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クロード家の云々  作者: カキちゃん
第四章 
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第75話「煙は口を噤む」Part3


工場内部を調べて回るアラタ。ラインの駆動音に混じって、人の声が絶えない。ここで働くのはほとんどが電気系能力者だ。医療系と並んで引く手数多、この工場でも、電気系能力者が主に作業を回し、非能力者は雑務に回る。笑い声が軽く響き、手は休まないまま世間話が続く。


(ここで殺しか…)


一見、変わったところはない。至って普通の工場――


(いや、普通すぎるな)


事件の直後だというのに、空気にひびが入っていない。不信も恐怖も滲まない。まるで「何も起きていない」と言い聞かせ合っているような均一さに、アラタは薄ら寒い違和感を覚えた。


視線を滑らせる。ラインの隅、誰とも言葉を交わさず黙々と手を動かす従業員がいる。周りの数人が遠巻きに見ては、くすくすと笑った。やがてその集団が、隅の男に絡み始める。


「おーい、静電気マン。あれ、運んどいてくれない?」


顎でしゃくった先には、明らかな重量物。


呼ばれた男は、拒むでもなくこくりと頷いた。胸の名札に「ルカ」。陰のさす雰囲気、濃いクマ。眠れていないのが一目で分かる。


「また機械壊すなよ〜。ほら、ぴりぴりって」


嘲りが混じる。ルカは顔を強張らせたまま、ふらつく足取りで重量物に手をかけた。誰も手は貸さない。


(はぁ……どこも同じだな)


アラタは、それでも見守るしかできない。腐敗を放置した組織が、いつか音を立てて崩れるのを何度も見てきた。小さくため息を落とし、腕時計に目を落とす。


(……そろそろか)


工場を離れ、外へ出る。


「三位一体、解除――ふぅ」


空気が身体に戻る。掴めたのは、ここに“何か”があるという確信だけ。死因は頭部を何かで貫かれて死亡。電気系能力者が多いこの職場で、もし電撃が原因なら特定は難しい。


「一旦、ボス待ちだな」


一時間後。小さな鉢を抱え、シュティーがやって来た。


「どう、アラタ。何か分かったことはある?」


アラタは見たままを手短に伝える。


「なるほどね。電気系が多いのは予測してたけど、犯人は絞りにくそうだね。ひとりひとり聞き込み、なんてのも現実的じゃないし」


「そうだな」


「――ということで、はい、これ」


シュティーは鉢から種をつまみ上げる。


「相記化か。言ってくれりゃ、最初に情報取りに行くとき一緒に買ってきたのに」


「必要ないかなって思ってたけど、今回はこれが決め手になるかもね。アラタは“気になった場所”に植えてきて。できるだけ情報の多そうなところに」


「了解」



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