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クラス全員異世界無双  作者: 家人
第2章 人鬼の森
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護衛 その2

本日2本目です。少し短目です。

俺も最初は全く尾行には気付いていなかった。気付いたのはほんの少し前、ゴブリンが誘導されている事に思い至った時だ。


ゴブリンを誘導するにはその誘導先を見るための目が必要だ。

そういった場合、遠見や千里眼等と言った遠くを見るためのスキルや、位置特定などのスキルを使うのが一般的だ。しかし、それらが使われたような魔力の痕跡は無かった


ならば、誰かが直接見ている訳だが、少年達5人の中にそれらしい動きをしているものは居なかった。


すると、俺達以外にこの場に居ることになるのだ。だが、それまで俺は何度も周囲の気配を探っていたにも関わらず、そんな存在は感知出来ていなかった。

もう一度尾行の存在を念頭に置いて気配を探ると、辛うじて違和感を感じる場所を見つけた。


言われなければ気付かない程の違和感だ。勘違いでは無い筈だ。

かなり隠密能力が高い事が伺える。



直接会うにしても少年達に会わせるのはまずいか。少年達にバレた時に何をするか全く読めない。


ちょうど先程のゴブリンが近づいて来ている。


「そろそろ、休憩は終了だ。もうすぐさっき言っていたゴブリンがここに来る。お前達はそれを相手してくれ。俺は少し遠くから見ている。」


そう言って茂みの方に去る。聖野がなにか言いたげにこっちを見たが、俺が躊躇なく出ていくのを見て、皆に戦いの準備をするように言っている。



俺は真っ直ぐ、違和感のあった場所まで行く。

そこまで行って未だ位置を特定出来ていない尾行者に向かって話し掛ける。


「なあ、ここに居るのは分かってるんだ。単刀直入に聞こう、何が目的だ?」


気配を完全に掴んでいるかのように振る舞う。

すると、前方からチッという音が聞こえたかと思うと、一人の男が姿を現す。


緑と黒の迷彩柄のスーツで身を包んだ男は黙ったままゆっくりとこちらに向かって歩いて来る。


「何だ? 何か答えてくれると助かるんっ……‼」


俺がそう言い切る前に男が急に加速して突っ込んで来る。いつの間にか手には短刀が握られている。


咄嗟に体が動き、半身になって男の刺突を避ける。

危ねえ。避けた事で外れた視線を男に戻すと、既に短刀を逆手に持ち、その切っ先を俺に向けて横に振っている。


上半身を仰け反ぞらせると、その上すれすれを短刀が通り過ぎていく。

何とか避けれたがこのままではじり貧だ。

おれは仰け反りの勢いをそのままにバク転で相手から距離をとる。


男はその動きを警戒したのか直ぐには追ってこない。何とか時間を作れたようだ。

俺はその間にようやく腰にさされた剣を抜くことが出来た。剣さえ抜いてしまえばこちらのものだ。


再び距離を詰めてくる男に剣を向ける。

少し距離のある位置から再び刺突をしてくる男。しかし、不意さえつかれなければどうということは無い突きだ。

その刺突を態と剣に当てる事で体一つ分反らす。


結果、相手の右腕が延びきり無防備になった胴体が晒される。

大きな隙が出来た。俺はそこに迷うことなく剣を降り下ろした。



しかし、聞こえて来たのは金属同士がぶつかり合った甲高い音。見ると、男は左手にもいつの間にか剣を握っていた。


くそっ、もう一本あったのか。

だが、今の攻撃で左手は痺れてしばらく使えないはずだ。


今度は俺の攻撃ターンだ。俺は剣を振るって攻撃を仕掛け続ける。男は辛うじて攻撃を受け、流し、避けているが、一発毎に余裕が無くなって行くことが分かる。


「さて、何かしゃべる気になったか?」


俺の目的は彼らを殺す事ではなく、情報を聞き出すことだ。故に問いかけて見たが、黙りのまま攻撃を捌いている。


「そうか、残念だ。」


答えないならば仕方がない。

短くそう伝えると、俺は剣を一層強く握って掬うように切り上げる。


男は短刀で防ごうとするが、…甘い!

持っていた短刀を吹き飛ばしそのまま切り上げる。男は避けて当たっては居ないが、獲物を一本失った状態だ。


反す刀で剣を降り下ろす。

男は残った一本で防ごうとするが、体勢の整わない状態で俺の全力攻撃を受けて耐えきれる訳がない。

そのまま吹き飛ばされ、そばに生えていた木に叩きつけられる。


俺は止めを刺すべく倒れている男に近づく。


「最後にもう一度聞こうか。言うつもりは無いか? 今なら助けてやらん事も無いぞ。」


一応聞いてはおこうとそう訊ねるが、案の定男は何も喋らない。

仕方がない。

俺は持っていた剣を振り上げる。

そして、剣を降りおろし始めた瞬間、真後ろから殺気がはっせられたのを感じた。ほぼ直感だけで、体を真横に投げ捨てる。


何が起こったのかとそちらを見ると、全く同じ格好をした男が小太刀を持って立っていた。

俺が最も周囲の気配から疎くなるであろう、止めを刺す直前での攻撃。非常に危なかった。


避けられた事を悟った男は剣を仕舞い、懐から何かを取り出す。

その手には丸い物体が握られている。そして、それをこちらに放り投げてきた。


爆弾か!

俺は安全に、遠ざかってそれを避ける。

バンッと音がすると、玉のあったあたりから大量の煙が放出される。


しまった、煙幕か。


慌てて敵の気配を追おうとするが、相手は気配を隠す事に関してはプロだ。その気配が感じられない。闇雲に動いて追おうとするが気配は捉えられないし、極端に狭まった視界には映らない。


しばらくして煙が晴れると、そこにはさっきの戦闘が嘘かの様に何も無くなっていた。倒れていた筈の男を含めて。


くそっ。逃げられてしまったか。

しかし、まさか2人組だとは思わなかった。


諦め切れずもう一度気配を探るが、今度こそ何も感知出来なかった。



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