猫カフェを異世界で開くことにした
橘 信司は、猫をかばって車にひかれてしまった。
猫。
可愛らしくてもふもふしていて、つれない態度を取るくせに、人の股間でうずくまって寝てしまう、あの生き物。
それを助けるためならば、命も惜しくなかった。
目が覚めると、ファンタジーな世界が広がっていた。
そして、そこには猫がいた。
白くて毛の長い、オッドアイの猫。
信司がなでると、猫がついてきた。
信司はこの世界で猫カフェを行うことを思い立った。
ノウハウは生きていたときに散々通った猫カフェの記憶でまかなえる。
丁度、飲み屋の二階が貸し出しされていた。
信司はそこを借りることにした。
飲み屋の女将に言うと、不思議そうな顔をされた。
「猫カフェ? 猫のいるカフェて言うお茶屋さんのことかい?」
「はい、猫はいるだけで癒やされる神聖な生物です。もふもふとした手触りと言い、冷たい目線と言い、たまりません」
飲み屋の女将は信司が熱く語る様子を見て、頷いた。
「そんなに言うなら、やってごらん」
「ありがとうございます!!」
こうして信司は異世界で猫カフェを開くこととなった。