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うちの神様の間違った転移でおおごとに! 女神の使いにされて、僕を頼られても困るのだが……。  作者: とらむらさき


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118話 ユナハ市観光ツアー

 各国首脳たちから、以前に来た時よりも発展しているユナハ市を、帰国前に見て回りたいという要望を受けて、ユナハ市の観光ツアーが行われることとなった。

 そして、ユナハ市が、どこまで発展しているのかを知らない僕たちも、観光ツアーに参加することにした。

 もちろん、案内をするガイド役はヨン君だ。

 そして、彼から、城の前に集合するように言われていた僕たちは、朝から首脳たちと彼が現れるのを待っていた。




 こちらに向かって、馬車が近付いてくる。

 一台のようだが、この人数が乗れるのだろうか?

 目の前に停車した馬車を見て、僕たちはギョッとする。

 列車のように二両が連結された大きな馬車だったのだ。


 「ケ、ケイト? これって……」


 「列車を開発するのに、試験として造った馬車です」


 「そ、そうなんだ……」


 彼女は馬車に近付き、連結部分を確かめると、ウンウンと頷き満足そうな笑みを浮かべる。

 馬車の扉がスライドして開くと、中からヨン君が顔を出した。


 「ユナハ市観光ツアーのお客様は、手すりにつかまり、お足元にご注意してお乗り下さい!」


 彼が大きな声で促すと、皆が乗り込みだす。

 続いて、金ちゃんと銀ちゃんも乗り込む。 

 スライドドアにしたおかげで乗り口が広く、二人は詰まることなく乗り込めた。


 「やはり、スライドドアのほうが、乗り口を広く取れて効率的ですね」


 ケイトはそう言いって、メモを取りながら乗り込む。

 僕も彼女の後から乗り込むと、中は広々として、金ちゃんと銀ちゃんがいても、窮屈な感じはしなかった。


 「シートの配置もだけど、つり革までついているし、ほとんど列車だね」


 「列車だけでなく、馬車をバスとして利用することも考えての車両ですから当然です!」

 

 ケイトはドヤ顔を見せる。


 「へぇー、凄いよ! 金ちゃんと銀ちゃんが乗っても余裕があるし、これなら大勢を乗せられるね!」


 「そうでしょ! 車両の壁を湾曲させてスペースを作ってみました。腰を深くして座れるので足が邪魔になりにくいんです!」


 「なるほど。それに、後ろの車両とも行き来ができるのもいいね!」


 「そうでしょ、そうでしょ! あの連結部分を行き来できるようにするのには苦労しました」


 「でも、ケイトは僕と一緒に行動してたのに、この車両って、いつ造ってたの?」


 彼女はサッと顔を逸らす。


 「ケイト?」


 「えーと、設計図はヒサメ様と完成させていたんで、後は研究員や技術者などに任せて、細かい修正点は使者でやり取りをしてました……」


 「そんなことに使者を使っていたんですか!? それも、勝手に使用してますよね?」


 「ご、ごめんなさい!」


 イーリスさんがケイトを睨みつけながら会話に入ってくると、彼女はすぐに謝り、僕の背に隠れる。

 そんな僕たちを、ヨン君が困った表情を浮かべて見つめる。


 「馬車を出しますから、じゃれていないで席に座って下さい!」


 「「「……」」」


 彼に叱られた僕たち三人は、そそくさと席に着く。

 すると、馬車が動き出した。




 「本日は、カプトラベルの王都ユナハ市観光ツアーにご参加いただき、誠にありがとうございます。ガイドは私、ヨン・オーバリが務めさせていただきます。では、本日の予定ですが、午前中に空港と工業地帯の工場を見学、昼食はメイドレストラン『カプ』を予約しています。そして、少し休憩をとった後、ユナハニュータウンのショッピング街で街並みとお買い物を楽しんでいただきます。よろしくお願いします」


 ヨン君がガイドさんになり切っている……。

 誰にやらされているのだろうか?

 僕は前かがみになり、席を見渡す。

 すると、マイさんが背もたれに深く寄りかかって隠れた。

 犯人はすぐに見つかった。

 ん? ちょっと待て。


 「ヨン君? カプトラベルって何?」


 「えっ? 兄ちゃん……陛下が代表として経営されている旅行会社です。ユナハ本店代表がマイ様、アルセ支店代表がリネット様、リンスバック支店代表がネネ様と聞いてますけど?」


 「僕は初耳なんだけど……」


 ケイトとヒーちゃんを見ると、二人は首を横に振り、マイさんを指差した。


 「マイさん、どういうこと?」


 「えーと、奥様委員会でユナハ国を観光したいという声が高まっていたから……フーカ君名義で、旅行会社を作っちゃいました。テヘッ!」


 「「「「「……」」」」」


 車内が唖然とする。

 そして、イツキさんとイーリスさんが頭を抱えだした。

 二人は身内が関わっているなどとは思いもよらなかったのだろう。

 そして、リネットさんとネネさんが関わっていることで、僕もマイさんを強く咎めることが出来なかった。

 彼女はこちらを見て、余裕な表情を浮かべる。

 ぐぬぬぬぬ。クソー!

 何とも言えぬ悔しさが、込み上げてくるのだった。




 馬車が空港に着いた。

 僕たちは馬車を降りると、どこか疲労を感じながらヨン君の後ろをついて行く。

 

 「ここがユナハ空港です。今は空軍の施設ですが、旅客機が完成すれば一般開放される予定です」


 ヨン君が手を差し出した先には、管制塔と舗装された滑走路があり、その脇には格納庫も建てられていた。

 さらに、その奥には、ユナハ空軍飛竜部隊と書かれた兵舎と厩舎(きゅうしゃ)が建てられている。

 二つの建物は繋がっていて、自由な行き来ができるように設計されていた。


 僕たちは飛竜部隊の施設に入る。

 ワイバーンのための厩舎は、広さや空調設備も完璧で、ワイバーン専用の大きなお風呂まで用意されていて、快適な環境がつくられていた。

 そして、兵舎の方は、個人の部屋と食堂、大浴場まであり、他にもミーティングルームなどがいくつもあり、こちらも快適な環境づくりが施されていた。

 兵舎を見学している僕たちに気付いた飛竜兵たちが、こちらに向かって敬礼する。

 すると、ジーナさんだけがこちらに駆けてきた。


 「フーカ様、こんなにも立派な厩舎と兵舎をありがとうございます」


 彼女は、僕の前に立ち、お礼を述べる。


 「僕も軍の施設だと思っていたから、想像していたよりも充実していることに驚いていたところだよ。でも、喜んでもらえているなら良かった」


 僕が返すと、ケイトとヒーちゃんが満足そうに頷いている。

 二人は、この建物の出来に自信があったのだろう。

 僕は二人を見て、この建物みたいに優れた物を造れるのに、どうして、いつも暴走するのだろうと思ってしまう。




 ジーナさんに別れを告げて、兵舎を後にすると、何棟も並ぶ工場へと向かう。

 一番手前の工場に入ると、鉄鋼関係の工場らしく、鉄板や鋼材が積み上げられ、ところどころで火花が飛んでいた。


 「ここでは、鉄道関連の物や航空機、自動車などの研究と開発、他にも馬車や武器などの開発から生産までを行っています」


 ヨン君を差し置いて、ケイトがドヤ顔で説明を始める。


 「建築に使う資材や街灯などは、隣の工場で、日用品などの道具は、さらに奥の工場で開発から生産までを行っています。そして、向かいにある建物は、研究棟になってまして、この工業地帯で作るものを統括しています。他にも、新規で作るものの研究や試作品の試験なども行っています」


 彼女は、さらに説明を続けた。

 彼女の話しを聞いたレオさんは、頷きながら、どこか興奮している様子でウロチョロと工場の中を歩き回り、嬉しそうに見て回る。

 そして、他の首脳たちは、ヒーちゃんに質問をしながら、見て回っていた。


 レオさんが立ち止まり、何かを眺めた後に、こちらを振り向く。


 「フーカ殿、こんな兵器まで造って、お主は世界征服でもする気か?」


 「へっ?」


 僕は言葉の意味が分からず、彼のそばへと近付く。

 そして、彼が見ていたところを見ると、二両編成の火砲馬車(かほうばしゃ)があり、砲台に回転機構が追加されていた。


 「ケイト? これって、何?」


 「今の火砲馬車は、向きを大きく変えられないし、一台ごと運ぶから大変でしたが、この火砲馬車改なら二台同時に運べますし、どんな配置でも狙えるんです。凄いでしょ!」

 

 「す、凄いし、(とが)める気はないけど、僕にも話しをしてくれないと困るんだけど」


 「えっ? イーリス様に話しを通してますけど?」


 僕とケイトは、イーリスさんを見る。


 「申し訳ありません。すでに完成しているとは知らず、報告を後回しにしてました」


 彼女は頭を下げた。


 「こっちについてからもバタバタしてたし、仕方ないよ。次からは気を付けてね」


 「はい」


 「「えー! それだけ!?」」


 マイさんとケイトが不服そうにする。


 「いつも何かしらやらかして、迷惑ばかりかけている人たちは、何か不服でもあるのかな?」


 「「うっ、ありません」」


 二人がすぐに引き下がったことを、勝ち誇っていると、何故だか、皆が呆れた目を、僕に向けていた。

 なんで、僕をそんな目で……?




 工場見学が終わると、僕たちは馬車で移動し、メイドレストラン『カプ』の前で降りる。

 そして、店内へと入って行く。


 「お帰りなさい。ご主人様! お嬢様!」


 メイドさんの姿をしたウエイトレスさんが出迎えてくれると、アーダさんやイーロさん、ヘルマンさんたちなど、この店に来たことのない人たちが驚きを見せる。

 この世界で、こんなサービスをしているのは、ここだけだから仕方ないよね……。


 僕たちをメイドさんが、席へ案内をする。

 彼女は、金ちゃんと銀ちゃんを見ても驚きもせず、二人も座れるようにと窓際のソファー席へと案内してくれた。

 二人の姿に動じないなんて、接客のプロだ!

 そんなことを思っていると、数人のメイドさんたちが、水とおしぼりをテーブルに置いて去って行く。

 そして、僕たちの担当のメイドさんだけが残った。


 「ご注文がお決まりになりましたら、お呼び下さい」


 彼女は笑顔を浮かべると、席を離れていく。




 僕は店内を見回す。

 食品サンプルは、どこにも置いていなかった。

 まだ、食品サンプルを作るのは難しいのだろう。

 しかし、メニューを見ると料理の絵が描かれていて分かりやすく改善されていたことに、感心する。

 そして、オムライス、グラタン、ドリア、数種類のパスタなどを追加して、以前よりも充実したメニューへと改善され、さらに、生姜焼きやハンバーグには、セットでパンとライスの選択が出来るようになっていたことにも感心した。

 ん? オムライスとドリアがある。それに、ライスが選べる。


 「ケイト、お米が出せるようになったの?」


 「いえ、お米は無理でしたので、麦飯を提供しています。お米は一部の地域で食べられていただけでしたので、生産量が少ないんです。無理に仕入れることは出来ますが、そうすると、お米を食べていた地域の人たちが飢えてしまいますし、かといって生産量の少ない物を仕入れるとなると、希少価値が生まれて高騰してしまいます。それに、お店で出すには高すぎるので、麦飯を代用してるんです。今、お米を食べる習慣のある地域の農家さんに稲作をお願いしていますので、次の収穫の時には食べられると思いますよ」


 「そうなんだ。でも、麦飯はダイエットにもいいらしいから、女性の美容のために残しておいて、お米と麦飯を選択するようにしたらいいかもね」


 「なるほど。フーカ様、その案を頂きます」


 彼女はメモをとりながら、嬉しそうに微笑んだ。




 皆が頼む料理を決めたようなので、メイドさんを呼んで注文をする。

 僕はドリアを頼み、皆も料理を頼んでいく。

 さっきの話しのせいだろうか?

 女性陣は、セットメニューの麦飯を選んでいた。


 一方で、金ちゃんと銀ちゃんは、メイドさんにメニューを向けて、料理を指で差して注文している。


 「ハンバーグのセットですね」


 二人は首を横に振る。

 そして、メニューのページ全体を指で差す。


 「……えーと、このページを全部ですか?」


 二人は満足そうに頷くが、メイドさんは困惑していた。


 「「その手があった!」」


 レイリアとアスールさんが声を上げて感心する。

 そんなことに感心しないで欲しいって、そうじゃない。


 「コラー! ページで頼むな!」


 僕は叫んで二人を止める。

 すると、食いしん坊四人組が団結をして、僕をウルッとした瞳で見つめてきた。

 なんか、二人から四人に増えてるし……。


 「……食べきれるなら、頼んでもいいよ。ハァー」


 僕が折れると、皆が笑いだした。

 甘いと思われているんだろうな……。

 四人がページで頼むものだから、メイドさんはアタフタとしはじめ、もう一人を呼ぶと、二人で注文を取り始めていた。

 僕が許したせいで、彼女たちには悪いことをしてしまった。




 少し待つくらいの時間で料理が運ばれてくる。

 以前よりも料理が運ばれてくるまでの時間が短縮されていた。

 これなら、お客さんを退屈させることはないだろう。


 「「いただきます!」」


 皆の料理が揃うのを待たずに、レイリアとアスールさんが掛け声をかけると、金ちゃんと銀ちゃんもペコリと頭を下げる。

 そして、四人はガツガツと食べ始めた。


 アンさんが席を立ち、金ちゃんと銀ちゃんに向かって行く。

 二人は食べる手を止めて彼女を見上げる。


 「二人とも、せっかくの一張羅が汚れてしまいますよ!」


 彼女は服が汚れないように、二人の首元に白い布を掛けていく。

 二人がペコリと頭を下げると、彼女は嬉しそうに席へ戻ってきた。

 

 次から次へと四人のもとへ、料理が運ばれていく。

 その中には、オムレツとオムライス、グラタンとドリアもあった。

 四人は見た目が似ている料理に首を傾げている。


 「ページごと注文するから、ライスが入っているかいないかの料理を頼んじゃったんだよ!」


 僕が教えると、四人は納得して食べ始めようとする。


 「ご主人様、お待ち下さい! まだ、その料理は完成していません!」


 「「あっ!」」


 メイドさんに言われて、ケチャップと呪文のことを思い出したレイリアとアスールさんは、姿勢を正して待つ。

 二人の様子を見た金ちゃんと銀ちゃんは、首を傾げる。


 「金ちゃんと銀ちゃんは、知らないんでしたね。この料理は、メイドさんがケチャップを掛けてくれるんです。そして、美味しくなる呪文を唱えてから食べるんです」


 レイリアが二人に説明をすると、彼らはコクコクと頷いて目を輝かせる。

 そして、真似をするように姿勢を正して待つ。


 「ご主人様、ケチャップを掛けても、呪文を掛け終えるまでは食べないで下さいね!」


 四人はコクコクと頷く。

 メイドさんが四人のオムレツとオムライスにケチャップでハートマークを描く。

 金ちゃんと銀ちゃんは、目を輝かせながら腕を振って嬉しそうだ。 


 「では、呪文を掛けます。美味しくなーれ、美味しくなーれ――」


 彼女が呪文を掛け終えると、四人は彼女の顔を見つめる。


 「どうぞ、お召し上がり下さい!」


 すぐに、四人は料理を口に運び、満足そうな笑みを浮かべた。


 アーダさんやジゼルさんなど、この店が初めての人たちは、興味津々でその様子を見つめ、驚いていた。


 「食べる前に、こんなことをする料理があるのですね。驚きました」


 「私もです」


 アーダさんとジゼルさんは、料理と美味しそうに食べている四人を見つめながら楽しそうな表情を浮かべていた。


 四人は、運ばれてくる料理を片っ端から空にしていく。

 その食べっぷりに僕たちだけでなく、周りのお客さんたちの視線までもを集めていた。

 四人がすべての料理を食べ終えると、パチパチパチパチと拍手が贈られ、四人は照れ始める。

 同じ席に座っているこっちは、とっても恥ずかしいのだけど……。


 四人はメニューを開くと、メイドさんを読んで、デザートの追加注文をする。

 まだ食べるんだ……。




 僕たちも料理を食べ始める。


 ユナハ国になってからのユナハ市が初めてのヘルマンさんたちと、ここに来るのが初めてのアーダさん、ジゼルさん、イーロさん、フリーダさんは、料理を口に運びながら窓から街の様子を見て、感心していた。


 「活気のあるいい街ですな」


 イーロさんが褒めると、他の皆も頷いて笑顔を見せる。


 「ええ、こんなに栄えて、僕も驚いています」


 「何を言っている? お主の国だろ!?」


 僕が他人事のように答えると、レオさんに呆れた表情をされてしまった。

 すると、皆は笑いだし、デザートを頬張っていた四人も、僕を見て笑いだす。

 この四人に笑われるのだけは、納得がいかない……。




 昼食を終えた僕たちは、集合時間まで大通りを歩いて街並みを見て回った。

 以前よりも道が広げられ、歩道も広くとられていて、通り沿いにあったお店はなくっていた。


 「ここにあった店は立ち退きをさせたの?」


 「はい、お店も住居も、ちゃんと納得してもらってから立ち退いてもらいましたよ。今は、ユナハニュータウンのほうに移っています」


 ケイトはドヤ顔を見せるが心配だ。


 「強引なことはしてないよね?」


 「当たり前です。移ってくれるのならば、最新技術で造られた新築の店舗と住居を提供し、引っ越しにかかる費用も国が持つと言ったら、すぐに納得してくれました」


 「それならいいけど、結構、費用がかさんだんじゃないの?」


 「大丈夫です。カーディア帝国についていた貴族と税金を横領していた貴族などから没収した財産を使いましたから。それでも、まだ、かなり余ってますよ。どんだけ貯め込んでいたんだか、呆れるばかりです」


 彼女は困った表情を浮かべる。


 「そうなんだ……」


 僕も困った表情を浮かべた。




 そのまま、以前の街と今の街の違いを確かめるように歩を進めていく。


 「あっ! この路地、フーカ様が少女と間違われて誘拐された路地ですよ!」 


 「「「「「ブハッ!!!」」」」」


 レイリアが唐突に叫ぶと、シャルたちが吹き出し、レオさんたち首脳陣が驚いた表情で僕を見つめる。


 「レ、レイリア。よく考えてから口に出そうね」


 「あっ、すみません。つい、懐かしくなっちゃって」


 「そんなことを懐かしがらないでよ!」


 皆が笑いだし、通りすがりの人たちがこちらを不思議そうに見る。

 色々な意味で恥ずかしい……。

 僕が顔を赤くして悶えていると、金ちゃんと銀ちゃんはニンマリしながら、肘でツンツンと突いてくる。


 「あんたたちは、フーカ君にとどめを刺すのが本当に好きよね……」


 マイさんは、二人を呆れた表情で見つめた。




 僕が恥ずかしさに苦しんでいると、ヨン君がこちらに駆けてくる。


 「皆さん、そろそろ馬車へ戻って下さい」


 彼に言われて、僕は恥ずかしさを抑えながら、皆と来た道を戻る。


 馬車に向かって歩いていると、あることに気が付いた。

 市民の誰一人として、金ちゃんと銀ちゃんに驚いていない。

 それどころか、手を振ったりしている。


 「金ちゃんと銀ちゃんを誰も驚いていないみたいだけど?」


 「まあ、王様がメイド服で現れるような国だから、国民は、金ちゃんと銀ちゃんくらいでは驚かないんだわ!」


 僕の疑問にエルさんがニンマリとした笑顔を浮かべて、酷い返しをしてきた。

 ルビーさんやロルフさんたちが顔を逸らして笑いだす。

 何だか、さっきから辱められてばかりなんだけど……。


 「フーカ様、きっと、私たちが神殿を見学した後、一般公開が始まったので、二人のことを神獣だと思っているからだと思います。それに、金ちゃんは国旗にも描かれているシンボルですから、驚いたり怖がったりするよりも守り神扱いなんだと思います」


 ミリヤさんは僕をフォローするように答えてくれるが、それはそれで、複雑な心境になる。




 馬車まで戻った僕たちは、アーダさんとジゼルさんの要望で、コンビニ『カプ』へ寄ることになった。

 店内へ入ると、アーダさんとジゼルさん、それに、他の女性陣も石鹸やシャンプーなどを買おうと手に取りだす。


 「これから向かうユナハニュータウンのショッピング街に、石鹸などの専門店がありますので、そちらのほうが種類もありますよ」


 ヨン君がアドバイスをすると、女性陣は手に取った石鹸などを戻して、そそくさと店を出てしまう。

 結局、何も買わなかった……。




 ヨン君は、皆が馬車に乗り込んだのを確認すると、扉を閉めてから御者のほうへと行ってしまう。

 車内では、金ちゃん、銀ちゃん、レイリア、アスールさんの四人が綿あめを食べ始めた。

 コンビニで買い物をした者はいたようだ。


 「あ、あんたたちは……。まだ、食べるの?」


 四人はマイさんに向かって力強く頷くと、彼女は溜息を吐いてうなだれてしまう。

 その様子を見て、皆が苦笑すると、馬車はゆっくりと動き始め、ユナハニュータウンへと向かって走り出した。

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