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塔の魔法使いと鬼ごっこ

昨日寝る前に久々にサイトを開いたら恐ろしいことにお気に入りが一件増えていたので急遽書き上げました(汗)


だもんで、少々読みにくいところがあるかもなので御指摘等いただければと思います。


追伸 未だ鬼のように忙しいので不定期更新になると思います…楽しみにしていただいてる方には大変申し訳ないです。


え?いつも短いんだからさっさと書けって?才能無いので無理です!!(笑)


追伸の追伸 後書きに前書いたような走り書きを書かせていただきました。反応次第で今後また書くか書かないか決めたいのでよかったらそっちもご要望があれば言って下さい!


予め言っておきますが、後書きの方は若干キャラ壊れてます(汗)

ファーファが塔で三人の帰りを待っている頃、ソーマ達三人は魔王を連れて帰路に着いていた。


三人は来たときと同じく軽く駆けていく中で、魔王は一人遥か後方を必死に走っている。


そしてその距離は徐々に広がりつつあった。


息を切らしながらも前を行く三人に声を掛けるが、三人は我関せずとスピードを緩める様子はない。


「マスター。このままではあれを置いていくことになるのではないかと…。宜しいのですか?」


セラフィは二人が星から直々に任務を与えられたと聞き及んでいるため、置いていくことが任務の放棄になるのでは、と少し及び腰になっているらしい。


その為、スピードこそは落とさずにいたが、後ろに度々視線を送っていた。その度に後ろの影は小さくなっていくため、このままでは完全に見失ってしまうのではとの不安から思わず声を掛ける。


「この程度のスピードに付いてこれねえで魔王とは笑わせる…。成長途中とはいえこれじゃあ先が思いやられるな。」


「そうね。単純な肉体能力では上位冒険者にすら殺られるかもね。戦闘技術に関しては……私が試してこようか?」


妖艶な笑みを湛えるソフィアの瞳には狂喜が垣間見え、ソーマは小さく舌打ちすると「好きにしろ。」とだけ言い残し、視線を再び前に向けた。


ソフィアが二人から離脱し、魔王へと駆けていくその後ろ姿はまるで新しい玩具を与えられた子供のようだ。


そんな様子に小さく嘆息すると、視線をセラフィに送り僅かに顎を後ろにしゃくる。


セラフィは小さく頷くと、羽を大きく広げその場で止まる。そしてその足で直ぐ様気配を殺し、ひっそりとソフィアの後ろをつけていく。


二人が離れていく様子を見ながら再度小さな舌打ちを響かせると、袖からタバコを取りだし、煙をゆっくり燻らせながらソーマは一部始終を見守ることにした。


「はぁ、はぁ、はぁ…。脇…腹が、もう、限界。」


大量の汗を流しながらも必死に三人を追っていると、一人の影がこちらに近づいてくることから少年は足を止めて休んでいた。


「なぁに?もうバテたの?魔王が聞いて呆れるわね。」


「貴様…私に……そんな口を。後悔、するぞ。」


息を切らしてはいるものの、何とか威厳を保とうとソフィアとセラフィの前では尊大な態度を未だ崩さない。


「んふふ。ゾクゾクするわね、その態度。」


ソフィアは少年の顎に手を掛け、強制的に上を向かせ口に金色の飴玉のようなものを放り込む。すると身体が淡い緑の光に包まれ呼吸は整っていく。


光が収まった頃には少年の体力は完全に回復しており、溢れんばかりの力の奔流が身体中を駆け巡っていた。


「エルフの秘薬はどうだった?じゃあ今から試験を始め―――」「ふ、ふはは…ふははははははははは!!見ろこの溢れんばかりの力をぁぁぁあ痛い痛い痛い!?腕はそっちに曲がりません!!」


「そう?残念ね。もうちょっと試してみたかったんだけど。」


薄ら笑いを浮かべる目の前の女性に、少年は本能的に逆らってはいけないものと確と脳裏に刻む。


「それじゃあ、お姉さんとちょっと遊びましょうか?坊や。」


魔王は先程心に刻んだ事もあり、きちんと、正確に、分かりやすく述べた。


「個人的に好みじゃないのでちょっと…。」


「……は?」


「いやね、姉さんが怖いくらい綺麗な容姿をしているのは重々承知なんですが、個人的趣向としてまな板は圏外「術式《雷撃・流走》」まさかの素直さが仇にいぃぃぃぃぃぃぃいぃいいぃ!?」


倒れ伏しながら黒い煙を朦朦とたて、体を痙攣させる。普通の人間であれば苦しみを味わうことなく命を手放している状況で、未だに意識すら保っているのは一重に魔王としての星の加護か、魔族の中でも魔法の耐性が強いか、なのだろう。


抗議の声をあげようと勢い良く飛び上がり、ソフィアを睨み付けんと顔を覗いたところで魔王は絶句する。何故なら、薄ら笑い、妖艶な笑み、蔑むかの様な微笑みと、意味合いこそ違えど、絶えずその顔に笑みを湛えていた女性の表情には現在感情というものが伺えなかったからだ。


「決めた…。能力がどの程度か見るためにちょっと遊ぼうかと思ったけど……ゲームの難易度を変えるわ。」


「え…えっと。イージー辺りから、ハードに変更ってことですか?」


その言葉に女性はゆっくりと頭を左右へ振る。


「ヘ、ヘルモード?」


能面のように感情の抜け落ちた顔が、少年の言葉を切っ掛けに笑みを象るが、それは口元だけで瞳からはやはり感情がこそげ落ちており、見るものに強く違和感を抱かせる。


そんな顔の口元が、今まさに少年に判決を酷く緩慢に言い渡した。


「デ・ス・モードよ。」「うおおおおおおおお!!」


魔王の称号を戴いた少年は曾て無いスピードでソフィアから離れていく。だが、ソフィアはその場から動こうとはせず、ゆったりと数を数えていた。


「―――29、30。」


ソフィアが30数を数えている間に、少年は既に視界からは消える程離れていたが、ソフィアには少年が何処に居て、何をしているのかが完全に把握できており、僅かに笑い声を漏らしながら、ほんの少し、そうほんの僅かだけ少年より早いスピードで後を追う。


視界から完全に消えた後、ソフィアに見つからないよう気配を限りなく小さく落とし、方向を彼方此方へと変えながら走り続けていたが、刹那の迷いもなく一直線に自分に向かってくるエルフの女性に、魔王となってから初めて身体全体で恐怖というものを体感することになった。


歯は絶えず震えるため、音源とならないよう強く強く噛み締め、すくむ身体は魔力をもって何とか動かす。明らかに始めと比べ走るスピードが落ちてきているというのに、二人の距離はまるで測っているかの様に正確に少しずつ無くなっていく。


徐々に距離を詰められていき、耳にソフィアの笑い声が届く程しか距離がなくなったところで、少年は足をその場で止めた。


笑い声は側まで近付くとピタリと止み、辺りは静寂に包まれる。


魔王は大きく息を吸い込むと、決死の覚悟で近くで止まった気配の方へと振り向く。


「ひっ!?」


だが、その覚悟は一瞬で打ち砕かれる。ソフィアの碧を映す瞳は明滅するように紅を滲ませていたからだ。


この世界には元々瞳に赤の色を持つ者は居ない。では何故ソーマの瞳は赤いのか。それは魔力による色素の変異が原因だった。


ある一定の魔力を持った者の瞳は総じて瞳に赤を携える。つまり、目の前の女性は普段は押さえていたのであろう魔力を瞳の色が変異するほどまでに力を解放しているのだ。


まだ瞳を赤く変えることの出来ない少年にとって、目の前のソフィアはまさに死神のように映っているのだろう。


「鬼ごっこは……もうしないの?」


ソフィアは、小首を傾げると瞳に浮かんでは消える血のような赤色と同じ色をした舌で口を軽く湿らせ、口角を歪に持ち上げ笑い、足音なくゆっくりと二人の距離を縮めていった。


一歩踏み出される度に強まる気配に、魔王は無意識に吼えた。


「ウオオオオォォォォォォォ!!」


赤い髪が鈍く光を発すると、その手には細身でありながら荘厳な金と銀の竜で象られた柄、刀身は艶やかな烏羽の様に輝き、恰かも呼吸でもしているかの様に辺りの魔力を吸っている剣が握られていた。


横凪ぎ一閃。魔王が右の腰元から剣を両手で振り抜くと、巨大な黒い斬戟が一直線に飛んでいく。


それを見る者の目を惹き付けて止まない程軽やかなステップで難なく避けるが、触れていないにも関わらずソフィアの魔力がごっそりと削がれ、剣は歓喜の声をあげるように微振動しはじめる。


「面白い玩具持ってるのね。ふふ…。いいわ、趣旨を変えましょ。後ハンデもあげる。あなたはこれから十分間私に直接触れられては駄目。もし十分経たずして触れられた場合は即座に殺す。反対に私が触れることが出来なかったら貴方の勝ちにしてあげる。勿論…お願いをしているんじゃないってことは理解できてるわよね?」


「………俺が攻撃として触れた場合は?」


「もちろん構わないわ。」


「……よし。それじゃあハンデはなんだ?」


「術式《希望の灯火》」


魔王はソフィアが式を展開すると同時に大きく距離をとる。一般的に使われている式であれば稀有なものからマイナーなものまで魔王となったその日から全て知識として頭にあるが、目の前の式を全く見たことがなかったため、警戒心を露に再び両手で握る剣を右の腰元に引き寄せ、身体を半身開いて低く構える。


目の前の敵に比べ自分の持っている魔力、力、スピード、装備、その全てが心から信じることができず、顔には畏怖を貼り付け、震える身体のせいで呼吸は不規則に口から零れる。


手にはじっとりとした汗が滲み、口内から喉にかけては緊張から水分という水分が失われていく。


「そんなそそる顔をしないで…………。今すぐ、殺したくなるじゃない。フフフ。安心していいわ。これはあなたにとって本当に希望の灯火よ。」


恍惚な表情で悶えながらもソフィアは続ける。曰く、術式《希望の灯火》とはソフィアのオリジナルの魔法で、その効力は10分の間自分の能力を著しく落とす魔法との事。しかしと言うか勿論と言うか、効果はそれだけに終わらず、その10分間の後には術者の能力を落とした分×3で増幅するという魔法だった。


「さあ…私を楽しませてちょうだい。」


瞳の明滅する色が碧に落ち着き、急速に魔力が落ちていくソフィアは、妖艷に笑みを湛えながら少年に向け15センチ程の針を数十本投げ放った。

「マスター大変です!?更新していなかったのにお気に入りが一件増えてます!!」


「うるせえ。耳に障る声で騒ぎ立ててんじゃねえ。殺すぞ。だいたいアクセスが6375だとかユニークが1603だとかそんな小せえことでガタガタ抜かしてんじゃねえよ。」


「す、すいませ――」「お父さん凄い!そんなことまで知ってるんだね!!」


「「「「……………。」」」」


「まさか兄貴…いつもこまめに調べて―――。」「いや…知りたくなかった!そんな小さいソーマ…なんか嫌だわ。」


「術式《神炎槍雷》」「ちょっ、ま…アバババババババ…………ごふっ。な、何で俺だけ。」



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