カルモノ
エインパーティー編 3
探索を始めた俺たちは俺を先頭にチカちゃん、エインの順に並んでいる。
周りに獲物がいないか確認しながら気配を押し殺してゆっくりと森の中を進む。
自分たちの足音のみが聞こえる中で『カサッ』と前方から音が聞こえた。
それを合図に2人と向き合い頷くと、俺を残し2方向に分かれる。
エインは右にある木に沿って音のした方へ接近。
チカちゃんは左に中腰になりながら進んでいく。
俺もできるだけ体を低くしながら音の方へ近づくと、そこには探し求めていた「獲物」がいた。
その獲物は人の形をしており、鼻と耳は尖り顔は醜く歪んでいる。
体はやせ細り手足は針のようだ。
背丈は成人したての人間である俺の半分もない。
明らかに動物的ではない見た目は人々に古くから忌み嫌われている。
この獲物は、この世界においては『ゴブリン』と呼ばれている。
ゴブリンを視認した俺はすぐさまエインとチカちゃんの位置を再確認した。
どうやら2人もゴブリンを捉え、俺の方へ手で合図を送る。
狩りでは俺が先陣を切って敵へプレッシャーを掛ける役を負っている。
その後は俺が飛び出した後に2人は二方向から突撃し敵逃げ場をなくす。
これがいつもの狩りで行う奇襲攻撃だ。
単純だが確実に倒すには十分な方法だろう。
複数敵がいるときはべつだけど。
いつものように奇襲攻撃をかける俺はもう一度武器を握り直して息を吐く。
「いくか…」
中腰のままの身体をゴブリンの方へ倒れ込むように押し出して踏み出した足で地を踏みしめる。
身体を低く保たせながら次の足を前へ突き出し速度を増していく。
前方は草が生い茂り、ゴブリンの背後には木はない。側方にはエインとチカちゃん。
10メートル以上後方から動き出して勢いのつく躰はゴブリンまで残り5メートル弱。
流石に殺気を出し過ぎたのがいけないのかゴブリンに気がつかれてしまった。
急激にその身に迫っている危険を察知したゴブリンの顔はひどく困惑した様子であるようにみえた。
ゴブリンはすぐさま身体を自身の背後に弾き出し、回避行動をとりながらその手に持っている刃がボロボロの片手剣を右手で振りかぶる。
咄嗟の回避にもかかわらず、先ほどまで困惑した様子であったゴブリンの身のこなしは人間と違う常に危険と隣あわせである生物の本能に突き動かされているように思えた。
次の瞬間にはスピードの出ている俺の身体はゴブリンの目の前まで差し迫り、愛剣の刃をゴブリンの振り下ろす片手剣めがけて斜めに斬りかかる。
『ギンッ』
という鈍い音が響き、ゴブリンの剣は振り下ろされるまでには至らずゴブリンの頭後方へ弾かれ体制が崩れる。
突き出された俺の剣は突進の勢いを乗せていたためにゴブリンの右脇を通り過ぎ、俺は速度を落とすべく地面に向かい前転して受け身を取る。
すぐさま身体を起こしてゴブリンへ向き直ると、奇襲への怒りをあらわにしたゴブリンが俺へと飛びかかろうとしていた。
しかし、それはゴブリンの「右」からその命を狙う鋭い殺意によって阻まれる。
チカちゃんからの弓の援護射撃だ。
ゴブリンに矢は当たらなかったが動きを少し鈍らせた。
怯んだゴブリンは自分の置かれる2対1という状況を把握して撤退をはじめる。
が、既に遅い。俺を正面に捉え後方へ逃げ出すゴブリンは「左」から向けられる特大の殺意には先ほどまで怒りに満ちていたために気づくことが出来なかったのだろう。
エインの剣、いわゆる「ソード」とよばれるリーチの長い武器に頭をはね飛ばされていた。
初めまして。今日は今晩は。
あつしーるどと申します。
閲覧してくださりありがとうございます。
今まで自分の妄想のなかで動いてきた主人公とその仲間が文章となって?繰り広げていく物語は私の新しい妄想の楽しみ方の一つとなりました。
今後も不定期になるかもしれませんが更新していこうと考えております。
汚い文章と自己満足の塊であるこの作品は初めて小説を書く私にとっては見てくれている人がいるというのは何とも不思議な気分です。
見てくれている方にはどのようにこの物語が映っているのか少し気になっております。
もしコメントや指摘、質問などして頂ければお答え致します。
今後とも何卒宜しくお願いいたします。