崩壊
あぁ、平和だ。なんて平和なんだろう。誰も死なない、永遠の世界。
俺には彼女しか見えていなかった。それ以外のものが、存在しないかのように感じていた。
世界には俺と君、2人だけだ
なぁ、幸せだろ?俺も幸せだよ。なぁ、なんで何も言わないんだよ、なぁ・・・・
俺はおかしくなってしまったんだろうか、この世界がおかしいんだろうか。時は動かず、まさに永遠
そのはずなんだ。なのに、君は何で離れていくんだ
「ごめん、もっといい人見つけたんだ。これっきりにしようよ、私たち」
なんで?君が告白してきたんじゃないか。君は俺を命を懸けて助けようとしてくれたじゃないか。なのに、俺よりいい人だって?ふざけてる、おかしい、こんなことあるものか
あぁ、俺にはタイムスリップ能力があるじゃないか。俺のこと嫌いになる前に戻って、彼女を引き留めよう
・・・・・なんだろう、何か違う。俺は本当に彼女が好きだったのか?俺はだれが好きだったんだ?俺の見てた世界は何だったんだ?
いったい俺は誰なんだよ!!
・・・・時間はとめどなく流れる。永遠はない。永遠に感じるのはただの錯覚。人の命は永遠ではない。人の心も永遠ではない。人の詩は変えられない。どんな手段を使っても、運命には、抗えない・・・・・
俺は自分の部屋の隅でうずくまっていた。目はどこを見ているわけでもなく、ボーっとしている。俺は精神的にぼろぼろになっていた。
そりゃそうだ、だって、何回も危険な目にあって何回も好きな人の死ぬところを見て、精神がぼろぼろにならないはずがない
好きな人も助けられないのに、俺の、俺に急についたこの能力は、いったい何のためにあったんだ?
「ねぇ、戻りたい?」
すると目の前に髪の長い少女が現れた
「過去は変えられないのにどこに戻るっていうんだよ!」
俺は怒鳴った。そして怒りをぶちまけた
「まず、お前は一体誰なんだ?!お前が俺に能力をくれたんなら、俺はいらねぇ、さっさと、とって行ってくれ!俺はもう、死にたいくらいボロボロなんだよ!何度も地獄を見た、タイムスリップしたせいで!もううんざりなんだよ、この能力も、お前も、自分さえも!」
すると、こんな俺とは正反対に少女は冷静に答えた
「タイムスリップ持つ前に戻りたい?」
目の前が、だんだん白く輝く。俺はなぜか少女に手を伸ばしていた
「待って・・・・俺は、まだお前に・・・・・」