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クロード家の云々  作者: カキちゃん
第二章 
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第25話「火の通り道」Part1


朝の陽射しがまだ柔らかさを残す頃――。


アラタとバルタの2人は、トゥレーノ北東部に浮かぶ小島、サンティーノ島に足を踏み入れていた。


「ボスの命令とはいえ……流石に疲れたな。なぁ、バルタ?」


アラタが軽く伸びをしながらぼやく。長旅で背中がバキバキだ。

一方で、横を歩くバルタはまったく表情を変えない。


「いや、全然問題ない」


「体力バケモンかよ……」


アラタが呆れ気味に吐き捨てた。


シュティーの命で訪れたこの島。目的は、バスクファミリーのカジノ・ノクターリカと繋がる可能性のある古い水路、もしくは地下経路の探索だ。特に、島に点在する歴史的遺跡のいずれかが拠点への裏口になっていると、シュティーは読んでいた。


「それにしても……」


アラタは足を止め、目の前に広がる風景に目を見張った。


「うおー!すげーな!あれ全部遺跡かよ……」


島の中心部には、教会や大聖堂、石造りの宮殿が密集し、どこか幻想的な空気を漂わせている。


「こんな神聖そうなとこに隠し通路って……罰当たりな話だな」


「罰なんて気にしてたら、マフィアなんざやってらんねぇよ」


バルタが小さく呟いた。

2人はしばらく景観を眺めたあと、探索を開始する。バルタが「手分けして探すか?」と聞く、すぐにアラタは首を横に振った。


「……疲れてるし、手分けはやめとこう。敵と遭遇したら詰む」


「了解だ」


2人は最初に、八角形の屋根が印象的な小さな教会に入った。内部は静かで清潔。だが――。


「あーーーー!!!!」


アラタの声が響き渡る。 


「真面目に調査しろ」


バルタの無感情な一言が飛ぶ。

柱や祭壇、床を注意深く調べたが、特に変わった点はない。


「……ハズレだな」


次に向かったのは、教会の隣にそびえるルナーレ大聖堂。

内部は木の梁がむき出しで、天井が高く、薄暗い光が窓から差し込んでいる。


「なぁ、アラタ……」


バルタの声が低く響く。

アラタは短く笑った。


「そうだな。ビンゴってわけだ」


その瞬間――。


柱の陰から現れた2匹の炎を纏った猟犬が、唸り声を上げて突進してきた。

バルタが前に出て構えると同時に、アラタが叫ぶ。


「ギルティ……狂狼!」


アラタの身体能力が一気に跳ね上がる。だが、犬は攻撃と同時に炎を散らし、防御しても火傷を避けられない。


「バルタ、犬は任せる! 俺は使い手を探す!」


「了解」


アラタは柱の間を駆け抜け、犬の出現位置――柱の裏手へと回り込む。

そこにいたのは、黒ずくめの戦闘服に身を包んだ男だった。手にはショットガンが構えられている。


「っち、見つけたか――!」


バン!


至近距離から放たれた散弾がアラタの身体を打ち抜く――はずだった。

金属の鈍い音が響き、アラタはうめき声を上げる。


「くっそ……いてぇ……。やっぱバルタの“鉄皮”をコピーしても本家より弱ぇな……。銃弾は防げても、痛みはモロだ……」


しかし、アラタはそれでも男へと詰め寄った。


「出てこい、“猟犬のご主人様”!」


男は舌打ちしながら距離を取る。その隙に、猟犬のうち1匹がアラタへ襲いかかる。

素早い一撃がアラタの右腕に食らいつく。


「ぐっ……!」


アラタが苦悶の声を上げた瞬間――。


ドッ……ドッ……ドッ……


重々しい足音と共に、バルタがもう一匹の猟犬を引き連れてアラタの前に立った。

男が再び散弾を撃つが、バルタの鉄の身体が全てを受け止める。


だが、男は冷静だった。ポケットから何かを取り出すと、床に叩きつける。

瞬時に濃密な煙幕が充満し、姿が掻き消える。


「……逃げたか」


犬の攻撃は止まない。自律行動型の能力、それも――。


「バルタ、コイツ、単純な操作じゃない……。嗅覚で対象を追ってる。自動索敵型だ」


アラタは冷静に分析する。


「この島は広いが、隠れる場所は少ねぇ。船か水上バスでしか出入りできねぇし、追えば潰せる」


「……その前に、このクソ犬共を片付けねぇとな」


バルタが拳を握り直す。


薄暗い大聖堂の中、炎を纏った猟犬が2人を取り囲む。

だが、クロード家の幹部たちに臆する様子はなかった。


この戦いは、まだ始まったばかりだ。



Part分けしての戦闘です!

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