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彼と御一行  作者: あつしーるど
エインパーティー編
7/20

ロリ家主

エインパーティー編 6

狩りから帰宅した俺たちは家につくとすでに明かりが灯っていることに気が付く。

玄関のドアをあけると、そこには居間の椅子にちんまいと座っているロリがいた。


最後の同居人のマホだ。

身長は150cmより低く、無乳、灰色の髪でセミロングだ。あとこの家の家主だ。

もともとこの家はマホの親戚のものだったがマホが独り立ちするということで譲り受けたらしい。

その後俺たちとパーティーを組むことになり、今では共同生活を送っている。


「マホちゃんただいまぁー!」


チカちゃんが家に入るなり座っているマホに向かって抱きつく。


尊い。


「おかえり。」


チカちゃんのハイテンションとは対称的にマホは全く動じず反応も薄いが二人はなかなか仲がいい。

マホが家にいる日は毎日一緒にお風呂に入っているみたいだ。羨ましい。



「頼んだ物、買ってきてくれたか?」



エインが尋ねるとマホは黙って頷く。



「ありがとう、マホ、疲れているだろうから先にチカと二人で風呂に入ってきてくれないか?」


「わかった、例のブツは物置にあるぞ。」



マホは時々口調がおかしい時がある。

たぶん危ない薬とかではないはずだ。

普段は大人しいのに唐突に変な態度をとることがある。

特にエインと会話するときには先ほどのように言葉のチョイスを斜め下にずらしてくるのだ。

俺に対してはというと…



「何買ってきたんだ?」



俺聞くとマホは無視してチカちゃんを連れて風呂場に行ってしまった。

自分で見ろってことね…

ご覧の通り素っ気ないというか無視されることが多い。

こんな感じなのによく同じパーティーでいられるなと思う。


話を戻して、マホには昨日から街に出て生活用品を買い出しに行ってもらっていた。

なにやら他にも用事があるようで買い出し含めて二日間掛かるとのことだった。

マホは自分のことに関してあまり話さず、詳しくは聞いても教えてくれなかった。

俺がきいたからかもしれないけれど。


気を取り直して例のブツをエインと整理しに行く。

物置と化した部屋の一室にはマホが持ち込んだ大量の書物の束が乱立している。

棚を作ってやるからと言ったら「いらない」と言われて断られた。

ちょっと酷くないですかねぇ…

マホからしたらしらないあんちゃんが唐突に棚を作ってあげようとか言いだしたのと変わらないのだろうか。そうだったらちょっと傷つく。

まずはお友達から始めてみよう、そうしよう。


部屋の中央に大きめの木箱がおいてある。

そしてその木箱には『絶対に中身みるなよ?!フリじゃないからな??』と書いてある。

全く訳が分からない。


「これか。」


エインさんこれなんですか‥

マホのことだからきっと頼まれたもの以外も入っているのだろう。

怪しいので忠告しようとした矢先、エインはさっそく蓋を開けていた。


中には鉄でできた容器に入って湯気が立っているあつあつおでんが入っていた。



「エイン… これ頼んだのか?」


「そうだが?」



当然のように返すなよ。

てっきり装備かなんか頼んだのかと思ったのに。

おでんかよ。

そういえばエインは東の国出身でおでんをこよなく愛しているらしい。

俺も前に食べさせてもらったがなかなか旨かった。

しかしこの量は異常である、そんなに日持ちするものじゃないのに…

今日は主催副菜お吸い物までおでんだな…

風呂から上がったチカちゃんはおでんフルコースにどんな顔を見せるのだろうか。


ちょっぴりワクワクした自分が間違いだった。

俺は居間にもどり、マホの買ってきた生活用品や食料、採ってきたウサギの肉を保管庫につめることにした。

保管庫には冷蔵箱があるためそこで食料を長期保存できるのだ冷蔵箱は魔玉で動く生活必需品だ冷蔵箱の上段には魔力をこめると冷気を発する魔玉がはめてあり、その冷気で下の段に置いてある生物などを長期保存可能にしてくれる。


他の荷物は生活用品だけ減っているものを補充して残りはまとめてストックしておく。


なぜか保管庫に 『 お で ん 』と書かれたのれんがかけてあった。

開店しないでくれよ?…



自室に戻って武器の手入れをすることにした。


エインはおでんの盛り付けに忙しいようで武器の手入れは後回しだそうだ。

愛用の武器>おでん

ちょっと可哀想なエインのソード君に同情して研いであげることにした。




チカちゃんとマホが風呂を出るころにはダイニングはおでんの匂いに包まれていた。

テーブルには鉄の仕切りで分けられた大量の練り物と卵が並んでいる。

見るだけでご馳走様です。


「ナイスおでん…」


マホが言うとチカちゃんは若干引いていた。

良かった、チカちゃんはまともで。

そんなチカちゃんを見てからか


「おでんティストでない者にはこのフルコースは厳しいだろう、他にも残り物で作ったサラダと一緒に味わってくれていい。」


とエインが気を使ってくれたようで俺とチカちゃんはオールおでんを回避した。

おでんティストってなんだよ、おい、マホ俺たちのサラダをつゆの中に入れるな。


こうして、2日ぶりに4人で食卓を囲んだ。

頭のおかしいロリ家主とエインのおでんガイキチが発覚した日だった。

魔玉のことなどチカちゃんの頭の片隅にも残っていないのではないだろうか?

さっさと食って早く風呂に入って寝るとしよう。










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