表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クロード家の云々  作者: カキちゃん
第二章 
28/91

第26話「火の通り道」Part2


燃え盛る猟犬が、絶え間なく襲いかかってくる。

能力者本体を追いたくても、猟犬のスピードと炎がそれを阻む。


「正直、八方塞がりだな……」

アラタは呻くように呟いた。「この犬、俺の《狂狼》を上回るスピードだ。追っても途中で足止めされる。能力者は逃げ放題だ」


そしてなにより——。

「最悪なのは、この島を出られて仲間を呼ばれることだ。ボスも言ってたが、俺たち二人で相手できる数じゃなくなる。今ここで、本体を仕留めるしかねえ」


「じゃあ、俺が二匹を足止めする」

バルタが静かに言い放つ。「お前はケリをつけろ」


アラタはバルタを一瞥し、無言で頷く。

そして即座に扉に向かって走る。


猟犬の一匹が追おうとするが——その寸前、バルタが鋼鉄の脚で蹴りを入れ、進行を阻止した。


アラタは外に飛び出す。右方向——視界の先、およそ100メートル。

黒いシルエットが逃げていく。


「逃がすかよ!」


《狂狼》による身体強化で、アラタは風のように駆ける。

男が気配を察し、立ち止まり散弾銃を構える。

——発砲。弾丸がアラタの胸を穿つ。


が、貫けない。

「くっそ……いてぇな!」

アラタの身体は、バルタの《鉄皮》を模倣していた。

銃弾は防いだ——が、痛みは容赦なく響く。


「だがな、それはそれとして……!」


痛みを振り切るように、アラタが男の懐に右ストレートを叩き込む。

男は吹き飛ぶ。だが即座に立ち上がり、左手を掲げた。


——炎を纏った猟犬が、地面から現れる。


(チッ、再召喚か……)


「だがな、もう効かねぇよ!」

アラタは叫ぶ。狂狼と模倣の効果終了の直前、タイミングを見計らっていた。


「ギルティ、《呪鎖》!」


続けて——

「ギルティ、《印》、ギルティ、《模倣》!」


アラタの足元に、炎を纏った猟犬が現れる。

アラタの右拳が男を殴った瞬間、模倣条件はすでにクリアしていた。


男が目を見開く。「……ッ!」


「アンタの能力、借りるぜ。犬ども! そこのバカ犬を抑えとけ!」


アラタの猟犬が命令通り、男の猟犬を包囲する。

銃を構え直す男。だが——アラタの肩から、呪鎖が這い出る。


(ここが決め時だ……!)


アラタは肩に《印》を仕込んでいた。呪鎖は男の銃の軌道をわずかにずらす。

さらに呪鎖はアラタの右腕に巻き付き、螺旋状に形を変えていく。


「バカ犬の飼い主には、キツい一発入れねぇとな!」


重く、見えない質量を持った“鎖の塊”が、男を打ち据える。


ドゴッ——!


空気を裂く音と共に、男の身体が地面に叩きつけられた。

動かない。どうやら気絶したようだ。


「名付けて《チェーンハンマー》……バカ犬の失態は、飼い主が拭くもんだぜ」


アラタがドヤ顔で言ったそのとき——。


「おーい、アラター! 大丈夫かー!?」


バルタが駆け寄ってきた。


「おう、なんとかな……他に敵は?」


「いや、いねぇ。単独行動ってことは、ある程度信頼されてる奴だろうな。……ところで、その犬は?」


バルタが指差す。アラタの足元にいる、炎の猟犬。


「こいつの能力、コピーしたんだよ。……ただ、これ解除したらペナルティえげつねぇから、一回寝るわ。バルタ、こいつ縛っといて。後でいろいろ聞く」

---

30分後——。


アラタと、倒れた男が目を覚ました。

バルタは男に銃を向けたまま、警戒を緩めない。


「で、お前……何者だ? っていうか、レガルドが寄越した刺客だろ? 単独で来たってことは、腕利きのはずだ」


男は、表情を崩さず答える。


「……シェイド。ただの偵察部隊だ」


「ふーん、すんなり答えるんだな」


「負けたからな。俺はボスには忠誠を誓ってるが、往生際悪く黙る性格でもないのでな」


「なるほど。じゃあ、裏口の入り方、教えてもらえる?」


「それは無理だ。ファミリーの危機に関わる情報は、口外できない」


アラタは肩をすくめて、「あっそ。全然いいけど」と呟いた。


そして、シェイドの腕に手を触れ——。


「ギルティ、《追体験》」


瞬間、アラタの視界に映る——

ルナーレ大聖堂の祭壇、そしてその地下へと続く隠された入口。


「バルタ。さっきの大聖堂、祭壇の下に入り口がある。行こう」


「なるほどな……って、こいつはどうする? 始末するか?」


バルタが銃口を向けたまま訊ねる。


「そうだな、能力も厄介だし、ここで始末するのが得策だろうが……一旦ボスの判断を仰ごう」


バルタは端末を取り出し、シュティーに連絡を取る。


だが——。


「おい、アラタ!」

声が震えていた。「ボスが……やられた!!」



罪名:「サイン


呪鎖じゅさ使用時限定で併用可能な特殊な罪。


最大3カ所まで任意の場所に「サイン」を付与できる。


付与した「印」から、呪鎖を遠隔で出現・展開させることができる。


呪鎖の射出方向、速度、角度などはアラタの意思である程度コントロール可能。


罰は呪鎖と同じだよー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ