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人生こんなところで終わらせてたまるか!第27話

 あたし佐伯美保子は28歳、アラサーまっただ中。某都市銀行の地方支店で働くOLで、身長180センチ、元レスリング部、よく街で男の子に間違われる残念系。

 5年越しのお付き合いの末、婚約者の齋藤丈治に別れを告げ、婚活を始めたあたし。出会い系サイトで誤って出会ってしまったゲイのおっさん権藤さんからなんと偶然、あたしの初恋の人である星夜くんに再会し、相思相愛に!

 と思ったら、銀行ではお局様、清井さんが誘拐される事件発生! 事件は元刑事の探偵であるゲイのおっさん権藤さんや星夜くんも巻き込んで次第に深刻さを増していく! そこに宗教団体から追われて逃げてきた元フィアンセ丈治が加わり、なんていうか、修羅場!?

 ひょんなことから事件解決の糸口が見えたと思ったら、あたしら襲撃に遭い、拉致された先にはあれれ? 清井さん?


 どうなるあたしの恋路!?


 ドキドキ婚活ストーリー!

 あたしは夢を見ていた。

 何故かあたしは中学生になっていて、グランドを何周も何周も走っている。先生に何度も叱咤され、「もっと速く」「もっと速く」と急かされた。残り1周がいつまでも終わらず、一体いつになったら最終周が終わるのかとイライラしていた。焦りと、苛つきと、全身の疲労感。それが頂点に達しようかという時、あたしの視界に、ある男の子が映った。体育館からこちらをじっと見つめる瞳。あたしの背丈の半分くらいしかないんじゃないかと思われる小柄な男の子。けれど、その瞳は大きく、睫毛も長い。切れ長な目がこちらを向いていた。

「美保子、がんばれ」

 その瞳があたしに訴えかけてきた。あたしは少し力を与えられたようになり、最後の力を振り絞ってまた走った。すると、さっきまでトラックだったはずの道がまっすぐになる。あたしはひたすらそれに沿って走るのだけれど、ゴールは全く見えなくなり、トラックの道は地平線のずっと向こうまで伸びきってしまった。

「佐伯は身長はあるんだが、脚がな……」

「先生、あたし、まだ走れます!」

 どんと、背中を衝かれた。トラックは瞬く間になくなり、転げ落ちるように転落していく。やがて、視界にマットレスが現れ、ふわりと着地する。まるで重力がなくなったかのように。

 かと思えば、今度は足下に衝撃を受け、あたしはもんどりうった。

 だめだ、背中……背中を……。

 体を無理矢理ねじり、伏せるようにする。両手を広げて、地面にはいつくばる。

「このぅ!」

 歯を食いしばって、見えない相手から逃げまどう。目の前にあるラインに向かって体を移動させようと必死になるあたし。あともう少し、あと……。

 と、そこに手が差し伸べられる。あたしはその手を掴んだ。がしっと掴まえてくれたその手は大きく、力強く。そして、優しく。

 あたしは、その手に導かれるように、力を抜いた。すると、体が宙に舞う。まるで、羽が生えたように……。

 

 と、そこで、目が覚めた。

「起きた?」

 あたしは眠気眼で、清井さんを見た。

「あ、あたし、どれくらい寝てました?」

「それほどじゃないわよ。多分、二時間くらいかしら?」

「そうですか」

 その割には、かなり寝たような感覚だった。

「じゃあ、まだ昼前くらいでしょうか?」

「そうね、多分お昼にはなってないと思うわ」

 あたしは、清井さんに借りたお布団から起き出した。ふと、頬に違和感を感じて、手で触れてみると、湿布と絆創膏が貼られていた。

「清井さんが貼ってくれたんですか? ありがとうございます」

「いえ。でも、酷いわね、女の子にこんなこと」

「あたしは、もう女の子と呼ばれる歳ではないですから」

 あたしは苦笑いしながら、そう答えた。さすがにアラサーで『女の子』はないだろう。

「さて、やりますか」

 あたしは、立ち上がって、準備体操を始めた。特に、ストレッチで各腱をのばしておく。

「やるって? 何をするの?」

 清井さんは、あたしを不思議そうに見つめた。

「脱出できそうなところを探すんですよ」

「だから、どこも無理だって……」

「多分ですけど、この扉……」

 と、あたしは入り口の鋼鉄製の扉を指さして、

「後で建てつけたものだと思うんです。でも、工事の仕方も雑に見えますから、意外に外れるんじゃないかと思いまして。あと、ここがダメなら、窓の鉄板あたりとか。どこも雑ですから、多分素人仕事なんじゃないかと思うんですよ」

「そう……なの? さすが、佐伯さんね。あたしにはマネできそうにないわ」

 清井さんは、呆気にとられたような顔をした。

「じゃあ、ここからやってみますか」

 入り口の扉の様子から見始めた。あたしが言った通り、建て付けはあまり良くない。ただ、鋼鉄製なことには変わりなく、並大抵の女性ではびくともしないだろう。

「多分、体当たりすれば、なんとかなるとは思うんですけど、あんまり大きな音も立てられませんから、ちょっとづつ」

 そう言ってあたしは外開きの扉の鉄柵を掴み、思いっきり押してみた。びくともしなかった。思ったより頑丈だった。ただ、扉と壁を繋ぐ部分がキシキシと音を立てている。やり方次第では、なんとかなりそうか?

「大丈夫?」

 清井さんは心配そうにあたしに聞いた。

「ん……。ちょっと分かりませんけど。もしかしたら……」

 あたしは再度力一杯、鉄柵を掴んで、扉を押してみた。頭に血が登るのを感じた。

「んー!」

 やっぱりダメだった。

「ちょっと、別のところを……」

 と、振り向こうとした瞬間。

 ドーン!

 という、爆発音が階下からして、ビル全体が揺れた。

「な、なに?」

「え?」

 あたし達は、驚いてお互いを見つめた。

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