ステータス その1
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「それでは、皆さんにもステータスを測ってもらいましょう。」
そう言うと、後ろに控えていたメイド達が一斉に前に出てきた。それぞれが先程の鑑定玉を持っている。
しかし、ステータスか。自分の実力を数値で見れると言うのは非常に魅力的だな。
あの姫は、この勇者召喚によってステータスが数倍に跳ねあがると言っていた。それがどれだけ本体に影響を及ぼしているのかは必ず知る必要がある。それに、俺の力がこの世界で何処まで通じるかも知っておかなければ不味いだろう。
あと、スキル。聖野のスキルを見るに、元々使えていた能力がスキルに変わったと言うのではなく、新しい力として手に入ったと見るべきだろう。
聖野が地球でも魔法を使えたとは流石に思えない。
それなら、スキルという新しい力を試さなければならない。
そう考えるとステータスを測りに行くべきなのだが……。しかし……
鑑定玉を持つメイド達の方に目をやると既にその前に何人も並んでおり、自分の番を今か今かと待ち望んでいる。
ステータスカードをもらった者達は、メイドや姫にステータスカードを見せて、自分のチート能力を絶賛されたり、仲間内で自慢しあったりしている。
……やはりか。姫やメイドは必ずステータスカードを確認している。気配からして、天井裏の人間も漏れ無い様に見張っている。ステータスを測るとその情報が向こう方にバレてしまうわけだ。そうなると、どう考えても厄介だ。
俺を含めA組の飛び抜けた能力を見たら、マークされるのは確実であろう。
今も列に並んでるのはB,C組の連中だけで、A組やB,C組でも注意深い奴は様子をみている。
ステータスカードを見せない事も考えたが、それはそれで怪しまれるだろう。
まあ、カードを正直に見せるよりはよっぽどましだろうが。
しかし、このまま様子を見ていても埒が明かない。俺一人ならカードを作らなくてもバレないかも知れないが、流石にA組全員がステータスカードを作らないとなると向こう方にバレてしまう。
そう考えていると、視界の隅に列へと向かう賽華の姿が映る。
何をするのか見ていると、列を無視して真っ直ぐメイドの所まで行く。
「なぁなぁ、メイドさん。」
「どうかなされましたか?」
「 ちょっと玉もらうでー! こんなちまちまカード作ってたってしゃあないやん。直ぐ出来るんやからどんどん回して行った方が早いし。堪忍なー。」
そう言って鮮やかな手つきで鑑定玉を奪った賽華は、走ってこちらに向かって来る。
なるほど、これなら目立ちはするだろうが、そこまでマークされる事も無いだろう。それも、その目は賽華だけに向くから他の人には被害が無い。
「待ってください! 勝手に測られては困ります。」
「ええやん直ぐ返すんやし。そんな目くじら立てんでも。あたし並ぶのって苦手やねん。」
そう言いながら玉を此方に放り投げて来た。
直ぐに誰かが玉をキャッチして、カードができ次第次の人に回していく。
すぐに俺の所にも周ってきたので、同じようにカードを作ってそのまま回した。
騒ぎに気付いたのかアリーチェ姫と騎士たちがようやく駆けつけて来るが、少し気付くのが遅い。既にほとんどの人に玉は渡り終えている。
たどり着いた頃には既に全員がステータスカードを手にした後で、玉は他の連中の所まで流れて行っていた。
賽華が騎士や姫に怒られているものの、大した事は無いようだ。
内心ではステータスを知ることができず怒っているだろうが、ここで激怒すれば明らかに怪しいからな。一先ず安心していいだろう。
それよりも、自分のステータスが気になる。さっさと見てやろう。
周囲に注意しながら、一度ポケットにしまったステータスカードを取り出す。
名前:久世双
年齢:16歳
職業:真の勇者
称号:異世界人 A組
Lv:1
生命力:1390(278)
魔力量:980(196)
力:1310(262)
耐:1215(243)
器:1520(304)
知:1495(299)
心:1360(272)
運:1125(225)
スキル:真の勇者スキル(全属性魔法適正Lv1 全状態異常無効Lv1 光神の加護Lv1 自動回復Lv1 限界突破Lv1)A組スキル詰め合わせLvmax 努力成長Lv1
……取り敢えず、ステータスを見た事を後悔した。
色々突っ込み所が多すぎてどうすればいいか分からん。
まず、手始めに。
真の勇者ってなんだよ!
恐らくは大勇者の上位職業なんだろうが、何で俺が。そもそも、俺は世界を救うつもりも無いし、規律正しい生活をしてきたつもりもない。
まあ、真の勇者に関してはこの位でいいだろう。何だかんだ言って、それに相応しいだけの実力は有るわけだし。
で、その実力、基礎ステータス。
だいたい騎士団長の2.5倍って。全部の基礎ステータスが約2.5倍何だから、実際の実力は…………数千倍倍って所か?
例えば、他のステータスが全く同じで、生命力だけが10と20で違う2人がいるとする。この二人が戦った場合、20の奴が生命力を10まで減らして勝つ事になるだろう。
と言うことは、二人の実力の差は丁度2倍。
これが全ての値に当てはまると考えると、全部の値が2倍なら、2の8乗で256倍と言う事になる。
もちろん、これが正しいとは限らんが、2倍のままと言う事は流石に無いだろう。
というわけで、相当チートだな。
まあ、基礎ステータスに関しては半分くらい分かっていた事では有るからな。こんなもんで済んだと見るべきなのかも知れない。
で、どうしても許せないのが一つ。
もちろん、A組だ。
確かに武都高校2年A組はチートクラスかも知れない。常識ではあり得ない様な人間?ばかりだ。
それに、こちらの世界にAという文字も無いのかも知れない。
でも、だからと言って、称号:A組 は無いでしょ!! 大雑把過ぎる!
あと、A組スキル詰め合わせっていうスキルも。他と名前が違い過ぎるでしょ! 当然の様にLvmaxだし。
……まあ、決まってしまったものは仕方ない。弱くないだけましと言うものだ。
しかし、A組のスキルってどういうスキルなんだ? そう思ってステータスカードを見ると、A組スキル詰め合わせLvmaxから注釈が開かれた。
<A組スキル詰め合わせ>
A組に所属する者が所持するスキル。
高速思考、身体操作、格闘術、料理、妖術、習得、賭博術、仙術、急所狙い、暗殺、科学、超能力、超感覚、封印術、錬金術、医療、戦闘術、感情制御、記憶強化、精神操作、以心伝心、情報秘匿、能力無効、剣術、狙撃、演技、世話、武器使用、詐欺、神力操作、エネルギー変換
の31スキルを統合したスキル。
……もう、突っ込まない。
能力が、クラスメイトの個性と重なるな。
一人を一つのスキルとして考えれば、先生5人を含め31名。
つまりはそういう事だろう。
今度は称号の方に意識を向けてみる。
すると、先程と同じ様に注釈が開いた。
<異世界人>
異世界から来た証。
全ステータスに+100%
<A組>
武都高校2年A組に所属する証。
全ステータスに+400%
と、言う事だ。A組は相変わらず壊れ性能だな。
聖野のステータスから考えて、人類の希望と同じだけの性能だ。
よし、ステータスは確認出来た。予想の斜め上だったが把握はした。
スキルは結構使い勝手が良さそうだ。有効活用させて貰うとしよう。
電車が止まったせいで代表サッカー見逃してもうた。悲しい。
次の投稿は少なくとも月曜日になると思います。休日少し忙しい。