表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クロード家の云々  作者: カキちゃん
第二章 
49/91

第47話「終焉の業火」Part2

「炎への耐性が無限」

その言葉が、勝機の最後の糸を断ち切った。

シュティーの顔に、わずかな絶望の色が差す。


次の瞬間、轟々と燃え盛るレガルドの拳が直撃した。

咄嗟に腕で受けたが、高温の炎の前では何の意味もない。

皮膚が焼ける音と、鼻を刺す焦げた匂い。


「――っ!」

衝撃で後方へと吹き飛ばされ、背中から重厚な扉に叩きつけられる。


「どうした? シュティー・クロード」

ゆっくりと歩み寄るレガルドの声は、炎の揺らめきと同じく嘲りを帯びていた。

「その程度か?」


痛みに耐えながら、シュティーは体勢を立て直す。

近距離では勝ち目はない。

さらにこの豪奢な室内――逃げ場も少なく、大きく動けない空間が、じわじわと自分を追い詰める。


シュティーは腰のリボルバーを抜き、迷わず引き金を引いた。

銃声と同時に、レガルドは炎を壁のように練り上げる。

弾丸は触れた瞬間、融解して消えた。


「そんな豆鉄砲、俺には効かないぜ?」

炎の壁越しに、不敵な笑み。


「どうだ、俺の《業火の器》は?」

レガルドの声は誇らしげだった。

「他の者にはない圧倒的火力……俺の炎こそが至高なんだ!」


シュティーは鼻で笑い、わざと息を整える間を取る。

「聞いたよ。お前、ボクの父さんに負けて追い出されたって」

視線を逸らさず挑発を投げる。

「圧倒的だろうが、父さんに負けたのは事実。ボクに拘るのも……逆恨みってやつじゃないかな?」


「逆恨みと言われても構わない」

レガルドは即答した。

「実際、あの男には恨みがあった。だが、それよりも重要なことが起きた――それだけだ」


「重要なこと……」

シュティーは目を細める。

「それは、お前が言った“ある筋”ってのと関係あるのか?」


「どうかな?」

レガルドは口元を歪める。

「俺を倒せたら……聞けるかもな」


再び炎が唸りを上げる。

挑発は効かない。ならば別の手を打つしかない。


レガルドの攻撃を避けながら、シュティーは視線を僅かに逸らす。

狙うは――ミオナ。

背後に回り込み、彼女だけでも逃がせれば、状況は少しはマシになる。

だが、レガルドがそれを許すかは分からない。


残り十回分しかない《記跡の短剣》。

刃を握りしめ、シュティーは一気に踏み込んだ。

空中に描いた軌跡がレガルドの身体をかすめ、鋭い痛みを走らせる。


「ほう……特殊な武器か」

レガルドは目を細め、すぐに笑みを深めた。

「製作者は――ヴァリーナ・セシルだろ?」


「……は?」

ヴァリーナの名が出た瞬間、シュティーの目が鋭くなる。


「言っただろ、“ある筋”からの情報だと」

レガルドの声が、わざとらしく楽しげに響く。

「元はセシル家の令嬢を使ってお前をおびき寄せるつもりだったが……偶然お前がミオナと出会ったことで計画を変えた」

唇の端が吊り上がる。

「何、お前を始末したら、セシル家の令嬢には手を出さないでやるよ……多分な」


その含みを帯びた言葉は、明確な悪意そのものだった。


「……元はミオナちゃんを助けられれば良かっただけ」


シュティーは低く言う。


「でも、ボクも計画を変えるとするよ」


刃先を正面に向ける。


「ボクは今からお前を殺す――」


「やっとやる気を見せたな……」

レガルドの炎が、さらに激しく燃え上がった。

「楽しくなりそうだ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ