人生こんなところで終わらせてたまるか!第2話
あたし佐伯美保子は28歳、アラサーまっただ中。某都市銀行の地方支店で働くOLである。
身長180センチ、よく街で男の子に間違われる。大学時代は女だてらに女子プロレスにはまり、全国大会で決勝まですすんだこともある。
大学在学中に、齋藤丈治と出会い、結婚を前提にお付き合いを始めた。去年の秋にプロポーズしてもらい、それぞれの両親への挨拶も済ませ、来年には結婚の予定だったのだ。
ところが、急に別れ話をもちかけられた。その理由が宗教団体へのお布施のため、結婚資金を注ぎ込むことになったのという!
そんな男、こっちから願い下げだわ!
そして、婚活を始めた。どうなる、あたし!?
ドキドキ婚活ストーリー!
「はぁ?別れた?」
社員食堂で京子は呆れたような、それでいてやっぱり?みたいな、声であたしに聞いた。
「そうなの、昨日別れた」
あたしは、きっぱりとそう言った。
「ねぇ、なんで、なんで?」
京子は芸能レポーターよろしく、手に持ったスプーンをマイクのようにあたしに向けた。あたしは、かくかくしかじかと、昨日の昼にファミレスであったことを京子に聞かせてやった。
「はぁ…宗教ねぇ。それで結婚を破談にするって?…まあ、あたしは前からあいつは何かしでかすタイプだと思ってたけどねぇ」
京子はカレーライスをぱくりと口にした。確かに、京子は彼の事を最初からよく思っていなく、彼と付き合い始めた時も、彼からのプロポーズを受けた時にも、「考え直した方がいいわよ」と、何度もあたしに諭していた。けれど、初めてのプロポーズに舞い上がっていたあたしはそんな親友の助言も聞き入れず、彼と結婚の約束をしてしまったのだった。
「そうは言うけどさぁ…こんなことになるなんて、わかんないじゃん」
あたしはサラダにフォークを突き刺しては混ぜ、突き刺しては混ぜして、野菜をぐちゃぐちゃにしながら言った。
「いーえ、あたしは分かってたわよ。勘っていうのかな。第六感? あたしは絶対あなたにはあいつは似合わないと思ったし、結婚してもうまくいくとは思えなかったもん」
京子はドヤ顔で言ってのけた。
「よかったじゃない、結婚してからじゃなくって。してからだったら、もっと大変だったわよ」
確かに京子の言い分は正しい。たとえあのまま結婚できたとしても、いずれはこういう日がきていたかもしれない。いきなりバツイチつくのも考えものだ。
「まあ、たしかにそうなんだけどさぁ…。でも、あたしの5年間を返してって感じー!」
彼と付き合い始めたのは23歳の時、すでにアラサーのあたしにとっては、この5年間はとっても大事な時期だったのだ。彼と結婚できないとなると、さて、これから相手を探すとなるとこれはまた大変な話なのである。
あたしはフォークの先でプチトマト突き刺した。赤い果汁がぷちゅっと飛び出した。
さて、あたしの事を話そう。
あたしは、佐伯美保子。今年で28歳。アラサーまっただ中。某都市銀行の地方支店で働くOLである。
身長180センチ、よく街で男性に間違われる。大学時代は女だてらにレスリングにはまり、全国大会で決勝まですすんだこともある。オリンピック候補まではいかなかったけれど、強化選手にどうかと推薦されそうになったことがあるくらいの実力はあった。
大学在学中に、彼、こと齋藤丈治と出会い、結婚を前提にお付き合いを始めた。去年の秋にプロポーズされ、それぞれの両親への挨拶も済ませ、来年には結婚の予定だったのだ。彼丈治は、身長195センチの巨体で、同じくレスリング部所属だった。彼の成績自体は芳しいものではなかったけれど、体に似合わない、優しい性格だった。そもそもあたしの身長に釣り合う相手を探すのが難しいところに、趣味も合う、性格もよいということで、あたしにはうってつけの相手だったのだ。
だった、はずだった…。
「あいつってさ、よく言えば優しいけど、悪く言えば優柔不断だし、周りに影響されやすいじゃん。しかも、根暗だし、カルト好きだし、オタクだし。宗教にはまったって聞くと、ああ、そうかぁって感じよ」
京子は丈治のことを散々に言った。
京子は、あたしの高校時代からの親友で、良くも悪くもあたしの参謀役。でかい体で力持ちのあたしに、頭も良く悪知恵のきく京子はある意味ベストパートナーだった。
「よし!男探す!」
あたしは、京子にそう宣言した。
あたしの人生、こんなところで終わらせてたまるか!っての。
そして、あたしのドラマチックな婚活は幕を開けた。




