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うちの神様の間違った転移でおおごとに! 女神の使いにされて、僕を頼られても困るのだが……。  作者: とらむらさき


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88話 アンテス領

 イツキさんからは、良い返事をもらえたので、今は彼女が合流するのを待っていた。

 その間に、アンテス領へ行くメンバーを再確認する。

 ルビーさんたちと一緒に、イーロさんと五人のブラックドラゴンたちもついて来てくれることとなった。

 それは、心強く、とてもありがたいことだった。

 だが、今回は、エルさんもついてくることになってしまった。

 サンナさんとハンネさんはありがたいけど、エルさんが何かやらかさないかという不安のおまけ付きだ。




 数日が経った。


 「遅くなり、申し訳ありません」


 「いえいえ、急な要請だったのにありがとうございます」


 イツキさんがカーディア城に到着したので、僕が出迎えた。


 「アルタさんも、イツキさんのお迎え、ありがとう」


 「いえ、アスール様がご迷惑ばかりかけてますから、これくらいはどうってことありませんので、気になさらないで下さい」


 アスールさんにはもったいない部下だ。


 イツキさんとアルタさんのことを考え、出発は翌朝として、二人にはゆっくりと休むように伝えると、そこへ、兵士が現れ、僕に手紙を渡す。

 それは、マイさんからの手紙だった。


 『いつまでダラダラしてんのよ。暇なんだから早く来なさいよ』


 僕は手紙に目を通すと、イツキさんに渡した。

 彼女はその手紙を見ると、「フフフフフ」と殺気を込めて笑いだす。

 そばにいるこっちも怖いんですけど……。


 「フーカ様、マイに会うのが楽しみですね」


 「そ、そうですね」


 彼女の笑顔が怖すぎる……。



 ◇◇◇◇◇



 翌朝、僕たちはフリーダさんとイーリスさんに見送られ、旅立とうとする。


 「ちょっと、待って下さい!」


 僕たちは、ルビーさんの背中に乗ろうとするところをフリーダさんに止められる。


 「姉さん! 何してるんですか! 澄ました顔でルビー様に乗らない!」


 「痛い! そんなに強く引っ張るな!」


 彼女はアスールさんの耳を摘まんで、引っ張っていく。

 また、紛れて乗ろうとしてたのか……。


 アスールさんは、フリーダさんに叱られ、渋々ドラゴンの姿へと変わる。

 そして、僕たちは、ルビーさんではなく、アスールさんの背中へと乗ることにした。

 やっと、出発できる。


 僕たちは、今度こそ、フリーダさんとイーリスさんに見送られ、旅立つことが出来た。




 飛び立って、しばらくすると、アスールさんが長い首をひねって、こちらを振り向く。


 「なあ、飛ぶのがかったるいのだけど、どうしよう?」


 彼女はそう言うと、飛び方がフラフラとしてくる。


 「ちょっ、な、何を言い出してるの!? っていうかフラフラしてるから! ちゃんと飛んでよ!」


 「そんなことを言っても、なんだか、羽ばたくのも面倒くさい」


 いつの間にかダメなというか、怠惰(たいだ)なドラゴンになっている……。

 僕たちは、上下左右にフラフラとする彼女の背中で青ざめる。

 高度も下がってきているような……。

 ルビーさんたちは、こちらを不思議そうに見ている。

 見ていないで助けて欲しい。


 「アスールさん、高度が落ちてるよ!」


 「ん? そうか? そんなことはないと思うぞ」


 飲酒運転や居眠り運転の車に乗っている気分だ。

 それくらい怖い。


 すると、ネーヴェさんがそばに寄ってくきた。


 「アスール、何を遊んでるんですか? 高度を上げてしっかりと飛びなさい! フーカ様たちを落としますよ」


 「ん? 落としたりなんかしないぞ」


 アスールさんは、ネーヴェさんの方へ振り向くと、フラフラと彼女の方へ引き寄せられていく。


 「コラー! 危ない! そんなそばまで近付いてくるんじゃない!」


 ネーヴェさんが瞬時に離れる。

 彼女とニアミスを起こしそうになるアスールさんの背中に乗る僕たちは、生きた心地がしない。


 「アスール! あんた、酔っぱらってるの?」


 「違うぞ。飲んでなんかいない。眠いだけだ」


 再び近付き、声を掛けるネーヴェさんに、アスールさんが返事をする。


 「「「「「……」」」」」


 僕たちとネーヴェさんは、その言葉を聞いて言葉を失った。

 そして、僕たちはさらに青ざめる。

 本当に、居眠り運転でした。


 皆が僕のそばに集まってくる。


 「自動車とかの乗り物が生産されるようになったら、寝不足やお酒を飲んで運転するのを強く禁止しないといけませんね」


 シャルはこんな時に何を言っているんだと思ったら、恐怖で思考がおかしくなっているようだった。


 「フー君、アスールさんをシャキッとさせないと、事故ると思います」


 確にヒーちゃんの言う通りだ。

 しかし、どうしたら……。


 「ここは私に任せて下さい!」


 ケイトはそう言って、アスールさんの首へ近付く。

 彼女が何をしようとしているのか分からない僕たちは、彼女を不安げに見守る。


 「アスール様! 飛べない竜は、地竜と一緒ですよ!」


 「なっ! ふざけるな! わしはちゃんと飛べるぞ!」


 ケイトの言葉を聞いて、アスールさんがしかっりとした力強い飛び方へと変わった。


 パチパチパチ――。


 僕たちがケイトに拍手を贈ると、彼女はドヤ顔で戻ってくる。

 ケイトのこういうところは、さすがだと感心してしまう。




 安定した飛び方になったアスールさんは、たまにフラフラしだしたが、ケイトが声を掛けると、すぐにシャキッと飛ぶ。

 そして、無事にアンテス領の領内へと入った。


 畑と小さな集落が点在するのどかな風景の中を飛んでいくと、首都ダススレン市が見えてくる。

 カーディア市の半分くらいの広さで、年季を感じる高い城壁に囲まれ、どことなく古臭い感じのする首都だった。

 もう、マイさんが制圧したので領都と呼ぶべきか。


 市の中心に古風な城が見えた。

 あれがダススレン城か。

 僕たちはその城を旋回して、着陸できそうな場所を探し、手ごろな広さの城の庭へと降り立つ。




 マイさんとシリウスは、数人の兵士を連れて僕たちに近付いてくるが、その表情は、目を点にして驚いていた。

 二人はさらに近付いてくると、マイさんがハッとした表情をして(きびす)を返す。


 「シリウス! マイさんを捕まえて!」


 「はっ!」


 彼は僕の言葉を聞くと、瞬時にマイさんの腕を掴んで捕らえた。


 「シリウス、放しなさい! 私は急ぎの野暮用を思い出したのよ!」


 「フーカ様の命令のほうが上位になりますから、無理です」


 「なっ! 裏切りものー!」


 「マーイー。色々とやらかしているみたいね」


 「ヒィー! お、お姉様、き、気のせいです。それより、何でここに?」


 「フーカ様から役職を与えられたからです」


 「そ、そうなんですか」


 マイさんは顔を真っ青にして、あたふたと落ち着きをなくす。

 イツキさんの効果は抜群だった。


 そして、シリウスが「部屋を用意しているから詳しい話しはそこで」と、僕たちを城内の会議室へと案内をしてくれるのだった。




 会議室に用意された席へ皆が座る。


 「フーカ君、ちょっといいかな? 何で、ドラゴンが増えてるの? それも武闘派のブラックドラゴンが……」


 「それは、私も気になります」


 マイさんに質問をされると、シリウスからも声が掛かる。

 僕はリンスバック領でのクーデターの経緯を話すと、二人はウンウンと頷いたり驚いたりと表情をころころと変えていた。


 「んー。それで、フーカ君は何しに行ったの?」


 「グッ……」


 また、言われた……。

 言われるとは思っていたが、ニンマリした表情のマイさんから言われると悔しい。

 そして、シリウスは苦笑して僕を見つめていた。

 ここは、早く話題を変えないと。


 「その話しはこの辺で終わりにして……」


 「あっ! 逃げる気? ズルいわよ!」


 「もっと重要な話しがあるんだよ! マイさんが勝手に軍を率いてアンテス領へ行ってしまったことのほうが問題だから」


 「なっ!」


 マイさんはすくっと立ち、逃げようとしたが、アンとオルガさんが彼女の肩を押さえて椅子に座らせた。


 「マイさん、何で逃げるの? アンテス領を制圧したんだから、これは功績だよ。逃げないで話してよ」


 僕がニンマリすると、彼女は悔しそうに僕を見る。


 「ここの領主、エイルマー・フォン・アンテスは、私と昔から交流を持ってるから、私が行った方が話しが早いと思ったからよ。それに、カーディア帝国の情報を流してくれていたから、ないがしろにできなかったのよ」


 彼女はふてくされたように話す。


 「それって、マイさん一味だったの?」


 「一味って何よ! 悪いことはしてないわ!」


 悪いことをしてないかどうかは怪しいが、マイさんの情報源の一人だったようだ。

 このくらいにして、マイさんにアンテス領制圧の功績に見合った褒賞をあげないと。


 「マイさん、アンテス領制圧の功績に対して褒賞があるんだけど」


 「何それ! 褒美がもらえるの? やったわ! フッフッフー」


 彼女はワクワクした目で僕を見てくる。


 「マイさんへの褒賞は、優秀な副官です。イツキさんが副官として、マイさんの手助けをしてくれます。良かったね!」


 「良くないわ! そんな褒美、いらないわよ!」


 「イツキさん、あんなことを言ってますけど」


 「あらー。マイは断るのね。それも実の姉をいらないだなんて……」


 マイさんの顔から一気に血の気が引く。


 「(つつし)んでお受けします!」

 「後でお仕置きよ!」


 二人の言葉がかぶった。

 マイさんはイツキさんの言葉に、恐怖からか固まってしまい、ピクリとも動かなくなってしまった。

 運が悪い。

 イツキさんを副官として認めたのに、後でお仕置きなんて、可愛そうに!

 でも、僕はちょっと嬉しい。




 マイさんが正気を取り戻すのに、少しの時間を費やした。

 その間に、シリウスをイーロさんに紹介してから、お茶を飲んで和やかな交流会を楽しんだ。


 「人が固まっている間に、何を和やかにお茶を楽しんでんのよ!」


 マイさんが戻ってきた。

 彼女はうなだれながら、手をパンパンと叩くと、扉が開き、やせ型のお爺さんが現れる。


 「マイ! 遅いわい! 年寄を待たせるな! って、イツキもおるのか!?」


 何だか元気のいいお爺さんだ。


 「エイルマー、この子が王様のフーカ君。それと、後は愉快な仲間たち」


 「バカかー! そんな紹介があるか!」


 「エイルマー、そんなにカッカすると、ぽっくり逝っちゃうわよ」


 「黙れ! お前のせいだろうが!」


 「「「「「……」」」」」


 この人が領主のエイルマーさんか。

 それにしても、二人の会話に入る隙は無く、僕たちは呆然としているしかない。

 エイルマーさんはこちらを見た。

 そして、僕に向かって仰々(ぎょうぎょう)しく頭を下げる。


 「お恥ずかしいところをお見せして申し訳ありません。陛下。わしは、このアンテス領を治めておりますエイルマー・フォン・アンテスと申します。お見知りおきを」


 「フーカ・モリ・ユナハです。よろしくお願いします」


 僕は椅子から立ち、頭を下げると、彼は驚いていた。


 「ねえ、規格外の面白い王様でしょ!」


 「お前は黙っとれ!」


 マイさんが口をはさむが、エイルマーさんに怒られ、口を膨らませてふてくされる。

 何だろう。

 マイさんのせいで、とっても茶番な感じがする。


 イツキさんが見かねて、エイルマーさんにエルさんたちとルビーさんたちを紹介する。

 彼は口をあんぐりと開けて、少しの間、放心すると、マイさんを睨みつける。


 「マイ、このバカタレが! 何が愉快な仲間たちだ! 各国の元首と重鎮の方々ではないか!」


 彼はマイさんを怒鳴りつけてから、ルビーさんたちとエルさんたちに向かって頭を下げた。

 そして、頭を上げると、僕の隣にいるシャルを見て青ざめていく。


 「な、なんと、シャルティナ皇女殿下までおるではないか! マイ、き、貴様というやつは……。大概にしろ!」


 彼は、マイさんのせいでフラフラしはじめる。

 アンさんが、彼に椅子を持って行き優しく座らせた。

 彼は「ありがとう」と言って、彼女を見て仰天する。


 「ア、アーネット殿!?」


 彼は椅子に座りながら、頭を抱えてしまう。

 一人、マイさんだけがゲラゲラと笑っている。

 しかし、彼女の笑いも長くは続かない。

 イツキさんが彼女の背後に立ち、こめかみに拳を当て、梅干を与えたからだ。


 「ぎゃぁぁぁー! 痛い、痛い、お姉様、許してー!」


 何だかとても疲れる……。




 場が落ち着くのを待ってから、エイルマーさんに色々と質問をすることにした。


 「あのー、エイルマーさんは、新教貴族派閥なんですよね?」


 「表向きだけというか、そもそも、そんな派閥に我が家系が入った記憶はないのです。アンテス家が貴族派閥時代からの古参メンバーじゃから、加えられていただけです。それに、ハウゼリア新教を信仰するなんて寒気がしますわい」


 「それって、貴族派閥が、いつの間にか新教貴族派閥に改名されたってこと?」


 「はい、その通りです。文句の一つでも言えれば良かったのですが、ボイテルロックの持つ力は大きかったので、歯向かうことはせずに、従っているふりをするしかなかったのです。申し訳ない……」


 彼は頭を下げて謝罪する。


 彼の続きの話しでは、バルベ領とマイネ領も同じ境遇だそうだ。

 その話しを聞いて、カーディア帝国の領地をユナハ国として統一するのは、そんなに難しくないと思った。


 しかし、エイルマーさんの一言で、その思いは崩れた。

 クレーメンス・フォン・シュミットが、マイさんに制圧される少し前に訪れてきて、反ユナハ国を掲げた反政府組織に加わるように接触してきたそうだ。

 そして、エイルマーさんは、クレーメンスがバルベ領とマイネ領にも接触していると断言するのだった。


 これで、バルベ領とマイネ領の制圧をこちらも急がなければならなくなってしまった。

 余計なことばかり企んで、嫌な奴だ!



 ◇◇◇◇◇



 翌日、バルベ領とマイネ領のことで話し合いをするため、僕たちは会議室に集まった。


 「クレーメンスがバルベ領とマイネ領にも接触している以上、こっちも早く動かないと、バルベ領とマイネ領がクレーメンスに取り込まれるかもしれない。そこで、バルベ領を先に制圧したいと思うけどいいかな?」


 僕が皆に向かって話すと、揃って頷いてくれた。


 「フーカ様。アンテス殿より、クレーメンスのことを知らされたヘルゲ様が、機動を重視した騎馬隊のみで編成した部隊と飛竜部隊を率いて、すでにバルベ領へと向かっています」


 シリウスの発言に、僕たちは少しホッとする。

 ヘルゲさんが先行してくれているのなら、僕たちは、追いつけばいいだけだ。


 早くヘルゲさんと合流したい。

 しかし、アンテス領をどうするかをまだ決めていなかった。

 エイルマーさんは貴族派閥だったけど、新教貴族派閥ってわけじゃないから、このままこの領地を任せてもいいと思うけど、ユナハ国の憲法や法律に従えるのかが心配だ。


 「フーカ君、もしかして、アンテス領をこのまま老いぼれに任せるかで悩んでるんでしょう?」


 エイルマーさんは、マイさんを睨みつけた。


 「老いぼれって……。僕はエイルマーさんにこの領地を任せてもいいと思っているけど、今まで通りとはいかないから、エイルマーさんがユナハ国の憲法や法律に理解を示してもらえるのかを考えてたんだ」


 「うそっ! フーカ君が王様みたいなんだけど……」


 何故、マイさんと話すと、イラっとさせられるのだろう……。


 ゴツン。


 「グハッ! くー、痛い……」


 イツキさんが彼女の背後に回り、げんこつを落とした。


 「フーカ様、エイルマーなら大丈夫ですよ。彼はというかアンテス家は、昔からユナハやリンスバックと同じような内政をしてましたから」


 イツキさんの言葉を聞いて、彼に任せることを決めた。

 そして、イツキさんの足元で、頭を押さえて転げまわっているマイさんが、やたらと視野に入ってきて、気になる。

 黙っていても、邪魔ばかりしてくる……。


 僕は気を取り直すように頭を振ると、エイルマーさんを見る。


 「エイルマーさん、このままアンテス領の領主をお願いします。ユナハ国の憲法や法律に関しては、えーと……」


 僕は、彼に今までとの違いを教えられる適任者がいないかを探す。

 イーリスさんがいないと彼女に頼めないので、任せられる人がすぐに見つからない。


 「シャル、ミリヤさん。ここに滞在している間、エイルマーさんにユナハ国の憲法や法律に関して、教えてあげてくれないかな?」


 「「はい」」


 二人は快く引き受けてくれた。

 ただ、エイルマーさんのほうは、シャルとミリヤさんをあてがわれて困惑しているようだった。




 アンテス領のことは、これで問題ないだろう。

 後は、バルベ領へ向かう準備と、ヘルゲさんがどのあたりまで移動しているかだ。

 

 「フーカ陛下、バルベ領のことでお悩みですかな?」


 僕があごに手を当てて悩んでいると、エイルマーさんに声を掛けられた。


 「う、うん」


 「それでしたら、わしが力になれるかもしれません」


 「本当に!?」


 「はい。バルベ領の領主ライナルト・フォン・バルベは、わしの友人でもあります。それに、バルベ家はアンテス家と同じ境遇ですから、クレーメンスのような若造に耳を貸すとは思えません。わしも一筆、したためますので、それをライナルトに渡してくれれば、分かってもらえるでしょう」


 「ありがとございます。お願いします」


 「陛下、そう、簡単に誰にでもペコペコしてはなりませんぞ」


 「えっ? あっ! ごめんなさい」


 「困ったお方だ……」


 最後は呆れられた? でも、彼のおかげで争わずに、交渉だけで済みそうだ。


 その後、会議室では、肩の凝る難しい話しはほとんど終わり、僕たちはお茶を飲みながら、世間話に花を咲かせていた。

 すると、イツキさんがエイルマーさんから、カエノお婆ちゃんのことを聞かれていた。

 僕は、というか皆まで、二人の会話に耳を傾ける。

 エイルマーさんはカエノお婆ちゃんが元気だと聞いて喜んでいた。

 もしやと思ったが、二人は若い時からの友人だった。

 甘酸っぱい話しが聞けると思ったのに残念だ。

 しかし、二人が友人関係だったことはリンスバック家の人以外、誰も知らなかったらしく、シャルたちも驚いていた。




 シャルとミリヤさんは、ユナハ国の領地になった以上、守って欲しいことなどを、エイルマーさんに教え始めた。


 「ボイテルロック家が侯爵位を賜って、代々、宰相についてからというもの、この国はおかしくなってしまったが。やっとまともになるな」


 彼は二人の話しをきいて、嬉しそうな表情を浮かべると、安堵したようだった。


 「この国って……。その国は、滅んじゃったんですけどね!」


 ケイトが余計なことを言い出し、僕は焦ったが、エイルマーさんは彼女の言葉に大きく頷いて盛大に笑い出した。

 シャルたちも焦ったのか、ケイトを苦笑しながら睨んでいた。

 ケイトは、その視線に気付くと、そそくさと席を立つと、僕の背に隠れる席に移動する。

 僕を盾にするな……。




 アンテス領では戦闘が起きることもなく、平和的に領地とすることが出来た。

 つい、この間まで、アンテス領の動向を警戒して色々と思い悩んでいたことがバカのように思えてくる。


 「……?」


 よくよく考えてみれば、マイさんがアンテス領に精通していたのに、何も言わなかったことが問題ではないか?

 マイさんに対して、イライラとしたものが、沸き上がってくるのだった。

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