表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/53

塔の魔法使いと銀色の龍

シリアスなのはサクサク進めてほのぼの系統をとのお言葉をいただいたのでサクサク進めたつもりではあるんですが…(汗)


急いで書いたので唯でさえ低い文章構成力が酷いことになってる気がしてなりません(笑)


何かご指摘があれば今後ともよろしくお願い致します。


誤字脱字も御座いましたら是非教えていただけたらと思います。

扉の先からは濃厚な、どこか懐かしい魔力が漏れだしていた。


男が一際大きな扉を潜ると、その先は明らかに塔の外観からは考えられないほどの広さを誇った部屋。その中央では、とぐろを巻いて一匹の龍が眠っていた。


その龍の鱗は透き通るような銀の輝きを持ち、龍の魔力に反応してか、鱗は強弱の光を穏やかに明滅させている。


「真っ昼間から惰眠を貪るたあ良い御身分だな。おい。」


龍は男の声に僅かな反応を見せ、大きく欠伸をするとめんどくさそうに頭をもたげた。


『人間か…。未だ死にたくはあるまい。去れ。』


それだけ口にすると、龍は興味を失ったのか再び寝息をたて始める。


「チッ。セラフィといいてめえといい、人の事を簡単に忘れやがって…。人の神経逆撫でさせんのだけはうまいみてえだな。……ぶっ殺す!!」


男が左手を翳すと龍の鱗が強烈に光り、その身体から幾重もの雷が迸った。


その雷は一つに収束しながら男に向かって走る。


しかし、雷は男の翳した手に触れるか触れないかの距離で四方に散りながら男に着弾することなく通りすぎていく。


「なんだ…少しはやる気になったか?電気鰻よりは楽しませてくれそうだな。」


『クッ…ハハハハハハハハ!不遜だな人間よ。いいだろう。貴様に見せてやる。龍というものがどういった存在かを。だが、後悔することになるぞ。貴様は私をここから一歩たりとも動かすことも出来ず死―――』


龍の視界から男が消えると、続いて左頬に強い衝撃を受け、気が付いた時には龍は壁に叩き付けられていた。


「一歩たりとも…何だって?全く恥ずかしい野郎だな。ええ?おい。」


男はゆっくりとした動作でタバコに火を点けほくそ笑む。


龍は鱗と同じ銀色の瞳を徐々に見開いていき、大きく吼えると怒り狂ったように長い尻尾を男に向かって振り回す。


男の左から降り下ろされた尻尾を、男はギリギリまで引き付けると大きくしゃがみそれを避けるが、次いで、避けた筈の尻尾が再び眼前に現れ男の体を捉ると、男は大きく弾き飛ばされた。


塔の特殊な壁に激突したことで、男はその身に追突の衝撃わずかも緩和されることなく受けることになり顔を歪めるが、龍はそこで追撃の手を緩めることはしない。


先程男が防いだ雷撃の何倍もの大きさの稲妻が後を追うように男に迫る。


「…糞が。」


魔法をうまく使えないというハンデを背負っている男は、為す統べなく全ての雷撃をその身に受けることになるが、男は全身に走る痛みを無視し、そのまま龍の懐まで距離を詰め、全身の力を右の拳に込めて龍の土手っ腹に叩き込む。


龍は苦悶の表情を浮かべ九の字に折れ曲がると、男は龍の顎を蹴りあげた。


吹き飛びながらも龍は男に雷撃を何本か走らせると、その全ては男の側に降り注ぐだけで男には当たらない。


男は最初に龍の雷撃を防いだのは、なにも反射的に防いだわけではない。


龍が雷撃を放つ際の魔力の乱れや流れ。そして溜めなどから威力や方向を計算した上での行動だったのだ。


今回はそれを防ぐのではなく事前に少し位置を動いた。唯それだけなのだが、龍からしてみれば狙い定めた筈の攻撃が何故当たらないのかと、焦燥感を抱かずにはいられない。


ジリジリと不利な立場に立たされながらの攻撃は更に精細を欠き、それが魔力のコントロールを更に雑にさせる。


男にとっては既に意識しなくても龍の稲妻の軌跡は読み取れるレベルまで落ちていた。


そうしていく中で、龍は着実にその身に傷を増やしていく。


『何故だ…何故中らない!?』


「さあな。てめえが下手なだけじゃねえのか?」


『貴、貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!』


魔法では部が悪いと判断し、龍は両の顎で男に喰らい付かんと迫る。


男は口にくわえている吸い殻を吐き捨てると、前方に式を展開させた。


膨大な魔力が注がれることで魔法陣は呆気なく容量を越えてしまい、まさに爆発をせんという時には龍の顎は男の目前に開かれていた。


あまりに巨大な音が響き渡り、耳の奥からは電子音のような音しか聞こえてこず、男は顔を顰める。


『貴様…あれほどの爆発の中で何故無傷でいられるのだ…。』


暴発の直接受けたことでで最早動くことも儘ならない龍に対して、男はタバコを取り出し吹かし始めた。


「……殴られ過ぎて頭でもいかれたか。元々暴発すると分かってるんなら、籠められた魔力よりも更に大きな魔力を纏えばいいだけの話だろうが。」


『……。』


男が言ったことは確かに正しいが、男が籠めた魔力はおおよそ目の前の龍が必殺として放つブレスの二発分。


つまり男は魔法に使う魔力と、それより大きな魔力で自身を纏うという魔力の無駄遣いとも言える使い方をしたのだ。


あまつさえ、それだけの魔力を消費しておきながら未だに魔力を切らせる様子はないことに龍は憤りを覚えた。


『命を懸けた戦いに手心を加えるとは貴様何様のつもりだ!!それだけの力があれば私を倒すチャンスは何度もあったはずだ!!』


龍の言っていることは正しい。事実男は最初の一撃で倒すこともできたし、塔の中という限定された空間であれば遠距離から回避不可能なレベルの暴発を数回起こせば事足りたのだから。


「手心?頭沸いてんのかてめえわ。そんな高尚な手も心も持ち合わせてねえよ。殺すぞ。」


男は尚もタバコを燻らせながら続ける。


「俺はてめえに聞きたいことがあったから態々此処まで足を運んでやったんだ。直ぐにケリをつけなかったのは明らかにそれが無駄足だったとわかったからだ!何発か殴らねえと気が済まなかった。ただそれだけだ。気色悪いこと抜かしてんじゃねえぞ。銀龍。」


男はきっぱりそこまで言い切ると、未だに理解が出来ずに困惑した表情を浮かべる龍に近づいていく。


『銀龍…。それが私の名前か?』


龍の言葉を耳にした途端、男の機嫌が見るからに悪くなり、今尚顔を起こすことすらできない龍の顔を踏みつける。


「それだ…。その記憶喪失のせいで無駄足を踏まされたって言ってんだよ。殺すぞ!」


『ふむ…銀龍か。何故かしっくりくるな。私は敗れたのだ。今後は銀龍としてマスターであるそなたに仕えよう。それで?聞きたいこととは?』


「てめえ人の話し聞いてたのか!?ぶっ殺すぞ!!今のてめえに聞いても意味ねえって言ってんだろうが!…チッ。じゃあ一つだけ聞いてやる。てめえここで眠ってる前の事は覚えてねえのか?」


『期待に添えられなくて申し訳ないが…。』


「糞が。星のやろう…うざい真似ばっかりしやがって。いつかぶっ殺してやる。」


そう愚痴を溢すと男は龍の顔から足を退け、龍は銀の瞳を眠たげに閉じる。


『我古の誓いに則り、此処にこの者に忠誠を誓いし事を誓う。承りし我が名は銀龍。』


龍が誓いの言葉に魔力を乗せながら発すると、男と龍の間に見えない糸のようなものが繋がるのが二人にはわかった。


『契約は成立したな…ん?』


龍が瞳を開けると男は既にその場に居らず、契約が交わされたと同時に現れた扉の方に男はそそくさと早足で向かっていた。


『どうされた?マスター。』


「うぜえぞ。話し掛けんな、時間が惜しい。塔の決めたうぜえルールや、てめえの攻撃のせいで服もボロボロになっちまったし、早く戻って風呂で血を流した後、直ぐに着替えねえといつもの晩飯の時間に間に合わねえだろうが!!」


『飯、とな?しかしそなたはこの塔の契約者であろう?必要あるのか?寧ろ―――』


そこまで言うと、銀龍は男からいきなり立ち昇った殺気に言葉を詰まらせる。


「喋んなって言ったろうが…殺されてえのか。今後その事に関して何があっても話すことを禁じる。これは《命令だ》。」


言葉に魔力を乗せて話すことで男は銀龍に絶対服従の制限を加えた。


『…承知した。』


銀龍は、男と契約したことでその体に受けた傷が徐々に消えていき、僅かだが動くことが可能な状態までは既に回復しており、男から下された命令に瞳を閉じて応える。


男は不機嫌そうに舌打ちをすると新しい扉を開け放ち、次の部屋に描かれている魔方陣の上に立つ。


「何グズグズしてやがんだ。形態を変えることぐらい朝飯前だろうが。早く来い。命令だ。」


今度は魔力を乗せずに、視線をやや逸らしながら銀龍に命令する男の姿に、銀龍は思わず口の端を僅かに動かす。


「何気色悪い顔して笑ってやがんだ!?殺すぞ!」


『いや、何でもない。了解したマスター。今行く。』


銀龍は、蛇のような龍の形態から四肢のあるドラゴンの形態に姿を変えていく。


姿が変わりだすと共に、サイズも手乗りサイズ程度に縮んでいき、最終的には顔が小さく首の長い、羽と四肢をもった姿になった。


銀龍は男の肩に乗ると、さすがに疲れたのか男が文句を言う暇もなく眠りにつく。


「糞が…。無許可で人の肩占拠してんじゃねえよ…殺すぞ。」


男は光る魔方陣の中、銀龍を肩に乗せながらそう呟き、その場から消えていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ