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雪の囁き – 第一章  作者: Happy potato
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雪の中の出会い

皆さん、初めまして。作者の〇〇です。

この物語『雪の囁き(ささやき)』は、1900年代の日本を舞台にした歴史フィクションです。

主人公のアキオは、ひょんなことから一人の少女・ハナと出会います。

しかし、その出会いは運命を大きく変えるものでした。


彼女の過去、そして彼女を追う者たち。

アキオは迷いながらも、彼女を救うために動き出します。


「家族」とは何か。「絆」とは何か。

これは、失われた絆を取り戻そうとする少年の物語です。


それでは、どうぞお楽しみください。


ある日、市場を歩いていたアキオの前に、数人の王国兵が立ちはだかった。彼らは一枚の紙を見せながら、厳しい口調で尋ねた。


「この娘を見なかったか? 逃亡者だ。我々は彼女を探している。」


アキオはちらりと紙を見た。そこに映っていたのは、間違いなくハナだった。胸がざわついたが、表情を崩さないように努める。


「見たことがない。」


しかし、その一瞬のためらいを兵士たちは見逃さなかった。


「そうか?」


兵士たちは疑わしげにアキオを見つめ、その場を離れた。しかし、それからずっと彼のことを監視していた。



---


夜の襲撃


その夜、家族が眠りについたころ、突然、扉が激しく叩き割られた。


王国兵が乱暴に家へと押し入り、部屋を次々と探し回った。


ハナは逃げられなかった。彼らに腕をつかまれ、無理やり連れ去られようとしていた。


「私が行く!だから、家族には手を出さないで!」


彼女の声は落ち着いていたが、その目には諦めの色が見えた。


アキオが動こうとした瞬間、兵士の一人が彼の頭を殴った。


意識が遠のく中、彼が見た最後の光景は、無理やり連れ去られるハナの姿だった。



---


後悔と絶望


目を覚ましたとき、家の中はめちゃくちゃになっていた。


母は怯える子供たちを必死で落ち着かせようとしていた。


ハナの姿はなかった。


アキオは何も言わず、ただ部屋の隅に座り込んだ。震える手を握りしめ、じっと床を見つめる。


時間だけが過ぎていった。


一日、また一日と経ったが、アキオは何もしなかった。食事もほとんど取らず、家の外に出ることもなかった。


そして、十日目の夜。


母が彼の隣に座り、静かに言った。


「このままでいいの?」


アキオは答えなかった。


「彼女はただの客じゃなかった。私たちの家族だったのよ。見捨てるつもり?」


その言葉に、彼はようやく母を見た。


「もし今動かなければ、二度と会えないかもしれない。」


アキオは拳を握りしめた。


すると、弟が彼の前に座り込んだ。


「心配しなくていいよ、兄さん。僕が家のことは全部見るから。」


アキオは弟の目を見つめた。


「兄さんが動かなきゃ、きっと後悔するよ。」


数秒間、沈黙が続いた。


やがてアキオは大きく息を吐き、立ち上がった。


「わかった。」



---


最初の手がかり


アキオは、ハナがかつていたという炭売りの街へ向かった。


彼女の過去を知るためだ。


街に到着すると、彼は人々に声をかけ、ハナの特徴を伝えながら情報を探した。


しかし、ほとんどの人が「知らない」と首を振った。


夜になり、空腹を感じた彼は、小さな食堂に入った。そこは老婦人が一人で切り盛りしていた。


食事を取りながら、彼はダメ元で尋ねてみた。


「黒髪で鋭い目つきをした少女を知らないか? 物静かだけど、どこか警戒心のある子だ。」


老婦人は手を止め、アキオをじっと見つめた。


「どうして彼女を探しているんだい?」


「王国兵が連れて行った。彼女を取り戻したい。」


しばらくの沈黙の後、老婦人は静かに言った。


「……ついに、本当の家族が現れたのか。」



---


ハナの過去


老婦人は語り始めた。


「あの子を初めて見たとき、とてもお腹を空かせていたのよ。食べ物をあげたら、黙って受け取ったわ。」


アキオは黙って聞き続ける。


「少しずつ働くようになってね。言葉は少なかったけど、真面目でいい子だった。」


そして、彼女の過去について語った。


「彼女の家族は貧しかった。借金まみれだったのよ。13歳の時、市場で母親と一緒にいたら、とある貴族の目に留まった。」


「その貴族は、何人もの妻を持つ権力者だった。」


「しばらくして、彼女の家に縁談が持ち込まれた。でも、ハナは拒んだ。」


「父親は酒浸りだった。そして、金のために彼女を売ったのよ。」


アキオの表情が険しくなった。


「結婚式の前日、彼女は真実を知った。父親が金を受け取っていたことを。そして、母親もそれを知りながら何もしなかった。」


「だから、彼女は逃げた。」


アキオは目を閉じ、拳を握る。


老婦人は静かに続けた。


「この町でしばらく暮らしていたけど、ある日、兵士たちが訪ねてきたの。私は知らないふりをしたけど、彼女は察していた。」


「だから、また逃げたのよ。」


「置き手紙を残してね。『すべてに感謝します』って。」


アキオは静かに言った。


「どこへ行った?」


「おそらく、森へ向かったわ。」



---


次の目的地


情報を整理すると、あの夜、アキオが森で出会ったハナは、ちょうどここを逃げ出した直後だったとわかった。


アキオは立ち上がり、老婦人に一礼した。


「ありがとう。」


次の目的地は決まった。


ハナが逃げ出した街。


彼女の過去を断ち切るために。


数日後、アキオはその街の城門の前に立っていた。


この先に、答えがある。


(続く)

ここまで読んでくださり、ありがとうございます!

この章では、アキオがハナを助けに行くまでの葛藤が描かれました。

彼の迷いや苦しみを少しでも感じてもらえたら嬉しいです。


次回、アキオはついにハナの過去を追い、彼女の故郷へ向かいます。

彼がそこで知る真実とは――?


続きもぜひお楽しみに!


感想やコメントをいただけると励みになります。

では、次回の更新でお会いしましょう!

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