PC書簡風リプレイ@クライト
日時:8/4
システム:SW2.0
シナリオ名:お嬢様の恋路
GM:とみぃ女史
PL:4名
自PC:クライト・ダーマン(ドワーフ/爺/真魔1*操魔1*神官5*学者5*軍師1)
相手PC:
アクシス(人間/親父/軽戦士5*魔機3*学者5)
ジュネーヴ・ムール(グララン/男装/拳士4*斥候5*学者4*錬技1)
ラビ(タビット/少年/真魔5*操魔5*野伏1*学者1)
内容:
ライア地方に有る、鍛冶と織物の町タリアート。
標高が高い位置にあるタリアートは短い夏を謳歌しようと、色とりどりの花々が咲き誇っていた。
メナウ孤児院に書簡を届けに来た冒険者に礼を言うと、保母であるドワーフの女性ルーネ・ダーマンは差出人を見て目をほころばせた。
「クライト様……今はどちらにいらっしゃるのですか?」
丁度仕事が一段落した昼下がりのひと時。
子供たちの間でブームの『お手伝いごっこ』のおかげで、夕食の準備までやることが無い。
そんな時に舞い込んできた手紙ときたら、のんびり紅茶を飲みながら読むしかないだろう。
ルーネは棚から老眼鏡(度無し)を取り出すと椅子に座り、テーブルの上の果物ナイフで手紙の封を切った。
『親愛なる我が妻ルーネ殿
今頃タリアートは夏真っ盛りじゃろうか?
孤児院の皆は元気かのぉ? 今年はミラとガーネストが成人の儀を迎えるんだったかの。時の立つのは早い事じゃで……
ワシは今、とある町に来ておっての。滞在しとるのは、なかなか楽しい冒険者の店での。お前さんにも負けぬほどの菓子作りの腕を持っている店主なのじゃ。
まぁ、何が言いたいのかというとのぉ。見聞の旅も順調で、良き仲間にも巡り合ったということじゃ。
腕の立つフェンサーのアクシスさん、好奇心旺盛なグラスランナーのジュネ坊、魔法の腕はピカ一の愛らしいウサギのラビ坊。なかなか個性派ぞろいじゃろ?
ということでな、ワシの事は心配せんでも大丈夫じゃ。
そうそう、先日、面白い依頼を受けたのじゃ。
貴族のお嬢さん方が『はなよめしゅぎょう』とやらをする学園があっての、そこの学生さんであるお嬢さんを迎えに行くという仕事でのぉ。
馬車を用意してくださっての、快適な旅路じゃたわ。
行きの馬車の中で、『御者~上手な馬の操縦方法』で勉強しといたおかげで、帰りの馬車では上手く御者のまねごとをする事が出来たのじゃ。
なかなか楽しかったぞい。
迎えに行ったお嬢さんは、なかなか礼儀正しい子での。
恋に悩むえぇお嬢さんでのぉ……若かりし頃のお前さんを見ておるかの様じゃった。
命短し恋せよ乙女とは良く言ったモノじゃの。
若いうちは思い悩むのは良い事じゃ。
行動しなければ変わらぬ、自ら動けば何かが変わるかも知れぬ……若いとはいいことよのぉ。
おぉ! 見聞を広げたいからと冒険の旅を許可してくれた院長やお前さんには感謝しておるのじゃぞ。
さてさて、帰りの道でじゃが……不気味な森に差し掛かっての。
何やら嫌な予感がするとラビ坊が言ってくれての。警戒しながら森を通り抜けようとしたのじゃ。
じゃぁ、知恵者ボガードの襲撃にあい、挟みうちになってしまったのじゃ。
しかも森の中には何かが潜んでいるとラビ坊が言うのじゃ。
ワシは恐ろしくてのぉ。
じゃが、この時の為に行きの馬車の中で馬の操縦方法を勉強してたのじゃ!
ワシの華麗な操縦てくで、ラビ坊が眠らせたボガードを乗り越えて、無事街まで帰りつく事が出来たのじゃ。
森に潜んでいた妖魔はジュネ坊が投げ、アクシスさんが止めを刺し、退治してくれたおかげで、事なきを得たのじゃ。
街に帰りついたお嬢さんは、気丈に振る舞っておったがの……執事殿の顔を見た途端、泣き出したのじゃ。
やはり、初めての魔物との遭遇は衝撃的だったのじゃな。
あぁ、お嬢さんの恋のお相手は執事殿だったようじゃ。
なかなか熱烈な『ぷろぽーず』じゃったのぉ。
執事殿は華麗にかわしておったが、何、お嬢さんのこの後の頑張りで、どうなるかは不明じゃの。
ワシもお前さんが恋しくなってきたでのぉ。
もう少し旅をしたらタリアートへ帰るからの……気長に待っていて欲しいのじゃ。
ワシの帰る場所は、お前さんの所だけじゃからのぉ。
誰よりもお前さんを愛している クライト・ダーマン』
読み終わった手紙を畳み、封筒に入れようとしたルーネは、まだ封筒の中に手紙が入っている事に気付く。
首を傾げながら同封された手紙を開くと、そこにはお菓子のレシピが書かれていた。
『冒険者の店の店主に聞いた菓子のレシピじゃ。
子供たちに作って食べさせて欲しいのじゃ。
よろしく頼むの』
「まぁ……」
ルーネはクスクス笑った。
交易のおかげで日持ちのする食べ物は手に入り易いし、森には精霊たちの加護のおかげか果物が豊富だ。
レシピに書かれている果物や木の実は、簡単に手に入るモノばかりなので、明日にでも子供たちに作ってあげられるだろう。
クライトからの手紙にあった冒険譚を話しながら、お菓子を食べさせてあげようかと、ルーネは温かな笑みを浮かべた。
お爺ちゃんの冒険を聞いた子供たちは、冒険者を夢見ることだろう。
クライトと成長した子供たちの冒険譚を聞ける日も近いかしらと、ルーネは丁寧に手紙とレシピを封筒に仕舞った。