5/8
雨の夜
ある雨の日。
家に帰ると夫は玄関で待っていなかった。
そんな日もあるか、と思い家中を探したが夫はどこにもいなかった。
私は傘もささずに家を出て近所の人に聞き回った。
でもどこにもいなかった。
考えたところはどこも行ったはずだった。
色んな事を考えながらフラフラと歩いていた時、ふと目のはしに小さな公園が写った。
夫は雨に打たれながらその公園の真ん中にしゃがんでいた。
私は血相を変えて近寄った。
「輝君!!!なにしてんの、帰ろう!?」
「………」
「輝君……」
「………」
「…?」
夫はしゃがんだままでブツブツと何かを言っていた。