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クロード家の云々  作者: カキちゃん
第四章 
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第72話「陰りは近くに」


薄暗く、ほこりの臭いが充満する空間に、バチッと稲光が一つ。助けを求める声は届かない。近づく者に、許しを乞う。


"許されるわけないだろ?"


再度、稲光。その瞬間、命の灯火は消えた。


____


最近、治安が悪くなっている。ブースターによって微弱能力者ですら強力な力を扱えるようになり、犯罪が増加傾向にあるからだ。街には不穏な空気が流れていた。


先日の護送車襲撃事件――おそらくブースターが関わっている。新聞に明確な名は出ていないが、わかる者にはわかる匂わせが並ぶ。


シュティーは、糸口の掴めない状況に苛まれていた。


「そろそろ起きるか…」


ソファから身を起こし、自室のドアを開ける。燦々と差し込む光に、思わず目を覆った。


「やっと起きたか」


リビングにはディノだけ。時刻は既に昼過ぎ。バルタが用意してくれたのだろう、料理がテーブルに置かれている。


「他のみんなは?」


「アラタとミオナは射撃場で訓練。バルタは墓参りだ」


「そっか…」


気怠い身体を動かし、コーヒーを淹れる。


「なにやら考え事をしてた様だな?」


ディノが表情を読んでくる。


「そうだね。最近ブースターのせいで治安悪いし、それに売人や製造元の足取りが掴めない」


ため息を一つ。


「ディノ、暇でしょ? 久しぶりに一戦どうかな?」


ディノは苦笑して肩をすくめる。

「ふっ…いいぜ、お嬢。ちょっとは気分転換もしないとな」


二人は刀を手に庭へ。もちろん真剣。少しでも気を抜けば、容赦なく傷が入る。


距離を取り、向かい合う。静かな風が二人の間を抜けた、刹那、神速の抜刀。シュティーの一撃を、ディノは読んでいたかのように軽々と受け止める。


「前よりかなり強くなったな。速さ、そして重さ……そのうち追い抜かれるかもな」


「まだまだこれからだよ」


連撃。刃が幾度も交錯する。だがディノはすべて捌き切る。


「はぁ…全然通じないんだけど。てかディノ、本気出してないでしょ」


「本気出したら、お嬢に傷をつけるからな」


「別にそんなに甘くしなくていいのに。――だけど、ありがとうね」


その後もしばし、時間を忘れて剣を交える。まるで遊びに没頭する子供のように。


数十分後。木陰で一息。

「一戦って言った割には、結構やったな?」


「ディノが本気見せないからね〜」


シュティーは背筋を伸ばし、地面にごろんと寝転がる。見上げた空は、不穏な現実とは裏腹に澄んだ青。


「起きてきた時より、いい顔になったな」


「そうかな? そうかも」


「それで、どうするんだ。今回のブースターの件」


「そうだね。CIDも手をこまねいてるなら、現状ボクたちに出来ることはない。何か関係ある事件が起きたら動く感じかな。言うてCIDも無能じゃないし、次第に収まるとは思う」


「珍しく楽観的だな?」


「そうだね……ま、ボクも毎日変わっていってるって事かな」

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