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クロード家の云々  作者: カキちゃん
第二章 
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第45話「因縁の扉」

フェルナを退けたシュティーは、燃え尽きそうな身体を引きずりながら、ミオナのいるであろう場所へと歩を進める。


「――戦いは、避けられないってわけか」


フェルナの言葉、「レガルド様のもとには行かせない」。

それが意味するものは明白だった。ミオナは今、レガルドと共にいる。ならば、シュティーが次に向かうべき場所はひとつしかない。


肉体の限界はとうに越えている。炎の爪痕が身体のあちこちに残り、疼痛がひっきりなしに意識を削る。

それでも、助けなければならない。かつて失ったすべてを、その手で贖うと決めたのだから。


ノクターリカの廊下は、想像よりも静まり返っていた。

煌びやかな装飾がされ、まるで城のような豪奢な造りの中に、敵の姿はない。


「自分一人で十分ってことか」


その傲慢さが、今のシュティーには逆にありがたかった。

廊下の突き当たり、一際重厚な装飾が施された扉の前で足が止まる。


ここだ。


鈍い音を響かせて扉が開かれる。

その奥にいたのは、玉座のような椅子にふんぞり返り、鋭い眼光を向けてくる一人の男――バスクファミリーの頂点に立つ男、レガルド・バスクだった。


「よく、来たな? シュティー・クロード」


男の笑みには余裕があった。

それは、この瞬間を待ち望んでいたという顔だ。


運命が交差する、因縁の戦いが始まろうとしていた。


ノクターリカ外


ノクターリカの外では、激戦を終えたCID部隊とディノが構成員の制圧を完了していた。

戦況はほぼ決着、残すは内部で対峙しているシュティーとレガルドの戦いのみ。


「後は任せるしかねぇか…」

腰を下ろし、ひと息つくディノ。その時だった――


「おーい、おやっさん、無事か~?」


あまりにも呑気な声が響く。振り返れば、アラタとバルタの二人がぴんぴんした様子で歩いてきていた。


「お前ら…無傷か?あの地下にいたんじゃなかったのか」


ディノは首を傾げる。だがアラタは、笑いながら答える。


「それがよ、変な女に会ってな」



回想 ノクターリカ地下


数十分前。アラタとバルタはノクターリカの地下で小休憩を取っていた。

その時、ふらりと現れたのが、バスクファミリーの構成員――リリーだった。


「あなた達、怪我してるでしょ?」


そう言って彼女は、自らの炎を穏やかに灯し、二人の傷に包み込むように纏わせる。

炎の温もりは痛みを和らげ、瞬く間に傷が癒えていった。


「お前、敵だよな?なんでこんなことを?」

アラタの問いに、リリーはにこやかに返す。


「ただ怪我してる人を放っておけないだけ〜マフィア向きじゃないんだよね〜私」


「……だろうな」

どこか納得したようにアラタは頷く。


治療を終えたリリーは、ひらりと身を翻す。


「それじゃ、行くところあるから。二人とも気をつけてね」


軽くウィンクをして、戦場を去るその姿は――まるで、天使のようだった。



現在


一通りの説明を終えたアラタ。全ては終わった――あとはシュティーが戻ってくるだけ。

誰もがそう思った、まさにその瞬間だった。


「……っ!?」


轟音がノクターリカ内から響き渡り、一室から爆炎が噴き上がる。

巨大な黒煙と共に、天へと向かう炎柱。


「――始まったな」

ディノが呟いた。


そこにいた全員が、ノクターリカの一室を見上げる。

運命の一戦、その火蓋は、今、切って落とされたのだった。



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