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うちの神様の間違った転移でおおごとに! 女神の使いにされて、僕を頼られても困るのだが……。  作者: とらむらさき


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85話 味方? 増援?

 リンスバック市の空には、いつの間にか、一〇頭のドラゴンが飛んでいた。

 そして、そのドラゴンたちは城を中心に旋回していた。


 ブルードラゴンが四頭に、ブラックドラゴンが六頭って、これは絶対にルビーさんが関わっているに違いない。

 僕は彼女を睨んだ。

 だが、彼女は大きく首を横に振っている。

 その横では、ネーヴェさん、アルタさん、ベルタさんの三人も、同じく首を横に振っていた。

 残るは一人、アスールさんに視線を送ると、彼女も、四人と同じように首を横に振る。

 じゃあ、あのドラゴンたちは、何でここにいるのだろうか? 反乱軍にハウゼリア聖騎士団の姿が見られるから、ハウゼリア新教国がらみなのだろうか? 分からん。


 もし、反乱軍とドラゴンたちがやりあったら、特戦群が巻き込まれてしまう。

 僕はケイトに、無線機で特戦群へ撤退命令を出し、こちらへ戻って来るようにと頼んだ。


 そして、あのドラゴンたちに心当たりがないか、ルビーさんに尋ねることにした。


 「ルビーさん、上を飛んでるブルードラゴンとブラックドラゴンは知っている人?」


 「ああ、知っている」


 その時、僕はアスールさんが青ざめ、逃げようとしていたのを見逃さなかった。

 すぐに彼女の襟首を捕まえる。


 「アスールさん、何で逃げるの?」


 「いや、そんなことはないぞ。……たぶん」


 「アスールさんの知り合いなんでしょ?」


 「えーと、知り合いというか、その……」


 彼女は口ごもる。


 「あれはフリーダだな。アスールの妹だ」


 ルビーさんが代りに答えると、アスールさんは目を泳がせ、ゆっくりと顔をそらした。

 やっぱり知り合いだった。ってか、妹って、姉妹じゃないか……。

 ん? フリーダさんって……?

 エラン領の件については、まだ使者を出していない。

 なのに、何で彼女がここにいるんだ?


 「ねえ、ルビーさん。フリーダさんには、まだ使者を出していないんだよね?」


 「出す前に、クーデター騒ぎで、こちらに来たからな」


 「じゃあ、彼女は、何でここにいるの?」


 「さあ? 私にも分からん」


 彼女はそう言って首を傾げると、ネーヴェさんたちを見る。

 彼女たちもまた、首を傾げる。

 そして、彼女たちは、揃って不思議そうに空を見上げた。


 「あっ! あの後ろの二頭は、カルメラとチャロです」


 ネーヴェさんが飛んでいるドラゴンたちの中から二人を見つけた。

 グリュード竜王国へ報告に戻ったカルメラさんとチャロさんがいるとなると、ルビーさんがらみの可能性が出てきた。

 案の定、ルビーさんたちの顔には、焦りの表情が浮かんでいた。




 僕がルビーさんたちをジーっと見つめると、ネーヴェさんが言い訳を始める。


 「私の憶測では、カルメラとチャロが本国に戻り、私たちのこととユナハ国のことを報告した後、フリーダに捕まり、姉を心配? する彼女に頼まれ、ここまで案内してきたのかもしれません」


 すると、何故か、アスールさんが僕の腕にしがみついてきた。

 そして、彼女が涙目なのは、どういうこと?

 フリーダさんって、そんなに怖い人なの……。


 「う、うん、分かった。フリーダさんがアスールさんに会いに来たのなら、たまたま、反乱軍を見つけて、僕たちだと勘違いしているかもね。だとしたら、あのブラックドラゴンたちはフリーダさんの付き添いか何かかな?」


 「……」


 ネーヴェさんは黙ってしまい、目が泳ぎだす。

 怪しい。


 今度は、ルビーさんとネーヴェさんの二人の顔をジーっと見つめた。

 二人の顔色が徐々に青くなっていく。


 「ネーヴェさん、あのブラックドラゴンたちは?」


 「え、えーと、たぶん、先頭のドラゴンがイーロ・エスコラでして、彼は黒の一族当主で、六古竜の筆頭でもあります。それに、ルビー様の教育係でして、そのー、国を空けている私たちを連れ戻しに来たような気もします……」


 彼女は歯切れが悪く、説明もたどたどしかった。

 そして、「気もします」なんて、彼女ではありえないような曖昧な言葉を使っていた。

 なんか、ややこしくなりそうな予感しかしないんだけど……。


 「まあ、アスールさんの妹とルビーさんの教育係の二人がいるなら、味方と考えていいんだよね?」


 「「「たぶん……」」」


 「ちょっと待ったー! たぶんって、どういうこと?」


 三人そろって、たぶんって、雲行きが怪しすぎる……。


 「きっと、イーロは、私たちが勝手に同盟を結んだから、ユナハ国を見極めに来たような……」


 「フリーダは、きっと、絶対に、わしのお仕置きに来たんだ! フーカー、わしを助けてくれ。……クスン」


 ネーヴェさんは、とんでもないことを言い出すし、アスールさんは僕にしがみついて泣きつくしで、頭が痛くなってくる。


 クーデターが起きてて大変な時に、別の問題まで持ち込まないで欲しい。

 そもそも、イーロさんに関しては、グリュード竜王国の問題なのでは?

 どうしたら……。

 僕は助けを求めようと、シャルたちに視線を向けた。

 彼女たちは僕が顔を向けた途端、顔を逸らした。

 なっ! 逃げた。

 全部、僕に押し付ける気だ……。




 特戦群が戻ってきた。

 僕は、彼らにねぎらいの言葉を掛けてから、上空を旋回しているドラゴンたちの説明をした。

 彼らの顔は黒いマスクに覆われていて表情は見えないが、その目は、面倒くさくなってきたと言いたげだった。


 今は反乱軍とドラゴン様子をうかがうしかないので、特戦群には、すぐに動ける状態で休息してもらうことにした。




 しばらく様子を見ていると、上空のドラゴンたちは、しびれを切らしたかのように、フリーダさんを先頭に下降してきた。

 ドラゴンが下りてきたことで、反乱軍が騒ぎ始める。


 僕たちは、様子のうかがえる城壁の近くギリギリの草むらまで、急いで移動すると、ギリースーツに身を包んだ状態で潜み、事の成り行きを見守る。


 先頭を歩く女性がフリーダさんなのはすぐに分かった。

 人の姿の外見はアスールさんと似ていて、少し幼さが見られ、可愛い感じが際立っていた。

 彼女は反乱軍に向かって、堂々と歩みを進めていく。

 そして、その後ろを、人の姿となったドラゴンたちがついて行く。

 見ているこっちのほうが緊張してくる。


 反乱軍は、フリーダさんたちを包囲するように陣形を組んだ。

 しかし、彼女たちは、本隊に向かって歩みを止めることはせずに、まっすぐと突き進む。

 反乱軍も、さすがに怖いのか、包囲するだけで手を出すことはせず、彼女たちに道を空けてしまっていた。


 ルビーさんたちは、特戦群の戦い方を怖がるけど、僕にしてみれば、敵の中を怖れもせずに突き進む竜族のほうが怖いよ。


 誰もフリーダさんたちを止めることはせずに、彼女たちは本隊へとたどり着いてしまった。

 そして、フリーダさんが叫んだ。


 「姉さん! アスール姉さん! そこにいるのは分かっています! 隠れていないで、早く出てきなさい!」


 「ヒィー!」


 僕の横でアスールさんが悲鳴を上げたので、草むらに隠れている僕たちは焦り、緊張が走る。


 「アスールさん、フリーダさんは反乱軍の中にアスールさんがいると誤解してるんだから、彼女の言葉に反応しないでよ。こっちがバレちゃうでしょ」


 「ご、ごめん」


 僕は声を潜めて、アスールさんを注意した。

 寿命が縮むかと思った……。




 反乱軍の中からチャドが出てくると、その後ろには、金魚の糞のようにマシューもついてきた。

 この二人はセットじゃないと、行動できないのだろうか?


 チャドとマシューは、本隊の先頭にいる兵士の横まで来る。

 そして、チャドが叫んだ。


 「そんな者はいない! 今、崇高(すうこう)な作戦中である。そもそも、竜族のような亜人が、我々の中にいるわけがなかろう!」


 「なっ! 貴様! 姉さんを隠しておいて、よくもそんなセリフを!」


 チャドは、相変わらずのバカだった。

 竜族を怒らせて、城まで破壊されたら、中にいるベンさんたちまで巻き込まれてしまう。 

 あのバカのせいで、胃がキリキリしてくる。


 「貴様の姉など知らん! 邪魔だ! 今なら見逃してやるから、さっさと立ち去れ!」


 「見逃すだと! 弱者が吠えるのも、度が過ぎれば、死にますよ!」


 クソ! あのバカ! 何を考えているんだ!

 僕は、怒りと恐怖を同時に味わっている気分で、気がおかしくなりそうだ。


 竜族の男性が、フリーダさんに近付いた。

 彼は、黒く長い髪に金色の目、三〇歳を過ぎたくらいな感じのイケメンだった。

 あの人がイーロさんのようだ。

 彼は、フリーダさんの耳元で何かをささやいている。

 すると、彼女は、少し落ち着きをみせた。

 きっと、彼女をなだめてくれたのだろう。


 彼はチャドに向かって、尋ねる。


 「そちらに、我がグリュード竜王国女王、ルビー陛下と、その側近のネーヴェ様はおられますか?」


 「そんな者たちはいない! いや……待てよ……」


 チャドは言葉を濁す。

 そして、マシューと相談を始めた。

 ルビーさんの名前を聞いて、おかしなことを相談していなければいいのだが……。 

 何で僕が、こいつらのために気を揉まなければならないんだ。

 イライラする。


 「お前たち、この竜族共は、ユナハ国などと調子に乗っている簒奪者(さんだつしゃ)、フーカが率いる賊軍の一味だ!」


 「すべて討ち取れ! 皆殺しにしろ!」


 「「「「「おぉぉぉー!!!」」」」」


 チャドが叫んだ後に、マシューが兵士たちに、フリーダさんたちを殺せと命令を出してしまった。


 「マズい! 皆、準備を! フリーダさんたちに加勢して!」


 僕は、彼女たちを助けなければと思い、指示を出した。


 「フーカ殿、待て! 皆も待て! 大丈夫だ!」


 「そうです。相手がユナハ国軍ならいざ知らず、あのような雑兵相手に加勢は無用です。フリーダたちなら大丈夫ですから、私たちは、高みの見物でもしましょう」


 ルビーさんに止められた。

 そして、ネーヴェさんも、聞き捨てならないような言葉が入っていたような気もするが、落ち着いた様子で皆に声を掛けた。




 何人もの反乱軍の兵士たちが、一斉にフリーダさんたち一〇人に襲い掛かった。

 だが、アスールさんの時のように吹き飛ばされていく。

 ルビーさんとネーヴェさんの言った通り、心配する必要はなさそうだ。

 だけど、特戦群が削ったとはいっても、反乱軍の人数は多い。

 念のため、リンさんに目配せで合図を送ると、彼女は黙って頷き、特戦群を連れて草むらの茂みに消えていった。


 フリーダさんたちの戦い方は、アスールさんよりもルビーさんたちに近い。

 吹き飛ばされた兵士は、上半身がなくなって、下半身だけが飛んでいたりと、体の一部が欠損した状態で吹き飛ばされていた。

 

 「また……これですか……」


 ケイトが僕のそばに来て、スプラッターな光景を指差し、気持ち悪そうに愚痴を言う。

 気持ちは分かる。

 何故なら、僕も同じ気持ちだからだ。

 僕とケイトは、見ているうちに気持ち悪くなり、四つん這いになった。

 すると、シャルとヒーちゃんも具合の悪そうな顔で、そばに来る。


 「「これは、慣れません……」」


 二人は声を揃えると、口を手で押えるのも揃っていた。

 イーリスさんとミリヤさんも、こちらに来ると、カイが心配そうな表情で、荷物を抱えながら来る。

 彼は、瓶に入った炭酸水を、コップに注ぎ、レモンを絞った。

 そして、ここにいる六人分を用意すると配って回る。

 甘味のないレモン炭酸水が、気持ち悪さをスカッとさせてくれる。


 「これ、レモンの酸味と炭酸で気持ち悪さがスカッとします。これは、レモンスカ……ムグググ」


 「ケイトさん、ダメです。すでにある商品名なので、その名前で命名したらダメなのです」


 ヒーちゃんは、ケイトが命名する前に、口をふさいで止めた。

 僕はヒーちゃんに親指を立てて、ウインクをすると、彼女も同じ仕草で返してくれる。


 ボトッ。


 カイのおかげで、気分が回復した僕たちが、ふざけられるぐらいの余裕を見せていると、何か塊のような物が飛んできた。

 その塊を見て、その場にいた者は叫ぶ。


 「「「「「ムグゥゥー!!!」」」」」


 僕たちは、近くにいる者同士でお互いの口をふさぎ、悲鳴が上がるのを、なんとか防いだ。

 その塊は、赤色と桃色をして、ベチョっとした肉片だった。

 僕たちは、一気に気持ち悪くなっていく。

 六人でぐったりしているところへ、アスールさんが寄ってくる。

 心配して、来てくれたのだろうか?


 「わしも、一緒にじゃれたい」


 全然、全くもって違った。

 僕たちの心配は微塵もなかった……。

 それに、僕たちは、じゃれている訳でもない。

 僕たちは、モジモジしている彼女を見て、どう対応していいのか分からなかった。


 アスールさんは、僕たち六人が塊になっているところへ混ざってくる。


 「あっ、もう、あんなに倒したのか。やっぱり、加勢はいらなかったな」


 そして、彼女は、僕とシャルの間に入って腕を組むとと、戦況を見てつぶやいた。

 僕もフリーダさんたちの戦いに視線を向けた。

 反乱軍は、彼女たちによって、一人、また一人と削られていく。

 そして、辺りには、血みどろのスプラッターなものが増えていった。

 見るんじゃなかったと、後悔する。


 それにしても、アスールさんやルビーさんたちの時にも感じたが、竜族は強すぎる。

 絶対に、竜族とは揉めないようにしようと心に誓うのだった。




 しばらくすると、反乱軍のほとんどの兵士は倒されてしまった。

 本隊には、主犯であるカイの取り巻き貴族たち、チャドとマシューの二人と、それに従う貴族たち、あとはハウゼリア聖騎士団と、わずかな騎士と兵士たちが残っているだけとなってしまった。

 ここまで兵員を減らされては、反乱軍もクーデターどころではないだろう。


 「竜族って、強すぎるよね」


 「これが、パネェってことですね」


 僕がつぶやくと、ケイトが変な言葉を用いだした。

 何で、彼女は変な言葉ばかり覚えるのだろうか……。

 僕は、彼女を見てからうなだれると、ヒーちゃんも彼女を見て、溜息をついていた。




 追い詰められたチャドたちは、剣を抜き、フリーダさんたちに向かって構える。

 それが合図だったかのように、ハウゼリア聖騎士団が、正面から彼女たちへ剣や槍で襲い掛かり、残った騎士と兵士たちは、彼女たちの背後に回って、襲い掛かった。

 すると、イーロさんさんたち男性だけのブラックドラゴンが前に出て、ハウゼリア聖騎士団の相手をし、フリーダさんたち女性のみのブルードラゴンは背後の敵の相手をする。

 強そうな相手にはブラックドラゴンたちが、他はブルードラゴンたちがと、イーロさんとフリーダさんは、考えながら戦っていた。


 彼女たちは、ただ身体的に強いだけではなく、考えながら戦っていたから、この人数差でも圧倒的な強さを見せていたんだと気付かされる。

 そして、アスールさんとルビーさんたちの戦い方が、雑だったことを実感させられてしまう。


 反乱軍は、貴族たちだけが残ると、戦意喪失しているようだった。

 これで、連中を全部取り押さえられれば、このクーデターが起きた経緯が明かされることとなるだろう。


 「クソ! 使えない奴らだ! フーカといい、この亜人共といい、討伐されるために生まれてきた者たちに負けるわけにはいかない!」


 「そうだ! こいつらは人族に狩られるための存在! 我らが負ける事はない! かかれー!」


 チャドとマシューがバカとしか言いようのない鼓舞をして、残った貴族たちと一緒に、フリーダさんたちへ剣をかざして突撃を始めてしまった。

 バカだ……。

 騎士や兵士が敵わなかった相手に、遊んで暮らしていただけの貴族が敵うわけがない。

 案の定、彼らは一瞬でミンチと化してしまった。


 クーデターは失敗に終わり、反乱軍は全滅した。

 よく考えたら、僕たちは何もしていない気がする。

 いったい何をしにここへ来たのだろう……。




 「あっ! 全部殺しちゃったら、エトムントのことや、クーデター起こした理由が聞けない!」


 僕は、草むらから立ち上がり、叫んでしまった。


 「「「バカ!」」」


 アスールさん、ルビーさん、ネーヴェさんの三人は、僕を罵りながら、服を強く引っ張った。


 ドサッ。


 僕は、仰向けにひっくり返る。


 フリーダさんたちは一斉にこちらを向き、僕たちが隠れている草むらを注視する。

 僕たちに緊張が走る。

 特にアスールさん、ルビーさん、ネーヴェさんからは、尋常じゃないほどの緊張感が伝わってくる。


 「そこに隠れているのは誰ですか? 出てきなさい!」


 「「「「「……」」」」」


 フリーダさんの言葉を無視して、隠れたまま沈黙を通す。


 「ハァー。じゃあ、ブレスを」


 「「「「「ごめんなさい!」」」」」


 僕を筆頭に、シャルたち全員も謝りながら立ち上がり、両手を挙げて草むらから出て行く。


 「「「う、裏切り者ー!」」」


 アスールさん、ルビーさん、ネーヴェさんの声が背後から聞こえる。

 彼女たちには悪いが、ブレスなんて吐かれたら、たまったものじゃない。

 アスールさんたち竜族を残して、僕たちは全滅だ。


 「ごめんなさい。僕たちにフリーダさんたちへの敵意はないし、怪しいものでもありません」


 「「「「「……」」」」」


 僕たちを見たフリーダさんたちは、目を見開いて驚き、黙ったままだ。


 「あのー。僕たちの事情を聴いてもらえますか?」


 「そ、それの、どこが、どう、怪しくないと言うんですか? それに、何故、私の名を知っているのですか?」


 ん? あれ? 彼女たちが身構えてしまった。

 僕たちに緊張が走り、シャルたちは僕の後ろに隠れて、僕を盾にする。

 また、これか!


 「ま、待て! フリーダ! イーロ! 早まるな!」


 ルビーさんの声が僕の背後から聞こえる。

 何で、ルビーさん、ネーヴェさん、アスールさんまで、僕の背後に隠れてるの……。


 「だ、誰ですか?」


 「私だ! 私が分からんのか?!」


 僕の肩越しに、ルビーさんがヒョコっと頭を出す。


 「分かりません。誰ですか?」


 フリーダさんの返事に、血の気が引いていく。

 えっ? どういう事?

 ルビーさんを知らないなんて……。

 恐怖と緊張と混乱が同時に襲ってきて、僕の思考回路が焼き切れそうだ。


 「ルビーさん! どういうこと? 味方でも知り合いでも何でもないの!?」


 「……」


 彼女は黙ったまま、首を傾げる。っていうか、僕の背に隠れるのをやめて欲しい……。


 「ルビー? ……様?」


 フリーダさんは目を細めて、こちらを注視して首を傾げる。


 「あっ! フー君、私たち、ギリースーツを着たままです」


 「「「「「あっ!!!」」」」」


 ヒーちゃんに言われ、皆が一斉に気が付く。


 僕たちが急いでギリースーツを脱ぎだすと、フリーダさんたちは、唖然とした様子で、こちらを見つめていた。

 そして、ルビーさん、ネーヴェさん、アスールさんもギリースーツを脱ぎ終えると、フリーダさんたちは、膝をつき、頭を下げていた。


 「陛下、ネーヴェ様。申し訳ありません」


 フリーダさんが代表して謝罪する。

 そして、僕の横では、アスールさんが自分を何度も指差して、わしもいるぞと主張を始める。


 「アスールさん、今は大人しくしていようね」


 僕は彼女の服を引っ張って、後ろに下がらせた。




 「あのー。人の家の前で、何をしているんですか?」


 ネネさんが少し開けられた城門の隙間から顔を出している。


 「ネネさん!」


 「あっ! フーカ様! ということは、こちらの竜族の方々は、増援なのですね!」


 「「「「「……」」」」」


 僕たちは黙ってしまう。


 「増援? 何のことでしょうか?」


 フリーダさんが首を傾げる。


 「えっ? えーと、うちの上空を飛んでいた竜族の方々は、増援に来てくれた味方ではないのですか?」


 「味方? 増援? 何のことでしょうか?」


 ネネさんに、フリーダさんが質問を返す。


 バタン。


 「「「「「……」」」」」


 ネネさんは城門を閉めてしまった。

 えっ? 僕たちが、まだ外にいるのに閉めちゃったよ……。


 僕たちとフリーダさんたちは、閉められた城門を呆然と見つめる。

 門前で放置された僕たちは、どうしたら……。

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