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うちの神様の間違った転移でおおごとに! 女神の使いにされて、僕を頼られても困るのだが……。  作者: とらむらさき


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181話 ファルレイク帝国の終焉

 パパパッ、パパパッ。


 特戦群は、アサルトライフルで衛兵を撃ちながら、廊下へ突入していく。

 そして、隊員たちは、廊下の左右の壁際を一列に並んで進んで行き、立ちふさがる衛兵たちに銃弾を浴びせていく。


 パパパッ、パパパッ。


 「「「「「グオォォォー!」」」」」

 「「「「「グワァァァー!」」」」」


 「クソッ! これでは近付けん。弓兵と魔術師を呼んで来い!」


 「弓兵と魔術師は、出払っていていませんよ!」


 「クソッ! どうにかならんのか!?」


 「あの武器は、相性が悪すぎます。撤退を!」


 「そんなことができるか!」


 衛兵の指揮官と部下の叫び声が、倒されていく者たちの断末魔に混じって聞こえてくる。


 パパパッ、パパパッ。


 特戦群は容赦(ようしゃ)なく引き金を引き、歩みを進めていく。

 その後ろを、金銀の(ぼく)隊が身をかがめながらついて行き、まだ息のある者には、とどめを刺す。

 惨いようだが、彼らにとっては僕たちの身の安全を確保することこそが、最優先なのだ。

 そして、安全の確認が取れると、ホレスが僕たちに来ても大丈夫であることを手で合図する。

 僕たちは、その合図が出ると彼らの少し後方まで進むのだった。




 廊下に並ぶ複数の扉は穴だらけで開け放たれ、部屋の中を覗くと、潜んで待ち伏せていた衛兵たちの(むくろ)が転がっていた。

 一つだけ手付かずで残された両開きの扉がある。

 その扉の前には、数人の特戦群の隊員が見張るように立っていた。


 「フーカ様、あの扉の中が談話室です。ダリアスたちは逃げ出せずに、まだ、そこにいるようです」


 リンさんは、僕のところに来て、報告をする。


 ドン、ドン。ズドーン。


 爆音とともに急に城が揺れ、天井からはパラパラと小石が落ちてきた。


 「えっ? 何? 何かあったの?」


 僕は驚いて、辺りをキョロキョロと見渡す。


 「大丈夫です。この階を孤立させるために、他の階段を封鎖しただけです」


 リンさんは、ニコッと笑顔を見せた。


 「爆破なんかして、この城、大丈夫なの?」


 僕は天井を見上げる。


 「爆破の加減は調整ていますので、大丈夫です」


 彼女は再び、ニコッと笑顔を見せた。

 特戦群だから、破壊工作はお手の物ってことか。


 ((じゃあ、僕たちも!))


 銀ちゃんが収納魔法で無造作に砲弾を取り出すと、金ちゃんがピコピコハンマーを構えた。


 「「「「「!!!」」」」」


 僕たちは、急いで二人から離れる。


 「何をしてるんだよ! 爆破は、もういいんだよ! 早く、それをしまって!」


 僕が叫ぶと、二人はこちらを振り向き、不服そうに首を傾げた。


 「それが爆発したら、お前たちはどうするんだ?」


 リンさんだけは一歩も動かず、冷静に二人へ問いかけた。

 二人は顔を突き合わせて考え込んだ。


 ((あっ! 僕たちも吹っ飛んじゃうじゃん!))


 バカだ……。


 顔を青くした二人は、大慌てで僕のほうへと駆けてくる。


 ペシッ。


 「「「「「!!!」」」」」


 逃げ出す銀ちゃんのしっぽが砲弾を弾く。


 ガコン、ゴロゴロゴロ。


 倒れた砲弾は、二人の後を追いかけてこちらへ転がってくる。


 「「「「「ギャァァァー!!!」」」」」

 ((ギャァァァー!!!))


 僕たちは逃げ、金ちゃんと銀ちゃんは両手を挙げて僕たちを追いかけ、二人を砲弾が追いかける。


 「落ち着いて下さい! 安全ピンがついていますから大丈夫です!」


 リンさんは叫ぶと、転がる砲弾を止めて起こす。

 僕たちは逃げるのをやめて振り返った。


 「……。…………。………………」


 砲弾を確認していた彼女の顔が青ざめていく。

 彼女はゆっくりとした動作で辺りを見回す。


 「ん? リンさん? どうしたの?」


 「ピンが外れています」


 「「「「「!!!」」」」」


 僕たちは、一歩、また一歩と彼女との距離をあけていく。


 キラッ。


 後ろへ下がる僕の視界の端に、光る物が飛び込んだ。


 「ん? 銀ちゃん、それ、何?」


 銀ちゃんのしっぽの毛が、何か光る物に絡みついていた。

 彼がしっぽを持ち上げて見えやすくすると、毛に絡まっていたのは安全ピンだった。


 「イライザ! 安全ピンを!」


 「はっ!」


 リンさんの命令で、イライザさんは銀ちゃんに向かって走りだす。


 (ギャァァァー!)


 銀ちゃんは向かってくるイライザさんを見て、何故か悲鳴を上げて逃げ出した。


 「バカ! 何故、逃げる!?」


 (だって、イライラお姉ちゃんが追いかけてくるから!)


 「イライラじゃない! イライザだ!」


 (ギャァー! 怒ってる!)


 「怒ってない! いいから、止まれ!」


 (怖いから、ヤダ!)


 二人の追いかけっこは、数分間続いた。




 今、僕の目の前には、四つん這いになって息を切らせている銀ちゃんとイライザさんがいる。


 「「ハァー、ハァー、ハァー」」


 二人は何も話さず、呼吸を整えていた。

 金ちゃんは、ポニュポニュと銀ちゃんに近ずくと、彼のしっぽに絡まった安全ピンを取る。

 そして、リンさんのもとへ行き、彼女の差し出した手のひらに安全ピンをのせた。


 「……き、金、あ、ありがとう」


 (フッフーン。僕、偉い?)


 「あー、偉いぞ」


 彼女が金ちゃんの頭をワシャワシャとなで回すと、彼は目をつむって気持ちよさそうにしていた。

 それを呆然と見ている銀ちゃんとイライザさん。

 この二人は廊下中を走り回って、何をしていたのだろう?

 その場にいた皆が、そう思ってしまう光景だった。


 リンさんが砲弾に安全ピンを差してから、砲弾をくまなく調べ、安全を確かめると、金ちゃんが収納魔法でしまう。

 やっと、その場が落ち着いた。


 「ねえ? 金ちゃんと銀ちゃんは、また、あんなものをくすねてたの?」


 フルフルフル。


 二人は首を横に振る。


 ((カザネお姉ちゃんに、三個くらいは常に持っておきなさいって、渡された))


 「姉ちゃんは、こんな危険な連中に何を持たせてるんだ!」


 二人の言葉を聞いて僕が吠えると、皆は賛同し、コクコクと大きく頷く。


 「まあ、カザネ様のことですから、収納魔法は便利だから何個か持たせておけとうい発想ですよ」


 オルガさんの一言で、僕たちはどっと疲れ、うなだれてしまった。




 なんやかんやあったが、いや、ありすぎたが、僕たちは気を取り直して談話室の扉を囲むように待機する。

 リンさんが鍵穴を覗き込んだ。


 「鍵はかかっていません」


 皆の視線は、銀ちゃんへと向けられる。

 予想通り、彼はガックシと肩を落としてしまった。


 イライザさんはリンさんの向かい側に行き、二人で両開きの扉のノブをゆっくりと回す。


 カシャン。


 突入態勢に入った特戦群が銃を構えて、二人が扉を開くのを待つ。

 僕たちにも緊張が走る。


 ギィー。


 ノブが回され、きしむ音を立てて扉が少し開いた。


 ((突入!!!)))


 金ちゃんと銀ちゃんが掛け声を掛ける。


 バンッ!


 先頭の隊員が扉を蹴ると、扉は左右に大きく開く。


 ((ゴー! ゴー! ゴー! ゴー! ゴー!))


 金ちゃんと銀ちゃんが再び掛け声を掛けると、特戦群は二隊に別れて、左右へ展開するように突入していった。


 パパパッ、パパパッ。


 特戦群は入るなり発砲を始め、銃声が廊下まで鳴り響く。

 一方で、扉の脇には口をパクパクさせているリンさんが、立ち尽くしていた。

 そんな彼女を、イライザさんが向かい側から同情するように見つめている。

 リンさんは、金ちゃんと銀ちゃんに掛け声を取られてしまったのだ。

 突入のタイミングに緊張していた僕たちは、げんなりとするほど萎えてしまい、ご満悦な表情を浮かべる金ちゃんと銀ちゃんと、あっけにとられたように立ち尽くすリンさんを交互に見て、苦笑するのだった。

 本当に、こいつらは、ろくなことをしない……。


 僕はリンさんに近付くと、彼女の肩を軽く叩いた。


 「リンさん、リンさん? 大丈夫?」


 「あっ、は、はい」


 彼女は首を振って、正気を取り戻す。

 そして、金ちゃんと銀ちゃんを睨みつけた。


 ((ヒィー!))


 二人はマーカリさんの背後へと隠れる。

 マーカリさんも、ここまで行動を共にしていると、さすがに二人の問題児っぷりが理解できたようで、苦笑しながら背後に隠れる二人を振り返っていた。




 銃声がやみ、辺りが静まり返ると、談話室の中からホレスが現れる。

 いつの間にか、金銀の僕隊も突入していた。


 「えーと、敵を制圧しました」


 彼は、僕たちに漂う何とも言えぬ雰囲気を読んで、恐る恐ると報告する。


 「うむ。分かった。すぐに行く」


 リンさんが答えると、彼は少しホッとした表情を見せた。


 (ホレス君、よくやった!)


 (隊長として、僕たちも鼻が高いよ)


 金ちゃんと銀ちゃんの余計な一言に、彼の表情は一変し、引きつった表情を見せる。


 「いえ、制圧したのは特戦群の皆さんですから。それと、隊長たちは余計なことばかりしないで下さい。我々の神経がすり減るので、本当に勘弁して下さい」


 彼はリンさんの顔色をうかがいながら、二人に向かって嫌そうな表情を浮かべた。


 ((なんですとー! この反抗的な態度は、お仕置きだな!))


 ゴツン、ゴツン。


 見かねたオルガさんは、二人にげんこつを落とした。


 ((ギャァァァー! い、いつもと違う角度はズルい。何とも言えない地味な痛みが……ヌォォォー!))


 二人は頭を押さえて、しゃがみ込んでしまう。


 「二人の石頭に真正面から付き合っていたら、また、フーカ様の手を煩わせてしまいますからね。私も工夫させて頂きました」


 ((オ、オルガお姉ちゃん……そ、そんな工夫はいらないと思う……))


 ニコッと微笑むオルガさんを、二人は涙目で見上げた。




 金ちゃんと銀ちゃんのせいで少し手間取ったが、僕たちも談話室へと入って行く。

 部屋の奥にある豪華な椅子の周りには、特戦群から囲むように銃口を向けられ、怯えながら一ヶ所に集まっているダリアスとデイン宰相、そして、その取り巻きの貴族や高官たちがいた。

 その中には数人の衛兵が、彼らを護る位置で剣を構えてはいたが、銃口を向けられ、戦意は失われているようだった。

 そんな彼らに僕たちが近付くと、中央の隊員たちが少しズレて、話しやすいようにと道をあけてくれた。

 ダリアスたちはこちらの姿に気付くと、ギラっとした鋭い目つきに変わり、睨みつけてくる。


 「マーカリ! 貴様、敵とつるんでいたのか!? 敵を城内に引き込むとは、この裏切り者が!」 


 ダリアスが食って掛かると、マーカリさんは僕と並ぶように、前へと出てきた。


 「ダリアス、何を言っている? こちらのユナハ王一行を城内に入れたのは、お前ではないか!?」


 「なっ、うっ……」


 ダリアスは返す言葉もなく、呻いた後に口をパクパクさせるだけだった。


 「そこのデインたちと画策し、私から皇位と政権を奪い、幽閉していた私に扮してこの国を混乱に陥れておいて何を言っている。裏切り者はお前たちだ!」


 「マーカリは分かっていない! この国の民が望むのは、父が目指した強い国だ。それをお前は、隣国との友好だの人種で優劣を決めることは間違いだのと、最強国家とうたわれてきた帝国の皇帝にあるまじき行動や言動ばかりを行っていて、それで民衆がついてくるものか! だから、俺がお前の代わりに理想の帝国を民衆に示したのだ! 帝国は最強でなければならないのだ!」


 ダリアスは、マーカリを負かす勢いで主張した。


 (最強って、一〇〇年前にカザネお姉ちゃんに負けてるのに?)


 金ちゃんが横やりを入れると、僕たちは苦笑する。


 (ん? きっと、二〇〇年前にオトハお姉ちゃんにも負けてると思う)


 銀ちゃんも横やりを入れた。


 (負けっぱなしじゃん! あっ、理想だからいいのかな?)


 (金ちゃん、理想が高くて引っ込みがつかないんだよ)


 (なるほど。子供みたいだね)


 ((大人なんだから、学習しようよ!))


 二人は、手のひらを上に向けて呆れる。

 この二人から、ここまで言われたダリアスたちに、僕たちは少し同情してしまう。


 「えーと、金ちゃん、銀ちゃん。私が話してもいいですか?」


 ((どうぞ、どうぞ))


 二人は手を差し出して、困った表情のマーカリさんに譲った。


 「コホン。二人の言った通りだ。現に、今もユナハ連合軍に侵攻され、国土はこの帝都を残すのみ、……この帝都も包囲され、帝国が終焉を迎えるのも時間の問題となっているではないか! ダリアス、お前の好戦的な施政が現状を招いたのだ。どう、責任を取るつもりだ!」


 「それは……」


 ダリアスは言葉を詰まらせる。


 「お言葉ですが、マーカリ様。この国が弱くなったのは、マーカリ様の軟弱な施政が軍部を弱体化させたことにあります。我々は軍部を強化して参りましたが、間に合わなかっただけのことです」


 デイン宰相がダリアスをフォローした。


 「軍部を強化? ハァー」


 マーカリさんは、デイン宰相を見て呆れたように溜息を吐いた。


 「マーカリ様? 何ですかな? その我々が何もわかていないと言いたげな態度は? 我々が軍部を強化していなければ、ここまで保てなかったでしょう」


 「私は、フーカ様方からすべてを聞いています。軍部の者は自分の懐を温めることしか考えておらず、ユナハ連合軍が攻め込むと、逃げるか降伏してばかりで戦わなかったそうだ。お前たちは軍部が私腹を肥やす強化をしていたのか?」


 「そんなバカな……。お前たちは何をしていたんだ! バカ者ども!」


 驚いたのはダリアスだけだった。

 デイン宰相を含め、他の者たちも知っていたのだろう。


 「ダリアス、バカはお前だ。担ぎ上げられたことで調子に乗り、家臣の好き勝手な行動にも気付けないとは……」


 「……」


 相当、ショックだったのだろう。

 ダリアスはその場に崩れ落ちると、うつむいたまま、動かなくなってしまった。


 「確かに、その様な不埒な者が増えたことは事実ですが、我が国の戦力が劣ることはなかったはずです」


 デイン宰相が食らいついてきた。


 「デイン、お前は何も分かっていないのだな。確かに我が国の兵士の数は多い。だが、ユナハ連合軍の戦力は兵士の数ではないのだ。特にユナハ国は、他国に真似のできないような精密に造られた特殊な武器、個々の能力、そして」


 ((お茶目なユーモアだ!))


 マーカリさんの見せ場を金ちゃんと銀ちゃんが邪魔をした。


 スパーン、スパーン。


 僕は腰のハリセンを取り出し、二人の頭を叩いた。

 そして、リンさんとイライザさんが二人の襟首を掴んで後方へ引きずって行く。


 ((おおー! 久しぶりのハリセン、懐かしい。主、グッジョブ!))


 二人は引きずられながら、僕に向かってニカッと笑うと、親指を立てた。


 「黙れ! お前たちは出てくるな! そして、嬉しそうにするな!」


 「……」


 黙って僕を見つめるマーカリさん。


 「ごめんなさい。続きをどうぞ」


 僕は謝ると、彼に手を差し出した。


 「コホン。えーと、ユナハ国の戦力は、私たちの、いや、この世界の常識では計り知れない戦力を手にしているのだ。お前たちを包囲しているユナハ国の兵士たちを見れば分かるはずだ」


 彼の言葉を聞いたデイン宰相たちは、自分たちを取り囲んでいる特戦群の異様さを見て、納得してようにうつむいてしまった。

 上手く収まったが、うーん、いまいちな感じになってしまった気がする。

 マーカリさんには、本当に申し訳ないことをしてしまった……。




 逆らうことなく、うつむいたままのダリアスたちを見つめていたマーカリさんは、僕を一度見る。

 そして、再び彼らに視線を戻した。


 「ダリアス、デイン、そして、その他の者もよく聞け! お前たちには、家名と地位のはく奪、そして、労働奴隷へと身を落とすこととする。本来であれば処刑が妥当とするところだが、フーカ様は敵対する者であろうと殺すことを良しとはしないお方である。ユナハ王の寛大な配慮に感謝し、労働に励め」


 「「「「「……」」」」」


 マーカリさんが処罰を言い渡すと、デイン宰相たちはダリアスのようにその場に崩れ落ち、うつむいたまま何も言葉を発しなかった。




 別の階にいた衛兵たちが、隊長とその部下に連れられてきた。

 彼らは、隊長から事情や状況を聞かされていたのだろうが、ダリアスたちが捕らえられている現場を目の当たりにすると、オロオロとして困惑してしまった。


 「この者たちは、国家を揺るがした大罪人である。ことがおさまるまで地下牢に入れておけ」


 「「「「「はっ!」」」」」


 マーカリさんの言葉に従って、衛兵たちがダリアスたちを連れて行こうとする。


 ((ダメだよ! 地下牢は拠点なんだから!))


 「「「「「!!!」」」」」


 金ちゃんと銀ちゃんが止めなければ、あの地下牢に連れて行くところだった。


 「すまん。塔の牢屋へ連れて行け」


 マーカリさんは、申し訳なさそうに別の牢屋を指示した。


 「「「「「はっ! マーカリ陛下!」」」」」


 衛兵たちは敬礼をすると、ダリアスたちを連れて行った。


 マーカリさんは、残った衛兵たちのそばへと行くと、彼らは跪こうとする。


 「跪かなくて良い。それよりも頼みがある」


 「はっ! 何でしょうか?」


 衛兵の一人が代表として答えた。


 「交戦中の各部隊に、ユナハ連合軍との戦闘をやめ、武器を収めて降伏するように伝えよ。これはファルレイク帝国皇帝、マーカリからの勅令である」


 「「「「「はっ! かしこまりました」」」」」


 衛兵たちは敬礼をすると、駆け出していった。

 なんか、カッコいい!

 僕がキラキラした目で見つめていると、マーカリさんは顔を真っ赤にして、恥ずかしそうに近付いてくる。


 「フーカ様、本日、ファルレイク帝国は終焉を迎えようと思います。帝国の名称を捨て、新たな国造りを始めようと思います」


 「そうですか。では、ユナハ国はマーカリさんの新しい国造りを支援します。困ったことがあれば何でも言って下さい」


 「ありがとうございます。感謝いたします」


 僕は彼と握手を交わした。


 ユナハ連合とファルレイク帝国との戦争は終結。

 そして、ファルレイク帝国は終焉を向かえ、その歴史の幕を閉じたのだった。

お読みいただき、ありがとうございます。


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