68話 首脳会談
僕がさららわれた件から数日が経ち、首脳会談当日を迎えた。
今回は、各国首脳の顔合わせ程度とはいえ、ただ、挨拶をして終わりとはいかない。
なにせ、たまたま、ユナハ国に各国首脳が集まっていたからと、首脳会談を提案してしまった以上、我が国が議長国だ。
その時は、いい提案だと思ったが、今になると、なんで提案にのってしまったのかと後悔している。
何故なら、数日間、議題を考えたのだが、これといった議題が、何も浮かばなかったなのだ……。
そんな憂鬱な僕が大会議室へ入ると、プレスディア王朝のエルさんたち、ガイハンク国のレオさんたち、グリュード竜王国のルビーさんたち、ビルヴァイス魔王国のロルフさんたち、ウルス聖教国のダミアーノさんたち、クレイオ公国のオレールさんたちの皆は、すでに席へ着いて、僕が現れるのをの待っていた。
室内に漂う、これから実りのある会議が始まるといった雰囲気に、僕の胃が悲鳴を上げそうだ。
僕が着席すると、イーリスさんが場を仕切りだした。
僕から簡単に挨拶と自己紹介を始め、各国が順に挨拶と自己紹介を済ませていく。
皆が挨拶を終えたところで、何か当たり障りのない議題を提案して誤魔化そうとすると、イーリスさんから、騒動を起こしたことを、皆に謝罪するように言われた。
「えー、先日は、僕の不注意からさらわれてしまって、皆さんには、大変、ご心配をおかけしましたことを、ここにお詫びします」
僕は頭を下げる。
各国の男性陣は苦笑し、女性陣からはクスクスと笑いが漏れていた。
彼らの様子から、皆にも、犯人が僕を女の子と思ってさらったことまで、バレてしまっているのだろう。
恥ずかしい。
そして、シャルたちは僕と目を合わせると、顔を逸らしてフルフルと身体を震わせる。
身内が一番笑いを堪えていることに、納得がいかない。
「コホン。今回の議題ですが、僕は、各国のことや国家間の事情を少し知らされた程度です。この席を用いて教えていただきたいと思いますが、よろしいですか?」
結局、僕の思いついた議題は、この程度だった……。
しかし、各国首脳は黙って頷いてくれた。
助かった。
最初にロルフさんを指名し、西大陸の状況とビルヴァイス魔王国のことを説明してもらう。
彼は、西大陸の各国は、ハンヴァイス新魔国を除けば、ユナハ国に対し、友好的な態度をとることを示していると告げる。
そして、西大陸の各国は、ハンヴァイス新魔国、ファルレイク帝国、ブレイギル聖王国、カーディア三国、ハウゼリア新教国の動向を気にしていることも話した。
僕は警戒されている国が、ほぼ、ご近所さんばかりだということにうんざりする。
次に、ロルフさんは、現在のビルヴァイス魔王国は、反乱分子がハンヴァイス新魔国を名乗り独立したことで、二分化していつことを話す。
さらに、ファルレイク帝国に領土の一部を侵略され、ハンヴァイス新魔国とファルレイク帝国の二国とは、いつ、再び戦火が上がってもおかしくない緊張状態にあることも話した。
ハンヴァイス新魔国のことを良く知らないため、その国のことをロルフさんに説明してもらう。
彼の話しでは、ビルヴァイス魔王国とファルレイク帝国との戦争は、魔皇帝が現れたことで、一度は終戦し、おさまったが、ファルレイク帝国皇帝が世代交代をすると、すぐにビルヴァイス魔王国へ攻め込み、再び戦争状態となったそうだ。
ビルヴァイス魔王国は防戦を徹底し、その間に各国と連携を取っていたのだが、ファルレイク帝国から一方的に攻められていることで、国内に反人族主義が流行りだしてしまう。
その結果、人族が魔皇帝になったことを疑問視していた貴族たちが中心となって暴走、国の南部を占拠、独立し、ハンヴァイス新魔国が誕生してしまったそうだ。
そして、現在、ビルヴァイス魔王国は、南のハンヴァイス新魔国、東のファルレイク帝国と戦争状態だということだ。
姉ちゃんがお世話になった国だから、何とかしてあげたいけど、今は……。
「ロルフさんたちの支援はしてあげたいけど、今は厳しいので、もう少し待ってもらえますか? 申し訳ありません」
「いやいや、かまわん。我が国も防衛に徹していれば、すぐにどうこうと言うものでもない。ただ、我が国も問題を抱えていることを知ってほしかった。それだけだ」
ロルフさんは余裕を見せているけど、国が戦時下にあるのは、気が気ではないだろうと思う。
「各国の皆さん。ユナハ国が動けない状況で、こういうことを言うのはおかしいと思いますが、ビルヴァイス魔王国への攻撃が激しくなった時は、支援してあげて下さい。お願いします」
僕は頭を下げた。
「「よろしくお願いします」」
ロルフさんとブレンダさんは立ち上がり、僕と同じく、各国首脳に向かって頭を下げた。
僕たちを見て、各国首脳が優しい表情で頷いてくれる。
ふと、僕の中に疑問が浮かぶ。
「ロルフさん、特戦群や彼らの武器と装備をユナハ国に送ってしまているけど、いいの? 戦況を覆せると思うんだけど?」
「正直なところ、あれらを使いこなすには、我々では知識が足りない。下手に使って、敵の手に入手されるほうが危険だ。この国で有効に使ってもらえるなら、そのほうが、各国のためになると判断した。好きに使ってくれ」
彼は苦笑している。
こっちの人は、剣や魔法が主流だから、近代兵器やその戦い方に、なじめないのかもしれない。
もしかして、姉ちゃんは、強すぎる武器が危険だから封印したのではなく、こっちの人では使いこなせないと、諦めたから封印したのでは?
そんな考えが頭をよぎった。
「分かりました。ユナハ国で有効活用させてもらいます」
僕は、ロルフさんに軽く頭を下げた。
次の議題に移ろう。
僕はルビーさんたちと、オレールさんたちを交互に見る。
二つのグループは、期待に満ちた目を僕に向けていた。
お互いの意思は歩み寄りたいのに、僕が間に入らないと出来ないって、国家同士って面倒くさいと思ってしまう。
「次に、僕が気になっているのは、クレイオ公国とグリュード竜王国との国家間の関係です。率直に言います! 両国とも、仲違いを解決したい意思に変わりはないですね!」
「「「「はい!」」」」
ルビーさんたちと、オレールさんたちは揃って返事をする。
もう、解決してると思うんだけど……。
バカップルの喧嘩に巻き込まれている気分だ。
「お互いに相手を尊重しすぎて気まずくなったのだから。今、お互いの意思が確認できたし、後は両国で話してはどうですか?」
「フーカ殿、途中で投げ出すのは、あんまりだ。最後まで、責任を取ってくれ!」
なんか、ルビーさんの言い方がひっかかる。
「私からもお願いします」
オレールさんが頭を下げる。
彼に頭を下げられては仕方がない。でも、これ以上は、どうすればいいんだ……?
ん? これは、クレイオ公国へ旅行に行けるチャンスかもしれない!
「この場には、クレイオ公国の女王もいないことだし、後は王都フェザーランドで話し合うのはどうかな?」
僕の提案に、隣にいたイーリスさんがギョッとする。
「ルビー女王方にも賛成していただけるなら、私どもはかまいません。すぐにでも使者を本国へ送ります」
すると、イーリスさんの表情を見たオレールさんは、この機会を逃すべく、話しを進めていく。
「私たちはかまわない。いいな、ネーヴェ」
「はい」
オレールさんの言葉に、ルビーさんたちも良い返事をする。
「では、後は王都フェザーランドで、クレイオ公国の女王も踏まえた形で話し合いましょう」
僕が話しをまとめる。
このまま話しを進めてしまえば、なし崩しに行くことになる。
「フーカさん、何を勝手に決めようとしているんですか?」
シャルが威圧的な声色で尋ねてくる。
うっ、このままでは阻止されてしまう……。
「ほら、ケイトが作ってくれたこの観光ガイドにも『雪の都フェザーランド、星五つ。雪が羽のように舞う光景は必見』って書いてあるし! 行ってもいいんじゃない?」
「観光ガイドって……。観光に行くつもりなんですか!?」
シャルの額に青筋が出た。
ヤバい。ここは、各国首脳に助けを……。
ダメだ。皆、苦笑したり、呆れた顔をこちらに向けている。
「違うよ。結婚した後は、新婚旅行をしたいけど、この状況ではいつ行けるか分からないじゃない。だから、クレイオ公国での会談と僕たちの新婚旅行を一緒に行うのがいいのかなと……」
「フーカさん、こっちには新婚旅行という風習はないんですけど……」
そ、そこまで計算していなかった……。
「えーと、それはいけないよ! 僕たちで新婚旅行を世間に知ってもらわないと! 夫婦になっての初めての記念旅行だよ。それに、観光地にとっては、大切な収入源にもなるんだから!」
僕はシャルの説得を試みる。
「フーカ様。なんだか必死ですね」
「そうですね。ですが、フー君は、日本では引きこもり気味だったので、これはいい傾向です」
ケイトとヒーちゃんが感想を述べる。
「そこ、うるさいよ!」とは、この状況では言えずに、言葉を飲み込む。
「ちょっと、待ってて下さい」
シャルはそう言うと、婚約者を集合させて、相談を始める。
婚約者会議は、長引いていた。
途中、アスールさんが「あの国は寒いから嫌だ」と言うと、婚約者会議に乱入したネーヴェさんに頭を鷲掴みにられ、何もしゃべらなくなった。
次に、ケイトが「あそこは、雪の都と呼ばれてますけど、これから夏なんですから、雪はありませんよ」と言うと、今度はオレールさんが乱入し、「避暑地として人気ですし、雪のない季節だからこそ目にできる雪国ならではの設備をみれます。それに、今の時期なら露天の温泉にも入りに行く事が出来ます」など、王都フェザーランドの観光案内を始める。
……。
…………。
………………。
少しの間、沈黙が続く。
そして、皆が立ち上がった。
「「「「「行きましょう!!!」」」」」
婚約者会議の結論が出された。
僕は皆から隠れて、ガッツポーズをとる。
すると、何やら視線を感じた。
視線の主は、各国首脳だった。
彼らは、何の会議をしているんだと言わんばかりの表情をして、呆れていた。
いつの間にか、二国のわだかまりを解消することから、新婚旅行に行くか行かないかの問題にすり替わってしまっていたのだから、そんな表情にもなるよね……。
「では、皆の許可も出たので、結婚式が終わった後、カーディア帝国の動向を確かめてから、僕たちがクレイオ公国に出向き、クレイオ公国とグリュード竜王国との国家間の問題を解決します」
僕は問題がすり替わってしまったことを誤魔化すように、皆に告げた。
各国首脳は苦笑しながら、頷くだけだった。
その後、首脳会談は、各国の交易や航路の話しをしたり、ユナハ国とガイハンク国のトンネルの進行状況の話しなどをしていく。
僕は、広げられた世界地図に皆が記していく航路を見て、不思議に思った。
地図の西側に位置するビルヴァイス魔王国が東側に位置するユナハ国を目指すのに、一度、北に向かって、北海と呼ばれる北の海を通って東に向かっているのだ。
もし、この世界が地球のような天体なら、ビルヴァイス魔王国から西海と呼ばれる西の海を突き進めば、ユナハに着くのではと疑問を抱く。
「ねえ、ビルヴァイス魔王国からユナハ国までは、こっちを通れないの?」
僕は皆に見えるように、地図のビルヴァイス魔王国から西に向かって指を滑らせ、地図がキレると、反対側の端からユナハ国の東側まで滑らせる。
ケイトとヒーちゃんは、すぐに察してくれた。
だが、他の皆は、僕の言っている意味が良く分かっていないらしい。
「地図に載っていない海域は海のへりです。行っても大丈夫なのですか?」
ブレンダさんの言葉に、僕とヒーちゃんは目を合わせる。
「ヒーちゃん、もしかして……」
「はい、たぶん、フー君の予想通りだと思います」
僕は頭を抱え、恐る恐る質問をする。
「もしかして、海のへりは、滝になっていて落っこちると思ってたりしないよね?」
「「「「「違うのですか?」」」」」
数人が声を揃えた。
僕とヒーちゃんは、その言葉にうなだれる。
ファルマティスは平面説が常識の世界だった……。
僕がペスに乗って、空から地平線を見た時は、湾曲していた。
この世界は球状の天体に存在していることは、確かだと思う。
「えーと、なんて説明したいいのか……。簡潔に言うと、この世界は球状の天体に存在しているから、落っこちたりしないし、へりなんてないよ。ビルヴァイス魔王国をまっすぐ西に向かって進んだら、ウルス聖教国がある東側の海岸に着くと思うよ」
僕の言葉に皆は戸惑ったり困惑を始める。
「今まで調査とかしなかったの?」
「呼人が調査をして、報告をしたと聞いてます。彼らの調査では、彼らだから帰国できましたが、こちらの人間では命を落とす危険な海域だと報告されていると聞いていたので……」
シャルの言葉に、僕とヒーちゃんは、その場に崩れ落ちた。
また、呼人だ。
奴ら……いや、奴か? まあ、そんなことはどうでもいい。
その呼び人は、何のためかは分からないが、こんな重要な情報を隠していたんだ。
もう、いい加減にして欲しい。
「わしは、知っていたぞ!」
「「「「「!!!」」」」」
アスールさんがドヤ顔で爆弾発言をすると、室内の者は驚愕する。
ルビーさんとネーヴェさんまでもが驚き、口をパクパクさせていた。
「アスールさんは、いつから知ってたの?」
彼女はあごに手をやり、悩み出す。
「うーん。たぶん、数百年前だ。ウル湖の温泉に向かう予定だったのだが、他の温泉も探しながら行こうと、ヴァルウッド獣王国から北上するようにビルヴァイス魔王国まで探したが、ドラゴンの姿で入れる温泉は無かった」
彼女は肩を落として黙り込む。
「……」
僕は、いらない情報を話して、勝手に落ち込む彼女に、顔を引きつらせた。
「いや、温泉はいいから、何で知ったかを教えてよ」
「おっ、そうだった。えーと、ビルヴァイス魔王国からウル湖までは遠いから、反対側から回れないかと、西に向かったんだ。そうしたら、ウル湖についてしまった。ただ、途中で休むところがないし、海の上をずっと飛んでいても飽きるから、今は使っていない」
彼女は、あの道はつまらないからダメだと手を振って否定する。
問題はそこじゃないんだけど……。
一方で、ルビーさんとネーヴェさんが顔を真っ赤にして、フルフルとしている。
「アスール、私はそんな報告を受けていないんですけど」
ネーヴェさんが冷え切った笑顔を浮かべていた。
そして、アスールさんはネーヴェさんの笑顔を見て凍り付く。
「ま、待て、わしの話しを聞け、報告しなかったのは聞かれなかったからで、わしも若かったから、そんな重要なことだと思わなかったんだ。それに、その後、オトハにボコられて、自信喪失となり、心の傷が癒えた頃にカザネにボコられ、そんなことは今まで忘れていたのだ」
何だか必死だ。
「そんな言い訳が通用するとでも?」
ネーヴェさんは笑顔をキープしたまま、彼女に近付く。
「ヒィッ! ごめんなさい」
彼女は、サッとしゃがんで土下座をする。
ドガッ!
「ぎゃぁぁー!」
ネーヴェさんが、彼女の頭を床に食い込む勢いで踏みつけた。
そして、グリグリと足を回し、上げる気はなさそうだ。
竜族はやることは怖すぎる……。
他の皆も、顔から血の気が引いている。
「ネ、ネーヴェさん、その辺で……。包帯を巻いた新婦がいるのはちょっと……」
僕がなだめると、ネーヴェさんは溜息を吐き、仕方がないといった表情で足をどける。
アスールさんが泣きながら僕の腰にしがみついてきた。
僕はその頭を優しくさすってあげる。
すると、手が勝手に光り出す。
そして、アスールさんはすくっと立ち、不思議そうに踏まれたところを触って、首を傾げた。
「い、痛くない。治った!」
彼女はそう言って、驚く。
各国首脳は驚いた表情で僕を見つめ、シャルたちは頬をヒクヒクさせながら、固まってしまった。
ヤバい、やってしっまった気がする。
僕は、今のことを誤魔化すために、テーブルに広げられている地図を表が見えるように丸め、大きな筒を作る。
「話しがそれてしまったけど、ファルマティスの世界はこういう状態なんだよ」
僕が地図で説明するが、あまり、食いついてこない。
次だ!
「ケイト、地球儀を憶えてる?」
「はい、前に説明されたフーカ様の世界の立体模型みたいなのですよね」
「そうそう! 地球儀、じゃなかった、ファルマティス儀を作って、皆に渡してあげて!」
「いいんですか!? ファルマティス儀を作ったら、それは国の機密にあたりますよ!」
ケイトは驚きを隠せない。
「いいよ! 皆の固定観念を壊さないといけないし、飛行機や船を造ったら、結局、配ることになるんだから。ただし、敵国に回らないようにしてもらわないと困るけど」
「分かりました。しばらく、アスール様を借りますね」
ケイトはアスールさんを見つめる。
「いいよ。思う存分こき使ってあげて!」
「はい!」
彼女は満面の笑みを浮かべるが、アスールさんはキョトンとしたままだ。
良く分かっていないのだろう。
僕は、パソコンで地球の立体図を見せて、これと同じようなファルマティスのちずを皆にも渡すと話した。
すると、各国首脳は驚き、やっと、皆の頭から僕の能力のことが離れたようだ。
ただし、渡す条件として、この場にいない国に見せないことと渡さないことを提示すると、皆は快く了承してくれた。
僕は、地図を眺め、一つ疑問を抱いた。
「ロルフさんたちは、どうやってユナハに来たの?」
「それは、我が国の機密の一つなのだが……」
彼は躊躇し、ブレンダさんを見つめる。
もしかして、転移魔法なのでは?
僕は心を躍らせる。
ブレンダさんは少し考えてから、ロルフさんに向かって頷く。
「フーカ殿は、機密に相当する物を無償で渡してくれるのだから、教えよう。ここにいる各国首脳にも教えるが、口外しないでもらいたい」
皆は、彼に向かって頷く。
「我々は、カザネ様が開発した高速艇に乗って、ここまで来たのだ」
僕一人だけが、その場に崩れ落ちた。
すでに、高速艇が姉ちゃんによって開発されていたのだ。
これから、近代的な船を作ろうと思っていたのに、ショックが大きすぎる。
そして、転移魔法じゃなかったこともショックだった。
僕がショックを受けたことに驚いている人もいたが、カザネの名が出た時点で察した人の方が多かった。
マイさんが僕の肩を優しくさすってくれる。
「お互い、姉には苦悩させられるわね」
いや、マイさんと同じくくりにされたくない。
それに、僕とマイさんでは、根本的に何かズレてる。
僕が復活すると、ケイトとヒーちゃんが、ロルフさんと交渉し、その高速艇を調べさせてもらえることとなった。
これで、船の開発が進展することだろう。
しかし、僕は素直に喜べなかった。
首脳会談が終わると、ヒーちゃんとケイトがロルフさんと何かを話し、アスールさんを連れて、いそいそと出て行ってしまう。
二人の嬉しそうな表情から、船とファルマティス儀のことで頭がいっぱいなのだろう。
僕は、ものづくりが趣味のようになってしまった二人を黙って見送る。
遠ざかる二人の背中を見ていると、どこか寂しくなった。
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