小説創作ってのは至極本当に無限大にくだらない
まあ、あれだ、雑談形式で聞いてくれ、俺とお前のサシで話している感じだぜ。
此処は図書館だ、その読書スペースで、本を読むのに一段落した頃ってシチュエーション。
自分はお前と話していた、そしてある時、話の内容がこういう風にシフトする。
金を稼ぐ能力に比べたら、世界のリソースを高度に抽出する能力に比べたら、
小説を書く能力なんて、汎用性のまったくない、ほぼ趣味や一娯楽に矮小化できる能力に過ぎない。
もっと言えば、金や他の能力、地位や権力や富や人、様々なモノで、等価交換可能な代物だ。
別に価値が無いとまで、俺は極端な事は断言しないが、最上位レベルの書き手以外は、代替可能な上に低価値だろう。
実を言うと、俺も小説を書く人間にカテゴリされる存在なんだが。
実際のところ、小説で出力、あるいは入力する情報以上に、世界に溢れる情報は段違いで高次元過ぎるんだ。
つまるところ、そもそもの話、言語情報には、前提として、価値がそれほど無いって訳だ。
もちろん、此処のような別格の、特異点級の言語情報が存在したり、
旧時代のように、言語情報くらいしか主だった娯楽が無ければ、相対的価値は上がったり、下がったり、するがな。
まあなんにせよ、難しい媒体だ、コレはよ。
表現に限界があるし、テクニックや技術、職人芸の世界、アカデミック的な知の世界過ぎて、俺には合わんな。
電子ノベルみたいな、表現の幅が広ければ、その制約からも解放されるが、
あっちはあっちで、色々と言語だけで全てを手軽に表現できない分、
インターフェースが発達しないと、一般化しない時点で、面倒だな、
だいたい小説ってのは、常にどんな時でも、頭の中で様々に行える絶対汎用性のある娯楽なんだ、
そういう言語情報以外の要素が絡むと、途端に、道具に頼るというか、なんというか、な、
言語化は難しいんだが、どんな時でも安定して供給される、絶対の安心感が売りの娯楽なんだ、意味が無くなるに等しいって感じなんだ」
なあぁ大方において、既存全人類が大手を振って同意してくれんじゃねーのかねぇ? これはよ?
まあ同意だろうよ。
小説について、もっと語るが。
キャラクターっての、あるだろ?
あれもあれで、面白いと思うんだよ。
キャラクターってのは、世の中に広まれば広まるほど、それは一種の記号、
言うなら、言語のような一般性を持つと思うんだよ。
一般性とまで、広範囲に含めた言い方をしなくてもいい、
ある程度、範囲の限定された広範囲だ、
そうすれば、ただ、例えば”ツンデレ”とか、そういうキャラクター付けを立てただけで、
ただそれだけで、読者に強制的に情報を一定量、想起させることが出来る、
ツンデレ的キャラの持つ情報、それを省略し、物語の文章量を有意義に使うことができるって寸法。
もっと別に言い換えるが、
例えばシリーズモノだったら、二巻三巻では、流石に新規や、読者に思い出させる為に、省略しないだろうが
十巻二十巻にもなれば、読んでるのは大抵が”分かってる奴”に限られてくる、
そいつ等に対しては、もう、”なにをかいわんや”の領域だ、説明無しでも大丈夫な場面が多々現出するだろう。
これは単一のシリーズ、単一の作者の作品世界、その連続性による省略に止まらない。
省略でなく、増幅と言い換えてもいい。
例えば、無口キャラ、それだけで、どれだけのキャラクターが想起できる?
その時点で、そのキャラ付けを立てられたキャラは、読者の先入観という、情報量を上乗せされたんだ。
その上で、先入観がある前提で、作者はキャラクターを動かして、読者の期待に沿ったり、裏切り驚かせたり、いろいろ表現の幅が広がるって寸法。
なにが本当に言いたいか、分からなく曖昧になってきたので、本題らしい物に戻すが、
キャラクターってのは、言語と同じで、ひたすらに高度化する、
実用経験を重ねられて、情報が集積して、どんどん進化、成長するってわけだ。
既存の、様々にキャラ分類される中で、飛びぬけて最高位の奴、
それの模倣が更なる高度な模倣を呼び、完成度があがり、洗練されて行く、んだろ。
歴史を、より効率的に踏まえる、踏襲できるようになった、昨今の超情報化社会によって、
この現象は加速するだろ、特に、一般大衆までもが、情報強者になっていけば、それも上手い循環の一つになる。
需要者が賢くなってくれれば、供給側も、それに合った、見合った、
簡単に単純にいえば、年齢層の高めの創作物を作れるようになる。
ハッキリ言って、小中高校生をターゲットに含めなくちゃいけなくなると、途端に制限が増える、
難しい漢字は使えない、表現だってそうだ、幼稚で稚拙で、分かり易くないといけなくなる、
そんなんで世界が、高度な現実が、表現できるわけがねえ、できたとしても、それは大変な手間を要するだろ、
簡単な言語で難しい事を表現するのと、難しい言語で難しい事を表現するの、どっちが手間隙労力掛からないか明瞭だろ、
ノリで押し切るにも、そういう圧倒的な力技で魅了するカリスマを文章に持たせるのは、実のところ致命的に効率が悪い。
つまり俺が何を言いたいかというと、
子供はさっさと、小学生に上がる頃には、大人になってろって、そういうことだ。
そうすれば、既存のターゲット層から、学生っていう、中途半端で制限を設ける、購買層が消滅するのとイコールだ、いろいろ捗る。
あーあ大学ってのも、あったな、まああいつ等は社会人と同格って事で、
むしろ、そこでも二つに分けられるのが、まためんどい。
大学生も、さっさとワンランクレベルを上げて、社会人レベルになりゃいいんだ。
そうすりゃ、既存の社会人向けの供給作品もレベルが上がって、超社会人向けみたいになっていくかもしれねぇ
おぉ? おお、話しすぎだろ、お前の話は長いなってか? 知るかよ。
もっと話すぞ、ああ、長いぞ、悪いか?
まあ別に構いやしない、むしろ、罵ってくれた方が、論戦になっていい、やってみるか?
やらないってか、お前と討論なんて、な、っか。
ああ、そうかい。
それでだ。
俺は、こういう本っていう媒体を読んでて思うんだが、
やっぱり、これはまだるっこしいな、全然駄目だ。
だがしかし、こんな全然駄目な媒体で、価値を生み出す技法には、多分、真に価値があるんだろうな。
言うなら、銃が有るのに、剣で戦ってるような感じだ。
電子ノベルや、いろいろな高次の情報発信媒体、娯楽があるのに、
時代遅れ感すら漂う、ただの言語情報、それだけで高次元に娯楽を創造しようとする、これは試みだ。
もちろん、ゆえに汎用性は滅茶苦茶高えぇよ。
言語情報なんて、ありとあらゆる娯楽の媒体に付随して付加される、基底に値する要素なんだからな。
だから、これは最も下位の、刺激の少ない、情報量の制限された娯楽だが、故に最も純粋に研ぎ澄まされて尊い。
ってわけでだ。
俺は最近、小説を書いてる。
もちろん、本腰入れた情報収集は、別の情報媒体だ。
こんな紙切れに記された、限定的な情報量じゃ、まったくハッキリ言ってお話にならない。
最新のインターフェースは、脳にほぼ直接的に情報を叩き込んで、莫大に演算処理を可能にしてる。
インプットは、将来的にも、この方式に頼りきりになるだろうな。
でだ、俺はキャラクターについて語りたい。
キャラクターって知ってるか? そう物語の、この紙幅における登場人物だ。
俺はキャラクターは、俺を分化した存在だと、そう定義している。
俺はそれなりに深みのある人間だが、完璧に、それなりの深みを持たせて分化させるなら、
だいたい七人、それくらいが限界数値だと確信している。
もちろんキャラクターの深度を、キャラ被りなどを気にしないなら、幾らでも無限に生み出せるが、
そんなのは小説においては論外だ。
ただでさえ、言語でしか存在性を、アイデンティティを確立できない、曖昧で不確かなキャラだ、
そういう風に適当に作ってたら、客観的に見て、キャラクターを分ける意味が無いって話だ。
俺は思うんだが、どれだけ一度に沢山のキャラを、同時に確立させることが、できるか?
それが人間の深さと比例すると思う。
もちろん、一人の人間、一人のキャラを深く深く、はてないほど深く、描けるのも同様に素晴らしい。
しかし、一個存在から得られる情報価値は、収穫逓減、そこから汲み上げられる刺激的な娯楽の総量は規定されると俺は考えるね。
だから、ほとんどの場合、キャラクターを多く深く描ける奴ってのは、博識で見識の深い奴ってことだな
なるほどね、って思うだろ?
なにか、言う事はあるか?
ああ考え中、か、ああ、あったって思うか?
とりま、お前の書いてる小説見せてみろよ、興味があるからよ。
ああ駄目だ? 現段階で、他人様に見せられるものは皆無だ?
知るかよ、何でもいいから、お前を世界に公開しろ、
世界に提供できるリソースは、一切合財、一片も無駄にするんじゃねー、絶対存在である、この俺様の絶対命令だ。
ああ?俺は俺の認めた、俺が俺と確定できる情報しか、友達に公開しない主義なんでね?
知るか、
だいたい、俺はお前の友達では、永遠にありえねえんだから、別にいいだろ?
へえ、そんな厳格な主義の持ち主だったとは、初見だよ。
まあ、そうだろうよ。
でだ、まだまだ語りたい事があったんだが、忘れ気味だ。
俺は思うんだが、なぜこれほどまでに、人間って奴は絶妙に賢く、絶妙に愚かなんだろうな。
たぶんで、これは推測的な考えなんだが。
人間は根本的に、今以上に記憶力や理解力、その他、もろもろの脳のスペックが高くても低くても、
駄目になってるんじゃ、発狂死するくらいだと俺は思ってる。
現在でも、人間は自分で自分を殺したりするからな、安定してるのか不安定してるのか知らんが、
とかく、人間ってのは安定してるよな。
動物と違って自由意志を持ちながらも、どれだけ辛くても、簡単には自殺しない、
この脳の構造、人間性は、本当に絶妙なバランス、感情の均衡作用、幸福と不幸の感受性の変動、等々、
まあ上げればキリがないが、本当に絶妙なんだ、俺は不思議に思えて成らない。
これは俺が考えるに、天上の絶対者、神の様な存在が自ら設計したとしか、思えないね。
神のインテリジェンスデザインって奴を信じ切れれば、いろいろ旨みもあるしな、
このような妄想が加速して、妄想が妄想を呼ぶ上手い循環を妄想すれば、それは自ずと分かるだろ。
大いなる存在の作為的な意志が、そこに奇跡的にあるのなら、
我ら小さなる存在は、その巨大な強制力、影響力を意図、意識的に行使、駆使して、より人生を加速させることが、できるのだからな。
宗教ってのは、特に新興ちっくな奴は、こういう巨大な影響力を利用して、人間を進化成長させようとしてる、そういう団体だったらいいのにな。
さて、喉も渇いてきたし、俺が話したいのはこれくらいで一旦終了としようか
ご苦労様ってか、ありがとうね。
清清しい午後の日差しが差し込む。
鳥達の鳴き声が木霊する。
インテリア性の高い此処は、それなりに高次元に落ち着ける、風情のある場所だ。
荘厳なるBGMを、脳内でバックヤードに、俺は飲料を提供するスペースに向かい、
演説を聴いてくれた聴衆の分も含めて、持ってくる。