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クロード家の云々  作者: カキちゃん
第四章 
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第79話「白昼の雷霆」Part1

翌朝、夜の成果は何一つなく終わる。従業員が工場に向かったと同時に、アラタはルカの部屋へと入る。


換気口に手を伸ばすと、相記化は濃い緑色の花を咲かせていた。アラタはおもむろに花をむしり取る。

刹那、花に蓄積された情報が流れ込む。映像はなく、音などに限定されるが、正確に蓄積できる。


相記化の情報――換気口に流る風の音、カサカサと動く虫の音、トットットと歩く動物の音。換気口から何かが飛び出る音がする。

そして、ルカとは違う声がし始める。


『この度のお買い上げ感謝いたします』


『…そんな事より、“アレ”は?』


『手はず通り、いつもの場所での引き渡しとなります』


『そうか…感謝します』


『システムの遮断はお任せください。以前よりも復旧に時間が掛かるようにいたします』


『ありがとう。それと誰か知らないが、インダストラで嗅ぎ回っている者がいる可能性があります』


『…そうですか。一応上に報告しておきます。それでは…』


会話が終わり、再び換気口にトットットと歩く音。ルカが静かに笑う声。記録はここで終了。後は空気の音しか流れない。


(“いつもの場所”か。ボスが監視カメラを確認すると言っていたから場所の特定は可能だろう。それと謎の声の主――何かの能力か、換気口から侵入し、ルカへと伝言を伝えた。換気口を辿れば何かわかるかもな)


アラタは換気口を辿り、社員寮の外側へと出る。排気口の高さは1.5mほどのあたりにある。一部が損傷しており、ネズミ一匹程度なら入れそうな隙間が空いていた。

監視カメラはあるが、小動物程度なら映されても基本的にスルーだろう。


(対象はここから侵入しルカに接触、受け渡しの場所を伝えた。そしてもう一つ“システムの遮断”。前回のブースター受け渡しの際にシステムを遮断させたのだろう。それで監視カメラの機能を止め安全に受け渡し場所へ向かい、社員寮まで帰還。配電盤やシステムを管理する場所を見張れば、ルカの犯行は阻止出来るが、肝心の売人には繋がりにくいか。ボスなら今頃手掛かりを見つけてるだろうし、報告してからだな)


アラタは静かに立ち去る。だがその姿を見つめる一つの視線があった。


――


シュティーは監視カメラのチェックを終えて、死角となる倉庫エリアへと赴いた。かなり古くからあるのか錆が目立つ。従業員も頻繁に来ないらしく、夜ならば警備も薄いため取り引きにはベストの場所だろう。売り子の痕跡はなく、用心深い事がうかがえる。


「相記化で何か情報を手に入れてるだろうし、アラタと合流するかー」


シュティーは工場へと戻る。


「何か見つかった?」


「あぁ、ルカは何者かと接触する。売り子か関係者か何者かと話していた。システムを遮断するって言ってたから、そのタイミングだろう」


「そうだね。こっちでも前に一度システムがダウンしたと聞いたから、ルカの動向に気にしながらだね。とりあえず休もうか」


慣れているが、朝までの張り込みと監視カメラのチェックで、シュティーとアラタは心身共に疲れている。一度休憩を取ろうとした時だった。


ドォォン――と轟音が鳴り響く。音の方向は工場の方。

シュティーはまさかと思い、工場へと向かう。工場では、従業員達が避難しているのか騒然としていた。シュティーは秘書を見つけ話を聞く。


「どうしたの?」


「それが、昨夜話した様にシステムを管理する場所で爆発が起きたようで、一時的に従業員達を避難させているのです。CIDにも連絡をしたので大丈夫だとは思いますが…」


「でもまだ避難出来てない人がいるよね。ちょっと見てくるよ」


「あ、ちょっと!」


シュティーは工場内へと駆け出す。後を追うようにアラタも駆け出す。秘書が止めようとしたが、気にせず駆け抜ける。


「もう動き出したってことか?」


「どうだろう。単なる事故なら良いけど、タイミングが良すぎる」


「復旧に時間が掛かるようにって話してたが、ここまでするのか?」


「さぁね。お相手さんも何かあるんだろうね」


工場内を駆ける。従業員が避難――いや、その光景は何かから逃げるような姿だった。

バチッと稲光が走る。稲光は従業員を捕らえ、正確に頭を貫く。


「止まって!」


シュティーは立ち止まる。逃げる従業員の後ろから、ゆらりと身体を揺らしながらルカが現れる。


「君がルカでいいんだよね?」


ルカはシュティーには目を向けず、逃げる従業員を殺戮していく。手から発生される電気は静電気とは思えないほど、繊細の殺傷力を持っている。工場勤務なのが影響しているのか、正確に頭部を貫く。

ルカはゆっくりとシュティーを見つめる。


「お前も僕の敵なのか…?」


刹那、ルカの手から発生する電気はシュティーを捕らえる。


「ギルティ、遮断ヴェール!」


アラタの手からマントがヒラリと現れる。アラタは電撃をマントで相殺した。


――罪:遮断ヴェール

あらゆるダメージを相殺するマントを具現化する罪。即死級のダメージは相殺出来ないが、ある程度のダメージなら相殺可能。手から離したら即時に罪は解除される。

相殺する毎に罰が加算されていき、効果終了後、手の痺れへと変わる。


「っぶね! 防御系の罪作っといてよかったな」


「ありがと。でも、あそこまで正確に、そして広範囲に及ぶ攻撃を避けながらは厳しいね」


遮断ヴェールで切り開くか? 裏技もあるし」


「裏技?」


シュティーとアラタが作戦を立てるが、それを邪魔するようにルカは電撃を続ける。

アラタが遮断で相殺し、後方へと距離を取る。


「とりあえずその裏技っての、やろうか」



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