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新リア王 と 誰も言わない その小説の魅力

作者: 乃木坂 佑一

200字読み進めて「ふええ、生臭いよう。おじちゃんたちどうしてそんな利権まみれなの?」

そんな小説を初体験したい方に。

アナタは 新リア王 という小説を知っているだろうか?


「リヴィエラを撃て」で超有名な高村薫大先生の作品でかつて日本経済新聞に掲載されてなぜか諸般の理由で打ち切りになった曰く付きの小説である。


実は筆者は日経新聞においてナゼこの大先生の小説が打ち切りになったか、大体の理由がわかってしまう当時、その内容をリアルタイムで購読していた人間である。


内容はあるとき 禅寺草庵に出家していた主人公マザコンに、「伯父」で東北に地盤ある代議士センセイが突然に押し掛けてくる。タテマエは主人公の母の法要だの、出家した「甥」の状況が気になって様子を見に来ただのとってつけたような理由をもっともらしく語るのだが。


実はこの2人血のつながった親子で、父親は自分のアトをついでもらいたくて、息子である主人公はそんなことは先刻承知で、自分は出家した身だとイヤミマシマシで禅の講話をこの母親を夫である実弟から寝取った男に説いて「ぶぶ漬けいかがどす」とばかりな対応をするのである。


オヤジもオヤジで懸想した弟の嫁であった主人公の母親をなんとか口説き落として「真実の愛(笑)」で

できた息子を母親への固執も相まってなんとか後継ぎにしたいというアブラギッシュな中年オヤジの欲望

丸出しな願望を政治家センセイの顔の厚顔無恥で塗り固めて挑むのである。


その合間の行間なんだが、ここに高村薫大先生の日本語技術が見事炸裂する名文となる。この代議士オヤジ

息子の説得に来たのだがオチ目とは言え「案件」が携帯にきたりはしばしに政治家センセイの仕事してるなな

形跡が見えたり、合間に思考の解説が入ったり。とにかく文章が「生臭え」。ここ禅寺なんだけど。


そして禅寺に出家したマザコン息子なんだが、そのオヤジが思考してることや所作の理由が「わかっちゃう」のである。ここで筆者も含めた読者は「アンタやっぱそのオヤジの息子だよなあ」と納得するのである。

一方でマザコン息子はそんな母親を寝取った大っ嫌いなオヤジと実は同類である自分がキライでキライで

自己嫌悪たっぷりにオヤジを早々返した後は不浄煩悩退散!とばかりに禅の修行にいそしむのである。

この難解かつ、京極夏彦の「鉄鼠の檻」を思い出す博覧強記は実は主人公の自己嫌悪の表現であり

内容にあまり意味はないと筆者は認識している。


そういうわけで当初はこのオヤジ禅寺に来る政治な生臭え話マシマシ(話す内容は高尚なのに)で追い返す。息子VSオヤジパートが続くのだがつぎの段階になる前にこの小説は打ち切りになるのである。


筆者が関心感動して驚いたのが日経新聞の1000字に足らない連載内容で200字から匂ってくる

政治家さんな内容の生臭ささで、たぶんこれが関係者の燗に触って打ち切りになったのではと推測する。


毎度読むたびに「うーんナマグサ。オヤジいい加減にしろよ。アブラギッシュでナマグサ最低だろ」

と思ってはいたが。誰かモデルでもいたのだろうか?


少なくとも日経新聞関係者やオヤジ読者はそういう妙にリアルな政治小説はお呼びでなかったらしい。


なぜそう思うのかと言えば、打ち切りになった後、そのあとの連載は当時の日経新聞会長のお気に入りの


渡辺淳一センセイのエロ小説「愛の流刑地」だからである。


このセンセイの小説内容はプロットは毎回違えど起承転結は毎度同じなので、その上内容よりセンセイの

アバターともいえる主人公がエロエロに好き放題するのがなろうに30年先駆けてやってきたお約束なので、この事件から日経新聞が高尚だ女性活躍だと抜かすとハナで笑うのが常になったのである。


高村薫大先生について女性だからと忌避したり表現があまりお好みではない方もいるらしい。しかしながらかの故石原慎太郎先生が「リヴィエラを撃て」を絶賛しただけのことはあり、その表現言語技術は日本の作家さん屈指であると筆者は認識している。


最初の10ページで「ナマグサああ」な文章を体験してみたい方は是非お勧めするのである。

当時、日経新聞としては初の打ち切りとなり。高村薫センセイガチギレのあの事件と小説。


あのナマグサさをもう一度。たぶん高村薫大先生でないとあの文章は無理。

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