歪み
ひねくれた僕は言うだろう
なぜこの世界はこんなにも汚いのか、と
ひねくれた僕は言うだろう
この世界を回す賢者と呼ばれるもの達がなぜそろいもそろって嘘つきなのかと
だけど僕は知っている
こんなにも汚れた世界は嘘つきでないと動かせないことを
歪んだ僕は言うだろう
空飛ぶ大きな石ころに言葉を吐いただけで願いが叶うわけがないと
だけど僕は分かっている
口に出して自らの願いを知る
それこそが一番大切なのだと
ねじ曲がった僕は言うだろう
ボールは友達というサッカー小僧は決まってボールを渾身の力で蹴り飛ばすと
だけど僕は見ている
練習が終わればそのボールを隅々まで磨き上げるということを
子供な僕は言うだろう
小指を絡めただけで、そんな約束を守る者など居ないと
だけど僕は気付いている
大切なのは約束ではなく、ぎゅっと絡めた小指のぬくもりなのだと言うことを
だから僕は知っている
この世界は元々清らかなのだと言うことを
そして、この世界を汚している正体こそ僕なのだということを
この世界には不条理がある
不公平がある
みんな一緒は嘘だ
オンリーワンも嘘だ
あるのはただ、金持ちの腹話術師と貧乏な人形だけだ
金持ちは自らは動かず貧乏人をこき使う
それなら僕はどちらにもなりたくない
僕はただ傍観者になりたい
なんの責任も、なんの義務も持たず、ただ笑っているだけの
傍観者になりたい