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Project:Magical

ファイル種別:最高機密情報

SCR:Chronos、読者

概要及び目的:脳波検知ナノマシンの開発、実用化。性質がフィクションに於ける“魔術”“魔法”の原因物質たる“魔素”に酷似する予定の為、暫定的にそのように命名する。


===


とある新人研究者の開発ログ


#1 203█/11/23

前身となる研究には参加していないが、興味はあったのでよく調べていた。その研究で作られた医療用ナノマシンを他の分野にも応用させようとして今回のプロジェクトが設立されたらしい。

基礎が既に出来上がっているので、そこまで時間は掛からないだろう、と研究主任は言っていた。自分はそこまで詳しい訳ではないからよく分からないけど。


#2 203█/11/30

大規模物理干渉に手子摺っている。まぁ、今までは人体のミクロな物々を対象としてきたから、しょうがないっちゃあしょうがない。そも数日でどうにか出来るモノでもないし。


#3 203█/12/07

2日前辺りから、同じ研究施設で研究されていた現実干渉技術を取り入れたようだ。これにより大規模物理干渉が可能になり、若干止まり気味だった研究が急速に進み始めた。

嫌な予感がする。


#4 203█/12/14

ナノマシンが軽い暴走を起こし、自己増殖を開始した。

想定内だ。


#5 203█/12/21

暴走開始時点からエアロックが全封鎖され、ロックダウンの警報は早い段階で鳴り止んでいた。備蓄食料は研究施設内で生産可能で、間に合わせではあるが生産ラインも整備されたから安定した生活が出来ている。

何なら生物由来のモノであれば多少時間は掛かるが大抵生産可能だから、木で娯楽用品も作っていた。自然塗料でオセロも将棋も作れてしまう。後は施設の耐久性を上げれば完璧なシェルターだ。まぁ予算が足りないけど。


#6 203█/12/25

丁度今日死んだ最高齢研究者(愛称:爺や)の遺体からエクトプラズムの存在が初めて観測された。十中八九、魔素との関係はあるだろう。

クリスマスプレゼントというやつだろうか。それにしては重すぎる。冥福を祈らせろ。


#7 203█/12/28

もう幾つ寝ると、お正月。

魔素鎮静化の目処は未だに立たない。


#8 203█/01/01

新年明けまして御目出度う。御年玉は魔素の外部流出の情報だ。どうやらエアロックが故障してしまったらしい。

いずれ起こるだろうとは思っていた。


#9 203█/01/04

拡散速度が滅茶苦茶速かったお陰で、研究施設の事は詮索されなかった。

いっそ発覚してしまえばよかったのに。


#10 203█/01/05

魔術を操る生物が突如として大量発生、街を襲う。民間により魔術構文が確立。大抵の歴史ある宗教や神話に出てくる神の実在を確認。ホモ・サピエンス以外の、不明な生物種の“人間”が発見される。これらの情報の錯綜とサーバーの物理的崩壊により一時インターネット全体がダウン。

研究施設はとっくに崩壊している。この雑多な日記にも最早意味など無い。

もう滅茶苦茶だ。


#11 203█/01/11

血と肉の海を見た。そこに魔素生物…所謂“怪異”の死体が浮かんでいた。

気分が悪い。


#12 203█/01/18

社会システムの崩壊と再建に伴い、アンダーグラウンドが急発達したようだ。裏配給には大勢の人が押し掛けているらしい。

家族が食いっぱぐれていなければいいのだけれど。


























#██ 20██/██/██

アカシックレコード・ライブラリの情報整理作業が終わった。

この情報だけは、館長のĀkāśaでも閲覧出来ないようにした。閲覧出来るのは、私と、ロール“読者”が付与された者だけ。

いずれ解禁しようとは思うけど、解禁したらしたで大混乱が起きるのは容易に想像出来る。自分たちが魔素によって“作られた”存在である可能性は十分にあるのだから。

…そのうちどうにかなるのだろうか。

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