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人生こんなところで終わらせてたまるか!第22話

 あたし佐伯美保子は28歳、アラサーまっただ中。某都市銀行の地方支店で働くOLで、身長180センチ、元レスリング部、よく街で男の子に間違われる。

 5年越しのお付き合いの末、婚約者の齋藤丈治に別れを告げ、婚活を始めたあたし。出会い系サイトで誤って出会ってしまったゲイのおっさん権藤さんからなんと偶然、あたしの初恋の人である星夜くんに再会し、相思相愛に!

 と思ったら、銀行ではお局様が誘拐される事件発生! 事件は元刑事の探偵であるゲイのおっさん権藤さんや星夜くんも巻き込んで次第に深刻さを増していく!

 そこに宗教団体から追われて逃げてきた元フィアンセ丈治が満身創痍で現れ、気になる課長からは個人授業に誘われ、きゃー! あたし、どうしたらいいの!?

 そして、事件解決の糸口が見えてきたと思ったら、今度は修羅場!?


 どうなるあたしの恋路!?


 ドキドキ婚活ストーリー!

 まずは、丈治の変装だった。これが意外と大変で、サングラスはなんとか見つかったものの、丈治が着られるような服がなかった。あたしも結構大柄なので、なんとかなると思いこんでいた。丈治はここにいる間あたしの部屋着を着ていたものだから。けれど、あたしの部屋着はもともと大きめのものだった上、よくよくみてみると、結構足の長さとか合ってなかったりして。部屋の中だったので、それほど気にしていなかったのだけれど、いざ外出となるとさすがにみっともない。

 あたしは寝室の中を漁って、色々出してみたけれど、いくら身長が同じくらいと言っても、やっぱり男と女では体格が違うのだと思い知らされた。丈はなんとかあっても、胸囲がびちびちだったりして、どうにも様にならない。

 そんなこんなで、結構な時間を掛けて、ようやく着られた組み合わせは、どうお世辞に言ったとしても、似合っているとは言い難い姿だった。しかも、季節に合わない重装備。頭からすっぽりとスカーフで巻いて、サングラスを掛けた大男。どうみても、目立つ。

「でも、仕方ないわよね。これ以上どうしようもないもの」

 あたしは溜息をついた。むしろ女装させた方がよかっただろうか。でも、カツラがない。

「でも、これでなんとか…」

 丈治は仕方なしに、あたしに同意した。パンツがパッツンパッツンで、締め付けられるのだろうか、なんとなく内股っぽくしているのがまたさらに怪しげな風合いを醸し出していた。多分、あたしが知らない人なら、必ず吹くと思う。

「とにかく行くわよ」

 権藤さんに電話してから、もうすでに30分以上は経過していて、間もなく深夜になる。さすがにこれ以上は時間はかけられない。あたしは、そんな丈治を押し出して、マンションの部屋から出た。

 マンションの出口では、一応用心のためあたしが先に玄関から出た。深夜の住宅地。周りには誰もいない。

「大丈夫、誰もいないから」

 丈治は、どこからどう見ても変態にしか見えない様相でマンションから出てきた。

「こっち」

 あたしは、できるだけ人通りが少ない道順を選ぶことにした。もちろん、教団の人達に会わないようにではあるが、一般の人達にも極力会いたくない。正直言うと、その教団の人達とは絶対に会わないだろうとあたしは高を括っていた。それより、この変態姿を一般の人達には見せたくない。というか、あたしが一緒にいるところを見られたくない。

 駅前までは、ほとんど裏道を使い、人通りの少ない道順で行けた。ただ、さすがに駅前通りとなると、それも難しく、あたしが路地から表通りを伺いながら、人気のないタイミングで二人で飛び出すという、姿形も変な二人組が、行動も怪しいという風景になってしまった。教団に見つかるより先に警察に捕まりそうだ。

 それでも、なんとか『サンセット』のある雑居ビルに辿り着き、二人で急ぎ階段を下りていく。

「こんばんは」

 あたしがバーに入っていくと、すでにカウンターには権藤さんと…星夜くんがいた。

「げげ」

 思わずあたしは小声でそんなオヤジ声を出してしまった。権藤さんが連絡したのだろう。まあ、当然と言えば、当然なのだろうけれど。

「よお。…えっと、そちらが、電話で話のあった?」

 最初に口を開いたのは星夜くんの方だった。もう概要は権藤さんから話がいった様子。

「ええ。こちらが、齋藤丈治さん。わたしの…知り合いで、その…宮崎を知ってるって。それで、実は色々あって、ある団体から追われてるので、ここまでは変装…というか」

 丈治がドアをくぐって店に入ると、星夜くんと権藤さんが一瞬驚いた顔をしたのを、あたしは見逃さなかった。

「……あ……」

 星夜くんは、一瞬言葉を失った。

「……そっか、それでね。まあ、二人とも、こちらに」

 しばらくの沈黙があって、星夜くんはいつもの奥のテーブル席にあたし達を導いた。

 丈治は、店に入ると、サングラスとスカーフをとって、あたしの後ろについてテーブル席についた。それでも、女性モノの洋服をまとっているのは、見るからに明らかだった。

「あら、良い体してるわね」

 権藤さんが、丈治の姿を見て、一瞬素に戻った。

「あ、これ…あたしの服なんです…その、ちょっと、色々あって…」

 星夜くんの顔が一瞬陰った。

「あれ?もしかして、丈治…じょうじ…って、美保子ちゃんの元フィアンセ?」

 権藤さんの記憶の良さにはあたしも頭が下がった。確かに最初に会ったときに、京子が何度か名前を言ったかも知れない。あたしは権藤さんがそれを忘れているのを期待していたのだけれど、無理だったようだ。

「え? ……へぇ、そうなんだ……」

 星夜くんの声は、明らかに敵意のある低い声だった。そ、そりゃ、そうよね!

「あ、あの……その……まずは、ここまでの事情を説明しますね」

 と、あたしは、おおざっぱに、丈治に関する事情を話し始めた。

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