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クロード家の云々  作者: カキちゃん
第四章 
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第86話「進路」


ディノは闇で医者をしている者に治療を受けた後、ミオナと共に拠点へ帰還した。


「帰ったぞ」


「おかえ……思った以上にやられたね。連絡は貰ってたけど半信半疑だったよ」


「ははっ。ちょいと気を抜いてたところはあるな。能力的に脅威ではないと思っていたのがミスだった」


少し自嘲気味にディノは答える。


「それで、アントンが今回の犯人ってことでいいね?」


「そうだな、ただ気になる点が一つある。アントンは俺たちが嗅ぎ回ってることを瞬間的に理解して、家を爆破した。妙だと思わないか?」


ディノは一度間を置き、言葉を継ぐ。


「俺はアントンに“聞き込み”をしてるとしか言っていない。もし俺たちが無関係な一般人だったら悪手になり得る。だがアントンは気にせず爆破した。ここから考えられるのは……」


「前からマークされているってことだね」


シュティーの声は低かった。


(マークされていたとして、いつからだろう……インダストラでの一件からが有力だ。でも、あの時インダストラに行ったのはボクとアラタだけ。ディノとミオナちゃんの存在は知られてないはず。

つまりボク達がインダストラの一件を終わらせた後、何者かにつけられ、調べられた。

それで先手を打ち、ボク達の誰かが来れば爆破で痛手を与える。

他にも何か仕組まれてるとしたら――単独行動ではなく、仲間がいると考えるべきだろう)


「どうした?」


「ん? あーごめん、考え事」


シュティーは一度首を振る。


「一旦二人は休んで。アラタがまだ帰ってきてないから、情報が揃い次第、動こう。それと、もしアントンと一戦交えることがあれば、ディノは今回は待機。まだ怪我が治ってないし、相手が一人とも考えにくいからね」


「わかった……すまねぇな」


面目ない、と言いたげなディノ。



深夜


その日の深夜、アラタが戻ってきた。


「ただいま〜……って寝てるか?」


「おかえり。遅かったね」


「なんだ、まだ起きてたのか」


「アラタが帰って来なかったからね。それで、何か掴めた?」


「手がかりになるか分からないが、一応な」


そう言うとアラタはパソコンを用意し、USBメモリを差し込んだ。数分後、アラタは画面にとある動画を表示する。


「これは?」


「端的に言うと、ヘンリー・パブロはブースターの売人ではなかった。ただ、ストリガ海峡市の住民は“何か”を知っている可能性があったから調査を続けた。その結果がこれだ」


映っていたのは夜の海。

何者かが船でセルカ島方面からストリガ海峡市に接近し、その後ストリガから北西方向へ車で抜けていく姿。

だがシュティーは、映像そのものより先に気になる点があった。


「アラタ。この映像、どこから仕入れたの?

ストリガ海峡市が“監視都市”なのは知ってる。でもこれは監視カメラの映像じゃない。……まるで、人が直接見たみたいな映像だ。アラタ、何か隠してるでしょ?」


アラタは苦虫を噛み潰したような渋い顔をした。

シュティーは少しだけ威圧を含ませ、アラタを凝視する。

やがてアラタは、小さくため息をついて口を開いた。


「相記化から情報を抜く時に、作成した罪“接続”があっただろ?接続は記録媒体から記録媒体に情報を移す罪だ。……だが接続の真価はもう一つある。人の脳を記録媒体として捉えて、情報を移すことができる」


その言葉に、シュティーの表情が曇る。


「つまりそれってさ、記憶という情報を移せるってことだよね?下手すれば記憶を全部抜いて廃人にすることもできる。そんな危険な罪を使って、ピンポイントで情報を移すなんて出来るの?」


「そう。だから俺としても使うことはないと思っていた。だが、ある罪を併用することでピンポイントが可能になった。その罪は“追体験”だ」


アラタは淡々と続ける。


「追体験で対象の記憶を追体験する。そこから必要な情報だけを抜く。こうすればリスクは抑えられる。

ストリガ海峡市の住民は“自分で見た光景”を持つことで牽制し合っている。なら、追体験で引き当てる記憶は鮮明になりやすい。ランダム性の高い追体験でも、有力情報を握れるってことだ」


「なるほど……だとしても、使いどころは考えないとね」


やろうと思えば簡単に人を殺せる可能性がある。

ないとは思うが、万が一を考えるなら釘を刺す必要がある。


「わかってる。それより重要なのは、この映像だ」


アラタは画面を指した。


「男は北西へ移動している。そしてストリガの北西には――おやっさんとミオナが向かったセレンディオがある。他の映像では、この男がセレンディオ方面に現れ、セルカ島へ戻る様子もあった。

もしこの男がアントンなら、アジトはセレンディオのどこかにあるだろう」


「セレンディオは交易都市……でも、今は使われてない倉庫街もある」


「そう。数日もあれば割り出せるはずだ」


シュティーは頷く。


「ふむふむ。ならセレンディオを集中して調査しよう。ただ慎重にね。

実態が掴めないし、ブースターで被害拡大も考えられる。ない方がいいけど戦闘は避けられない」


大きな手がかりを得た。

いよいよ次の行動へ移る時が来た。

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