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#2 転生2-2

よろしくお願いします。


「どいうことだよ?」


「だからの、主には儂の世界へと行ってほしいのじゃ」


「いやいやいや、おかしいだろ…… 地球じゃなくて?」


「うむ。主の世界ではファンタジー? というらしいの」


どうやら俺は地球ではない世界、それもファンタジーな世界へ行くらしい。


「お主死ぬ直前までこんな事考えてなかったか? 『あー、異世界行きてぇ、ハーレム作ってウハウハしてーなー』とか『毎日可愛い娘達に囲まれ「うぉぉおおい!! 待て待て待て!」……なんじゃ、折角こっからが面白いとこなのに」


「いや、もういい、もういいから。行く、行きます。どうせ行かないと死ぬんだし、確かに思ってました」


「ふぉふぉふぉ、もう死んでおるがの。ならば早速行ってもらおうかの」


嬉しそうに鋭い目を細めて笑う目の前の鷲。

そもそも何で俺なんだろうか? 俺じゃなくても他にもいただろうに。

ふとそんな疑問が湧き上がってきたので先程から何がおかしいのか笑い続けている鷲に意を決して聞いてみる。


「なぁ、何で俺なんだ? 他にもいただろ?」


「む? 聞きたいか? 聞きたいのか?」


「な、何だよ? はっ! まさか魔王を倒せとか世界を救えとか、そんな面倒事を!?」


「お主自分でそんな事できると思ってるのか?」


「……ムリダナ」


「それが答えじゃ。 まぁ、理由はないの。たまたまお主の欲望塗れの妄想が聴こえたからじゃ。それを『馬鹿かこやつはwww』と観察しよったら急にトラックでバンッじゃwwwww実に愉快であっt……」


「………ドウシタ? ツヅキヲハナセヨ」


「……実に愉快であったwwww羽が禿げるくらいだっのぇ!? 痛い、待つのじゃ、羽を毟るでない。年寄りは大事にって痛い痛い痛い!!」


「冗談じゃないか、のおあぁ!? ちょ、無言怖いって! 本当待っ……っ!? ギャアアアァァァアアアアァァァァァ………」


ブチブチと何かを千切る音と綺麗なビブラートを奏でた鷲の叫び声が草原へと響いた。




「シクシク… 儂の羽を毟りおった…… この男鬼畜であったか……」


「口でシクシク言う奴初めて見たわ。後中身爺だろうが。泣き真似すんな、気持ち悪いぞ。 それと、何で助けなかった? トラック気付いてただろ? 神様なら助けても良いんじゃない?」


「他所の神がその世界に干渉してはいけんとさっき言っただろう? 性の事しか考えていない猿め」


「お前が言うなよ。てか猿とか言うなや! 思春期の男ナメんじゃねえ!」


「あー、はいはい、とりま主には適当に過ごしてもらうだけだから、これがお詫び的な? 少しなら力もやるから、もう早う消えてくれ」


「何でもう飽きたわみたいな感じなってんの? 勝手に連れて来といて何様なのお前」


「神様じゃ」


あ゛ー、もうやだコイツ。


「とりまあっちに送るからー、行ってらー」


バサバサと片方の羽を振る鷲。

すると青い光と共に足元に見慣れない文字が浮き上がり体を包み込む。


「は? うわ! 何だこれ!? おい! ちょっと待て、マジで、お前の世界の事とか何も知らねえぞ! ちょっ、待って、本当に──」


ドンドンと叩くがバチっと弾かれ抵抗虚しく謎の文字の中で輪廻は意識を落とした。


◇◆◇◆◇◆◇


「ふぅ、全く、儂の羽を毟りおって…… あぁ、アルティナ様、もう出て来て大丈夫ですよ」


さっきまで鷲の姿だったのが光に包まれると長い髭の目立つ年老いた男へと変わっていた。

そして誰に言ったのか、呼び掛けると突然扉が現れその扉が開くと、


「行ったー! ジノありがとー!」


中からピョン、と飛び出てきたのは金髪碧眼の10歳くらいの女の子だった。

身長は140センチほどで、綺麗な金髪の髪は後ろに結んでポニーテールにしていて、結っても尚腰まで伸びた髪がフリフリと揺れている。

そして小さく丸みを帯びた女の子らしい輪郭、クリンとした長いまつ毛にくりりとした大きく可愛らしい目。

ぷくっとして小さく頬と同じようなうっすらピンクの唇。

どこをどう見ても美幼女だった。


「ふぉ、ふぉ、ふぉ。連れて来た途端恥ずかしがって隠れて儂が対応する羽目に、お蔭で儂の羽が減りましたぞ」


「うー、ごめんなさい……」


「直ぐに生えてきます故、そう落ち込まんでください。それよりも一緒に行かなくてもよろしかったので?」


「うん! あとからティナが行って驚かせるのー!」


「ふぉふぉふぉ、それは良い考えですな」


「そうでしょー!」


「折角見つけた婿候補、逃がしてはなりませぬな」


「うん! これであのかみ(・・・・)に求婚されないねー!」


「ふぉ、ですな。まぁ、あの神はちょっとオカシイ(・・・・)ので仕方ないですが。 してアヤツめ、本当にハーレムを作ろうとしてるとは……」


「良いよー別にー、ティナは寛大? な奥さんだから!」


「まだ奥さんにはなってないですぞ」


「あはは、そだったね〜」


テレテレと笑うティナと呼ばれた女の子。

ジノはそれに温かく孫を見るような目で見ていた。


「じゃあティナは行くねー! 側近さんとしておしごとよろしくー!」


「ふぉ、ふぉ、応援してますぞ、アルティナ様、お気をつけて」


そう言って自らが仕える主に一礼するジノ。

アルティナは頑張る!と明るい笑みと共に応え扉へと消えていった。


◇◆◇◆◇◆◇


「輪廻よ、これから大変じゃな、ふぉふぉふぉふぉ、まぁあれだけ魂が綺麗だっただけじゃなくアルティナ様に好かれたんじゃ、大丈夫じゃろ。後問題があるとすれば、あのお方(・・・・)か……はぁ、疲れるのぉ」


最後に一言、楽しげに笑い、そして面倒くさそうに呟きジノもまた消えた。


誰もいなくなった草原は主が消えると同時に消滅した。



ありがとうございました。

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