第71話「連なる闇」
シュティーは、アラタが持ってきた銀色の筒について、エルメルに連絡をしていた。
『既にそちらにもブースターが広まっていたか、売人の情報は掴めたのか?』
「いや、アラタはその時ブースターの情報知らなかったから、調べる事は出来なかった、というか“しなかった”だね」
『ふん、有用な駒を従えてる割には、情報伝達が出来てないな?』
「ボクも依頼で忙しかったからね、それに駒じゃなくて家族だから」
『どちらにせよ、今後ブースターはソルズカ全域に広まる事が懸念される、巷では話を嗅ぎつけた他国も、ブースターについて話を求めてるらしい、私としてはどうでもいいが、くれぐれも気をつけることだな?』
「おっけ〜エルメルも何かあったら連絡してね」
『何もないがな』
「つれないね、それじゃミルムは振り向いてくれないよ?」
『私とミルムはそんな関係ではない』
「はいはい、“例の話”だけど全然起きないよ?」
『“アレ”はあくまでも、予感に過ぎない、だが近い未来に訪れるのは間違いないだろう』
「そっか、とりあえずありがとうね、何かわかり次第連絡するよ」
電話を切る。シュティーは息を吐く。ブースターについて何か分かれば良いが、現状知っている者はアラタが対峙した棘の能力者のみ。今は小さな火種だが、やがて国、世界を混沌に導く代物には間違いないだろう。
数日後。
「ボス!!!! 大変だ!!」
アラタが血相を変えて飛んでくる。手に新聞を持っている。
「こんな朝からどうしたの?」
アラタは手に持った新聞を無造作に差し出し指を差す。そこには「CID護送車襲撃事件」と見出しがあった。
内容によると、カリスベッタでの通り魔事件の犯人を監獄へ護送中の事、何者かにより護送車が襲撃され、護送中の通り魔事件の犯人含む、護送車の運転手及び数名が死亡したと言う話だ。裁判が終わった直後の犯行であり、遺族の犯行とも思われたが、不可解な点が多いらしい。運よく生き残ったCID職員が言うには「急にその場に黒い何かが現れた」らしい。CIDは事件を重く受け止め、現在捜査中らしい。
「これもブースター絡みだったりするのかな…口封じの為に…」
「かもな、正直こいつしかブースターに繋がる奴がいなかったのが尚更キツい」
アラタの追体験なら売人の足取りを追えたが、それを潰された。
「正直思ってた以上だね、このブースター絡みは」
シュティーは新聞をぎゅっと握りしめた。




