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彼と御一行  作者: あつしーるど
エインパーティー編
18/20

帰宅

帰宅

エボルトとの戦闘は、魔法による拘束のあと、俺の咽への一突きが決め手となったのだが、エボルトはしばらく息絶え絶えながら叫んだあとに絶命した。



長い戦闘がようやく終わった。



皆緊張が解けてその場にすわり込んでいた。



その中でチカちゃんだけが全力でこっちに向かい走ってきた。



顔を強張らせ、目尻に光るものを溢れさせながら駆け寄ってくる。



泣いた顔も可愛い。

こんなに可愛いこに男がいるなんて思うとちょっと複雑な気持ちである。




「おばかっ!」




そう言うとチカちゃんはおれに抱きついてきた。



その勢いのまま、俺は気が抜けて脚の踏ん張りがきかないために、まだ魔法の熱が残る土の上で仰向けになった。



「生きてる…」


「なんとか助かったよ」



体は今日一日じゅう森の中を走り回ったことで筋肉痛になっている。

特に脚が酷く、これ以上歩くことが出来る気がしない。

それよりチカちゃんのおっぱが当たっている。ものすごく柔らかい。




ふと、右手の短剣を傾きかける日にかざして見る。



無理な使い方をされて壊れたはずの刀身は健在だった。

周囲には刀身であったはずの鉄の破片が落ちている。

それは、今までの鉄の剣とは刃のが異なっていた。



剣の腹は鉄の色とは思えない綺麗な光沢を放っているまるで鋼のようだ。

さらに、その刃は黒く透き通っていた。






皆休憩が終わってこちらに駆け寄ってくる。




「すまない、足を引っ張った。」



エインが皆に謝る。



「無事だったんだから謝らなくて良いの!」




立ち上がって、チカちゃんがプンスカする。



「腕の調子はどうだ?」



「見た目よりひどくはないよ、しばらく狩りにはいけないかな。」






「はやりぼんぼんは役に立たない。私の教えが必要不可欠みたい。」



「マホさんが詠唱早すぎるんですよ……」



「コト様お怪我などはありませんでしたか?」



「ええ、皆さんとエルさんのおかげで。」




あっちもたいした怪我はしていないようだな。



俺も重い体を起こして顔だけの剥製みたいなエボルトを見つめる。

そこには先ほどまで俺を喰らおうとしていた獣の姿は只の肉と骨になってしまっていることになんともいえない無力感に襲われた。



ぼうっとしていると、後ろから声をかけられる。




「今回は運が良かっただけ。」




「なんだよ、最後の一撃見てただろう?」



こんな時でさえマホは厳しい、俺の脳内では、



『にぃに!無事でよかったぁ~……マホ、にぃにがいなくなっちゃったら……大好き。』



と、愛が溢れ出ている。




「その剣じゃなかったら今頃この世にいない。」




「あ、そうそう。これどうなってるんだ?」




「金属生命体。」




「これ、トランスフォームすんの?」




「?、なにを言っているやら、それは使用者の魔力を吸って鍛えられる武器。」




「知ってたのか、このこと?魔力を吸うって、もしかしてあの芋は俺のために?」




マホはそのまま皆の方へ向いて



「じゃあ解体する。」



マホのかけ声で五人がかりで解体が始まった。






エルさんは大型の魔物を一人で解体したことがあるようで、その指示に従った。



夕日が完全に沈む前には解体は終わり、各々の部位を剥ぎ取る。

残りの損傷が酷く、要らない部位は土に埋めた。



取れた素材は、爪、脚の骨は加工すると武器になるらしい。

大量の毛皮、魔玉が出た。



マホがどうしてもと言うので頭蓋と肉は血抜きして持ち帰った。頭は剥製にして肉は晩飯にするんだと。



帰り道にゴブリンに遭遇したがはぐれだったようでこちらの大所帯に戦闘は仕掛けてこなかった。




森をでて帰路につくと、チカちゃんが安藤の息をついた。




「ふぅ……やっとかえって来れたね!仲間も増えたし。」



「約束を違えることなかったこと、心から感謝する。」




エルがそう言うも、エルとコトがいなかったら今頃もあれに追われていたかもしれない。





「御礼を言うのはこっちだよ、2人が来てくれたから帰ることが出来る。有難う。」




「繰り返しになってしまうが僕からも、有難う。エルさんに二度も救われたこと、これからその恩を返さなければならないな。」



「私たちはもう仲間なんですよね、そう硬くならないで下さい。エインさん。」



「そうだな、改めてこれから宜しく。」




エインは手を差し出して握手する。



「私も、宜しくねっ。」




チカちゃんも続いてエインとコトの手の上から握手していた。




ようやく我が家が見える。

それをみて、マホが駆け出す。




「一番風呂は私、どべは風呂掃除。」



「おい、何言ってんだよ。疲れて歩けないわ。」



「ふうん、じゃあお先にっ!」




チカちゃんもマホに続いて走り出した。




「ルクス、宜しく。」



「お前もかよ!」




よく見たらコトとエルも既に走り出していた。




俺はエボルトの頭蓋を持たされているため。追いつくことが出来なかった。







「最高の湯加減。」



「さきありがとうねー。」




今日もチカちゃんとマホは一緒に入っていた。



浴室からおくれてエルが出てくるのがみてる。

コトの姿も見えたし結局全員で入ったのか。




どんな楽園だったんだろう。

前のぞきに行ったら浴室の前に土で出来た壁紙が張られていた。

女の子って邪な心をジャストでよんでくるんだよなあれ何でなんだろう。




全員でたみたいだし俺も入るか。




泥がついている服を全部脱いで籠に入れる。

洗濯物は男と女で分けて洗濯している。

毎日俺が洗うと提案したら断られた。

残念でならない。




それよりも、女の子達が入った湯船に早く浸かりたくてしょうが無い。




意気揚々とガラッと音を立てて風呂場に突入すると、そこにはシャワーを浴びているコトがいた。

薄い桃色の髪がシャワーの水を弾いて艶やかに滴る。



さっき出てきたんじゃなくて入っていったのか……




「わ、悪い…今でるよ。」




後ろを向いて出ようとすると、




「えっ?何をいってるんですか、私たちはもう仲間でしょう?さぁ、お気になさらず。」




マジかよ、やったぜ!




森を駆け回ったかいがあったってもんだ。





「そ、そうか?じゃあ、遠慮無く……」





振り返るとそこには、一糸纏わぬコトの……






あるんだが…





俺の股間にそびえ立つ剣と同じあれが……




「ルクスさん、そんなにじろじろ見られると恥ずかしいですぅ!」




なぜか俺は何もなかったかのように終始平常でいられた。



風呂を出たら飯食って寝よう。その方が良い。



今日は疲れた。どっと疲れた。






風呂をでて飯を食った。

エインシェフは今日は怪我を負ったためにおやすみだ。

エルがコト様を拾ってくれた御礼とかなんとかで料理を振る舞ってくれた。



なにやら上等な料理がでてきた。

エインシェフの料理も旨い、お袋の味って感じだ。



一生懸命働いて疲れた体へダイレクトに栄養を補給してくれるような濃い味の肉料理中心なのだが、エルの料理は小洒落たレストランのコース料理のようだった。



コトを様付けで呼んでいるし、賄いとかでそんなのばっかり食ってんのかね…



まぁ、滅茶苦茶旨いから文句なしの星3つ半



マホはエボルトの肉料理を食ってうまいうまいと騒いでいた。



『『ご馳走様。』』




エルに御礼を言って俺は自室に戻る。



幸い家にはまだ部屋が一つあるため、そこはコトが使うことになった。



エルは居間で十分と言っていた。

もしベッドに入りたいなら俺の所に来ると良いと冗談めかして伝えたががちで引かれた。

悲しい。



自室にもどると、置いてある俺の短剣に自然と目が行く。




「今日は助かったよ。感謝してるぜ相棒。」




金属生命体っていってたから、伝承にあるインテリジェンスウェポンみたいなのかと思ったが、そうではないらしい。

 


マホの書斎から武器についての本を取り出して読んでみたら、金属生命体の武器の記述があった。

これは魔武器に当たるらしい。



改めて生まれ変わった相棒に挨拶する。




「これからも宜しく。」




そう言ってベッドに入ると、カタ と音が鳴ったが気がしたが、剣は動いていなかった。




隣の部屋では未だガールズトークに花を咲かせているようだ。



そういえばチカちゃんの心に決めた人って誰だろう。



考えてもしかたないので寝る。



目を閉じると、その日の疲れもあって、すぐに眠りにつくことが出来た。

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