夢と現実
目が覚めるとそこは教室。
ふと辺りを見回すと、自分の周りには…
クラスメイト達の死体があった。
「何…?これ、なんで…
私は震える手に何か握っていた。
私が握っていたのは―――
血塗れの包丁。
「!!」
カラン、という音をたてて、私の手から滑り落ちる。
手にはまだ生温かい血がべっとりついている。
何がなんだか、わからない。
何故、目が覚めたら教室に居たのか。
何故、クラスメイト達が死体になって転がっているのか。
何故、血の海と化した床に座り込んでいられるのか。
何故、何故、何故、何故。
ガタガタと身体が震える。
頭の中で【何故】という言葉が絶え間無く浮かぶ。
「どうして…なんで…?何…これ…」
周りを見る限り、私以外に「生きている」人間はいない。
でも、声が、私以外の声が聞こえる。
私の後ろから、よく知ったソプラノの声が響く。「どうして?なんで、こんな事をしたの?ねぇ、華蓮…」
ゆっくりと振り向く。
「実里…?」
私が名前を呼ぶと悲しそうに微笑む。
「どうして?なんで、こんな事をしたの?華蓮…」
実里は同じ言葉で繰り返し言った。
今までろくに実里を見ていなかったけれど、見てしまった。
正直、見ない方が良かった。
左肩から右脇腹にかけて、ざっくりと深い傷を負った、血塗れの実里。
普通に考えて、致命傷になっている。
しゃべることが、ましてや起き上がれるはずがない。
「…え…?み、実里!傷、どうしたの?!一体誰が…」
実里はただ悲しそうに微笑むだけで答えてくれない。
答えは、違う方向、違う声が返してくれた。
「あなたがやったのよ。校倉さん」
声のする方を見ると、評議委員の千果ちゃんが居た。