェイスLv1) A組スキル詰め合わせLvmax 真偽眼Lv1
やはり、賽華によくあったステータスである。職業等は元々その人に合った物がつく様だな。
それにしても、属性魔法の属性って幾つ有るのだろうか? 結構な数有るみたいだが。
そうやって話しをしているうちに、宴会会場に着いたようだ。
ついでに、後で聞いた話なんだが、賽華は事前に俺の職業について知っていて、大笑いした後だったらしい。真面目な顔は笑うのを我慢してたからだと。
くそっ。
台風よその場にとどまって、今日の学校を休みにするんや!
次の更新は今日出来るよう頑張ります。
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