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。白昼夢











―――――――青年は夢を見る。






白い、白い空間…まどろみの中、遠くで手を振る家族。彼は笑顔で手を振り返し、家族の元へ歩みよろうとする。


しかし、なぜか足場は青年の足を飲み込んでいく。必死にもがき、手を伸ばすが…家族は彼に気づいていないように、その場から立ち去ろうとする。



「…って…待ってくれ!」



彼の叫びは届かない。ゆっくりと消えていく家族。伸ばした手が、虚しく宙を掻く。地面は彼を飲み込んで、ついに首から上だけ見える状態になった。



「いやだっ…!母さん!!…あと――――――?」



不思議なことに名前が思い出せない。


まだいたはず…だって…あれ?彼の思考は次第に消えていく。



「だって…あ…俺…は…―――――――誰だっけ?」



『…思い出を持ち歩くことだ…。』



なぜだろう。途切れかけた意識の中で、この文章が頭を過る。


懐かしい文字…インクの匂い…―――――見ていて…苦しくなる…。


白い便箋の上の文字も、徐々に消えていき、青年は目を閉じた。












涙が頬を伝う感触で目が覚める。










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