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クロード家の云々  作者: カキちゃん
第二章 
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第24話「火道」


シュティーは自室の窓辺に座り考える。バスクファミリーの規模はクロード家の何倍にも及ぶ。今の状況で無謀に突入すれば、勝ち目などまったくない。詳細な情報がなければ潜入すら不可能だ。しかもバスクの拠点があるトゥレーノは、クロード家の支配外であり、アラタに調査を任せているものの、深入りすればレガルドの目に留まってしまう。


「水路……」


シュティーはふと、アラタの追体験で見たミオナの記憶を思い出す。彼女が古い水路を走っていたということは、カジノ・ノクターリカには地下空間があり、街の血管とも言える水路と繋がっている可能性が高い。水上都市のトゥレーノでは、その水路は日常的に使われている。ミオナはその水路を伝って逃げ出したのだろう。


もうひとつの疑問が浮かんだ。


「ミオナちゃんは、どうやってトゥレーノからラグーザまで来たのか?」


トゥレーノからラグーザまでは約800km。徒歩での移動は現実的ではなく、途中で休息も必要だ。移動に一か月以上かかることも考えられる。その間、バスクファミリーの誰かに見つかり連れ戻される可能性が高い。ということは、ファミリーの内部に協力者がいるはずだ。目を欺き、一定の資金を使ってミオナを逃がした人物……それは、アラタの追体験で見たミオナに寄り添う者かもしれない。人格者に近い存在だとアラタは感じていた。


だが、その協力者と接触する方法はない。見つけるのも難しく、連絡を取ることはさらに困難だ。


シュティーは部屋の隅から持ってきた地図を広げた。アラタの情報によれば、バスクファミリーの拠点であるカジノ・ノクターリカはトゥレーノ北東部のラグーンにある。もしそこに裏口があるとすれば、使われていない古い水路だろう。つまり、誰にも知られていない古びた水路が隣接しているはずだ。


「サンティーノ島かな……」


トゥレーノ北東部にあるサンティーノ島は古い遺跡が点在しており、カジノからの距離も近い。ここなら、遺跡の地下に繋がる古い水路も存在する可能性が高い。


「一度、ここをあたりをつけて調べてみよう」


シュティーは決意を胸に自室を出た。呼びつけるように声をかける。


「アラタ、バルタ、旅行に行ってもらうから準備して」


呑気な調子に3人は目を見合わせ、少し困惑気味だ。


「ボス、今の状況で旅行って……」アラタは苦笑を浮かべながら尋ねる。


「うん、気になる場所があるからね」淡々とシュティーは答えた。


「お嬢のことだから、また何か分かったんだろう」ディノが信頼を込めて言う。


「正直、今は警戒されてる可能性が高い。ボクがボスだって知ってる奴らだし、4人で行けば目立つし戦闘になる。圧倒的に不利だ。だから偵察としてアラタとバルタに行ってほしい。場所はトゥレーノ北東部、サンティーノ島の遺跡。調査して何か分かったら連絡して」


バルタは首をかしげて問う。


「ボスはどうするんだ?」


「ボクはディノと違うルートで行くよ。まだ調べたいこともあるからね」


シュティーはもうひとつの案も考えていた。逃走ルートだ。監視の目から逃れる為、バスクファミリーが支配するトゥレーノからラグーザまでは、高速鉄道や大規模な交通網は使わず、ローカル線や密航船を利用しているはずだ。そうすれば二日ほどで到着できる。ミオナの身体の状態からも、軟禁に近い状態にあったことが分かる。土地勘に乏しい彼女を助けた協力者が、ルートを教えたのだろう。


その協力者に近づくため、シュティーは現状で可能な限りの情報収集を続けるつもりだ。


「よし、決まったら2人とも行ってきて! これはボクがボスになってからの初めての大きな仕事。張り切って頼むよ〜」


アラタとバルタはそれぞれに頷き、静かに準備を始めた。



火道はマグマの流れる通路です。複数の火道に分かれる事があるので、二手に分かれる意味で使いました。

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