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プロローグ

 俺は理解が早い方だ!!…っていきなりこんな事を言われても信憑性が無いと言われるかも知れない。というかなんでそんな事をいきなりならば証拠を示そう。

 「おう兄ちゃんどうしたぼけっとして」

 街道の真ん中で立ち尽くしているとトカゲの様な見た目をした筋骨隆々の男から話しかけられた。

 「冒険者ギルドって何処にあるか知ってるか?」

 「ああ…冒険者ギルドなら直ぐそこにあるが…王都の冒険者ギルドの位置もしらねえとは新人か?」

 「新人と言えば新人だな。教えてくれてありがとう!」

 俺はトカゲ人に挨拶をしてその場を離れる。これで分かってくれただろう。俺は異世界転生をしてしまったのだ!そしてそれは約三時間程前のこと、いきなりヨーロッパみたいな所に放り込まれたと思ったら、うさ耳生えてるやつは居るは、さっきみたいなトカゲ人は居るわで、明らかに俺の知っている世界では無い。いや…厳密にいえば知らないわけでは無い。

 異世界転生の漫画を読んだことは普通にあるし、そういうジャンルがある事も知っていた。しかしあくまで創作の話だと思ってたし、まさか自分が転生するとはおもわなんだ。

 「まあ、折角異世界転生したんだし…魔法とかスキルとかでじゃんじゃん活躍しちゃうぜ!!」

 ただ、転生が嫌かというと別にそんな事はない。寧ろ厨二心がくすぐられるってもんだ。


 トカゲ人に教えられたように進むと如何にも西洋風な如何にも冒険者ギルドという風体の建物に到着した。

 「っしょっと」

 扉を開けるとチリンチリンと鐘が鳴り、俺が入ったことを知らせる。

 まずは冒険者になるために登録とかいるだろ。カウンターらしき所には受付の女性が立っている。カウンターまで行くと受付の女性から声を掛けられた。

 「こんにちは!ご用件は何でしょう?」

 「冒険者になりたくて来ました!」

 「冒険者の新規登録ですね。では必要事項についてご説明と何点か質問させて頂きます」

 良かった。何か特別な試験とかは要らないみたいだ。これで紹介状が必要だの、決められた日にテストだの何だの言われたら困る。非常に困る。そういったことが無いのは非常に助かる。


 「ご年齢は?」

 「17」

 年齢制限とかあったら困るがまあ、本当の事を言っておく。

 「出身地域を教えてください」

 あー…出身ねぇ…まさか日本というわけには行かないしなあ…そうだ、お決まりのやつで行こう。

 「東の方から来ました」

 「…!」

 受付のお姉さんの顔がなんか驚いた様な顔になってるが…なんかまずったか?

 「どうかしましたか?」

 少しおずおずと問うてみる。

 「ああ、いえすみません。東の国ヒノモトへと通ずる街道は最近魔物が多くて危険だったので…良く無事だったなと」

 「あはは…」

 なんとか切り抜けたか…しかし東の国は『ヒノモト』か。日本やんか。草。余りにもご都合主義過ぎるけどまあ良いか。

 

 「ありがとうございます!では最後に…適正検査を受けて頂きます」

 「適性検査?」

 まさか…不合格者は冒険者になれない…?

 血の気がさーっと引いていくのが分かる。そんな様子が分かったのか受付のお姉さんは、大丈夫と言わんばかりに言う。

 「適性検査と言ってもあくまで目安です。成長すれば変わることもありますし、もし能力が低くても冒険者になれないと言うことはありません。検査の結果に合わせてアドバイスはさせて頂きます」

 ほう…それなら良いんだけど。安心した俺の様子を見てか、何やら箱の様な物を取り出した。

 

 「ではこちらに触れてください」

 「何ですかこれは…」

 「こちらは御鏡の箱といいまして、五つの能力を才能、訓練度、知識、健康状態を総合的に考慮して示してくれる物です」

 「へぇ」

 どうやら凄い物のようである。まあ、ゲームとかで言えばレアアイテムなんだろうな。言われるがままに触れてみることにした…すると

 「うおっ!!」

 「きゃっ!」

 一瞬光ったと思ったら直ぐさま収まった。周りに居た冒険者達も一瞬どよめいたが、収まった。

 光の原因はこの箱だ…ということはもしかして俺すげえ能力あるんじゃねえのか!?お姉さんもビックリしたような顔をしている。

 「すごいこれなら、あっ…」

 「えっ…」

 ビックリしたような顔をしたお姉さんが少し引きつった様な顔をした。え、なんか嫌な予感がするんですけど。

 「あのー良い知らせと悪いしらせがあるんですが…どちらから聞きたいですか?」

 えぇ…どゆこと…

 「うーん」

 まあ、好きな物は後のお楽しみとして残しておくタイプだから悪いやつから聞こうかな。

 

 「良い知らせからで」

 無理だった。やっぱり怖かった。食べ物とは話が違う。

 「では…おめでとうございます。賢さについてですが、ほぼ最高ランクの評価です!」

 「おお…!」

 どうやら凄い賢いらしい。学校の成績はあんまり良い方じゃ無かったし、特段頭が良かった気はしなかったけど、地頭が良いって事か?

 「これはですね、過去の大賢人にも匹敵する可能性があります。是非とも活躍して頂きたいです」

 「ありがとうございます!…で悪い知らせというのは?」

 俺が問うとお姉さんは困った顔をした。

 「あの…このまま私からのアドバイスに移らせて頂いても大丈夫なんです。ちゃんと不利益が出ない様にするので」

 よほど言いたく無いのだろうか。寧ろ気になる。お姉さんの親切心を無駄にしてしまうようではあるがどんなことにせよ、しっかり受け止めて進みたい。

 

 俺は力強く首を振った。

 「どんな事でも受け止めます。事実である事には変わりないし、…逃げたく無いんで」

 何故か俺は日本での事がふと頭をよぎった。

 「さすがですね。大賢人になり得る人ですね。愚問でした」

 では、とお姉さんは口を開く。どんな事でも俺は受け入れる。五つの内どれかが余り良く無いのだろう。それは乗り越えて行くしかねえ。

 「その他の項目ですが…攻撃力、防御力、素早さ、魔力共にこれまで見たことも無いぐらいに低い結果です…」

 「え……?……んぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!??????」

 えっ…どゆこと…??一つ二つ低いじゃなくて、全部?しかも、これまでみたこともないぐらい…?

 「え…全部…」

 「はい…」

 凄く申し訳なさそうなのが逆に、悲しくなってくる。ただそんな事に構ってられるほど俺はまともではいられなかった。

 「あは…あはは…」

 悲しい現実プラス、ある意味トラウマを刺激されたと言っても過言では無かったからだ…









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