表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クロード家の云々  作者: カキちゃん
第三章 
73/91

第68話「暗闇に笑う」Part3

昼休み。授業を終えたヴァリーナと、学内のカフェテリアで軽く腹を満たしながら、午前の聞き取りの整理をする。


「それで? なにか分かった?」


「校長は“生徒に該当能力はいない=外部犯”って見立て。で、最初の警備員以降も目撃が続いてるなら、目的があって学校に来てる可能性は高い……かも。薄い線だけどね」


結論はまだ出ない。夜に張って、現場で確かめるしかなさそうだ。


「そういえば“心霊現象に詳しい人”がいるって言ってたよね?」


「いるわよ。厳密には“人”じゃないけど」


連れて行かれたのは旧校舎の美術室。数人の生徒がキャンバスに向かっている。


「ヴァリーナさん、コンクールの最終確認ですか?」


「いいえ。“幽霊さん”、いる?」


「いますよ。今日は美術室から動いてません」


生徒のひとりが部屋の奥へ声をかける。しかし何も起きない、すると、白い布がふわりと宙に浮かび、ぷかぷかと漂い出した。生徒がノートとペンを差し出して手を放す。ノートは床に落ちず、空中でふわりと開き、ペンが自動で走る。


『こんにちは』


「……これが、この学園の“幽霊さん”」


「能力者、ってこと?」


「多分ね。普通に“幽霊”の可能性もあるけど」


もはや学内のマスコット扱いらしく、誰も怖がっていない。


「幽霊さん、最近の“笑う影”の噂、何か知ってる?」


ノートがまた動き、文字が浮かぶ。


『ごめーん、見てないんだ〜。でも猫ちゃんは歩いてるの見たよ〜。私には気づいてなかったけど』


「また猫……一回だけ?」


『何度か見たよ。体育館の近くの物陰からひょこっと出てくるの。住み着いてるのかもね〜』


「ありがとう。助かった」


『いえいえ〜。調査がんばって〜』


美術室を出ると、ヴァリーナが首を傾げた。


「どう? 幽霊さんは」


「面白かった。……いや、“面白い”じゃないか。協力的で助かる。夜、見回り頼めたら心強いね」


結局、夜間に動くものは夜に見に行くしかない。シュティーは体育館脇の“物陰”を確認しに向かった。確かに、猫が潜むにはちょうどいい。が、近くには動物の死骸が点々と散っている。どこかから狩ってきているのだろう。鳥の死骸まで混じっているのが、妙だ。いくら猫が俊敏でも、空に逃げられる相手をそうそう仕留められるか?


「あとで片付けてもらうわ……」


ヴァリーナは顔をしかめつつ、冷静に用務員へ連絡を入れる。


「単なる“猫”ってわけじゃないかも。」


違和感を胸に、その場を離れる。


「よし。昼に拾える情報はここまで。夜、動こうか」


「わかったわ。いったん家に戻って準備してくる」


「ヴァリーナも来るの?」


「当たり前でしょ?」


「……何か企んでる?」


「さあね?」


からかう声に肩をすくめ、約束を取り付ける。後始末も任せられるなら、同行はむしろ都合がいい。


こうしてふたりは、夜の校舎に潜む“笑うもの”と“猫”の正体を確かめるべく、闇の時間へ踏み込む準備を整えた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ